老人ホームでの食事の重要性と入居前に確認したい5つのポイント

介護施設への入居を検討している方に向けて、老人ホームにおける食事について解説します。
老人ホームでの食事というと、「栄養バランスは良いけれどおいしくない」というイメージがあるのではないでしょうか。しかし食事はホーム内における最大の楽しみです。施設によっては、食事に工夫を凝らし、入居者の方に楽しんでもらえるようにしています。
そこで今回の記事では、老人ホームでの食事の重要性や食事内容について解説。また入居前に食事について確認しておきたい5つのポイントもご紹介します。参考にしていただければ、老人ホームの選び方のコツがご理解いただけるはずです。
老人ホームにおける食事の大切さ
老人ホームにおいて食事とは、栄養摂取のためだけではなく「楽しみ」として大切です。
ホーム内の生活はどうしても単調になります。イベントやレクリエーションを行ったとしても、毎日違うことをするわけでもありません。そのため入居者の方は、食事を最大の楽しみとしていることが多いためです。
もちろん健康維持としての役割もありますが、食事は入居者の方にとっての大きな楽しみと言えます。
老人ホームで提供される食事に関するルールと内容
老人ホームで提供される食事に関してはルールがあります。ルールと食事の内容については次のとおりです。
食事に関するルール
1日に3回の食事のほか、1回のおやつが提供されます。基本的に食事は時間が決まっており、スタッフが配膳して全員で食べるスタイルです。
しかし施設により、独自のルールが設けられていることもあります。1人1人が自由な時間に食事できたり、個室で食べられたりする施設も見られます。全員で食べる場合の席も、毎回同じ場所と決められているケース、自由に選べるケースなどさまざまです。
食事の内容
食事の内容は老人ホームにより異なります。施設内厨房で作られることもありますが、外部の宅配食を利用する施設もあるためです。
いずれにしても栄養バランスの良い献立となっており、元旦や節分、クリスマスなどはイベントに応じた食事内容となります。老人ホームにおける食事は「楽しみ」であるため、飽きがこないように献立や食材などに工夫を凝らして献立が作られます。いくつかの献立の中から、入居者が選べる形式であることもあるでしょう。
食事の内容は基本的に、老人ホームの種類によりある程度の傾向があります。
【種類ごとの食事内容】
- サービス付き高齢者向け住宅:自分で調理したもの、施設で作られたもの
- 住宅型有料老人ホーム:個人の状態にあわせた食事、イベント関連の食事
- 介護付き有料老人ホーム:個人の状態にあわせた食事
- グループホーム:スタッフと共同で調理したもの
住宅型・介護付きの有料老人ホームでは、それぞれの嚥下機能や体調にあわせた食事が提供されます。
関連記事:住宅型有料老人ホームとは?サービス内容や費用・他施設との違い
老人ホームの食事は誰が作っている?
老人ホームでの食事の調理担当者も施設によりさまざまです。住み込みの調理師がいたり、自社内の調理師が作ったり。外部の宅配食を依頼している場合は、外部業者の調理師が作ります。
食事の調理担当者は施設により変わるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
老人ホーム入居前に確認しておきたい食事提供に関するポイント
それでは食事に関して、老人ホーム入居前に確認しておきたいポイントをご紹介します。ポイントとなるのは次の5つです。
関連記事:老人ホームの入居にかかる費用は?相場と安く抑えるポイント
ポイント1:どんな食事の形態を選べるか
まずはどのような形態の食事を選べるかを確認してください。なかには個々人の状態に応じた食事形態を選べない老人ホームもあるでしょう。提供される食事が食べられなくなると、退去しなければならなくなることもあるため事前に確認したいものです。
食事形態には次の3つの種類があります。
形態1:通常食
「通常食」とは、一般的な食事のことです。硬さや味付けが一般的な食事と変わらず、いわばレストランなどで提供される食事のようなものを指します。年齢が若い方や、身体の状態が健康な方でも、誰もが「おいしい」と思って食べられる食事が通常食です。
形態2:介護食
「介護食」は、個人の嚥下機能や身体の状態に配慮された食事のことを指します。介護食はさらに次のような5種類に分けられている事が多く、入居者の状態にあわせて適切な食事形態が選ばれる仕組みです。
【介護食の形態】
- ミキサー食:食事をミキサーにかけて食べやすくしたもの
