軽度認知障害(MCI)とは?認知症との違いや初期症状、予防法を解説【セルフチェックリスト付】
とは?認知症との違いや初期症状、予防法を解説【セルフチェックリスト付】.jpg)
「最近、もの忘れが増えたかも…」と感じていませんか?それは、加齢による自然な変化かもしれませんし、もしかしたら「軽度認知障害(MCI)」のサインかもしれません。軽度認知障害(MCI)は、健常な状態と認知症の中間にあたる段階で、日常生活に大きな支障はないものの、放置すると約半数の方が5年以内に認知症へ進行するといわれています。しかし、MCIは早く気づいて適切な対策を行うことで、健常な状態に回復したり、認知症への進行を遅らせたりすることが期待できます。この記事では、軽度認知障害(MCI)とは何か、認知症や単なるもの忘れとの違い、ご自身でできるセルフチェックリスト、そして今日から始められる予防・改善策まで、分かりやすく解説します。将来の安心のために、MCIについて正しく理解し、備えを始めましょう。
軽度認知障害(MCI)とは?認知症や「もの忘れ」との違い
健常な状態と認知症の中間にあたる段階
軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment、以下「MCI」)とは、記憶力や注意力といった認知機能に、年齢相応とはいえない低下がみられるものの、日常生活への影響はほとんどなく自立した生活を送れる状態を指します。
具体的には、「もの忘れが増えた」と本人や家族が感じている一方で、食事の準備や買い物、公共交通機関の利用など、日常生活における基本的な動作は問題なく行えるのが特徴です。つまり、MCIは健常な状態と認知症との間に位置する、いわば「グレーゾーン」といえるでしょう。この段階で適切な対応をとることが、その後の生活の質を大きく左右します。
認知症との違いは日常生活への影響の有無
MCIと認知症を区別する最も大きなポイントは、「日常生活に支障が出ているかどうか」です。MCIの段階では認知機能の低下が見られますが、日常生活は基本的に自立して送ることができます。一方、認知症になると認知機能の低下がさらに進行し、日常生活の様々な場面で手助けや介護が必要となります。
両者の違いを下記の表にまとめました。
| 比較項目 | 軽度認知障害(MCI) | 認知症 |
|---|---|---|
| 認知機能 | 本人や家族がもの忘れを自覚しているが、判断力などは保たれていることが多い。 | 記憶障害だけでなく、判断力や実行機能なども著しく低下する。 |
| 日常生活 | 買い物や金銭管理、服薬管理など、少し複雑なことにも対応でき、ほぼ自立している。 | 日常生活に明らかな支障が出ており、何らかの支援や介護が必要となる。 |
| 進行 | すべてが認知症に進行するわけではなく、健常な状態に回復することもある。 | 症状は基本的に進行性であり、時間とともに徐々に悪化していく。 |
このように、MCIは認知症とは明確に区別される状態です。しかし、認知症の「予備群」ともいえるため、早期の気づきと対策が非常に重要になります。
加齢による「もの忘れ」との違い
年を重ねると誰でも「人の名前がすぐに出てこない」「昨日の夕食を思い出せない」といった経験をするようになります。これは、脳の生理的な老化による「もの忘れ」であり、病的なものではありません。
加齢によるもの忘れとMCIの大きな違いは、「忘れている内容の範囲」です。加齢によるもの忘れは、体験した出来事の一部を忘れているだけなので、ヒントがあれば思い出すことができます。一方、MCIや認知症におけるもの忘れは、出来事を体験したこと自体を忘れてしまうのが特徴です。
| 比較項目 | 加齢による「もの忘れ」(良性健忘) | 軽度認知障害(MCI)や認知症の「もの忘れ」(病的なもの忘れ) |
|---|---|---|
| 忘れる範囲 | 体験したことの一部を忘れる。(例:朝食のおかずを忘れる) | 体験したこと全体を忘れる。(例:朝食を食べたこと自体を忘れる) |
| 自覚 | もの忘れの自覚がある。 | もの忘れの自覚がないことが多い。 |
| 日常生活への影響 | ほとんどない。 | 進行すると影響が出てくる。 |
