認知症サポーターとは?役割やなり方、養成講座の内容をわかりやすく解説

「認知症サポーター」という言葉を、街のポスターや広報誌で見かけたことはありませんか?「何か特別な資格が必要なのかな?」「介護の専門家じゃないと難しいのでは?」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。実は、認知症サポーターは専門家である必要はなく、特別な活動が義務付けられているわけでもありません。認知症を正しく理解し、認知症の方やそのご家族を温かく見守る「応援者」のことです。この記事では、認知症サポーターとは何か、その役割やなり方、具体的な活動内容まで、誰にでも分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたも認知症の方が安心して暮らせる地域づくりの一員として、身近なところから一歩を踏み出すことができます。
認知症サポーターとは?認知症の方を温かく見守る応援者
認知症サポーターとは、特別な資格や技能を持つ専門職ではありません。認知症について正しく理解し、偏見を持たず、認知症の方やそのご家族を温かく見守る「応援者」です。
何か特別なことをする人ではなく、例えば、友人や家族に認知症の知識を伝えたり、地域で困っている様子の認知症の方を見かけた際に、さりげなく手助けをしたりするなど、自分のできる範囲で活動することが期待されています。
「認知症サポーター養成講座」を受講した人であれば誰でもなることができ、小学生から高齢者、企業の従業員など、さまざまな立場の人たちがサポーターとして全国で活躍しています。
認知症サポーターが生まれた背景と目的
認知症施策推進大綱と認知症サポーターキャラバン事業
日本では高齢化に伴い認知症の方が増加しており、誰もが認知症と関わる可能性のある時代になっています。そこで国は、認知症になっても希望を持って日常生活を営める「共生」と、認知症になるのを遅らせる・進行を緩やかにする「予防」を両輪とした社会の実現を大きな目標として掲げています。
その具体的な取り組みの一つが、厚生労働省が推進する「認知症サポーターキャラバン事業」です。この事業は、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の方やその家族を支える「認知症サポーター」を一人でも多く養成し、安心して暮らせるまちづくりを市民の手で進めていくことを目的としています。
認知症サポーターの現状|全国の人数と広がり
「認知症サポーターキャラバン」が開始された平成17年(2005年)から養成が始まり、その数は年々増加しています。
全国キャラバン・メイト連絡協議会の報告によると、令和6年3月31日時点での認知症サポーターの累計人数は、15,166,742人にのぼります。これは、日本の総人口の約1割以上がサポーターであることを意味し、認知症支援の輪が着実に広がっていることがわかります。
受講者の内訳を見ると、一般の住民の方が最も多く約40.2%、次いで学校の児童・生徒が約31.5%、企業や団体の従業員が約20.6%となっており、幅広い世代や職種の方がサポーターになっていることが特徴です。
認知症サポーターになるには?養成講座の受講が必須
認知症サポーターになるために、特別な試験や資格は必要ありません。自治体や企業などが開催する「認知症サポーター養成講座」を受講するだけで、誰でもサポーターになることができます。
認知症サポーター養成講座の概要
講座の内容と標準的な時間
講座では、「キャラバン・メイト」と呼ばれる専門の講師が、全国共通の標準テキストに基づいて講義を行います。講座の時間は、おおむね60分から90分程度が標準です。主な内容は以下の通りです。
- 認知症の理解
- 認知症とはどのような病気か、主な症状(中核症状と行動・心理症状)について学びます。
- 診断と治療
- 認知症の診断や治療の重要性について学びます。
- 接し方の心構え
- 認知症の方と接するときの基本的な心構え(驚かせない、急がせない、自尊心を傷つけない等)を学びます。
- サポーターの役割
- 認知症サポーターとして地域で何ができるかを考えます。
受講費用は原則無料
認知症サポーター養成講座は、原則として無料で受講できます。自治体や企業などがボランティアで実施しているため、テキスト代などの費用もかからない場合がほとんどです。
開催場所の探し方と申し込み方法
認知症サポーター養成講座は、全国の市区町村で随時開催されています。お住まいの地域の開催情報を探すには、以下の方法があります。
- 市区町村の広報誌やウェブサイトを確認する
- 地域の「地域包括支援センター」に問い合わせる
- 全国キャラバン・メイト連絡協議会のウェブサイトで検索する
学校や企業、自治会などの団体単位で講座の開催を依頼することも可能です。申し込みは、各講座の主催者に直接電話やウェブフォームで行うのが一般的です。
