老人ホームの入居にかかる費用は?相場と安く抑えるポイント
お役立ちコラム


老人ホームへの入居を検討するにあたり、費用の心配をしている方もいるでしょう。
「自分の貯蓄や年金だけで入居できるのか知りたい」「どのような費用がかかるかわからない」と悩んでいる方もいるはずです。
そこで、老人ホームの費用相場やかかる費用の内訳などを解説します。この記事を読むことによって、入居するにはどの程度の費用がかかるのか、できるだけ費用を抑えるにはどういった方法があるのかなどがわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
老人ホームの費用相場
さまざまな種類があり、どのサービスを選択するのかによって費用相場が大きく変わります。
大きく分けると「公的施設」と「民間施設」があり、その中でもまた複数のサービスが用意されている形です。
ここでは、代表的な種類と費用の相場を解説します。
公的施設
公的施設とは、地方自治体などの公的機関によって運営されている施設のことをいいます。後述する民間施設と比較すると費用が安めに設定されているのが特徴です。
ただし、費用を抑えられることから人気が高く、入居待ちで入れないケースも珍しくありません。公的施設には、大きく分けて特別養護老人ホーム、ケアハウス、介護医療院、介護老人保健施設などの種類があります。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームの月額費用相場は5~15万円ほどです。月額費用は介護度や、居室タイプ、所得によって決まります。初期費用や入居一時金は発生しません。
特別養護老人ホームは法律で料金が決められています。そのため、どの施設を選択しても客室タイプが同じ場合は料金に差がありません。
特別養護老人ホームを利用できるのは、自宅での介護が難しい高齢者の方です。終身利用も可能となっています。公的施設の中でも特に費用が安いことから希望者が多く、希望してもすぐに入居できないケースが多いです。
関連記事:特別養護老人ホームの費用相場は?入居できない場合の3つの対処法
ケアハウス
ケアハウスの月額費用は6~20万円前後です。初期費用は平均すると30万円前後ですが、初期費用を不要としているケアハウスもあります。
社会福祉法人等によって運営されており「軽費老人ホーム」とも呼ばれる施設です。介護サービスを提供する介護型、提供しない自立型の2種類があります。
関連記事:ケアハウスのメリット・デメリットとおさえておきたい入居の流れ
介護医療院
介護医療院の月額費用は9~15万円ほど、入居一時金などの初期費用は発生しません。日常生活上の身体介護だけではなく、医療ケア、看取りなども行える介護施設です。
療養室のほか、機能訓練室などの設備が充実しています。
介護老人保健施設
介護老人保健施設の月額利用料の相場は8~20万円程度です。入居一時金などの初期費用は発生しません。
月額料金は介護度のほか、居室タイプ、世帯所得・預貯金などで異なります。
要介護1~5の高齢者が病院から退院するものの、家庭に戻り自立するのが難しいような場合に利用される施設です。
民間施設
民間施設とは、民間企業や各種法人によって運営されている老人ホームのことです。公的施設ほどではないものの費用を抑えられる施設もあれば、高級ホテルのようなサービスを提供していて利用料が高くつく施設もあります。
公的施設よりもサービスや施設面が充実しているケースが多く、費用が高めに設定されていることから競争率が低くなり入居しやすいです。 有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどに分類されます。
有料老人ホーム
有料老人ホームの月額費用は10~40万円程度です。この他に、入居一時金が0~数千万円程度かかります。
大きく分けて住宅型(住居型)、介護付き、健康型の3種類です。
介護付きは介護やリハビリなどのサービスを提供していることから、住宅型と比較すると月額料金の相場が高くなります。住宅型は生活支援や食事サービスなどが受けられますが、介護が必要な場合はサービス事業所との契約が必要です。
健康型の場合は家事サポートや食事サービスは受けられるものの、要介護となった場合は退去しなければなりません。入居したばかりの時は健康で元気だったとしても将来のことはわからないので、よく検討しましょう。
