介護保険料の滞納で起こるペナルティとは?差し押さえや給付制限、困った時の相談窓口を解説

「うっかり介護保険料の支払いを忘れてしまった」「経済的に苦しくて、保険料を納めるのが難しい」様々な理由で、介護保険料を滞納してしまう可能性は誰にでもあります。しかし、介護保険料の滞納をそのままにしておくと、どうなってしまうのでしょうか。結論からお伝えすると、介護保険料を滞納すると、延滞金が発生するだけでなく、介護サービスを利用する際の自己負担額が引き上げられるなどの給付制限を受け、最終的には財産を差し押さえられる可能性があります。しかし、もし支払いが困難な状況にあっても、決して一人で悩まないでください。この記事では、介護保険料を滞納した場合に起こる段階的なペナルティの内容と、支払いが難しい場合の具体的な対処法、そして相談窓口について詳しく解説します。正しい知識を身につけ、早めに対処することが何よりも大切です。
介護保険料を滞納するとどうなる?段階的なペナルティ
介護保険料を滞納した場合のペナルティは、滞納期間に応じて段階的に重くなっていきます。納付期限を過ぎたからといって、すぐにサービスが利用できなくなったり、財産が差し押さえられたりするわけではありません。まずは督促状が届き、それでも納付されない場合に、以下のような措置が取られます。
ステップ1:延滞金の発生
納付期限までに介護保険料を納付しなかった場合、まず納付期限の翌日から延滞金が発生します。延滞金の利率は市町村によって異なりますが、法律で上限が定められています。延滞金は滞納期間が長くなるほど増えていくため、たとえ少額であっても、気づいた時点ですぐに納付することが重要です。納付書に記載された期限を過ぎてしまった場合は、お住まいの市区町村の担当窓口に連絡し、納付方法を確認しましょう。
ステップ2:介護サービスの費用が一旦全額自己負担になる(1年以上の滞納)
介護保険料を1年以上滞納すると、介護サービスを利用した際の費用支払方法が変更されます。通常、介護サービスを利用した場合、ご利用者は費用の1割~3割を窓口で支払い、残りの7割~9割は介護保険から事業者に直接支払われます。しかし、1年以上滞納すると、この仕組みが利用できなくなります。ご利用者は、サービス費用の全額(10割)を一旦自己負担で事業者に支払い、後日、市区町村に申請して保険給付分(7割~9割)の払い戻しを受ける形(これを「償還払い(しょうかんばらい)」といいます)に変更されるのです。例えば、ショートステイを1週間利用して10万円の費用がかかった場合、通常なら窓口での支払いは1万円(1割負担の場合)で済みますが、償還払いになると一度10万円全額を支払わなければなりません。高額なサービスほど、この一時的な立て替えは大きな負担となります。
ステップ3:保険給付が一時的に差し止められる(1年6ヶ月以上の滞納)
介護保険料の滞納が1年6ヶ月以上続くと、ペナルティはさらに重くなります。償還払いになった後も滞納を続けると、払い戻されるはずの保険給付(7割~9割)の一部または全部が、一時的に差し止められることがあります。差し止められた保険給付は、滞納している保険料に充当されることになります。つまり、ご自身で支払ったサービス費用の大部分が戻ってこなくなる可能性があり、実質的に介護サービスが利用しづらい状況に陥ってしまいます。
ステップ4:自己負担額の引き上げ・高額介護サービス費等の給付停止(2年以上の滞納)
介護保険料の納付時効である2年を迎えるまで滞納が続いた場合、ペナルティはさらに厳しくなります。これを「給付額減額」といいます。具体的には、過去の滞納期間に応じて、一定期間、介護サービスを利用した際の自己負担割合が3割(もともと3割負担のご利用者は4割)に引き上げられます。例えば、月々のサービス費用が10万円で自己負担が1割(1万円)だった方が3割負担になると、負担額は一気に3万円に跳ね上がります。さらに、月々の自己負担額が上限を超えた場合に払い戻される「高額介護サービス費」や、施設入所時の食費・居住費の負担を軽減する「特定入所者介護サービス費」などの給付も受けられなくなります。これにより、高額なサービスを利用した場合の自己負担は際限なく大きくなる可能性があり、経済的な負担は著しく増大します。
最終段階:財産の差し押さえ
督促や催告に応じず、保険料の滞納を続けた場合、最終的な措置として、法律に基づく滞納処分(財産の差し押さえ)が行われる可能性があります。差し押さえの対象となるのは、預貯金や給与、不動産、生命保険の解約返戻金など多岐にわたります。これは、税金を滞納した場合と同様の、非常に厳しい強制措置です。差し押さえに至る前には、必ず「差押予告通知書」が送付されます。この通知が届いた場合は、一刻も早く市区町村の窓口へ相談に行く必要があります。
介護保険料を支払えない・滞納してしまう理由
介護保険料を滞納してしまう背景には、様々な事情があります。決して「払いたくないから払わない」という方ばかりではありません。
経済的な理由で支払いが困難
最も多い理由が、経済的な困窮です。
- 年金収入だけでは生活が苦しい
- 病気や失業で収入が途絶えてしまった
- 予期せぬ出費が重なり、保険料まで手が回らない
特に高齢者の場合、収入が限られている中で物価高などが重なると、保険料の支払いが大きな負担となることがあります。
制度への不満や誤解がある
中には、介護保険制度そのものに対する不満や誤解から、支払いを拒否してしまうケースもあります。
- 「まだ介護サービスを利用していないのになぜ払うのか」
- 「保険料が高すぎるのではないか」
介護保険は、いざという時に誰もが必要な介護を受けられるよう、社会全体で高齢者の介護を支え合う「社会保険制度」です。ご自身が将来サービスを必要とした時のために、また、今サービスを必要としている人を支えるために、40歳以上の国民全員に納付義務があることを理解する必要があります。
納付書に気づかない・忘れてしまう
