高齢者の脱水症は命の危険も|症状別の対処法と効果的な予防策を解説

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高齢者の脱水症は命の危険も|症状別の対処法と効果的な予防策を解説

高齢者の介護において、脱水症(だっすいしょう)は決して軽視できない危険な状態です。ご利用者が気づかないうちに進行し、重篤な場合は意識障害や臓器不全を引き起こし、命に関わることもあります。しかし、なぜ高齢者は脱水症になりやすいのでしょうか。その主な理由は、加齢による体内の水分量の減少や、喉の渇きを感じる感覚の低下にあります。若い頃と同じように考えていると、知らず知らずのうちに水分不足に陥ってしまうのです。

この記事では、高齢者が脱水症に陥りやすい4つの理由から、見逃してはならない危険なサイン、症状レベル別の具体的な対処法、そして今日から家庭で実践できる効果的な予防策まで、網羅的に解説します。大切なご家族を脱水症から守るため、正しい知識を身につけ、適切な対策を講じましょう。

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なぜ高齢者は脱水症になりやすいのか?4つの理由

そもそも、なぜ高齢になると脱水症のリスクが高まるのでしょうか。それには、若い頃とは異なる身体的な変化が大きく関係しています。主な理由は以下の4つです。

理由1:加齢による体内の水分量の減少

私たちの身体の大部分は水分で構成されていますが、その割合は年齢とともに減少していきます。

年齢層 体重に占める水分の割合(目安)
新生児 約80%
成人 約60%
高齢者 約50%~55%

このように、高齢者は成人と比べて体内の水分量がもともと少ない状態です。これは、筋肉量が減少することが主な原因です。筋肉は多くの水分を蓄える「ダム」のような役割を果たしますが、加齢によって筋肉が減ると、体内に蓄えられる水分量も自然と減ってしまいます。そのため、少し汗をかいたり、水分補給が滞ったりするだけで、容易に水分不足に陥りやすくなります。

理由2:喉の渇きを感じにくくなる感覚の低下

私たちは通常、「喉が渇いた」と感じることで水分補給を行います。この感覚は、脳にある「渇中枢(かっちゅうすう)」という部分がコントロールしています。しかし、高齢になるとこの渇中枢の機能が低下し、体内の水分が不足していても喉の渇きを感じにくくなる傾向があります。

そのため、ご利用者は水分が足りていると思っていても、実際には身体が水分を欲しているという「隠れ脱水」の状態になりがちです。ご家族が「喉は渇いていませんか?」と尋ねても、「大丈夫」と答えることが多いため、水分補給のタイミングを逃しやすくなるのです。

理由3:食事量の減少や内臓機能の低下

私たちは飲み物だけでなく、日々の食事からも多くの水分を摂取しています。ご飯や味噌汁、野菜や果物など、多くの食品に水分は含まれています。しかし、加齢に伴い食が細くなったり、噛む力や飲み込む力(嚥下機能:えんげきのう)が低下したりすると、食事全体の量が減り、結果として食事から得られる水分も減少してしまいます。

さらに、腎臓(じんぞう)の機能低下も脱水症の一因です。腎臓には、体内の水分量を調節し、尿を濃縮して水分の排出を抑える大切な働きがあります。しかし、加齢によりこの機能が衰えると、体に必要な水分まで尿として排出してしまい、脱水症になりやすくなるのです。

理由4:服用している薬の影響

高齢になると、高血圧や心臓病などの持病のために薬を服用している方が多くなります。これらの薬の中には、副作用として利尿作用(りにょうさよう)を持つものがあります。

利尿作用のある薬の例
血圧を下げるための降圧薬(こうあつやく)や、便秘解消のための下剤(げざい)などが代表的です。これらの薬は、体内の余分な塩分や水分を尿として排出させる働きがあるため、意図せず脱水状態を引き起こす可能性があります。

もちろん、これらの薬は治療に必要不可欠なものですので、自己判断で中断してはいけません。かかりつけの医師や薬剤師に相談し、脱水症への対策についてアドバイスをもらうことが重要です。

【危険度チェック】見逃せない高齢者の脱水症のサインと症状レベル

高齢者の脱水症は、ご利用者が自覚しにくいだけでなく、周囲から見ても分かりにくいことがあります。しかし、放置すると急速に悪化する危険性があるため、早期発見が何よりも重要です。ここでは、脱水症の危険度を3つのレベルに分けて、具体的なサインと症状を解説します。

レベル1:軽度の脱水症状

初期段階の症状は、日常生活の中での些細な変化として現れることが多いため、見逃さないように注意深く観察することが大切です。

皮膚の乾燥やかさつき

体内の水分が不足すると、まず皮膚に変化が現れます。手の甲の皮膚をつまんで離したときに、すぐ元に戻らず跡が残る場合は水分不足のサインです(ツルゴール反応の低下)。また、口の中がネバネバしたり、舌が白っぽく乾いたりするのも特徴です。

