パーキンソン病治療薬の悩み「ウェアリングオフ」と「ジスキネジア」!原因と治療法をわかりやすく解説
お役立ちコラム


「ウェアリングオフやジスキネジア」って、一体どんなもの?と疑問に思っていませんか? パーキンソン病が進行すると、薬の効果が切れやすくなったり、逆に効きすぎて体が勝手に動いてしまったりするといった、新たな問題が生じてくることがあります。これらを「運動合併症」と呼び、特に「ウェアリングオフ」と「ジスキネジア」が代表的な症状です。これらの症状は、日常生活に大きな影響を及ぼし、患者さんのQOLを低下させる可能性があります。 この記事では、ウェアリングオフとジスキネジアがどのようなものなのか、その原因や、現在の治療法について詳しく解説していきます。パーキンソン病と診断された方や、ご家族の方の理解を深める一助となれば幸いです。
パーキンソン病の運動合併症とは?
パーキンソン病が進むと、薬を飲んでも体が思うように動かなくなったり、逆に、体が勝手に動いてしまうといった症状が現れることがあります。このような症状をまとめて「運動合併症」と呼びます。 運動合併症が起こる主な原因は、パーキンソン病の薬の効果が、体の中で一定に保てなくなることです。薬の効果が十分に得られない時間帯があると、体が動きにくくなります。一方、薬の効果が強すぎると、体が勝手に動いてしまうのです。 これは、パーキンソン病の薬の血中濃度が、時間とともに大きく変動してしまうためです。薬の効果を安定させるためには、一定の血中濃度を保つことが大切ですが、パーキンソン病が進行するにつれて、これが難しくなるケースが多いのです。
パーキンソン病の初期段階:ハネムーン期
パーキンソン病は、脳の特定の部位にあるドーパミンという物質が不足することで起こる病気です。このドーパミンを補う薬を飲むことで、多くの症状が改善します。 治療を始めてしばらくの間は、薬が非常に良く効き、病気があることを忘れてしまうほど、快適な日々を送れることがあります。この状態を「ハネムーン期」と呼びます。まるで新婚旅行のように、穏やかな日々が続くことから、そう呼ばれています。 しかし、残念ながら、このハネムーン期は永遠に続くわけではありません。病気は少しずつ進行していくため、薬の効果が徐々に薄れてくることがあります。一般的には、治療開始から約5年を過ぎると、薬が効かない時間帯が出てきたり、逆に薬が効きすぎて体が勝手に動いてしまうなどの症状が現れる人が半数程度いると言われています。
パーキンソン病の運動合併症:ウェアリングオフとジスキネジア
パーキンソン病が進むと、薬を飲んでも症状が十分にコントロールできなくなることがあります。このような状態を「運動合併症」と呼びます。運動合併症には、主に「ウェアリングオフ」と「ジスキネジア」の2種類があります。
ウェアリングオフとは?
ウェアリングオフは、パーキンソン病の薬物療法において、薬の効果が持続せず、症状が再発する現象です。L-ドパ製剤を服用している患者さんでは、薬の効果が切れる「オフ期」と、薬が効いている「オン期」が繰り返されることが特徴です。 オフ期には、運動機能の低下(歩行困難、動作緩慢など)、姿勢不安定、震え、強直、疼痛などがみられます。特に、食後にL-ドパを服用している場合、食間にウェアリングオフが起こりやすく、生活の質を大きく低下させることがあります。
ウェアリングオフはなぜ起こるのか?
パーキンソン病の薬は、脳内のドーパミンという物質の量を増やすことで効果を発揮します。しかし、病気が進むにつれて、このドーパミンを蓄えておく場所が減ってしまうため、薬の効果が持続しにくくなるのです。
ウェアリングオフにはどう対処するのか?
薬の飲み方を変える | 薬を飲む時間や回数を調整することで、薬の効果が切れにくくなることがあります。 |
他の薬と併用する | ドーパミンの働きを助ける薬を併用することで、症状を改善できる場合があります。 |
高度な治療 | 上記の方法で改善しない場合は、腸に直接薬を入れる治療や、脳に電極を埋め込む治療などが検討されます。 |
ジスキネジアとは?
ジスキネジアは、神経系の障害によって引き起こされる不随意運動の一種です。特徴的な症状として、口唇や舌の異常な運動(口をすぼめる、舌を舐めまわすなど)、四肢の不随意運動(手足をねじる、振るなど)などが挙げられます。これらの症状は、ドーパミン受容体の過剰な刺激によって生じると考えられています。 ジスキネジアは、パーキンソン病の治療薬であるレボドパなどの長期投与によって発症することが多く、薬物誘発性ジスキネジアと呼ばれます。症状の重症度は、用量依存性が高く、薬の量を増やすほど悪化する傾向があります。
ジスキネジアはなぜ起こるのか?
パーキンソンの薬の量が多すぎると、脳の神経が過敏になり、体が勝手に動いてしまうことがあります。
ジスキネジアにはどう対処するのか?
薬の量を調整する | 薬の量を減らすことで、症状を改善できる場合があります。 |
他の薬と併用する | ジスキネジアの原因となる神経の過敏を抑える薬を併用することで、症状を改善できる場合があります。 |
パーキンソン病の治療法:薬とデバイスで症状をコントロール
パーキンソン病の治療には、主に薬による治療(薬物療法)と、体に装置を埋め込む治療(デバイス補助療法)の2つの方法があります。
薬物療法:薬でドーパミンを補う
パーキンソン病は、脳のドーパミンという物質が不足することで起こる病気です。そのため、治療の基本は、この不足しているドーパミンを補うことです。
主な薬の種類
L-ドパ製剤 | 脳の中でドーパミンに変化する薬です。最もよく使われる基本的な薬です。 |
ドーパミンアゴニスト | ドーパミンの働きを直接まねる薬です。L-ドパ製剤よりも効果が長く続くことがあります。 |
補助薬 | L-ドパ製剤の効果を助けたり、副作用を軽減したりする薬です。 |
治療の流れ
通常は、L-ドパ製剤から治療を開始し、症状に合わせてドーパミンアゴニストや補助薬を組み合わせていきます。病気の進行に合わせて、薬の種類や量は調整されます。
デバイス補助療法:装置で症状を改善
薬の治療だけでは症状が十分にコントロールできない場合、デバイス補助療法が検討されます。
主なデバイス補助療法
レボドパ/カルビドパ配合剤持続経腸療法 | 胃に小さなポンプを埋め込み、チューブを通して薬を直接腸に送る治療法です。薬の効果が安定し、運動合併症の改善が期待できます。 |
脳深部刺激療法 | 脳の特定の部位に電極を埋め込み、電気刺激を与える治療法です。体の動きをスムーズにし、こわばりを改善する効果が期待できます。 |
パーキンソン病の進行につれて起こる運動合併症
ここまで、パーキンソン病の運動合併症について解説しました。 パーキンソン病が進むと、薬の効果が切れて体が動きにくくなったり(ウェアリングオフ)、体が勝手に動いてしまったり(ジスキネジア)するなどの症状が現れることがあります。これらの症状をまとめて「運動合併症」と呼びます。 運動合併症が現れたからといって、諦める必要はありません。適切な治療を受けることで、日常生活の質を大きく改善できる可能性があります。 パーキンソン病は進行性の病気ですが、適切な治療を受けることで、症状をコントロールし、より快適な生活を送ることができます。運動合併症について、ご不明な点があれば、お気軽に医師にご相談ください。
監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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