老健(介護老人保健施設)の費用はいくら?自己負担額や軽減制度を徹底解説

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老健(介護老人保健施設)の費用はいくら?自己負担額や軽減制度を徹底解説

「親のリハビリ入院が終わるけど、すぐに家で介護するのは難しい…」「在宅復帰に向けて、もう少し専門的なケアを受けられる場所はないだろうか?」
こうしたお悩みを持つ方にとって、選択肢の一つとなるのが「老健」こと介護老人保健施設です。しかし、実際に利用するとなると、どれくらいの費用がかかるのか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、老健の月額費用の目安は、おおよそ9万円から20万円程度です。ただし、この金額はあくまで目安であり、入所する方の要介護度や、施設の設備、居室のタイプによって変動します。
この記事では、老健の利用にかかる費用の内訳から、居室タイプ別の具体的な料金、さらには費用負担を軽減するための公的な制度まで、詳しく解説していきます。この記事を読めば、老健の費用に関する全体像がわかり、ご自身やご家族の場合にどれくらいの費用が必要になるのか、具体的にイメージできるようになるでしょう。

介護老人保健施設(老健)とは?費用を理解するための基礎知識

老健(介護老人保健施設)の目的と役割

老健(介護老人保健施設)は、病状が安定期にある高齢者が、在宅復帰を目指すための施設です。病院での治療を終えた後、すぐに自宅での生活に戻るのが難しい方のために、医師による医学的管理のもとで看護、介護、そして理学療法士や作業療法士など専門スタッフによるリハビリテーションを提供します。

ただ単に身の回りのお世話をするだけでなく、身体機能の回復や日常生活動作の向上を目的としたケアを重点的に行うのが特徴です。そのため、病院と自宅の中間に位置する「中間施設」とも呼ばれています。

老健(介護老人保健施設)の入所対象者と期間

老健に入所できるのは、原則として以下の条件を満たす方です。

  • 65歳以上で、要介護認定(要介護1〜5)を受けている方
  • 40歳から64歳までで、特定の疾病(末期がん、関節リウマチなど16種類)により要介護認定を受けている方

老健は終身にわたって利用する施設ではなく、在宅復帰を目的としているため、入所期間は原則として3ヶ月から6ヶ月程度とされています。3ヶ月ごとに退所できるかどうかの判定会議が開かれ、心身の状態に合わせて個別のケアプランが見直されます。

特別養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅との違い

高齢者向けの施設には、老健の他にも「特別養護老人ホーム(特養)」や「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」など、様々な種類があります。それぞれの目的や特徴が異なるため、違いを理解しておくことが大切です。

施設の種類 目的 主な入所対象者 入所期間
介護老人保健施設(老健) 在宅復帰 要介護1以上の高齢者 原則3〜6ヶ月
特別養護老人ホーム(特養) 長期的な生活の場(終の棲家) 原則、要介護3以上の高齢者 終身利用が可能
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 高齢者のための賃貸住宅 自立〜軽度の要介護高齢者 制限なし(賃貸契約)

このように、老健はリハビリに特化し在宅復帰を目指すのに対し、特養は長期的な生活の場として、サ高住は比較的自立度の高い方向けの住まいとして、それぞれ明確な役割の違いがあります。

老健(介護老人保健施設)の費用内訳と自己負担額

老健(介護老人保健施設)の初期費用は?

有料老人ホームの中には、入居時に「入居一時金」としてまとまった費用が必要な場合があります。しかし、老健は公的な介護保険施設であるため、高額な入居一時金のような初期費用は一切かかりません。

ただし、入所時に衣類や日用品などを新しく準備する費用は自己負担となります。

老健(介護老人保健施設)の月額費用とその内訳

老健の月額費用は、主に以下の4つの費用の合計で決まります。介護保険が適用される費用と、全額自己負担となる費用に分かれています。

費用の種類 介護保険の適用 内容
介護サービス費 適用あり(自己負担1〜3割) 介護や看護、リハビリテーションなど、施設から提供されるサービスに対する費用です。要介護度や施設の体制によって変動します。
居住費 適用なし(全額自己負担) 施設の部屋代にあたる費用です。居室のタイプ(多床室、個室など)によって大きく異なります。
食費 適用なし(全額自己負担) 1日3食の食事にかかる費用です。施設ごとに料金が設定されています。
日常生活費 適用なし(全額自己負担) 理美容代、電話代、日用品、個人の希望による特別なサービスなど、日常生活で必要となる費用です。

これらに加えて、必要に応じて医療費がかかる場合があります。それぞれの詳細を見ていきましょう。

介護サービス費

介護サービス費は、介護保険が適用される費用です。自己負担額は、所得に応じて1割、2割、または3割となります。この費用は、国が定める「単位」に基づいて計算され、1単位あたりの単価は地域によって異なります(例:1単位=10円〜11.40円)。

介護サービス費は、以下の要素によって変動します。

要介護度
要介護度が高いほど、必要なケアが増えるため費用は高くなります。
居室タイプ
個室か多床室かによって費用が異なります。
施設の体制
在宅復帰に力を入れている「在宅強化型」の老健は、基本的な老健よりも費用が高めに設定されています。