めまいや立ちくらみ

急に立ち上がったときにクラっとする「立ちくらみ」は、脱水によって血液量が減少し、脳への血流が一時的に不足することで起こります。頻繁に起こる場合は注意が必要です。

食欲の低下

「なんとなく食欲がない」「いつもより食べる量が少ない」といった変化も、脱水症の初期サインのひとつです。消化液の分泌が減ることで、食欲不振につながることがあります。

その他の軽度の症状
ぼんやりしている、元気がない
手足の先が冷たい
便秘になる

レベル2:中等度の脱水症状

軽度の症状が進行すると、より明確な体調不良として現れます。この段階では、体は明らかに危険信号を発しています。

頭痛や吐き気

脱水によって脳の血流が悪くなると、頭痛を引き起こすことがあります。また、体内の電解質(でんかいしつ)バランスが崩れることで、吐き気や嘔吐(おうと)といった症状が現れることもあります。

体のだるさや倦怠感(けんたいかん)

水分不足は血液の循環を悪化させ、全身の細胞に十分な酸素や栄養素を届けられなくなります。その結果、強いだるさや倦怠感、疲労感となって現れます。

尿の量が減り色が濃くなる

体は水分を保持しようとするため、尿の量を減らします。トイレの回数が極端に減ったり、尿の色が普段より濃い黄色や茶色になったりした場合は、中等度の脱水の可能性があります。

その他の中等度の症状
血圧の低下
脈が速くなる(頻脈:ひんみゃく)
微熱が出る

レベル3:重度の脱水症状(緊急性が高い状態)

重度の脱水症は、命に関わる極めて危険な状態です。以下の症状が見られた場合は、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。

意識がもうろうとする

呼びかけに対する反応が鈍くなったり、つじつまの合わないことを言ったりするなど、意識レベルの低下が見られます。時間や場所が分からなくなることもあります。

けいれんを起こす

体内の電解質バランス、特にナトリウムやカリウムの濃度が異常になることで、筋肉がけいれんを起こすことがあります。

呼びかけに反応しない

意識障害がさらに進行し、呼びかけや刺激に対して全く反応しなくなる状態です。これは非常に危険な兆候であり、直ちに救急車を呼ぶ必要があります

その他の重度の症状
血圧が測定できないほど低下する
呼吸が速く、浅くなる
ぐったりして動けない

高齢者が脱水症になったときの症状別・緊急時の対処法

ご家族が脱水症かもしれないと感じたとき、どのように対処すればよいのでしょうか。症状のレベルによって対応が異なります。慌てず、冷静に状況を判断することが重要です。

軽度の場合:経口補水液などで水分・塩分を補給

軽度の脱水症状が見られる場合は、まず体から失われた水分と電解質を速やかに補給することが最優先です。

対処法のポイント
最も効果的なのは、経口補水液(けいこうほすいえき)を飲むことです。経口補水液は、水分と塩分(ナトリウム)、糖分が体に最も吸収されやすいバランスで配合されています。ドラッグストアなどで購入できますので、ご家庭に常備しておくと安心です。

スポーツドリンクも水分補給に役立ちますが、糖分が多く電解質が少ないため、脱水時の補給としては経口補水液の方が適しています。もし経口補水液がない場合は、水1リットルに対して砂糖40g(大さじ4.5杯)、食塩3g(小さじ半分)を混ぜることで簡易的なものを作ることもできます。一度にたくさん飲ませるのではなく、少量ずつ、こまめに飲んでもらうのがポイントです。

中等度の場合:涼しい場所で体を冷やし安静にする

頭痛や吐き気など、中等度の症状が見られる場合は、水分補給に加えて体を冷やす処置が必要です。

対処法のポイント
まずは、風通しの良い涼しい部屋や、クーラーの効いた場所に移動させましょう。衣服を緩めて体をリラックスさせ、安静にできる体勢で休ませます。

同時に、濡らしたタオルで首筋や脇の下、足の付け根などを冷やすと、効率的に体温を下げることができます。水分補給は軽度の場合と同様に、経口補水液などを少しずつ飲ませてください。症状が改善しない、または悪化するようであれば、速やかに医療機関を受診しましょう。

重度の場合:ためらわずに救急車を呼び医療機関へ

意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しないなど、重度の症状が見られる場合は、家庭での対処は不可能です。一刻を争う事態ですので、 ためらわずに救急車を呼んでください

対処法のポイント
救急車が到着するまでの間も、涼しい場所へ移動させ、衣服を緩めるなどの応急処置を続けましょう。ただし、意識がない場合は無理に水分を飲ませないでください。気道に入り、窒息(ちっそく)や誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こす危険があります。

医療機関では、点滴によって直接血管に水分と電解質を補給する治療が行われます。重度の脱水症は、脳梗塞(のうこうそく)や心筋梗塞(しんきんこうそく)といった深刻な合併症を引き起こすリスクも高まります。自己判断で様子を見ることは絶対に避けてください。

今日から実践できる高齢者の脱水症予防|効果的な4つのポイント

脱水症は、一度発症すると回復に時間がかかり、ご利用者の体力を大きく消耗させます。最も大切なのは、脱水症にならないように日頃から予防を心がけることです。ここでは、今日からすぐに実践できる4つの予防ポイントをご紹介します。

