老人ホームの入居一時金は戻ってくる?返還金の計算式や90日ルール・トラブル事例を解説

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老人ホームへの入居を検討する際、多くの人が直面する大きなハードルが「費用」の問題です。特に数百万、時には数千万円単位となる入居一時金については、「もしすぐに退去することになったら、支払ったお金はどうなるのか?」「高額なお金が戻ってこないのではないか」という不安を抱く方が少なくありません。

結論から申し上げますと、老人ホームの入居一時金は、契約内容や退去のタイミングに応じて、未利用分が返還金として戻ってくる仕組みが法律で整備されています。

特に、入居後3ヶ月以内に退去する場合は短期解約特例(90日ルール)が適用され、家賃やサービス対価などの実費を除いた大部分が返還される可能性があります。

本記事では、老人ホーム契約における入居一時金の仕組みや償却の計算方法、ご家族の資産を守るための90日ルールについて、図解やシミュレーションを交えて分かりやすく解説します。

また、実際に起こりやすいトラブル事例や、契約前に確認すべきポイントも網羅しました。大切な老後資金を守り、納得のいく施設選びをするための参考にしてください。

老人ホームの入居一時金と返還金の基礎知識

老人ホームに入居する際、多くの施設で採用されているのが入居一時金方式と呼ばれる料金プランです。まずは、この一時金がどのような役割を持ち、どのようなルールで管理・償却(消化)されていくのか、基本的な仕組みを理解しましょう。

入居一時金の役割と償却の仕組み

入居一時金とは、終身にわたってその施設を利用する権利を取得するため、あるいは将来の家賃相当額の一部または全部を「前払い」するために支払う費用のことです。

施設側は、受け取った一時金を一度に売上として計上するのではなく、入居期間に応じて少しずつ収益として計上していきます。これを償却(しょうきゃく)と呼びます。償却には大きく分けて「初期償却」と「均等償却(期間償却)」の2つのステップがあります。

初期償却
入居した時点で、入居一時金の一部(通常10%〜30%程度)が施設側の収益として償却される仕組みです。これは事務手数料や施設の修繕維持費、想定居住期間を超えて長生きされた場合のリスク費用などに充当されます。この部分は、基本的に返還対象とならないことが一般的です。
均等償却(期間償却)
初期償却を引いた残りの金額を、あらかじめ定められた償却期間(想定居住期間)で割り、毎月少しずつ家賃相当額として充当していく仕組みです。償却期間は施設によって異なり、5年(60ヶ月)〜15年(180ヶ月)程度で設定されることが多くなっています。

退去時に戻ってくるお金と戻らないお金

入居一時金の返還金は、「まだ償却されていない(使い切っていない)前払い金」がある場合に発生します。退去理由が「本人都合による転居」であっても「ご逝去」であっても、契約上の計算式に基づいて残額があれば返還されます。

返還されるお金
均等償却期間中に退去した場合の「未償却残高」です。まだ施設を利用していない将来分の家賃を前払いしている状態ですので、この分は返還されます。
返還されないお金
「初期償却分」および、退去時までにすでに経過した期間分の「償却済み金額」は戻ってきません。また、居室のクリーニング代や原状回復費用が別途必要になる場合は、返還金から差し引かれることがあります。

返還金制度がある施設とない施設の違い

すべての老人ホームで入居一時金が必要なわけではありません。近年では、利用者のニーズに合わせて支払い方法を選択できる施設が増えています。

資金計画に合わせてプランを選ぶことが大切ですが、初期費用が高額な一時金プランを選ぶ際は、万が一の早期退去に備えて返還金の規定を必ず確認する必要があります。

料金プラン 特徴 返還金の有無
入居一時金プラン まとまった費用を前払いし、月額利用料を抑えるプラン。 償却期間内の退去であれば、返還金が発生します。
月払いプラン 入居一時金が0円、または敷金のみで、月々の支払額が高くなるプラン。 前払い金がないため、基本的に返還金はありません(敷金は精算後返還)。

早期退去を守る短期解約特例(90日ルール)とクーリングオフ

老人ホームへの入居後、「本人の状態が急変し入院することになった」「施設の雰囲気がどうしても合わない」といった理由で、入居してすぐに退去せざるを得なくなるケースがあります。こうした事態に備え、入居者を保護するための特別な制度が設けられています。

3ヶ月以内の退去で適用される90日ルールとは

有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅の一部を含む)には、老人福祉法に基づき短期解約特例、通称90日ルールという入居者保護規定が設けられています。