関連記事:有料老人ホーム10種類の特徴や費用を一覧解説!違いや選び方とは
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅の月額料金相場は10~40万円程度、入居一時金は0~数千万円程度です。民間施設の中では費用を抑えて入居しやすいタイプといえます。
バリアフリーの高齢者向け住宅のことであり、提供されているサービスは主に安否確認と生活相談です。そのため、基本的に介護を必要としない高齢者向けのサービスとなっています。ただし最近では介護・医療の必要な方も受け入れている施設も多くあります。
関連記事:サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの特徴と違い
グループホーム
グループホームの月額費用相場は12~18万円ほど、入居一時金は0~数百万円程度です。認知症や知的障害者、精神障害者などが共同生活を送るための施設をいいます。
専門スタッフがいるので、支援を受けながら自立した生活を目指せます。いつも同じメンバーで生活できることから人間関係を構築しやすいのが魅力です。
関連記事:グループホームの費用相場は?給付や軽減制度についても解説
都道府県別の費用差
費用は、都道府県によって大きな差があります。
まず、有料老人ホームを見てみると、入居時費用が安い都道府県は、富山県や三重県で相場は10万円ほどです。全国平均が660万円ほどなので、この金額と比較してもかなり安いといえるでしょう。
一方、茨城県の入居一時金は1,500万円を超えているケースが多く、全国平均と比べてみても高額です。京都府も相場は1,300万円を超えています。
入居時費用ありの月額費用を見てみると、佐賀県、山口県、富山県が安く、11~13万円程度です。反対に、愛知県や東京都、京都府、兵庫県は27~29万円程度と高額です。
続いてサービス付き高齢者向け住宅を見てみると、入居時の費用相場が安いのは岩手県で、相場は6万円程度です。三重県や岐阜県、和歌山県なども比較的安く済みます。
一方、香川県の入居維持費用は49万円ほど、愛知県は41万円、東京都は32万円ほどです。入居時費用ありの場合の月額費用を見てみると、安く済むのは和歌山県で8万円ほど、徳島県も10万円ほどです。
ですが、東京都は23万円ほど、宮城県は21万円ほど、岡山県は20万円ほどと、地域によってかなりの差があることがわかります。
老人ホームの費用の内訳
利用するにあたり、何に対して費用がかかるのでしょうか。代表的な費用を解説します。
入居一時金
入居の際に前払いする費用のことであり「入居金」や「一時金」とも呼ばれます。
入居一時金は、一定期間分の月額利用料を前もって支払うためのものです。つまり、家賃の前払い金であり、想定居住期間と呼ばれる5~6年程度の月額利用料を入居一時金として支払います。
これにより、有料老人ホームを経営している側は資金繰りしやすくなり、利用者は月々の利用料を抑えられるのが特徴です。
なお、入居一時金は必ずかかるものではなく、不要なケースもあります。ですが、入居一時金を0円に設定している施設はその分月額費用に上乗せする形となるため、月々の利用料金が高くなります。
高額な入居一時金が必要となる施設もありますが、月額利用料とあわせて総合的に検討していかなければなりません。
例えば、入居一時金が500万円、月額利用料が20万円の施設「A」があったとします。この他に、入居一時金が0円、月額利用料が30万円の「B」があったとしましょう。
3年利用したことを考えると、Aは総額1,220万円、Bは1,080万円です。しかし、5年間利用したことを考えると、Aは総額1,700万円、Bは1,800万円です。以降も差が開いていき、入居一時金を支払っているAのほうが総額は安くなります。
入居一時金は選択する施設によって金額が大きく変わりやすいポイントなので、よく確認しておきましょう。
月額利用料
月額利用料とは、入居してから毎月かかる利用料のことです。月額利用料は、以下のような内訳で構成されています。
居住費
賃料のことです。公的施設を利用する場合は、法律によって料金が明確に定められているので、同じ居室タイプであれば施設が異なっても居住費は同じです。
入居者の収入に応じて自己負担限度額が決められています。
一方、民間施設は各施設が独自に居住費を定めているため、施設によって違いが大きいです。例えば、立地が良い、日当たりが良い、広いなどの理由で居住費が高く設定される場合もあります。
