介護保険とは?制度の仕組み・サービスの種類・利用の流れをわかりやすく解説

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「親の介護が必要になったらどうすればいい?」
「介護保険って何歳から使えるの?」と疑問に感じている方は多いのではないでしょうか。

介護保険制度は、介護が必要になった方を社会全体で支えるための公的な仕組みです。40歳以上のすべての国民が保険料を納めることで、いざ介護が必要になった際に費用の一部(原則1割)の負担だけでさまざまなサービスを利用できます。

【この記事でわかること】

  • 介護保険制度の仕組みと目的
  • 対象者(第1号・第2号被保険者)の違いと保険料の払い方
  • 利用できるサービスの種類と料金の目安
  • 申請から利用開始までの6ステップ
  • 自己負担を軽減できる制度

介護保険を正しく理解しておくことで、いざというときに慌てず適切なサービスを選べるようになります。ご自身やご家族の介護に備えて、ぜひ最後までご覧ください。

 

介護保険とは?制度の目的と仕組みをわかりやすく解説

介護保険は、高齢化社会において介護を必要とする方とそのご家族を社会全体で支えるための公的な保険制度です。まずは制度が生まれた背景と、三者がどのように関わり合っているかという基本的な仕組みから確認しましょう。

介護保険制度が作られた背景

介護保険制度は、2000年(平成12年)に施行された社会保険制度です。

それ以前は、介護の担い手は主に家族でした。しかし、核家族化の進行や共働き世帯の増加、介護者自身の高齢化などにより、家族だけでは介護を支えきれない状況が深刻な社会問題となっていました。また、介護を理由とした長期入院(社会的入院)が医療保険の財政を圧迫するという課題もありました。

こうした背景から、介護を家族だけの問題ではなく社会全体で支える仕組みとして介護保険制度が創設されました。利用者がサービスを自ら選択・利用できる「利用者本位」の考え方を採用しており、3年ごとに制度が見直されながら今日に至っています。

保険者・被保険者・サービス事業者の三者関係

介護保険制度は、次の三者によって成り立っています。

  • 保険者(運営主体): 全国の市区町村および特別区が保険者として制度を運営します。保険料の徴収、要介護認定、給付管理などを担います。
  • 被保険者(加入者): 日本国内に住む40歳以上のすべての方が被保険者となり、保険料を納める義務があります。
  • サービス事業者: 都道府県や市区町村から指定を受けた社会福祉法人・医療法人・民間企業などが、実際に介護サービスを提供します。

通常時は被保険者が保険者に保険料を納め、介護が必要になった際には市区町村の認定を受けてサービス事業者から介護サービスを利用します。利用費用の1〜3割を自己負担し、残りは保険者(市区町村)がサービス事業者に給付します。国民全員で保険料を出し合い、必要な人がサービスを受けるという「相互扶助」の仕組みです。

介護保険の対象者は?第1号・第2号被保険者の違い

介護保険の被保険者は年齢によって2種類に分けられており、サービスを利用できる条件や保険料の払い方がそれぞれ異なります。

第1号被保険者(65歳以上の方)

65歳以上の方が第1号被保険者に該当します。

介護が必要になった原因を問わず、市区町村による要介護・要支援認定を受ければ介護保険サービスを利用できます。老衰・病気・ケガなど、どのような理由であっても対象となる点が特徴です。

第2号被保険者(40〜64歳の医療保険加入者)

40歳以上64歳以下で公的医療保険(健康保険・国民健康保険など)に加入している方が第2号被保険者に該当します。

第2号被保険者が介護保険サービスを利用するには、介護が必要な状態になった原因が「特定疾病」であることが条件となります。交通事故などが原因の場合は対象外です。

特定疾病は加齢に伴って生じやすい以下の16種類です。

  1. がん(末期)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症(アルツハイマー病など)
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症(ウェルナー症候群など)
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など)
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎など)
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 

第1号被保険者

第2号被保険者

対象年齢

65歳以上

40〜64歳(医療保険加入者)

利用条件

原因を問わず要介護・要支援認定

特定疾病が原因で要介護・要支援認定

保険料

市区町村ごとに所得段階別で決定

加入医療保険の算定方法で決定

支払方法

原則、年金から天引き

医療保険料と一括で徴収

介護保険料はいつからいくら払う?

