老人ホームの夜間体制は大丈夫?看護師・介護士の配置人数や緊急時の対応を解説

大切なご家族が老人ホームに入居した後、ご家族がそばにいない夜間にどのようなケアが行われているのか、不安に感じる方は少なくありません。「夜中に体調が急変したらどうなるのか」「トイレに行きたい時にすぐ気付いてもらえるのか」といった心配は、施設選びにおいて最も気になるポイントの一つです。
実際に、老人ホームの夜間帯は日中に比べて職員の数が少なくなります。しかし、法律に基づいた配置基準や、緊急時に備えたオンコール体制、最新の見守りセンサーの活用など、安全を守るための様々な仕組みが整えられています。
本記事では、老人ホームの夜間体制の実態や、看護師・介護士の役割分担、緊急時の具体的な対応フローについて詳しく解説します。夜間の安全性を見極めるポイントを知り、安心して生活できる施設選びにお役立てください。
老人ホームの夜間体制とは?介護士と看護師の役割
老人ホームの夜間体制は、入居者の安眠を守りつつ、突発的な事態に備えるために組織されています。日中はレクリエーションやリハビリなどで活動的な時間が多い一方、夜間は静寂な環境の中で「見守り」と「緊急対応」が主業務となります。
ここでは、夜間における介護士と看護師の役割の違いや、人員配置の基準について解説します。
介護士による生活支援と看護師による医療ケアの違い
夜間の老人ホームでは、主に介護士(介護職員)が常駐して入居者のケアにあたりますが、看護師との役割分担は明確に異なります。それぞれの職種が担当する業務範囲を理解しておくことは、入居後の生活イメージを持つために重要です。
- 介護士(介護職員)
- 夜勤業務の主力となり、施設に常駐します。主な役割は、就寝中の安否確認(巡回)、トイレへの誘導やオムツ交換などの排泄介助、寝返りが打てない方への体位変換などです。また、眠れない入居者の話し相手になったり、徘徊がある方の安全確保を行ったりと、生活全般のサポートを担います。
- 看護師
- 医療的な判断や処置を専門に行います。夜間に常駐している場合と、自宅などで待機する「オンコール体制」の場合があります。主な役割は、痰の吸引、インスリン注射、経管栄養の管理などの医療行為や、体調不良時のバイタルチェック(血圧・体温測定)、医師への報告などです。
介護士はあくまで生活支援のプロであり、原則として医療行為を行うことはできません(※一定の研修を受けた場合の痰の吸引などを除く)。そのため、夜間の医療ニーズが高い方の場合は、看護師との連携体制がどのようになっているかが非常に重要になります。
法律で定められた夜間の職員配置基準と実態
老人ホームには、介護保険法などの法令により、最低限配置しなければならない職員の数が決められています。これを「配置基準」と呼びます。夜間の配置基準は施設の種類によって異なりますが、日中に比べると少ない人数で運営されるのが一般的です。
| 施設の種類 | 配置基準の目安 |
|---|---|
| 介護付き有料老人ホーム (特定施設入居者生活介護) | ご入居者の人数や要介護度に応じて配置数が変わりますが、一般的には入居者数に応じた一定数以上の夜勤職員または宿直職員の配置が義務付けられています。小規模な施設であっても、夜間に無人になることはありません。 |
| 特別養護老人ホーム (介護老人福祉施設) | 入居定員25名以下であれば1名以上、26名以上であれば数名以上の夜勤職員の配置が義務付けられています。ユニット型と呼ばれる個室タイプの施設では、2ユニット(約20名)につき1名の夜勤者を配置するなど、より手厚い基準が設けられている場合もあります。 |
ただし、これらはあくまで「最低基準」です。手厚い介護を売りにしている施設では、基準よりも多くのスタッフを配置し、ナースコールへの即応性を高めているところもあります。
介護付き有料老人ホームやサ高住など施設形態による違い
老人ホームの種類によっても、夜間の体制は大きく異なります。
- 介護付き有料老人ホーム
- 24時間体制で介護スタッフが常駐しており、食事・排泄・入浴などの介護サービスを施設のスタッフが提供します。夜間のケアも計画的に組み込まれており、定期的な巡回やコール対応が行われます。
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホーム
- 基本的には「住宅」としての扱いとなるため、夜間の職員配置義務は施設形態により異なります。多くの場合、職員は常駐していますが、夜間の介護サービスを受けるには、外部の訪問介護事業所と契約が必要なケースや、施設独自のオプションサービスを利用するケースがあります。
「夜間対応型訪問介護」などを利用しない限り、夜間のオムツ交換などが定額サービスに含まれていない場合もあるため、契約内容の確認には注意が必要です。
夜間の医療的ケアと「看護師常駐」と「オンコール」の違い
夜間の安心感を左右する大きな要素が、医療対応の体制です。特に持病がある方や医療依存度が高い方にとって、夜間に看護師がいるかどうかは切実な問題です。ここでは「看護師常駐」と「オンコール」という2つの体制について詳しく解説します。
24時間看護師が常駐する施設の安心感とメリット
「24時間看護師常駐」とは、日中だけでなく夜間も必ず看護師が施設内に勤務している体制を指します。
- メリット
- 夜間であっても、痰の吸引、点滴の管理、酸素吸入などの医療行為が途切れなく受けられます。また、体調急変時に看護師がその場で即座にバイタルチェックを行い、救急搬送の必要性を医学的見地から判断できるため、救命率の向上や不必要な搬送の回避につながります。
- 対象となる方
- 常に医療処置が必要な方(気管切開、常時酸素吸入、頻回な痰吸引など)や、ターミナルケア(終末期ケア)を希望され、最期まで施設で過ごしたいと考えている方にとって、看護師常駐は非常に心強い体制です。
ただし、看護師を24時間確保することは施設側にとって人件費の負担が大きいため、24時間看護師常駐の施設は全体数としては少なく、費用(家賃や管理費)が高額になる傾向があります。
多くの施設で導入されているオンコール体制の仕組み
多くの有料老人ホームや特別養護老人ホームで採用されているのが「オンコール体制」です。これは、夜間は看護師が施設には不在ですが、電話連絡が取れる状態で自宅待機している仕組みです。
- 仕組み
- 夜勤中の介護スタッフが入居者の異変に気づいた際、担当の看護師に電話連絡(オンコール)を行います。看護師は電話で状況を聞き取り、救急車を呼ぶべきか、様子を見るべきか、あるいは看護師自身が施設へ駆けつけるべきかを指示します。
- 安心のポイント
- 常に看護師がいるわけではありませんが、24時間365日、医療的な判断を仰げるルートが確保されています。一般的な健康状態の方や、病状が安定している方であれば、オンコール体制でも十分な安全性が確保されています。
痰の吸引やインスリンなど夜間の医療行為への対応
夜間の医療行為への対応は、看護師の有無によって大きく変わりますが、一部の行為については条件付きで介護職員が実施できる場合もあります。
- インスリン注射
- 原則として医療行為であるため、ご自身で注射が打てない場合、看護師による対応が必要です。そのため、夜間にインスリン投与が必要な方は、24時間看護師常駐の施設を選ぶ必要があります。
- 痰の吸引・経管栄養
- これらは医療行為ですが、「喀痰吸引等研修」を修了し、認定を受けた介護職員であれば実施が可能です。ただし、施設が「登録特定行為事業者」として登録されている必要があります。
夜間の医療ニーズがある場合は、「その行為が夜間に必要か」「誰が実施するのか」を施設ごとに細かく確認することが大切です。
夜間の巡回業務や見守りセンサーによる安全確保
夜間、職員はナースステーションに座っているだけではありません。入居者が安全に休めているかを確認するために、定期的な業務を行っています。また、近年ではテクノロジーを活用して安全性を高める取り組みも進んでいます。
定期的な巡回による安否確認と排泄介助
介護職員の主要な夜間業務の一つが「巡回」です。一般的には2時間~3時間おきに各居室を回り、以下の確認を行います。
- 安否確認
- 呼吸状態や顔色に異常がないか、布団から落ちていないかなどを確認します。ドアを静かに開けて確認する施設もあれば、訪室せずに気配を確認する場合もあります。
- 排泄介助
- オムツを使用されている方への定期的な交換や、トイレに行きたい方の誘導を行います。夜間の排泄ケアは、床ずれ(褥瘡)の予防や、皮膚トラブルを防ぐためにも非常に重要です。
- 体位変換
- ご自身で寝返りが打てない方に対し、体の向きを変えて血流を良くし、床ずれを防ぎます。
巡回の頻度や方法は、入居者一人ひとりのケアプラン(介護計画)に基づいて決定されます。安眠を妨げないよう、必要最低限の明かりと静かな動作で行われます。
見守りセンサーや眠りスキャンなどICT機器の活用