管理費
一般的なマンションなどと同様に施設の管理や維持に使われる費用です。「運営費」という呼び方で徴収されていることもあります。
マンションと比較すると管理費が高額になるケースが多いです。これは、管理費の中に人件費などが含まれているからです。
管理費には何が含まれるのか確認しましょう。例えば、買い物代行や、お部屋の掃除代行費用です。これらを含んで高めの管理費が設定されているケースもあれば、管理費が安い代わりに個別に有料で依頼する形となるケースもあります。
管理費が安いところを選んだものの、細かいこともすべて別料金が発生する形になってしまったという可能性もあるので、よく確認しておきましょう。
食費
老人ホームを利用するにあたり、提供される食事の費用です。
食費の計算方法は、施設によって異なります。定額のところもあれば、一食分ずつの料金を設定していて何らかの事情で食べなかった分がある場合はその分を差し引いて請求される施設もあります。
なお、公的施設の場合は、日額の食費負担限度額が法律によって定められているので、施設が異なってもそれほど大きく変わることはありません。
民間施設の場合、食事の美味しさなどを施設の強みにしているところも多いです。ただ、食事の質は高くなるものの、それだけ食費が高くつくこともあるので、よく確認しておきましょう。
水道光熱費
水道光熱費は公的施設・民間施設のどちらを選択したとしても各自で負担する形となります。どのような形で徴収されるか事前に確認しておくと良いでしょう。
例えば「水道光熱費」としてではなく、賃料や管理費の中に含まれている場合もあります。
医療費
個人によって違いが大きい医療費は、自己負担となります。病院での診察費のほか、通院費、薬代、送迎費などが含まれます。
医師が常勤していない施設を選択する場合は、施設から委託を受けている協力医療機関の嘱託医(しょくたくい)によって健康管理される形です。ただ、嘱託医では対応できないようなケースでは他の医療機関の受診が必要となり、そこで発生する医療費なども自己負担となります。
施設によっては、医療費が管理費に含まれている場合もあります。そのため、医療費が安くても管理費が高額になる場合は必ずしもお得とは言えないので、よく確認しておきましょう。
サービス加算
施設によって提供されているサービスや、人員体制といったものに対して追加で請求される費用がサービス加算です。
例えば、入浴介助加算、生活機能向上連携加算、中重度者ケア体制加算、個別機能訓練加算などがあります。
初期償却と返還金
老人ホームを利用するにあたり、理解しておきたいものに「初期償却」と「返還金」があります。
初期償却とは入居する際に施設には納める費用のことなのですが、入居後の家賃としては償却されません。入居する際に支払う入居一時金は、入居している一定期間は毎年分割して支払われます。ですが、初期償却は入居した際にすぐに使われるのが特徴です。
一般的には入居一時金の10~30%が初期償却に充てられます。初期償却の具体的な額は、施設側が自由に定めている形です。初期償却がない自治体もあります。
残った入居一時金は家賃の前払いの扱いとなるため、一定期間は「償却」といった形で毎月賃料に引き当てられていきます。
例えば、入居一時金が500万円、初期償却率が20%で100万円、償却期間が60ヶ月(5年間)だった場合を計算してみましょう。契約時は500万円から100万円が引かれ、残りの400万円が5年間で償却されるので、1ヶ月にすると6.6万円です。
この計算方法を理解しておくと、将来的に仮に施設を出ることになった場合、いくら戻ってくるかわかります。
何らかの事情で償却が終わる前に退去した場合は、まだ償却されていない入居時費用が返還されます。
注意点として、初期償却分は入居してすぐに使われてしまうことから、入居後間もなく退去したとしても初期償却分は返金されません。
クーリングオフとは
基本的に入居してすぐに退去したとしても初期償却分は返還されませんが、クーリングオフ制度を利用した場合は返還を受けることが可能です。
クーリングオフとは、契約の申し込みを行い、それが締結した後だったとしても、一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度のことをいいます。ただし、入居後90日以内に解約しなければならないので、注意しましょう。