| その他 | 時、場所、人の見当はつく。 | 時、場所、人が分からなくなることがある(見当識障害)。 |
「最近もの忘れが多いな」と感じたときは、それが体験の一部なのか、全体なのかを振り返ってみることが、一つの判断材料になるでしょう。
もしかして?自分でできる軽度認知障害(MCI)のセルフチェックリスト
ご自身やご家族の最近の様子を振り返ってみましょう。以下の項目に当てはまるものが増えてきたら、MCIのサインかもしれません。ただし、これはあくまで簡易的なチェックリストであり、医学的な診断に代わるものではありません。気になる点があれば、専門の医療機関に相談することが大切です。
記憶に関する初期症状
- 同じことを何度も言ったり、尋ねたりする
- 約束や予定を忘れることが増えた
- 物の置き場所を忘れることが多くなった
- 少し前に話した会話の内容を思い出せない
- 火の消し忘れや薬の飲み忘れがある
段取りや計画に関する変化
- 料理や買い物など、これまで問題なくできていたことの段取りが悪くなった
- 旅行の計画を立てたり、複数の用事をこなしたりするのが億劫になった
- 家電製品やリモコンの操作に戸惑うようになった
- 物事を順序立てて考えるのが難しくなった
興味や関心の低下
- 以前は楽しめていた趣味や活動に興味がなくなった
- 新しいことを始めるのが面倒に感じる
- 外出するのを嫌がり、家に閉じこもりがちになった
- 身だしなみを気にしなくなり、服装がだらしなくなった
- 人付き合いを避けるようになった
これらの変化は、うつ病など他の原因でも起こることがあります。しかし、複数当てはまる場合はMCIの可能性も考え、一度専門家へ相談することをおすすめします。
軽度認知障害(MCI)を放置するリスクと早期発見の重要性
MCIは、日常生活に大きな支障がないため、つい見過ごしてしまいがちです。しかし、適切な対応を取らずに放置してしまうと、認知症へと進行するリスクが高まります。
MCIの約半数が5年以内に認知症へ進行する可能性
複数の研究報告によると、MCIと診断された人が1年間に認知症へ移行する割合は10%前後とされています。これを長期的に見ると、MCIの方のうち約40~50%が4~5年で認知症に進行するというデータもあります。
一方で、高齢者全体で認知症を発症する割合は年間1~2%程度です。このことからも、MCIが認知症の非常に高いリスク状態であることが分かります。MCIの段階で何も対策をしなければ、高い確率で認知症へと進んでしまう可能性があるのです。
早期の対策で健常な状態への回復も期待できる
MCIは認知症への一方通行ではありません。希望の持てるデータとして、MCIと診断された人のうち、年間で16~41%の方は健常な状態に回復するという報告もあります。
これは、MCIの段階で早期に気づき、生活習慣の改善や脳の活性化などに積極的に取り組むことで、認知機能の低下を食い止め、回復させられる可能性を示しています。認知症に進行してしまう前に、いかに早くMCIのサインをキャッチし、適切な対策を始められるかが、その後の人生を大きく左右する鍵となるのです。
軽度認知障害(MCI)の主な原因と種類
MCIは、さまざまな原因によって引き起こされます。原因となる病気や、低下する認知機能の種類によって、いくつかのタイプに分類されます。
原因となるアルツハイマー病や生活習慣病
MCIを引き起こす最も多い原因は、認知症の代表格である「アルツハイマー病」に関連する脳の変化です。脳内にアミロイドβなどの異常なたんぱく質が蓄積し始めることで、神経細胞が少しずつ壊れていく過程でMCIの症状が現れると考えられています。
その他にも、脳梗塞や脳出血といった脳血管の病気(脳血管障害)や、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などの前段階としてMCIが発症することもあります。また、糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病や、甲状腺機能の低下、うつ病などもMCIのリスクを高める要因となることが知られています。