- 刻み食:刻む、すりおろすなどの調理によりペースト状にされたもの
- とろみ食:とろみをつけて喉どおりをよくしたもの
- ソフト食:舌でつぶせるほどの軟らかさにしたもの
- 水分補給食:ゼリー状にした食べもので水分補給できるようにしたもの
通常食が食べにくくなったときでも、介護食に対応してもらえれば食事への苦労はありません。将来的なことを考えると、食べるための能力が低下した場合でも、介護食に対応している老人ホームのほうが長く入居し続けられるでしょう。
形態3:治療食
それぞれの病気に対応した食事が「治療食」です。たとえば糖尿病や腎臓病など、持病を持っている方にとって安全性の高い食事を提供します。カロリー制限食やアレルギー食なども治療食のひとつです。
治療食に対応している施設であれば、今後、なんらかの持病を持ってしまったときにも対応してもらえるでしょう。介護食・治療食ともに対応可能なら不安が少なくなります。
ポイント2:料理の品数は多いか
老人ホームの食事提供について確認するなら、料理の品数についてもチェックしておくべきです。老人ホームでの食事は毎日の楽しみであるため、品数が多く、バラエティー豊かな食事であれば楽しみも増えます。
料理の品数は施設によって違います。なかには試食に対応している施設もあるため、料理の品数とともに味もチェックできるでしょう。
ポイント3:料理の温度が配慮されているか
料理が適温で提供されているかどうかも確認しておきたいポイントのひとつです。老人ホームでは大勢に配る食事を一気に作るため、適切な温度で提供されないこともあるかもしれません。
しかし食事は適温で食べてこそおいしいものです。施設によっては保冷車などを使って温度管理をしているところもあります。
またスープや味噌汁などの水分では、温度が低いと飲み込みにくくなることもあるでしょう。料理の温度は満足感だけでなく健康にも影響を与えるものであるため、温度管理が徹底されているかは重要なポイントです。
ポイント4:個別のニーズに対応しているか
長く住み続けられる老人ホーム選びにおいては、個別のニーズに対応した食事を提供しているかも確認しておきましょう。たとえば好きな時間に食事をしたいと希望される方なら、自由に食事が食べられるところのほうがあっています。食事をご自身で作ることができ、自分の好きなものを食べたいなら自炊できる施設のほうがおすすめです。
食事に求めるものを考えてみてください。ニーズに対応している老人ホームであれば、食に関するストレスもなく、長く住み続けられるでしょう。
ポイント5:献立表を確認できるか
老人ホーム入居前に食事に関してチェックするなら、献立表を確認できるかどうかもポイントのひとつとなります。献立表を見れば、1ヶ月の食事内容がわかるためです。
たとえば1ヶ月内に同じような献立が複数回出されていたり、食事全体のバランスが悪かったりする老人ホームはおすすめできません。また好みに近い食事であるかも確認できます。
老人ホームを検討するなら、献立表を確認し、食事内容に問題がないか見ておくことも大切です。
関連記事:老人ホームの選び方と失敗を避けるために確認したいポイント
老人ホームの食費は毎月どれくらい?
老人ホームにおける食費は、1ヶ月あたりで40,000~50,000円です。日額に換算したときの平均金額は、1日あたり1,445円。
出典:厚生労働省:(PDF)介護初見施設における食費・居住費と高額介護サービス費の負担限度額が令和3年8月1日から変わります
食費は施設により上下しますが、おおよそ1食につき400~500円で設定されています。そのため1ヶ月の食費は40,000~50,000円が平均です。
老人ホーム選びでは食事の内容や対応について確認して
いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、老人ホームの食事についてご理解いただけたと思います。
老人ホームでの食事は栄養補給・健康管理のためだけでなく、入居者の方にとっての大きな楽しみであるものです。そのため老人ホームを選ぶときには、食事の内容や対応力について確認しなければなりません。
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老人ホームを探している方は、ぜひ笑がおで介護紹介センターまでお気軽にご相談ください。
監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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