認知症による暴言の原因とは?介護者が知っておきたい正しい対応と相談先

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「あんなに優しかった人が、まるで別人のように…」。認知症の方を介護する中で、突然の暴言や攻撃的な態度に戸惑い、深く傷ついている方はいらっしゃいませんか。つらい言葉を投げかけられると、介護者自身の心も疲弊してしまいます。しかし、その暴言は、ご本人の人格が変わってしまったからではありません。多くの場合、認知症という病気が引き起こす「BPSD(行動・心理症状)」と呼ばれる症状の一つなのです。暴言の裏には、ご本人が抱える不安や混乱、悲しみといった切実な思いが隠されています。この記事では、なぜ認知症の方が暴言を発してしまうのか、その原因を深く掘り下げ、介護者が知っておくべき正しい対応とやってはいけないNG対応を具体的に解説します。さらに、一人で抱え込まずに済むよう、専門の相談先や利用できるサービスもご紹介します。この記事が、介護に悩むあなたの心の負担を少しでも軽くする一助となれば幸いです。

認知症による暴言とは?暴力や不適切な言動も症状のひとつ

暴言や暴力は認知症の「BPSD(行動・心理症状)」

BPSD(行動・心理症状)とは
認知症の症状は、記憶障害や判断力の低下といった「中核症状」と、それに伴って現れる「BPSD(行動・心理症状)」の2つに大別されます。BPSDは、以前は「周辺症状」や「問題行動」とも呼ばれていました。

暴言や暴力、徘徊、介護への抵抗、幻覚、妄想、うつ状態などがBPSDの代表的な症状です。これらは、脳の機能低下という中核症状が基盤となり、ご本人の元々の性格や生活環境、人間関係、心理状態などが複雑に影響し合って現れます。つまり、暴言は病気の症状であり、関わり方や環境を工夫することで、症状を和らげられる可能性があります。

暴言だけでなく不適切な言動に及ぶケースも

BPSDとして現れるのは、暴言や暴力だけではありません。理性をコントロールする脳の機能が低下することで、社会的に不適切な行動として現れることもあります。例えば、相手が不快に感じる性的な言動などがこれにあたります。

このような行動も、本人の意思ではなく、病気による「脱抑制」という症状が主な原因です。「脱抑制」とは、脳の機能低下により、感情や本能的な欲求を抑えることが難しくなる状態を指します。介護者にとっては非常につらく、ショックなことですが、「これも病気の症状の一つだ」と理解することが、対応の第一歩となります。

認知症で暴言が出てしまう5つの主な原因

なぜ、認知症になると暴言を発してしまうのでしょうか。その背景には、脳の機能低下による直接的な影響と、それに伴う心理的な要因が複雑に絡み合っています。

原因1:感情のコントロールが難しくなる

私たちの感情や理性をコントロールしているのは、脳の「前頭葉」という部分です。認知症、特に前頭側頭型認知症や脳血管性認知症では、この前頭葉の機能が低下しやすい傾向があります。

その結果、感情のブレーキが効かなくなり、些細なことでイライラしたり、怒りを爆発させたりすることがあります。これは「感情失禁」とも呼ばれる状態です。ご本人に悪気があるわけではなく、脳の機能障害によって感情を抑えられなくなっているのです。

原因2:状況が理解できず不安や混乱を感じている

記憶障害や見当識障害(時間や場所、人が分からなくなること)によって、ご本人は常に「ここはどこ?」「あなたは誰?」といった不安や混乱の中にいます。

今の状況が理解できないことへの恐怖や、自分の思いをうまく伝えられないもどかしさが、自分を守るための防衛反応として暴言につながることがあります。介護者が良かれと思って行った手助けが、本人にとっては「何をされるか分からない」という恐怖に感じられ、攻撃的な態度で拒絶してしまう、といったケースは少なくありません。

原因3:自尊心を傷つけられたと感じる

認知症になっても、長年培ってきたプライドや自尊心は保たれています。介護者からの「また忘れたの?」「さっきも言ったでしょ!」といった何気ない一言や、子ども扱いするような態度が、ご本人の自尊心を深く傷つけてしまうことがあります。

「できないこと」を指摘されたり、失敗を責められたりすると、侮辱されたと感じ、強い反発として暴言が返ってくるのです。ご本人にとっては、自分自身の尊厳を守るための必死の抵抗なのかもしれません。

原因4:薬の影響や身体的な不調

認知症の治療薬や、他に服用している薬の副作用、あるいは複数の薬の飲み合わせ(相互作用)によって、興奮しやすくなったり、せん妄(意識が混乱した状態)が起きたりすることがあります。