誰でもなれる?受講資格と年齢制限
認知症サポーター養成講座の受講に、特別な資格や年齢制限は一切ありません。地域住民、学生、企業の従業員など、認知症について学びたいという意欲のある方なら、小学生から高齢者までどなたでも受講できます。
認知症サポーターの役割と活動内容|特別なことは不要
認知症サポーターになったからといって、何か特別な活動を強制されることはありません。一番大切なのは、認知症を正しく理解し、応援する気持ちを持つことです。そのうえで、自分のできる範囲で行動することが期待されています。
期待される3つの基本的な役割
認知症サポーターには、主に3つの基本的な役割が期待されています。
- 1. 認知症への正しい理解と偏見のない心を持つ
- まずは、認知症という病気を正しく理解し、「何もわからなくなった人」といった偏見や誤解をなくすことが第一歩です。認知症になっても、ご本人には感情もプライドもあることを理解する姿勢が大切です。
- 2. 認知症の方やその家族を温かく見守る
- 認知症のご本人や、介護をしているご家族は、社会から孤立しがちです。地域の中に理解者がいるというだけで、大きな安心感につながります。温かい目で見守り、心の支えとなることが重要な役割です。
- 3. 自分のできる範囲で手助けをする
- 困っている様子を見かけたら、勇気を出して声をかけてみましょう。スーパーのレジで支払いに戸惑っていたり、道端で立ち尽くしていたりする方がいたら、「何かお困りですか?」の一言が、大きな助けになることがあります。
具体的な活動事例
では、具体的にどのような活動ができるのでしょうか。いくつかの例をご紹介します。
- 友人や家族に知識を伝える
- 養成講座で学んだ知識を、自分の家族や友人、ご近所の方に話して聞かせるだけでも、認知症への理解の輪を広げる立派な活動です。
- 地域の活動に参加する
- 自治体によっては、サポーターが主体となって運営する「認知症カフェ」や見守り活動、関連イベントのお手伝いなど、具体的な活動の場が用意されている場合があります。
- 困っている人に声をかける
- 最も身近で重要な活動が「声かけ」です。例えば、金融機関の窓口で困っている方に優しく対応したり、駅で道に迷っている様子の高齢者に「どちらまで行かれますか?」と声をかけたりすることも、サポーターだからこそできる支援です。
認知症サポーターの証「オレンジリング」の意味
認知症サポーター養成講座を修了すると、その証として「オレンジリング」が渡されます(現在はカードに切り替わっている自治体もあります)。これは認知症支援の輪のシンボルです。
このオレンジ色は、温かさを感じさせる色であるとともに、「手助けします」という意思表示の意味合いを持つと言われています。一部の地域では、江戸時代の陶工・酒井田柿右衛門が夕日に映える柿の色から着想を得たという逸話にちなみ、日本発の取り組みであるサポーター制度が世界に広がってほしいという願いが込められていると紹介されています。
認知症サポーターに関するよくある質問
ここでは、認知症サポーターについてよく寄せられる質問にお答えします。
- Q. 認知症サポーターに義務や会費はありますか?
- A. 認知症サポーターになっても、活動の義務や年会費などは一切ありません。登録も不要です。あくまで自発的な意思で、できる範囲での応援をお願いするものです。
- Q. 認知症サポーターになるメリットは何ですか?
- A. 主に以下のようなメリットが考えられます。
- 認知症に関する正しい知識が身につき、自分や家族が認知症になったときに役立つ
- 地域の中で認知症の方や家族とどう接すればよいかがわかる
- 地域活動への参加を通じて、新たなつながりや生きがいが生まれる可能性がある
- 社会貢献に関わっているという実感を得られる
- Q. 認知症サポーターは何人くらいいますか?
- A. 令和6年3月末時点で、全国の累計サポーター数は約1,516万人です。今後も養成は続き、その数はさらに増えていく見込みです。
まとめ:認知症サポーターは誰もがなれる地域の味方
この記事では、認知症サポーターについて詳しく解説しました。サポーターは、特別な資格や義務を負うものではなく、認知症を正しく理解し、温かく見守る「地域の応援団」です。
90分程度の無料講座を受けるだけで、あなたも今日から認知症の方やその家族にとって心強い味方になることができます。誰もが安心して暮らせる優しいまちづくりのために、まずは「認知症サポーター養成講座」の受講から始めてみてはいかがでしょうか。
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このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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