介護保険料は40歳から生涯にわたって支払う義務があります。第1号・第2号それぞれで保険料の決まり方と納付方法が異なるため、ご自身がどちらに該当するか確認しておきましょう。

第1号被保険者(65歳以上)の保険料と納付方法

保険料は市区町村が3年ごとに定める「基準額」をもとに、本人の所得や世帯の課税状況に応じた段階別で決まります。所得が低い方の負担が重くなりすぎないよう、複数の所得段階に分けて設定されています。

納付方法は2種類です。

  • 特別徴収(年金天引き): 年金受給額が年間18万円以上の方は、年金の定期支払いから自動的に天引きされます
  • 普通徴収(納付書・口座振替): 年金受給額が年間18万円未満の方や年度途中で65歳になった方は、市区町村から送付される納付書や口座振替で支払います

第2号被保険者(40〜64歳)の保険料と納付方法

加入している公的医療保険の保険料と一体的に徴収されます。保険料は給与(標準報酬月額)や所得に保険料率をかけて算出されます。

  • 会社員・公務員: 給与から自動天引き。保険料の半額は事業主(会社)が負担します
  • 自営業・国民健康保険加入者: 国民健康保険料とあわせて市区町村に納付します。全額自己負担となります

保険料を払わなくていい人・減免制度

第2号被保険者のうち、以下の方は保険料の負担が生じません。

  • 被扶養者(専業主婦など): 配偶者の職場の健康保険に扶養として加入している場合、個人の保険料負担はありません
  • 生活保護受給者: 生活保護の医療扶助が適用されるため、介護保険料の納付義務が生じません

また、以下のような事情がある場合は、お住まいの市区町村に申請することで保険料の減額・免除が受けられる場合があります。

  • 災害により財産に大きな損害を受けた場合
  • 主たる生計者の死亡・重篤な疾病・失業などで収入が著しく減少した場合
  • 非課税世帯で生活が困窮している場合

介護保険サービスの種類

介護保険で利用できるサービスは、在宅・通所・短期宿泊・施設入居など多岐にわたります。利用者の心身の状態や生活環境に合わせてサービスを組み合わせて使うことができます。

ケアプランの作成(居宅介護支援)

介護サービスを利用するには、まず「ケアプラン(介護サービス計画書)」の作成が必要です。ケアマネジャー(介護支援専門員)が利用者本人や家族の希望・心身の状態をもとに最適なサービスの組み合わせを計画します。ケアプラン作成の費用は全額介護保険から給付されるため、自己負担はありません。

自宅に訪問するサービス(訪問系)

住み慣れた自宅で生活を続けながら専門職の訪問を受けるサービスです。

  • 訪問介護(ホームヘルプ): ホームヘルパーが訪問し、食事・入浴・排泄などの身体介護や、掃除・洗濯・調理などの生活援助を行います
  • 訪問入浴: 看護職員・介護職員が自宅に浴槽を持ち込み、入浴介護を行います
  • 訪問看護: 看護師などが訪問し、医師の指示のもとで療養上の世話や診療の補助を行います
  • 訪問リハビリ: 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが訪問し、日常生活の自立に向けたリハビリを行います
  • 夜間対応型訪問介護: 夜間帯(18〜8時)を含む24時間体制で、排泄介助・安否確認などを行います
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護: 定期的な巡回と随時の連絡対応を組み合わせ、24時間体制でサポートします

施設に通うサービス(通所系)

