【和田秀樹コラム】スウェーデンを見習う|「80歳の壁」著者が語る「介護の誤解」vol.41

  カテゴリー:
【和田秀樹コラム】スウェーデンを見習う|「80歳の壁」著者が語る「介護の誤解」vol.41
24時間受付中!
施設探しのプロに無料で相談する
0120-177-250 無料相談

選挙公約と「富国強兵」の順序

衆議院選挙がいよいよ始まる 。 私も「幸齢党」という政治団体を作ったので、「今度も戦うのですか?」と聞かれるが、あまりに準備不足なので、今回の選挙は見送ることにしている 。 サポーターや党員が1万人になるまで、選挙で戦おうとは思わない 。 ただ、やはり気になるのは各党の公約だ 。 私自身は、原発にしても安保にしても特別に悪いともいいとも思っていない 。 タカ派かハト派かを聞かれても、どちらでもない 。 ただ、富国強兵という言葉があるように、戦争をするのなら富国が実現してからだとは思っている 。 強兵の前に富国ということだ 。 だから、国の力が十分でないときは逃げるが勝ちと思っている 。

私がある中国通の人に聞いたところ、習近平にしても、GDPがアメリカを抜かすまでは軍事行動を行わないだろうという予想だった 。 アメリカもやっていることはひどいと思うが、国が豊かだから戦争ができるというのも確かだ 。 富国のために金や力を使う間は、憲法9条というのは上手ないいわけだったのに集団的自衛権とか言い出すのは、富国になってからにしてほしい 。 中国に頭を下げるのを嫌がる人は多いが、富国のためには、マーケットが巨大なのだから、商人になったつもりで適当に機嫌をとって、裏でベロを出していたらいいのにと思ったりする 。 十分富国になって中国のマーケットが必要なくなってから、ケンカをすればいいと私は考えてしまう 。

日本の経済状況と高齢者対策の欠如

私が高市という人が危険だと考えるのは、中国のマーケットを失ってまでケンカをすることもさることながら、バラマキや財政出動がひどすぎることだ 。 日本では、あまり問題視されないが、海外では日本の債券が信用されなくなったため、国債の利回りが急上昇している 。 円の信頼も落ちているので、金利を上げたのに、円安は進む一方だ 。 要するに日本がどんどん貧乏国になっているということだ 。 さらに円が安くなると、輸入品の物価が上がるので、インフレはさらに進む 。 年金生活者の生活が苦しくなるということだ 。 ただ、日本人は中国とケンカする姿勢やバラマキ政策を評価しているようで高市氏の支持率はやたらに高い 。 選挙も勝てるとみて解散に踏み切ったのだろう 。 新しい技術や画期的な新製品が出てこない中で、日本の将来がどうしても心配になってしまう 。

それ以上に、今回の選挙で思うのは、どの政党もまともな高齢者対策を打ち出していないことだ 。 私が自腹を切って幸齢党という政党を立ち上げたのは、ほかにそれをやろうとする政党がなかったからだ 。 福祉を充実させるとか、介護労働者の賃金を上げるとかいう政党はないわけではないが、それは介護が必要になってからの対策だ 。 高齢者のうち要介護状態の人は15%、要支援の人が3%ということで、高齢者の8割以上は自立高齢者である 。 その自立高齢者に元気になってもらうとか、要介護にならないようにする。あるいは幸せを楽しんでもらうという視点をもつ政党がどこにもない 。 もちろん貧しい高齢者もたくさんいるが、いっぽうで豊かな高齢者もたくさんいるのに、高齢者にお金を使ってもらって経済を活性化させると同時に、高齢者にも喜びを与えるという発想はまず日本に見られない 。

スウェーデンの高齢者医療と「不必要な薬」

高齢者に元気でいてもらうことで成功した国というで思いつくのは、何回かこのコラムでも紹介したスウェーデンだ 。 この国は2024年に男性の平均寿命が世界一になった 。 昔からスウェーデンは寝たきりがいない国として有名だった 。 高齢になっても福祉が充実しているので元気で楽しんで暮らせる国として、一部の人たちから理想化されていた 。 いっぽうで税金が高いし、高齢者の医療がひどいということは問題にされてきた 。 さて、確かに税金は高いが賃金が高いのと円安のため、手取額は日本と大して変わらないという話がある 。