また、体調不良も原因となり得ます。例えば、便秘や痛み、発熱など、身体的な不快感をうまく言葉で伝えられず、不機嫌さや暴言として表現されることもあります。もし、薬の変更後や体調に変化が見られた後に暴言が目立つようになった場合は、薬や体調の影響も考えられます。自己判断で服薬を中止したりせず、必ずかかりつけ医や薬剤師に相談しましょう。

原因5:認知症のタイプによる特性

暴言の現れ方は、認知症の種類によっても特徴があります。

前頭側頭型認知症の場合
このタイプは、感情や理性を司る前頭葉と、言語や社会性を担う側頭葉前方が萎縮するのが特徴です。そのため、認知症の初期段階から、感情のコントロールが効かなくなる(脱抑制)、社会のルールを無視した行動をとるなどの症状が見られることがあります。悪気なく、思ったことをそのまま口にしてしまうため、暴言として現れやすい傾向があります。
レビー小体型認知症の場合
このタイプでは、「ありありとした幻視(そこにいない人や物が見える)」が特徴的な症状です。ご本人にとっては、幻視は現実の出来事です。「虫の大群がいる」「知らない人が部屋に入ってきた」といった幻視への恐怖や混乱から、大声を出したり、興奮して暴言を発したりすることがあります。

認知症の暴言に対する正しい対応方法

突然の暴言に直面すると、冷静でいることは難しいものです。しかし、感情的に対応すると事態はさらに悪化します。ここでは、暴言が出た際の基本的な対応方法をご紹介します。

まずは冷静になり、原因を探る

暴言に対して、まずは介護者が一呼吸おいて冷静になることが最も重要です。その言葉を真正面から受け止めるのではなく、「何か不安なのかな」「どこか痛いのかな」と、暴言の裏にある原因を探る視点を持ちましょう。ご本人の表情や様子を観察し、言動の背景にある身体的・心理的な要因を探ることが、解決の糸口になります。

安全な距離を保ち、クールダウンする

暴言がエスカレートし、暴力に発展しそうな場合は、ご自身の安全確保を最優先してください。その場から一旦離れ、別の部屋に行くなどして物理的な距離を取りましょう。介護者と本人がそれぞれ落ち着くための時間を持つことが大切です。互いにクールダウンすることで、冷静な対応が可能になります。

話題を変えて注意をそらす

ご本人が一つのことにこだわって興奮している場合は、全く違う話題を振って関心をそらすのが効果的です。例えば、ご本人の好きな食べ物の話や、昔の楽しい思い出、趣味の話などをしてみましょう。「お庭のお花がきれいですね」「温かいお茶でも飲みませんか?」など、五感に訴えるような働きかけも有効です。

本人の気持ちに寄り添い、共感を示す

暴言の内容が事実と違っていても、まずは「そうだったのですね」「それはおつらいですね」と、ご本人の訴えや感情を一度受け止めることが大切です。これを「受容」と「共感」と言います。

例えば、「財布を盗られた!」という訴えに対しては、「大切なものが無くなってしまったのですね、心配ですね」と、盗られたという事実ではなく、「無くなって心配」という気持ちに寄り添います。共感的な態度が、ご本人の不安を和らげ、落ち着きを取り戻すきっかけになります。

やってはいけないNGな対応

良かれと思って取った行動が、かえってご本人の興奮を高めてしまうことがあります。以下のような対応は避けましょう。

感情的に言い返したり、叱責したりする

「売り言葉に買い言葉」で言い返したり、「いい加減にしなさい!」と感情的に叱りつけたりするのは最も避けたい対応です。このような対応は、ご本人の不安や混乱を増大させ、さらに強い暴言や暴力の引き金になりかねません。

言動を頭ごなしに否定する

「そんなことあるわけないでしょ」「それはあなたの勘違い」などと、ご本人の訴えを真っ向から否定するのはやめましょう。ご本人にとってはそれが真実であるため、否定されることで自尊心を傷つけられ、混乱が深まり、介護者への不信感を抱かせてしまいます。

無理やり行動を止めようとする

興奮しているときに体を押さえつけたり、無理に行動を制止したりすると、ご本人は強い恐怖を感じます。パニックに陥り、さらに激しく抵抗したり、暴れたりする危険性があります。まずは身の安全を確保できる距離を保ち、ご本人が落ち着くのを待つことが基本です。