居住費

居住費は、お部屋の利用料にあたるもので、全額自己負担です。施設の設備や居室のタイプによって金額が大きく変わるため、費用を左右する重要なポイントになります。具体的な金額の目安は、後の「居室タイプ別の費用目安」で詳しく解説します。

食費

食費も居住費と同様に、全額自己負担となります。食材費や調理費を含んだ費用で、施設ごとに1日あたりの金額が定められています。厚生労働省が示す基準費用額は1日1,445円ですが、施設によって設定は異なります。

日常生活費

日常生活費は、介護保険の適用外となる、個人の生活に関わる雑費です。具体的には、以下のようなものが含まれます。

  • 理美容代
  • 電話代、テレビカード代
  • 新聞、雑誌などの購読料
  • 歯ブラシやタオルなどの日用品費
  • 施設が主催するレクリエーションの材料費
  • クリーニング代

これらの費用は、利用した分だけ実費で請求されます。

医療費

老健では医師が常駐し、日常的な健康管理や軽微な治療は介護サービス費に含まれています。しかし、他科の専門的な治療が必要で外部の医療機関を受診した場合の診察費や、処方された薬代などは別途自己負担となります。

居室タイプ別の費用目安

老健の費用を大きく左右する「居住費」と「介護サービス費」は、居室のタイプによって異なります。ここでは、代表的な4つの居室タイプと、それぞれの費用目安(自己負担1割、1ヶ月30日利用の場合)を見ていきましょう。

※下記の金額はあくまで目安です。施設の体制(在宅強化型など)や加算、地域によって実際の費用は異なります。

居室タイプ 特徴 居住費(日額目安) 介護サービス費(要介護3・月額目安) 月額合計目安
多床室 1部屋に2〜4つのベッドを設置した相部屋。プライバシーは限られるが費用は最も安い。 377円 約26,000円 約93,000円
従来型個室 廊下に面して個室が並ぶタイプ。プライバシーが確保される。 1,668円 約28,000円 約122,000円
ユニット型個室 10人程度のグループ(ユニット)を1つの生活単位とし、各々に個室と共用のリビングスペースがある。家庭的な雰囲気。 2,006円 約29,000円 約133,000円
ユニット型個室的多床室 多床室をパーテーションなどで区切り、個室のような空間を作ったタイプ。 1,668円 約29,000円 約127,000円

※上記合計目安には、食費(1日1,445円×30日=43,350円)と日常生活費(仮に月5,000円)を含めて計算しています。

多床室の費用

最も費用を抑えられるのが多床室です。プライバシーの確保は難しいですが、他の入所者と交流しやすいというメリットもあります。費用を重視する方に選ばれる傾向があります。

従来型個室の費用

プライバシーを確保したい方に適しています。多床室に比べて居住費は高くなりますが、一人の時間を大切にしたい方にとっては落ち着いた環境で過ごせます。

ユニット型個室の費用

各入所者に個室がありつつ、少人数のグループで共同生活を送るスタイルです。馴染みのスタッフや入所者と家庭的な雰囲気の中で過ごせるため、認知症の方にも適しているとされています。設備が充実している分、費用は最も高くなる傾向があります。

ユニット型個室的多床室の費用

多床室でありながら、間仕切りによってプライベートな空間を確保した新しいタイプの居室です。従来型個室と同程度の居住費で、個室に近い環境が得られます。

介護サービス加算の種類と費用

老健では、基本的なサービスに加えて、入所者一人ひとりの状態に応じた専門的なケアやサービスが提供されることがあります。これを「介護サービス加算」といい、利用した場合は追加で費用がかかります。代表的な加算には以下のようなものがあります。

在宅復帰・在宅療養支援機能加算

在宅復帰の実績が高い、リハビリ専門職を充実させているなど、在宅復帰・在宅療養支援に力を入れている施設が算定できる加算です。手厚い支援が期待できる分、費用は高くなります。

短期集中リハビリテーション実施加算

入所日から起算して3ヶ月以内に行われる、集中的なリハビリテーションに対して算定される加算です。理学療法士などが個別リハビリを週3回以上行った場合などが対象となります。

認知症短期集中リハビリテーション実施加算

認知症の症状がある方に対して、入所日から3ヶ月以内に行われる専門的なリハビリテーションに対する加算です。認知機能の維持・改善を目指します。

その他の加算サービス

上記以外にも、栄養状態の改善を目的とした「栄養マネジメント加算」や、口腔ケアを充実させる「口腔衛生管理体制加算」、看取りに対応した場合の「ターミナルケア加算」など、様々な加算があります。どのような加算が必要になるかは、入所される方の心身の状態によって異なります。

老健(介護老人保健施設)の費用を抑える軽減制度と医療費控除

老健の費用は決して安くはありませんが、負担を軽減するための公的な制度がいくつか用意されています。条件に当てはまれば、自己負担額を大きく抑えることが可能です。

特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)