ただ、医療、とくに高齢者医療については日本と大きく違う 。 たとえば、高齢者が食べれなくなったり、食べなくなったりした際、スウェーデンでは、食事をスプーンで口までもっていって食べなければ、生きる意思がなくなったとみなされる。点滴などは行わず、そのまま食べない高齢者は息を引き取っていく 。 日本だともちろん点滴で栄養や水分を補充する 。 それによって元気になる人も少なくない 。 だから、我々高齢者医療を行う者は、スウェーデンは寝たきりがいないのではなく、寝たきりになったら生きていけない国なのだと揶揄していた 。 無理な長生きをさせないというお国柄のせいか、高齢者には原則的に薬も出さない。とくに血圧を下げる薬などは使わないという話を聞いている 。 そんな国が、少なくとも男性に関しては、日本の平均寿命を抜かして、世界一になったのだ 。 元気がなくなり、食欲がなくなったときに点滴をしないことで寿命を延ばすことは考えられないが、ひょっとすると無駄な薬を使わない方が長生きできることを示唆しているのかもしれない 。

自粛政策の有無が分けた高齢者の活力

もう一つ考えないといけないのは、スウェーデンでは、確かに寝たきりになってまで生きていけないし、食べなくなったら見殺しにされるのだが、寝たきりにならないように、高齢者を元気でいてもらうための施策はきちんとしている 。 近年で有名なのは、コロナ禍のときに、ほとんど自粛政策を行わなかったことだ 。 当時はいろいろな解釈がされて、なるべく多くの人がコロナにかかって集団免疫を作ることで感染の拡大を防ごうとしたのではないかと言われた 。 これについてスウェーデンの関係者は明言(原文:名言)をしなかった 。 結果的にスウェーデンは当初はかなりの数が亡くなったが、最終的には周辺諸国と大して死者数や感染者数の差がなかったといわれる 。

ただ、その後ということになると大きな差がつくと私は考えている 。 自粛政策によって、高齢者が家に閉じ込められ、歩かせないでおくと、フレイルや要介護の人が大量に出てしまう 。 スウェーデンはそれを避けるために自粛政策を行わなかったという説もある 。 私もその可能性が強いと考えている 。 それに比べて、日本は世界でいちばん高齢者が多いのに、世界でいちばん長い間、自粛政策を行った 。 何を考えているのかさっぱりわからないが、それについて、いまだにほとんど批判の声は上がらない 。 それどころか死者数が少なかったので、日本のコロナ対策は成功だという人も少なくない 。 実際、陣頭指揮をとった尾身茂氏は日経の「私の履歴書」に選ばれている 。

男性ホルモンと「高齢者の意欲」を支えるもの

スウェーデンの高齢者を元気にする政策というと思い出されるのが、1968年頃のポルノ解禁だ 。 ほぼ同時にデンマークもポルノを解禁したが、この両国には共通点があった 。 ともに当時、高齢化世界一を争う国だったのだ 。 当時13パーセントくらいの高齢化率で日本の倍くらいあった 。 高齢者が多い国では男性ホルモンを増やした方が高齢者が元気になる 。 意欲も増すし筋力も増強する 。 結果的に寝たきりのいない国になるのだ 。 それに引き換え、日本は高齢化率世界一なのに、世界中の先進国の中で唯一ポルノが解禁されていない 。 高齢者が増えたのならスウェーデンのようにうまくいっている国を見本にすべきというのが私の考えだ 。

逆行する日本の高齢者政策への危惧

いっぽう、日本では高齢者を元気にするために国がなにをすべきかという視点が、役人にも政治家にもマスコミにもそして国民にも欠如している 。 それが見事に選挙の公約に現われている 。 弱小政党を含めて、高齢者を元気にしようという政党がないのだから 。 ちなみに高齢者から免許を取り上げようとしたり、強制的に認知機能テストを受けさせる国はない(一部の地域で施行している例はあるようだ) 。 ところが筑波大学の調査では、高齢者が免許を返納すると6年後の要介護率が2倍以上になることが明らかになっている 。 高齢者を元気にするどころかヨボヨボにする政策が公然と行われているのだ 。

だったら、高齢者が事故を起こさない車の開発や自動運転の開発を進めたらいいのに、中国などと比べると大幅に遅れている 。 AIだって、ITと違って使い方を覚えなくても口頭命令でいろいろなことができるのだから高齢者にはありがたいものなのに、そういう開発が全然進まない(原文:進めない) 。 高齢者が多く、お金を持っている人も多いのだから、国策として高齢者用の製品、技術の開発を進めれば競争力も増すのに、各党の公約を見ている限り、日本の将来は暗い 。

24時間受付中!
施設探しのプロに無料で相談する
0120-177-250 無料相談
無料で簡単診断

老人ホーム・介護施設を探す

都道府県をクリックすることで選択したエリアの市区町村や駅・路線などから老人ホームを探すことができます。

スタッフ満足初めての老人ホームの選び方