暴言がおさまらない場合の相談先と選択肢

在宅での介護に行き詰まりを感じたら、一人で抱え込まずに外部の力を借りることが重要です。さまざまな相談先や選択肢があります。

専門家や専門機関に相談する

介護の悩みは、専門家に相談することで解決の糸口が見つかることがあります。

相談先 主な役割
かかりつけ医・認知症専門医 身体的な不調や薬の影響を診断。BPSDに対する薬物療法の検討や専門的アドバイス。(精神科、神経内科、もの忘れ外来など)
地域包括支援センター 高齢者の暮らしを支える公的な総合相談窓口。医療機関や介護サービスの情報提供、権利擁護などを行う。
認知症地域支援推進員 地域包括支援センター等に配置され、認知症の人やその家族への相談支援を行う専門職。
ケアマネジャー(介護支援専門員) 介護保険サービス利用者の身近な相談相手。ケアプランの見直しや適切なサービスの提案を行う。

薬による治療を検討する

環境調整や関わり方の工夫だけではBPSDの改善が難しい場合、薬物療法が選択肢となります。抗精神病薬や抗うつ薬などが用いられるほか、漢方薬の「抑肝散(よくかんさん)」は、認知症に伴う攻撃性、興奮、不眠などに効果が認められ、広く使われています。薬の使用については、効果と副作用を十分に理解した上で、必ず医師と相談しながら慎重に進める必要があります。

介護サービスを利用して一時的に離れる(レスパイトケア)

介護者が24時間対応し続けると、心身ともに疲弊してしまいます。ショートステイ(短期入所生活介護)などを利用して、一時的に介護から離れる時間を作ることは、介護を長く続けるために非常に重要です。このような介護者の休息を「レスパイトケア」と呼びます。介護者がリフレッシュすることで心に余裕が生まれ、穏やかな気持ちで再びご本人と向き合えるようになります。

在宅介護が困難な場合は施設入居も視野に

暴言や暴力が頻繁で、介護者の心身の安全が脅かされるなど、在宅での介護が限界に達した場合は、老人ホームや介護施設への入居も大切な選択肢の一つです。専門的なケアを受けられる環境に移ることは、決して「介護放棄」ではなく、ご本人とご家族の双方が穏やかに暮らすための前向きな決断です。

緊急性が高く、危険が迫っている場合の対応

ご本人が刃物を持ち出すなど、自分自身や他者を傷つけるおそれが著しく高い場合は、命の危険が迫っている緊急事態です。ためらわずに警察(110番)に通報してください。

また、精神保健福祉法に基づき、本人の同意がなくても精神科病院へ入院させることができる「医療保護入院」などの制度もあります。これは、精神保健指定医の診察と、家族等のうちいずれかの者の同意による入院制度です。まずは身の安全を確保することを最優先に行動してください。

日頃からできる暴言の予防と改善策

BPSDは、日頃の関わり方や環境を整えることで、発生を予防したり、症状を軽くしたりすることが期待できます。

本人の意思を尊重し、自尊心を傷つけない

ご本人を一人の人間として尊重し、自尊心を傷つけない関わりを心がけましょう。「〇〇してくれてありがとう」と感謝を伝えたり、「AとB、どちらがいいですか?」と選択肢を提示して本人に決めてもらうことで、ご本人の自己肯定感を高めることができます。

安心できる生活環境を整える

ご本人が混乱しないよう、静かで落ち着ける環境を整えることが大切です。部屋をシンプルに片付けたり、トイレや寝室の場所が分かりやすいように表示をつけたりする工夫も有効です。テレビの音量や室温など、過度な刺激は不安や興奮の原因になることがあるため、ご本人の様子に合わせて調整しましょう。

規則正しい生活リズムを保つ

毎日同じ時間に起き、食事をし、眠るといった規則正しい生活リズムは、ご本人に安心感を与え、心身の状態を安定させます。日中の活動と夜間の休息のメリハリをつけることで、混乱を防ぎ、BPSDの予防に効果が期待できます。

介護者自身のストレスケアを忘れない

最も大切なのは、介護者自身が心身の健康を損なわないことです。介護者のストレスや疲労は、無意識のうちにご本人にも伝わり、BPSDを悪化させる悪循環に陥りがちです。デイサービスやショートステイを利用して自分の時間を作ったり、同じ立場の人が集まる家族会に参加して悩みを共有したりして、意識的にストレスを発散させましょう。

認知症の方の施設探しは「笑がおで介護紹介センター」にご相談ください

認知症の方の介護、特に暴言などのBPSDへの対応に悩み、在宅介護の限界を感じている方もいらっしゃるかもしれません。そんなときは、ぜひ私たち「笑がおで介護紹介センター」にご相談ください。

認知症ケアに詳しい相談員が丁寧にお話を伺います

私たちの相談員は、介護の専門知識はもちろん、認知症ケアに関する豊富な経験を持っています。暴言に悩むご家族のつらいお気持ちに寄り添いながら、丁寧にお話を伺います。誰にも言えなかった悩みや不安を、どうぞお聞かせください。

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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