所得や預貯金が一定額以下の方を対象に、「居住費」と「食費」の自己負担額に上限(負担限度額)が設けられる制度です。この制度を利用するには、市区町村の窓口へ申請し、「介護保険負担限度額認定証」の交付を受ける必要があります。

負担限度額は、所得などに応じて第1段階から第4段階までに区分されています。

利用者負担段階 対象となる方(主な要件) 居住費(従来型個室) 食費
第1段階 生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で世帯全員が住民税非課税 820円 300円
第2段階 世帯全員が住民税非課税で、課税年金収入額等と合計所得金額の合計が80万円以下 820円 600円
第3段階① 世帯全員が住民税非課税で、第2段階以外の方 1,310円 650円
第3段階② 世帯全員が住民税非課税で、第2段階以外の方 1,310円 1,000円
第4段階 上記以外の方(制度の対象外) 1,668円(基準費用額) 1,445円(基準費用額)

※預貯金等の資産要件もあります。

高額介護サービス費支給制度

1ヶ月に支払った介護サービス費の自己負担額(1割~3割の部分)が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、超えた分の金額が後から払い戻される制度です。

居住費、食費、日常生活費は対象外なので注意が必要です。対象となる方には、通常、市区町村から申請書が送られてきます。

所得区分 自己負担上限額(月額)
現役並み所得者に相当する方がいる世帯 44,400円
住民税課税世帯 44,400円
世帯全員が住民税非課税 24,600円
世帯全員が住民税非課税で、前年の公的年金等収入額と合計所得金額の合計が80万円以下の方など 15,000円(個人)
生活保護を受給している方など 15,000円

高額医療・高額介護合算療養費制度

1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)に支払った医療保険と介護保険の自己負担額を合算し、その合計額が所得区分ごとに定められた限度額を超えた場合に、超えた分が支給される制度です。医療費も介護費も高額になっている世帯の負担を軽減します。

医療費控除

本人または生計を一つにする配偶者や親族のために支払った医療費が、1年間で一定額を超えた場合に、所得税や住民税の負担が軽減される制度です。

老健の費用では、介護サービス費、食費、居住費の自己負担額が医療費控除の対象となります。ただし、高額介護サービス費として払い戻された分は差し引く必要があります。日常生活費や特別なサービス費用は対象外です。確定申告の際に、施設が発行する領収書が必要となります。

自治体による地域支援事業

お住まいの市区町村によっては、独自の助成制度を設けている場合があります。例えば、おむつ代の助成や、住民税課税世帯向けの独自の負担軽減策などです。どのような支援があるかは自治体によって異なるため、市区町村の高齢者福祉担当窓口や地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。

老健(介護老人保健施設)の費用に関するよくある質問

老健(介護老人保健施設)の費用は要介護度で変わる?

はい、変わります。

要介護度が高くなるほど、より手厚い介護が必要となるため、介護保険が適用される「介護サービス費」が高くなります。要介護5の方が最も高く、要介護1の方が最も安くなります。

ただし、全額自己負担である「居住費」や「食費」は、要介護度によって変わることはありません。

ショートステイで老健(介護老人保健施設)を利用する場合の費用は?

家族の介護負担の軽減(レスパイト)や、冠婚葬祭などで一時的に在宅介護ができない場合に、短期間だけ老健に入所できる「短期入所療養介護(ショートステイ)」というサービスがあります。

費用は1日単位で計算され、内容は長期入所の場合と同じく「介護サービス費」「滞在費(居住費)」「食費」「日常生活費」の合計となります。費用は要介護度や居室タイプによって異なります。

老健(介護老人保健施設)退所後の選択肢と費用

老健は在宅復帰を目的とする施設ですが、退所後の生活の場は自宅だけではありません。ご本人の心身の状態やご家族の状況に応じて、様々な選択肢が考えられます。

退所後の選択肢 特徴 費用の目安(月額)
自宅(在宅サービス利用) 住み慣れた環境で生活できる。デイサービスや訪問介護などを組み合わせて利用。 5万円~15万円程度(住宅費含まず)
特別養護老人ホーム(特養) 長期的な入所が可能で「終の棲家」となる。費用が比較的安いが、入所待機者が多い。 8万円~15万円程度
有料老人ホーム 設備やサービスが充実している施設が多い。費用は施設によって様々。 15万円~30万円以上
サービス付き高齢者向け住宅 自立度の高い方向けの賃貸住宅。安否確認や生活相談サービスが付く。 10万円~25万円程度
ケアハウス(軽費老人ホーム) 自立した生活に不安のある方向け。所得に応じた費用設定。 6万円~17万円程度

退所後の生活を見据え、老健の入所中からソーシャルワーカーなどと相談し、準備を進めていくことが大切です。

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今回は老健(介護老人保健施設)の費用について詳しく解説しました。費用の内訳や軽減制度についてご理解いただけたでしょうか。
老健からの退所後の住まい探しや、そもそもご自身やご家族に合った施設がどこなのかを判断するのは、専門的な知識がないと難しいものです。特に、関西エリアで施設をお探しの場合、選択肢の多さに戸惑ってしまうかもしれません。

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監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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