特に、年金からの天引き(特別徴収)ではなく、納付書で支払う普通徴収の場合に起こりがちな理由です。
- 郵便物に紛れて納付書に気づかなかった
- 仕事や家事が忙しく、うっかり支払い期限を忘れていた
- 認知症などの影響で、支払い管理が難しくなった
悪意がなくても、結果的に滞納につながってしまうことがあります。口座振替を利用するなど、支払い忘れを防ぐ工夫も大切です。
介護保険料を払えない時の対処法と相談窓口
もし介護保険料の支払いが難しい状況に陥ってしまったら、決して滞納を放置せず、すぐに行動を起こすことが重要です。有効な対処法と相談窓口をご紹介します。
【重要】まずは市区町村の担当窓口へ相談する
支払いが困難だと感じたら、何よりもまず、お住まいの市区町村の介護保険担当課や税務課などの窓口へ相談してください。「滞納しているから行きづらい」「怒られるのではないか」と不安に思うかもしれませんが、心配は要りません。窓口の担当者は、支払えない事情を聴き、どうすれば解決できるかを一緒に考えてくれます。相談に行く際は、送られてきた督促状や納付書、ご本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)、そして現在の収入状況がわかるもの(給与明細、年金振込通知書など)を持参すると、話がスムーズに進みます。事前に電話で必要なものを確認しておくとさらに安心です。大切なのは、「支払う意思がある」ことを伝え、誠実に対応することです。督促状が届いた時点、あるいは支払いが難しいと感じた時点ですぐに連絡を取りましょう。
支払いが難しい場合の救済制度
市区町村の窓口に相談することで、状況に応じて以下のような救済制度を利用できる場合があります。
分割納付(分納)
一度に全額を支払うことが難しい場合、滞納している保険料を分割で支払う相談ができます。月々無理なく支払える金額を設定し、計画的に納付していく方法です。
減額・免除(減免)
災害で大きな被害を受けた場合や、失業、事業の休止、病気などで収入が著しく減少した場合など、特別な事情がある場合に、保険料が減額または免除される制度です。「特別な事情」には、例えば、震災や風水害などで住宅に著しい損害を受けた場合や、世帯の主たる生計維持者が死亡、または長期入院したことで収入が大幅に減少した場合などが該当します。適用には所得などの条件があり、申請には収入状況を証明する書類などが必要になります。
徴収の猶予
減免制度の対象にはならないものの、一時的に保険料の支払いが困難な場合に、一定期間、徴収が猶予(先延ばし)される制度です。こちらも適用には条件があります。これらの制度が利用できるかどうかは、個々の状況と自治体の判断によります。まずは相談することが第一歩です。
生活に困窮している場合は生活保護の申請も検討
収入が著しく低く、どうしても生活が成り立たないという場合には、最後のセーフティネットとして生活保護制度があります。生活保護を受給すると、介護保険料は生活保護費(生活扶助)から支払われるため、滞納の心配はなくなります。生活保護の申請は、お住まいの地域を管轄する福祉事務所で行うことができます。
介護保険料の滞納に関するよくある質問
ここでは、介護保険料の滞納に関して多くの方が抱く疑問についてお答えします。
滞納した保険料に時効はあるの?
介護保険料の徴収権には、2年の時効があります。納期限から2年が経過すると、市区町村はその保険料を徴収できなくなります。ただし、市区町村が督促状を送付すると、時効のカウントはリセットされます。現実には定期的に督促が行われるため、時効が成立することはほとんどありません。時効を期待して滞納を続けるのは、ペナルティが重くなるだけであり、極めて危険です。
介護保険料の主な納付方法とは?
納付方法は、年齢(被保険者の種別)によって異なります。
65歳以上の方(第1号被保険者)
- 特別徴収
- 原則として、受給している年金(老齢・退職・障害・遺族年金)から自動的に天引きされます。年額18万円以上の年金を受給している方が対象です。
- 普通徴収
- 年金の受給額が年額18万円未満の方や、年度の途中で65歳になった方などは、市区町村から送付される納付書や口座振替で個別に納付します。
40歳から64歳の方(第2号被保険者)
加入している公的医療保険(健康保険や国民健康保険など)の保険料と一体的に徴収されます。会社員であれば給与から天引き、自営業などであれば国民健康保険料に上乗せして納付します。
自己破産した場合、滞納した保険料の支払いはどうなる?
自己破産の手続きを行い、裁判所から免責許可が下りると、借金などの支払い義務は免除されます。しかし、税金や社会保険料(介護保険料を含む)は「非免責債権」とされており、自己破産をしても支払い義務はなくなりません。したがって、自己破産後も、滞納した介護保険料は全額支払う必要があります。
介護保険料や施設探しでお困りなら「笑がおで介護紹介センター」へ
介護保険料の支払いは、時に大きな負担となり、将来の介護生活への不安につながることもあります。もし保険料の支払いや、それに伴う介護施設の費用についてお困りのことがあれば、専門家に相談することも一つの方法です。「笑がおで介護紹介センター」では、関西エリア(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、三重)の介護施設情報に精通した専門の相談員が、皆様のお悩みをお伺いします。ご予算に応じた施設のご提案はもちろん、公的な制度の活用など、費用に関するご相談にも親身に対応いたします。介護に関する不安やお困りごとは、一人で抱え込まずに、ぜひ私たち「笑がおで介護紹介センター」へお気軽にご相談ください。

このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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