なお、入居時に支払った費用が全額返還されるものではありません。例えば、クーリングオフを利用するまで60日間入居したような場合は、その期間中の家賃・食費などは支払う必要があります。
保全措置とは
滅多にないものの、入居している施設が経営状態の悪化などにより倒産してしまう可能性があります。そういった時の安心につなげるための制度が「保全措置」です。
老人ホームに入居する際、家賃を前払いする形で高額な入居一時金を支払うケースがあります。「仮に倒産してしまったら、支払ったお金が無駄になってしまうのではないか」と不安を感じている方もいるでしょう。
ですが、保全措置制度によって入居一時金を支払っている場合は最大500万円まで戻ってきます。最大なので、返還される金額が200万円だった場合は、200万円までです。
サービス付き高齢者向け住宅の場合についても、原状復帰費用などを差し引いた金額が戻ってくるので、心配いりません。
2018年4月以降は入居一時金を設定しているすべての有料老人ホームでは原則として保全措置を講じなければなりませんが、経過期間中で未対応の施設もあるため、事前に確認しておきましょう。保全措置がきちんと設定されているかは、重要事項説明書などで確認できます。
老人ホームの支払い方法
老人ホームの支払い方法は、大きく分けて全額前払い型、一部前払い型、月払い型の3種類です。それぞれの支払い方法について解説します。
全額前払い型(一時金型)
総額を一時金として前払いする方法です。入居期間中は家賃が発生しないことになるので、固定費としてかかるのは、月々の食費と管理費のみとなります。
また、施設ごとに入居している人の平均年齢・平均余命などをもとに「想定居住期間」を設定しているのですが、全額前払い型を選択している場合は想定居住期間を超えると家賃の支払いが不要になるのも特徴です。
長期入居予定の方に向いているといえるでしょう。
まとまった金額をあらかじめ納めてしまうので、入居後の経済的な見通しが立ちやすいメリットがあります。一方で、初期費用が大きくなってしまうデメリットがあるため、注意が必要です。
一部前払い型(一部月払い型)
一部前払い型は入居時費用のうち、一部を前払いする方法です。あとはそれを差し引いた賃料を月々支払っていく形となります。
全額前払いするのと比較してまとまった初期費用が不要になるのが大きなメリットです。
また、月払い型と比較すると、低額の月額利用料で居住できます。
ただ、デメリットとして月払い型より初期費用が必要になること、全額前払い型と比較して総額が高くなりやすいなどの特徴もあるため、よく確認しておきましょう。
月払い型
月払い型は、入居一時金は支払わず、月々かかる費用を毎月支払う形です。ただ、入居一時金は家賃に充てられるものなので、月払い型だとそれがないため月々の家賃負担は大きくなってしまいます。
また、将来的に月額利用料が値上げされた際、全額前払い型、一部前払い型と比較すると月々の負担が大きくなるのもデメリットです。
一方で、初期費用が必要ないことから短期間の利用を検討しやすいのがメリットといえます。中には、特別養護老人ホームの入居待ち期間に月払い方式の老人ホームを利用している方もいます。
老人ホームの費用は誰が負担する?
老人ホームの費用は誰が負担するのが一般的なのでしょうか。
基本的には本人の貯金や年金から支払います。そのため、老人ホームへの入居を検討しているのであれば、月々の年金と貯金の総額を計算し、どの程度の予算が確保できそうか確認しておきましょう。
もし、貯金がなかったとしても、不動産や資産がある場合はそれらを売却して貯金にするのも一つの方法です。
入居する本人に十分な貯金があれば良いのですが、費用を子どもが負担することになる場合は、親族で良く話し合いが必要です。なお、入居が決まってから話し合いをしても話し合いがまとまらず、トラブルにつながってしまう可能性があるので、必ず入居前に話し合いを済ませておきましょう。
「兄弟が介護費用を支払ってくれない」といったトラブルは非常に多いといえます。負担する費用を決める際に注意しなければならないのが、将来的に状況が変わり、話し合いで決めていた金額では介護費用が足りなくなってしまった際です。
増えた分の費用を負担している人数で割るのも一つの方法ですが、それぞれの負担割合を決めておくのも良いでしょう。
年金のみで老人ホームに入居可能?