日中に施設へ通い、さまざまなサービスを日帰りで受けます。

  • 通所介護(デイサービス): 食事・入浴・機能訓練・レクリエーションなどを施設で受けます。孤立感の解消や家族の介護負担軽減にも役立ちます
  • 通所リハビリ(デイケア): 病院・老健施設などでリハビリ専門職による専門的なリハビリを受けます
  • 地域密着型通所介護: 定員18人以下の小規模施設で、地域の特性に合わせた介護サービスを受けます
  • 認知症対応型通所介護: 認知症の方を対象とした専門的なデイサービスです

訪問・通い・宿泊を組み合わせるサービス

  • 小規模多機能型居宅介護: 「通い」を中心に、「訪問」と「泊まり」を柔軟に組み合わせて利用できます
  • 看護小規模多機能型居宅介護: 小規模多機能型に訪問看護を加えた複合型サービスです(要介護認定者のみ利用可)

短期間の宿泊サービス(ショートステイ)

  • 短期入所生活介護: 特別養護老人ホームなどに最大30日間滞在し、介護を受けます
  • 短期入所療養介護: 医療機関・老健施設・介護医療院に最大30日間滞在し、医療ケアと介護を受けます

家族が旅行や急用の際に利用するレスパイトケアとしても活用されています。

施設に入居して受けるサービス

自宅での生活が困難になった方が入居し、24時間体制のケアを受けます。要介護1以上の認定が必要で、要支援の方は利用できません。

介護保険が適用される施設(介護保険施設)は以下の3種類です。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム): 原則要介護3以上が対象。終身にわたる介護が受けられます
  • 介護老人保健施設(老健): 在宅復帰を目指すリハビリ施設。入所期間は原則3〜6ヶ月程度
  • 介護医療院: 長期的な医療と介護の両方が必要な方が対象。看取りにも対応

各施設の費用・入居条件・選び方の詳細はこちら:介護保険施設とは?特養・老健・介護医療院の種類と費用を徹底比較

地域密着型サービス

認知症の方や中重度の要介護者が、住み慣れた地域で暮らし続けられるよう支援するサービスです。原則として事業所が所在する市区町村の住民のみが利用できます。

  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム): 認知症の方が5〜9人の少人数で共同生活を送りながら自立を目指します
  • 地域密着型介護老人福祉施設: 定員29人以下の小規模な特別養護老人ホームです
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護: 定員29人以下の有料老人ホームなどで受けるサービスです

福祉用具・住宅改修

  • 福祉用具貸与(レンタル): 介護ベッド・車いす・歩行器などを1〜3割の自己負担でレンタルできます
  • 特定福祉用具購入: ポータブルトイレ・入浴補助用具など衛生上レンタルに適さない用具を購入する際、年間10万円を上限に費用の7〜9割が給付されます
  • 住宅改修: 手すりの設置や段差解消など小規模な改修に対し、20万円を上限に費用の7〜9割が給付されます。工事着工前に市区町村への事前申請が必須です

介護保険サービスの利用にかかる料金

介護保険サービスの自己負担は原則1割ですが、要介護度ごとに1ヶ月の支給限度額が定められています。限度額や自己負担の仕組みを事前に把握しておくことで、費用の見通しを立てやすくなります。

介護保険サービスの自己負担は原則として介護サービス費用の1割です。ただし、一定以上の所得がある方は2割または3割となります。

自宅で受けるサービス(居宅サービス)には、要介護度ごとに1ヶ月の支給限度額が設定されています。

介護度

1ヶ月の限度額

要支援1

50,320円

要支援2

105,310円

要介護1

167,650円

要介護2

197,050円

要介護3

270,480円

要介護4

309,380円

要介護5

362,170円

限度額の範囲内であれば1〜3割負担ですが、限度額を超えた分は全額自己負担となります。

施設サービスの場合は、介護サービス費の自己負担分に加えて居住費・食費・日常生活費が別途全額自己負担となります。

介護保険サービスの利用負担を軽減する制度

介護費用が高額になっても家計への負担が過重にならないよう、公的な軽減制度が複数用意されています。該当する制度がないか、事前に確認しておくことをおすすめします。

特定入所者介護サービス費(補足給付)