ポイント1:こまめな水分補給を習慣化する

高齢者は喉の渇きを感じにくいため、「喉が渇く前に飲む」ことを習慣づけることが重要です。

1日の水分摂取量の目安を知る

一般的に、高齢者が必要とする1日の水分量は、食事から摂取する分を除いて 1.0リットルから1.5リットル が目安とされています。体重1kgあたり約30mlと計算することもできます(例:体重50kgの方なら1.5リットル)。夏場や発熱時など、汗を多くかく状況では、さらに多くの水分が必要になります。

時間を決めて飲むなどタイミングを工夫する

ただ「水分を摂りましょう」と声をかけるだけでは、なかなか習慣化しにくいものです。生活リズムの中に水分補給を組み込む工夫が効果的です。

水分補給のタイミングの例
朝、目覚めたときにコップ1杯
朝・昼・夕の食事の際に1杯ずつ
入浴の前後
就寝前
テレビを見ている間や休憩時間

このように時間を決めておくことで、飲み忘れを防ぎ、1日を通してコンスタントに水分を補給することができます。

ポイント2:食事からも水分を意識的に摂取する

飲み物だけでなく、3度の食事も重要な水分補給の機会です。食事をしっかり摂ることで、1日に必要な水分量の約半分を補うことができると言われています。

水分の多いフルーツやゼリー、スープなどを活用

食欲がないときでも、水分を多く含む食材を上手に取り入れることで、効率的に水分を補給できます。

分類 具体的な食材の例
野菜 きゅうり、レタス、トマト、なす
果物 スイカ、メロン、オレンジ、グレープフルーツ
その他 ゼリー、プリン、ヨーグルト、茶碗蒸し、スープ類

特に嚥下(えんげ)機能が低下している方には、喉ごしの良いゼリーやムース状のものがおすすめです。

アルコールやカフェインの多い飲み物は避ける

ビールなどのアルコール類や、コーヒー、緑茶、紅茶などに含まれるカフェインには利尿作用があります。これらを飲むと、摂取した水分以上に尿として排出されてしまい、かえって脱水状態を助長する可能性があります。水分補給の目的では、水やお茶(麦茶などカフェインの少ないもの)、経口補水液などを選ぶようにしましょう。

ポイント3:快適な室内環境を維持する

ご利用者が気づかないうちに汗をかき、水分が失われるのを防ぐためには、室内環境を適切に保つことも大切です。

部屋の温度と湿度を適切に保つ

特に夏場は、我慢せずにエアコンを活用し、室温を28℃以下に保つように心がけましょう。また、冬場は空気が乾燥し、皮膚や呼吸から水分が失われやすくなります(不感蒸泄:ふかんじょうせつ)。加湿器などを使って、湿度を50%~60%程度に保つと効果的です。

就寝前と起床後にも水分を摂る

人は寝ている間にもコップ1杯程度の汗をかくと言われています。就寝前に水分を摂ることで夜間の脱水を防ぎ、起床後に水分を摂ることで寝ている間に失われた水分を補うことができます。枕元に水やお茶を置いておくと、夜中に目が覚めたときにも手軽に飲めて安心です。

ポイント4:周囲の見守りと定期的な体調チェック

ご利用者の自覚が難しいからこそ、ご家族や周囲の方々の見守りが脱水症予防の鍵となります。

体重の変化
定期的に体重を測定し、急激な減少がないか確認しましょう。短期間で体重が2~3%減少した場合、脱水症が疑われます。
尿の色と回数
トイレの回数が減っていないか、尿の色が濃くなっていないかをさりげなく確認しましょう。
皮膚や口の中の状態
会話の際などに、口の中が乾いていないか、皮膚にかさつきがないかを観察します。
体調や様子の変化
「なんとなく元気がない」「ぼーっとしていることが多い」など、普段との様子の違いに気づくことが早期発見につながります。

日頃からコミュニケーションを取り、小さな変化に気づける関係性を築いておくことが、何よりも大切な予防策と言えるでしょう。

介護や施設入居のお悩みは「笑がおで介護紹介センター」へご相談を

ご自宅での介護において、脱水症の予防や日々の体調管理に不安を感じることもあるかもしれません。特に、日中お一人で過ごされる時間が長い場合や、認知症(にんちしょう)の症状がある場合など、ご家族だけでの見守りには限界があるのも事実です。そのようなときは、介護のプロがいる老人ホーム・介護施設への入居も一つの選択肢となります。

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24時間の見守り体制で脱水症の不安も軽減

多くの介護施設では、介護スタッフが24時間体制で常駐し、入居者様の健康管理を行っています。決まった時間に水分補給を促したり、食事の摂取量や体調の変化を細かくチェックしたりと、プロの視点で見守ることで、脱水症をはじめとする様々なリスクを早期に発見し、適切に対処することが可能です。ご家族の介護負担を軽減すると同時に、ご利用者にとっても安心・安全な生活環境が整います。

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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