年金のみで老人ホームに入居したいと考えているのであれば、民間施設よりも利用料金が安く設定されている公的施設を検討すると良いでしょう。ただし、選択する施設や、給付される年金額によっては難しいケースも多いです。
まず、年金がいくら給付されるのか確認しておきましょう。年金には、大きく分けると厚生年金・国民年金の2種類があります。
このうち、国民年金は、日本に住んでいる満20~満60歳までのすべての人が加入する年金制度です。専業主婦や自営業の方が国民年金に加入しています。
一方で、会社員・公務員などが加入しているのが厚生年金です。厚生年金に加入していれば国民年金にも加入している形になるため、厚生年金・国民年金の両方から年金の受給ができます。
令和3年を見てみると、国民年金の平均年金月額は56,368円、厚生年金(国民年金を含む)は145,665円でした。[1]
このことから考えると、国民年金のみだと公的施設であっても利用料を支払えない可能性が出てきます。
将来的に年金の支給額が減額されてしまう可能性があるほか、老人ホームを利用するにあたり月額利用料以外にも費用がかかることが多いです。特に高額になりやすいのが医療費です。
厚生年金を受け取れる方であれば年金のみで老人ホームに入居することも不可能ではありませんが、予想外の費用がかかってしまう可能性も考えておきましょう。
[1]参考:(PDF)厚生労働省年金局:令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況[PDF]
費用負担を抑えるコツ
老人ホームに入居するにあたり、できるだけ費用負担を抑えるにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、4つのコツを解説します。
コツ①都市部から離れた施設を選ぶ
立地条件が良い老人ホームは、利用料金が高めに設定されています。そのため、都市部より地方を選択すると良いでしょう。
地方にある老人ホームは自然環境に恵まれていることも多いため、都市部とは異なる魅力があります。
地方の施設を選択すると、生活が不便になってしまうのではないかと不安に感じている方もいるでしょう。ですが、各施設では利用者が不便さを感じないように取り組んでいるので、心配はいりません。
ただ、どういった取り組みを行っているか、周囲にはどの程度の店があるのかは選択する施設によって大きく異なるので、事前に確認しておいたほうが良いです。
コツ②築年数が古い施設を選ぶ
一般的な賃貸住宅などと同様に、築年数の新しい施設は居住費が高めに設定されています。そのため、築年数が古い施設を選ぶのも老人ホームの利用料を抑えるのに効果的です。
築年数が古くても管理が行き届いている老人ホームであれば大きな問題はありません。「入居を検討しているけれど築年数が古くて心配」と感じる施設がある場合は、連絡をして直接足を運んでみると良いでしょう。
どの程度の古さを感じるのか、清掃は行き届いているのかなどがわかります。
また、築年数が古くてもリフォームされていて新築のような見た目の施設も多いです。
コツ③個室ではなく多床室を選ぶ
個室タイプの部屋はどうしても利用料が高くなってしまうため、相部屋タイプの多床室を選択すると良いでしょう。他の人の生活音がどうしても気になる方には向きませんが、プライバシー保護の目的から仕切りなどが設置されているところも多いです。
コツ④国や自治体の制度を利用する
国や自治体が用意している制度を活用するのも良いでしょう。代表的な制度として、以下のようなものが挙げられます。
介護保険サービスによる医療費控除
1年間で一定以上の医療費を支払った場合は、医療費控除としてその超過分を所得から差し引くことが可能です。
例えば、介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護保険施設では介護保険サービス費のほか、医療費、食費、居住費、おむつ代などが控除の対象となります。
要支援の方が居宅サービスを受ける場合、介護予防の訪問介護や訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション、短期入所療養介護などが対象です。要介護の方は、訪問看護や訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導などが対象となります。
介護保険サービスを利用するため、施設まで公共交通機関またはタクシーで移動した場合は、この交通費も対象です。
なお、医療費控除を受けるためには確定申告をしなければならないので、注意しましょう。
高額サービス費支給制度
高額サービス費支給制度とは、公的介護保険を利用して同じ月に支払った自己負担分1割の合計額が一定の上限を超えた場合に超過分が払え戻される制度のことをいいます。上限は個人の所得・世帯の所得などによって以下のように異なります。
利用者負担段階 | 上限額(月額) |
課税所得690万円(年収約1,160万円)以上の方 | 140,100円(世帯) |
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1,160万円)未満の方 | 93,000円(世帯) |
市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満の方 | 44,400円(世帯) |
世帯の全員が市町村民税非課税 | 24,600円(世帯) |
世帯の全員が市町村民税非課税で前年の公的年金等収入額+その他の合計所得金額が80万円以下の方 |
24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
生活保護を受給している方など | 15,000円(個人) |
参考:(PDF)厚生労働省:高額介護サービス費の負担限度額が見直されます[PDF]