所得・資産が一定基準以下の方を対象に、介護保険施設の居住費と食費の自己負担上限額が設定される制度です。「介護保険負担限度額認定証」の交付を市区町村に申請する必要があります。

高額介護サービス費

1ヶ月の介護サービス自己負担額の合計が所得に応じた上限額を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。上限額は所得区分によって15,000円〜44,400円程度に設定されています。

高額医療・高額介護合算制度

 同一世帯で医療保険と介護保険の自己負担額を合算し、年間の上限額を超えた分が払い戻される制度です。医療費と介護費の両方がかさむ世帯にとって重要な制度です。

関連記事:介護保険サービスの費用は医療費控除の対象?対象サービスや手続きをわかりやすく解説

介護保険サービス利用の流れ

介護保険サービスを利用するには、申請から認定・ケアプラン作成を経てサービス開始まで、定められた手順があります。全体の流れを把握しておくと、いざというときにスムーズに動けます。

ステップ1:要介護認定の申請

お住まいの市区町村の窓口または地域包括支援センターに「要介護・要支援認定申請書」を提出します。本人・家族のほか、ケアマネジャーや地域包括支援センターに代行してもらうことも可能です。申請には介護保険被保険者証(65歳以上)または医療保険被保険者証(40〜64歳)が必要です。

関連記事:介護保険の申請は何歳から?対象となる2つの年齢パターンを分かりやすく解説

ステップ2:認定調査・主治医意見書

市区町村の職員や委託されたケアマネジャーが自宅などを訪問し、心身の状態を調査します(74項目)。同時に、市区町村が主治医に「主治医意見書」の作成を依頼します。

ステップ3:審査判定(一次・二次)

調査結果をコンピュータ分析した一次判定をもとに、保健・医療・福祉の専門家で構成される「介護認定審査会」が最終的な要介護度を判定します。

ステップ4:認定結果の通知

申請から原則30日以内に結果が通知されます。認定区分は「自立(非該当)・要支援1〜2・要介護1〜5」の8段階です。結果に不服がある場合は審査請求が可能です。

ステップ5:ケアプランの作成

認定を受けたら、ケアプランを作成します。要支援の方は地域包括支援センター、要介護の方は居宅介護支援事業所のケアマネジャーに依頼します。作成費用の自己負担はありません。

ステップ6:介護サービス利用の開始

ケアプランに基づいてサービス事業者と契約を結び、サービスの利用がスタートします。

介護保険が使える老人ホーム・施設の種類

介護保険が使える施設は「介護保険施設(公的施設)」と「民間施設」の2種類に大別されます。費用・入居条件・サービス内容がそれぞれ異なるため、違いを理解した上で選ぶことが大切です。

介護保険施設(公的施設)

特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院の3種類が介護保険施設にあたります。国や自治体の補助があるため民間施設より費用が抑えられる傾向がありますが、特養は待機期間が長い地域もあります。

各施設の詳細な比較・費用・選び方はこちら:介護保険施設とは?特養・老健・介護医療院の種類と費用を徹底比較

民間施設

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などが該当します。

  • 介護付有料老人ホーム: 施設スタッフが24時間体制で介護サービスを提供。介護サービス費は定額制
  • 住宅型有料老人ホーム: 生活支援サービスが中心。介護が必要な場合は外部の介護サービスを別途利用
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住): 安否確認と生活相談が必須のバリアフリー賃貸住宅。介護サービスは外部と個別契約

 

介護保険施設

民間施設

運営主体

社会福祉法人・地方公共団体など

民間企業など

初期費用

原則不要

0円〜数千万円

月額費用

8〜20万円程度

15万円〜数十万円

入居難易度

要介護度が重視(待機あり)

比較的入居しやすい

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本記事では介護保険サービスの概要や種類、介護サービス利用料金や自己負担軽減制度、利用手順について解説してきました。

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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