制度の概要
入居後3ヶ月(90日)以内に契約を終了(退去または死亡)した場合、施設側は入居一時金の全額を返還しなければならないというルールです。
重要なポイント
このルールが適用される場合、通常であれば差し引かれる初期償却を行うことができません。つまり、本来は戻ってこないはずの初期費用部分も含めて、前払いしたお金の大部分が戻ってくることになります。

老人ホーム契約におけるクーリングオフの適用可否

商品購入などの契約トラブルでよく耳にする「クーリングオフ」ですが、老人ホームの入居契約においては、原則として適用されません。

クーリングオフは、訪問販売など「不意打ち的」な勧誘から消費者を守る制度です。老人ホームの契約は、通常、入居者や家族が施設へ出向き、じっくりと説明を受けた上で締結するものとみなされるため、適用外となります。

ただし、以下のような特殊なケースでは適用される可能性があります。

  • 施設職員が自宅を訪問し、その場で強引に契約を迫られた場合
  • 契約場所が施設や営業所以外の場所(喫茶店や自宅など)であった場合

基本的には「90日ルール」が入居者保護の主軸となると覚えておきましょう。

90日ルール適用時でも返還されない費用

「90日ルールなら全額戻ってくる」と誤解されがちですが、実際には「利用した期間の対価」は支払う必要があります。無料で3ヶ月間住めるわけではありません。

つまり、入居一時金として預けた金額から、下記の実費分を差し引いた残りの金額が返還されます。

家賃相当額
入居していた日数分の日割り家賃。
サービス対価
入居していた日数分の介護サービス費や生活支援サービス費。
実費負担分
実際に食べた食事代、使用した水道光熱費など。
原状回復費用
入居者の故意や過失で居室を汚損・破損させた場合の修繕費。

いくら戻る?返還金の計算式と償却期間

では、実際に退去した場合、どれくらいのお金が戻ってくるのでしょうか。ここでは一般的な計算式と、具体的なシミュレーションを紹介します。

返還金の基本的な計算式

多くの有料老人ホームでは、以下のような計算式を用いて返還金を算出します。

(入居一時金 − 初期償却額) ÷ 償却期間の日数 × 契約終了日から償却期間満了日までの日数 = 返還金

少し複雑に見えますが、簡単に言うと「前払いしたお金のうち、まだ住んでいない期間分のお金を返す」という計算です。

※施設によって計算式(特に日割りか月割りかなど)が異なる場合があるため、重要事項説明書での確認が必須です。

初期償却率と償却期間の重要性

返還金の額を大きく左右するのが初期償却率償却期間の設定です。

初期償却率
0%〜30%程度が一般的です。この割合が高いほど、入居時に差し引かれる額が大きくなり、手元に戻る返還金は少なくなります。
償却期間
5年(1,825日)〜7年(2,555日)程度が目安です。償却期間が長いほど、月々の償却額(家賃充当額)は少なくなりますが、期間満了前に退去した場合の返還対象期間も長くなります。

入居期間別の返還金シミュレーション

ここでは、以下の条件で契約した場合の返還金をシミュレーションしてみましょう。

入居一時金 500万円
初期償却 20%(100万円)
償却期間 5年(1,825日)
計算の基礎となる額 400万円(500万円 − 100万円)

入居後すぐに退去した場合の計算例

条件
入居後60日で退去(90日ルール適用)

この場合、初期償却(100万円)は無効となり、500万円全額が計算の対象となります。そこから60日分の家賃やサービス費の実費を引いた額が返還されます。

想定実費(家賃等)
1日あたり4,000円 × 60日 = 24万円
返還金
500万円 − 24万円 = 476万円

償却期間の半分で退去した場合の計算例

条件
入居後2年6ヶ月(約912日)で退去

償却期間5年の半分が経過しているため、均等償却分の残り半分が返還されます。初期償却分(100万円)は戻りません。

基礎額
400万円
未利用期間
残り2年6ヶ月
返還金
400万円 × 50% = 200万円

償却期間満了後に退去した場合

条件
入居後6年経過して退去

償却期間(5年)を過ぎているため、前払いした家賃相当額はすべて使い切ったとみなされます。

返還金
0円

償却期間が終わった後も住み続ける場合は、追加の一時金は不要ですが、毎月の管理費や食費などの支払いは継続します。施設によっては、償却期間終了後の月額費用が下がるケースもあります。

返還金にまつわる税金と相続の取り扱い

入居一時金が返還された場合、それは「資産」や「収入」として扱われるのでしょうか。税務上の注意点も押さえておきましょう。

受け取った返還金は相続税の課税対象になるか

入居者が亡くなられたことによって遺族に返還金が支払われる場合、このお金は故人の財産とみなされ、相続税の課税対象となります。

返還金を受け取る権利(返還金請求権)は、預貯金や不動産と同様に相続財産に含まれます。相続手続きの際は、施設から発行される精算書などを保管し、正確な金額を把握しておく必要があります。