訪問介護や訪問入浴介護、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護などが対象です。なお、食費や居住費、日常生活費などは支給対象にならないので注意しましょう。
介護保険施設の特別減額措置
介護保険施設やショートステイなどを利用する場合、食費と居住費は原則全額自己負担です。ですが、介護施設の支払いが難しいと思われるような場合は、入居中の食費と居住費が減額される仕組みが用意されています。
介護保険施設の特別減額措置と呼ばれるものです。
この制度を利用するためには、あらかじめ介護保険負担限度額認定証を交付してもらわなければなりません。すべてのケースで認められるものではなく、所得と預貯金等の要件が定められています。
所得の要件として、本人を含む世帯全員が住民税非課税でなければなりません。また、預貯金等の要件として配偶者がいる場合は2,000万円以下、いない場合は1,000万円以下と定められています。
自身が条件に該当するかわからない場合は、自治体に確認してみると良いでしょう。
なお、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設は対象ですが、民間の介護施設である有料老人ホームは対象外のため注意が必要です。
申請は、介護保険負担限度額認定申請書、同意書、預貯金等の証明のための添付書類を用意して各市区町村の介護保険課の担当窓口に行います。もしも情報を偽って故意に介護保険の負担軽減を受けたような場合には加算金が請求されるため、十分注意しましょう。
利用者負担軽減措置
利用者負担軽減措置とは、施設の運営を行っている社会福祉法人が地方自治体に利用者負担軽減措置の申告をしてそれが認められている場合に利用できる制度です。
この制度では、経済的に困窮している場合に介護費用に対する25%の軽減措置が受けられます。つまり、介護費用が4分の3の負担で済む形になるので、利用できる場合は活用してみると良いでしょう。
先に、自治体の福祉課に問い合わせを行い、利用している施設で制度の利用が可能か確認しておかなければなりません。利用するにあたり、以下の条件が定められています。
【利用者負担軽減措置の対象者】
- 年間収入が単身世帯は150前、世帯員が1人増えるごとに50万円を加算した額以下である
- 預貯金などの額が単身世帯は350万円、世帯員が一人増えるごとに100万円を加算した額以下である
- 日常生活に供する資産以外に活用できる資産がない
- 負担能力のある親族などに扶養されていない
- 介護保険料を滞納していない
利用を希望する方は、お住まいの市町村に申請し、審査を受けたあとに軽減確認証の交付を受けることになります。
軽減措置の対象となる費用は、訪問介護、通所介護、短期入所生活介護、訪問入浴介護、訪問看護など、さまざまです。
参考:(PDF)厚生労働省:社会福祉法人等による利用者負担軽減制度について[PDF]
老人ホームに入居が困難な場合
何らかの理由で老人ホームへの入居が難しい場合も考えられます。こういったケースでも、利用できる補助制度を活用することで生活を支えたり、生活で必要な費用負担を減らすことで老人ホームへの入居が検討できるようになったりします。
介護保険サービスや生活保護の受給を検討してみると良いでしょう。
介護保険サービスを活用
介護保険サービスとは、介護保険法によって定められているサービスです。要介護・支援状態にある65歳以上の高齢者や、40歳~64歳までの医療保険加入者で特定疾患が対象となります。
要介護度・要支援度によって利用できるサービスが変わるので、どのようなものが利用可能か事前に確認しておくと良いでしょう。
例えば、自宅で家事援助等のサービスが受けられたり、福祉用具の利用にかかるサービスなどが用意されていたりします。
老人ホームに入ることなく自宅で生活するにあたり介護・支援を必要としている方は各種介護保険サービスを活用することで生活しやすくなるはずです。
訪問サービスでは買い物や掃除といった生活支援のほか、食事や排せつなどの介護を受けることもできます。また、通所サービスでは施設に通って日中を過ごす際の食事や排せつなどの介護が受けられます。
この他にも、一定期間施設に要介護者・要支援者を受け入れて、各種介護を行う短期入所サービスもあるので、役立ててみると良いでしょう。
介護保険で利用できるサービスの自己負担金は1割であるため、安く抑えることが可能です。ですが、複数の介護サービスを利用した場合は費用も高額になってしまうので、医療費控除もしっかり活用しましょう。
関連記事:介護保険サービスとは?サービスの種類・料金・利用の流れを解説
生活保護を受給する
生活費の悩みを抱えているのであれば、生活保護の受給も選択肢に上がります。生活保護とは、どうしても生活が困窮してしまう場合に検討したいものであり、国が健康で文化的な最低限度の生活を保障するために用意しているものです。
生活保護は、年金を受給している方でも生活に困窮していることが承認された場合は受給できます。
また、老人ホームの中には、生活保護受給者でも入居できるところがあるので、そういったところを探してみるのも良いでしょう。生活保護法による指定を受けている施設に限られてしまうため選択肢は少なくなりますが、地域の担当窓口に相談してみてください。
費用は細かいところまでよく確認を
いかがだったでしょうか。老人ホームを利用する場合にかかる費用について解説しました。どういった費用がかかるのか、どうすれば費用を抑えられるのかなどがご理解いただけたかと思います。
入居を検討している老人ホームはいくらかかるのか、自分の予算はどの程度かについては、細かい部分までよく確認しておくことが大切です。
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監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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