記憶障害が中心の「健忘型MCI」とそれ以外の「非健忘型MCI」
MCIは、主に低下する認知機能の種類によって「健忘型」と「非健忘型」の2つに大別されます。
- 健忘型MCI
- 新しい出来事を記憶する能力(記銘力)の低下が主な症状として現れるタイプです。先ほどの会話の内容を忘れたり、同じことを何度も質問したりといった症状が目立ちます。このタイプは、将来的にアルツハイマー型認知症に移行するリスクが高いと考えられています。
- 非健忘型MCI
- 記憶障害は目立たず、記憶以外の認知機能(注意力、実行機能、言語能力、視空間認知能力など)のうち、一つまたは複数が低下するタイプです。例えば、計画を立てて物事を実行するのが難しくなったり(実行機能障害)、言葉がスムーズに出てこなくなったり(言語障害)といった症状が現れます。原因となる病気によって、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症などに進行することがあります。
軽度認知障害(MCI)の検査と診断
「もしかしてMCIかも?」と感じたら、自己判断で済ませずに専門の医療機関を受診することが大切です。適切な検査を受けることで、現在の状態を正確に把握し、原因に応じた対策を始めることができます。
まずはかかりつけ医や専門の医療機関へ相談
MCIや認知症が疑われる場合、どこに相談すればよいのでしょうか。まずは、日頃から健康状態を相談しているかかりつけ医に相談してみるのが第一歩です。必要に応じて、専門の医療機関を紹介してもらえます。専門の診療科としては、主に以下のようなものがあります。
- もの忘れ外来
- 認知症やもの忘れを専門的に診断・治療する外来です。認知症の専門医が在籍しており、総合的な検査や診断、今後の治療方針の相談が可能です。
- 神経内科
- 脳や脊髄、末梢神経、筋肉の病気を専門とする診療科です。アルツハイマー病や脳血管障害など、脳の病気が原因と考えられる場合に適しています。
- 精神科
- 気分の落ち込みや不安、意欲の低下といった精神的な症状が強い場合や、うつ病との区別が難しい場合に相談するとよいでしょう。
診断で用いられる主な検査方法
医療機関では、MCIや認知症の診断のために、いくつかの検査を組み合わせて総合的に評価します。
- 問診・神経心理学検査
- 医師が本人や家族から、いつからどのような症状があるのか、日常生活の様子などを詳しく聞き取ります。その後、「長谷川式認知症スケール(HDS-R)」や「ミニメンタルステート検査(MMSE)」といった、質問に答える形式の認知機能検査(神経心理学検査)を行い、記憶力や見当識、計算能力などを客観的に評価します。
- 脳画像検査(CT・MRI)
- CTやMRIといった検査で脳の断層写真を撮影し、脳の萎縮の程度や、脳梗塞・脳出血・脳腫瘍など他の病気の有無を調べます。これにより、MCIの原因を特定する手がかりを得ることができます。
- 血液検査
- 甲状腺機能の低下やビタミン不足など、他の体の病気が原因で認知機能の低下が起こっている可能性がないかを調べるために行われます。近年では、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβの蓄積具合を調べる血液検査も実用化されつつあります。
認知症予防のために今日から始めるMCIの改善・対策
MCIの段階であれば、認知症への進行を予防したり、健常な状態へと回復させたりすることが期待できます。特別なことではなく、日々の生活習慣を見直すことが有効な対策となります。今日からできる取り組みを始めてみましょう。
運動習慣で脳の血流を促進
運動は、脳の血流を増やし、神経細胞の働きを活発にすることが知られています。特に認知機能の維持・向上に効果が期待できる運動をご紹介します。
- 有酸素運動
- ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングといったリズミカルな有酸素運動は、手軽に始めやすく効果的です。少し息が弾むくらいの強度で、1回30分程度、週に3回以上を目安に続けることが推奨されています。
- コグニサイズ
- コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発した、運動と認知課題(計算やしりとりなど)を組み合わせた認知症予防のためのエクササイズです。例えば、ウォーキングをしながら3の倍数で手を叩く、しりとりをしながら足踏みをするなど、体を動かしながら頭を使うことで、脳のさまざまな領域を刺激し、認知機能の向上を目指します。
生活習慣病を予防するバランスの取れた食事
高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、認知症のリスクを高めることが分かっています。バランスの取れた食事を心がけることが、生活習慣病の予防と、ひいては認知機能の維持につながります。
積極的に摂りたい栄養素・食品
- 魚類:サバやイワシなどの青魚に多く含まれるDHAやEPA
- 野菜・果物:抗酸化作用のあるビタミン類やポリフェノールが豊富な緑黄色野菜やベリー類
- 大豆製品:イソフラボンを含む豆腐や納豆など
地中海式食事法
野菜や果物、魚介類、オリーブオイルなどを中心とした食事スタイルも、認知機能の維持に良い影響があると報告されています。
知的活動で脳を活性化
脳にとって良い刺激となるのは、普段使わない部分を働かせることです。新しいことに挑戦したり、少し難しいと感じることに取り組んだりする知的活動は、脳の予備能力(認知予備能)を高め、認知症の発症を遅らせる効果が期待できます。
知的活動の例
- 読書や新聞を読む
- 日記や手紙を書く
- パズルやクイズを解く
- 楽器の演奏や絵画
- 囲碁や将棋などのボードゲーム
- 新しい言語の学習
人とのコミュニケーションを楽しむ
家族や友人との会話、地域のサークル活動やボランティアへの参加など、社会的な交流を保つことも非常に重要です。人とのコミュニケーションは、話す・聞く・考えるといったさまざまな認知機能を使うため、脳にとって良い刺激となります。また、社会的な役割を持つことは、生活のハリや生きがいにもつながります。
質の良い睡眠で脳を休ませる
睡眠は、単に体を休ませるだけでなく、脳の健康を保つためにも不可欠です。睡眠中には、脳内の老廃物が除去される働きがあり、アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβも、この時間に排出されると考えられています。
毎晩決まった時間に就寝・起床するなど、規則正しい睡眠のリズムを整え、質の良い睡眠を十分にとることを心がけましょう。
軽度認知障害(MCI)や認知症のことでお悩みなら「笑がおで介護紹介センター」へ
MCIの段階で将来への備えについて考え始めることは、ご自身やご家族の安心につながる大切な一歩です。しかし、具体的に何をすればよいのか、どこに相談すればよいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
介護の専門家が今後の備えについて無料でご相談に対応
「笑がおで介護紹介センター」では、介護の専門知識と豊富な経験を持つ相談員が、MCIや認知症に関するお悩みや不安について、無料でご相談を承っています。現在の状況をお伺いし、今後の生活でどのような備えができるか、どのようなサービスが利用できるかなど、専門家の視点からアドバイスいたします。
ご本人やご家族に合った介護サービスや施設をご提案
もし将来的に介護が必要になった場合でも、ご安心ください。「笑がおで介護紹介センター」は、関西エリアの豊富な施設情報をもとに、ご本人の心身の状態やご希望、ご予算に合わせた介護サービスや老人ホーム・介護施設をご提案します。MCIの段階から関わらせていただくことで、いざという時にもスムーズな移行をサポートできます。
まずはお気軽にお問い合わせください
MCIや認知症に関する不安は、一人で抱え込まずに専門家に相談することが解決への近道です。ご相談は無料ですので、まずはお電話やメールフォームから、お気軽にお問い合わせください。

監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
この記事の関連記事

0120-177-250