返還金を受け取った際の医療費控除の修正申告

老人ホームの入居一時金の一部(介護サービス対価に相当する部分など)は、確定申告で医療費控除の対象として申告できる場合があります。しかし、その後に返還金を受け取った場合は注意が必要です。

修正申告の必要性
入居時に支払った一時金について医療費控除を受けていた場合、後日返還金を受け取ると、「支払った医療費」が減額されたことになります。そのため、過去に申告した医療費控除額を修正し、税務署へ修正申告を行わなければならない可能性があります。

税務処理は個別の契約内容や状況によって異なるため、詳細は税理士や最寄りの税務署へ相談することをお勧めします。

よくある返還金トラブルと契約前のチェックポイント

返還金をめぐるトラブルは、国民生活センターなどにも多く寄せられています。トラブルを未然に防ぐために、契約前に確認すべきポイントをまとめました。

契約書と重要事項説明書で確認すべき項目

契約を結ぶ際は、必ず「入居契約書」と「重要事項説明書」の内容を照らし合わせながら確認してください。特に以下の項目は要注意です。

起算日の定義
「入居日」とはいつを指すのか(契約日か、鍵の引渡日か、実際に荷物を運び込んだ日か)。90日ルールのカウントダウンはこの日から始まります。
初期償却の有無と割合
初期償却があるのか、ある場合は何パーセントか。
償却期間と計算式
日割り計算か月割り計算か。月割りの場合、1日でも過ぎると1ヶ月分償却されるのか。

退去時の原状回復費用と精算トラブル

退去時に最も多いのが、居室の修繕費用(原状回復費)に関するトラブルです。

通常損耗と経年劣化
普通に生活していてできる壁紙の日焼けや家具の設置跡などは、施設側が負担するのが一般的です(国土交通省のガイドラインに準拠する場合が多い)。
特約の有無
契約書に「退去時は一律◯万円のクリーニング代を支払う」といった特約が記載されている場合があります。契約時にこの特約について十分な説明を受け、納得しているかどうかが重要です。

運営会社が倒産した場合の保全措置

万が一、入居中に老人ホームの運営会社が倒産してしまった場合、預けた入居一時金はどうなるのでしょうか。

老人福祉法では、入居一時金の保全措置(前受金保全措置)を講じることが義務付けられています(2021年4月以降、全ての有料老人ホームで完全義務化)。

保全措置の内容
銀行や信託銀行などと契約を結び、万が一の際には入居一時金の未償却残高の一定額(通常500万円まで)が保証される仕組みです。

契約を検討している施設が、どこの金融機関でどのような保全措置を講じているか、必ず確認しましょう。保全措置が講じられていない施設は法令違反の状態にある可能性が高く、リスクが高いと言えます。

関西で老人ホーム探しなら「笑がおで介護紹介センター」へ相談

老人ホームの契約形態や費用体系は非常に複雑で、施設ごとに細かいルールが異なります。パンフレットやウェブサイトの情報だけで、返還金の仕組みや将来のリスクをすべて理解するのは容易ではありません。

「契約書の内容が難しくてよく分からない」「この施設は初期償却が高い気がするけれど適正なの?」といった疑問をお持ちの方は、ぜひ「笑がおで介護紹介センター」へご相談ください。

専門知識を持つ相談員が施設選びを無料でサポート

当センターでは、関西エリア(大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山・滋賀・三重)の老人ホーム事情に精通した専門の相談員が、お客様の施設探しをサポートします。

費用の透明性を重視
月額費用だけでなく、入居一時金の償却償却や退去時の返還金規定まで含めたトータルコストで比較検討できるよう、分かりやすくご説明します。
第三者の視点でアドバイス
特定の施設に偏ることなく、中立的な立場から、お客様の予算や希望条件に最も合った施設をご提案します。

入居後のミスマッチを防ぐための丁寧なヒアリング

「せっかく入居したのに、すぐに退去することになってしまった」という事態は、金銭的にも精神的にも大きな負担となります。そのようなミスマッチを防ぐため、私たちは事前のヒアリングを何よりも大切にしています。

将来を見据えた提案
現在のお身体の状態だけでなく、将来的に介護度が上がった場合や医療措置が必要になった場合でも住み続けられるかどうかも考慮し、長期的な視点での施設選びをお手伝いします。

相談料や紹介料は一切かかりません。お電話やメールで、まずはお気軽にお問い合わせください。安心できる老後の住まい探しを、私たちが全力でサポートいたします。

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監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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