近年、急速に普及しているのが「見守りセンサー」などのICT機器です。これらは職員不足を補うだけでなく、ケアの質を向上させる効果があります。
- ベッドセンサー(眠りスキャンなど)
- マットレスの下などに設置し、入居者の呼吸数、心拍数、睡眠状態、覚醒、離床(ベッドから起き上がること)をリアルタイムで検知します。
- メリット
- 職員が定期的に部屋に入って確認する必要が減るため、ドアの開閉音や足音で入居者の目を覚ましてしまうことを防げます。また、「ベッドから起き上がった」瞬間に職員の端末に通知が届くため、転倒事故が起きる前に駆けつけて介助することが可能になります。
このように、人の目とセンサーの目の両方を活用することで、夜間の安全性がより強固に守られています。
ナースコールが鳴った際のスタッフの動きと対応
居室のベッド脇やトイレにはナースコールが設置されています。これが押されると、スタッフが持つPHSやスマートフォンの端末が一斉に鳴動します。
- スタッフの動き
- コールが鳴ると、スタッフは手元の端末で「どの部屋の誰からの呼び出しか」を確認します。対応可能なスタッフが即座に「行きます」と声を掛け合い、居室へ向かいます。
- 優先順位の判断
- 夜間はスタッフ数が限られているため、同時に複数のコールが鳴ることもあります。その際は、緊急性の高い方(転倒の危険がある方や体調不良の方など)を優先して対応します。単なる寂しさからのコールや、頻回なコールの場合でも、一度は訪室して状況を確認し、安心していただけるよう声かけを行います。
緊急時や体調急変時の対応フローと医療連携
夜間に最も懸念されるのが、入居者の体調が急変した時です。老人ホームでは、緊急時に迷わず行動できるよう、具体的な対応フロー(マニュアル)が整備されています。
医師や家族への連絡から救急車手配までの流れ
体調急変が発見された場合、基本的には以下のような流れで対応が進みます。
- 1. 発見と一次対応
- 巡回中やナースコールで異常を発見したスタッフは、直ちに応援を呼び、バイタル測定や意識確認を行います。嘔吐物があれば喉に詰まらせないようにするなどの応急処置を行います。
- 2. 医療職への連絡
- オンコール体制の看護師や、場合によっては主治医に連絡し、現在の状況(数値や症状)を正確に伝えます。
- 3. 指示に基づく対応
- 医師や看護師の指示に従い、救急車を要請します。救急車が到着するまでの間、スタッフは救急隊員に引き継ぐための情報(既往歴、服用中の薬、発見時の状況など)をまとめた書類(救急搬送シートなど)を準備します。
- 4. ご家族への連絡
- 並行して、緊急連絡先に登録されているご家族へ電話連絡を行います。状況を説明し、搬送先の病院へ向かっていただくよう依頼します。
協力医療機関との連携体制とバックアップ
すべての老人ホームには、法令により「協力医療機関」を定めることが義務付けられています。これは、入居者の健康管理や緊急時の対応において連携する病院やクリニックのことです。
- 協力医療機関の役割
- 定期的な訪問診療を行うだけでなく、夜間や休日の緊急時における相談窓口となったり、入院が必要になった際の受け入れ先となったりします。
- 連携の深さ
- 施設と協力医療機関との間で、入居者の医療情報が共有されているため、緊急時でもスムーズな診療が可能になります。特に、24時間救急外来を受け付けている総合病院と連携している施設であれば、夜間の急変時にも迅速な入院対応が期待できます。
看取りやターミナルケアにおける夜間の対応方針
人生の最期を施設で迎える「看取り(ターミナルケア)」を行う場合、夜間の対応は特に重要になります。
- 事前の方針確認
- 看取り期に入ると、医師、看護師、施設スタッフ、ご家族の間で、急変時にどのような対応をするか(心臓マッサージや人工呼吸器の装着などの延命治療を行うかどうか)を事前に話し合い、文書に残します(DNAR等の確認)。
- 夜間の看取り
- 夜間に呼吸が停止したような場合、スタッフは慌てて救急車を呼ぶのではなく、ご家族と医師に連絡します。ご家族が到着し、医師による死亡確認が行われるまで、スタッフは静かに寄り添い、最期の時を見守ります。
このように、緊急時の対応は「救命を最優先する場合」と「自然な最期を支える場合」で異なり、事前の合意形成に基づいて行われます。
夜間体制に不安を残さない施設選びのチェックポイント
パンフレットやウェブサイトの情報だけでは、実際の夜間の雰囲気やスタッフの動きまでは分かりません。施設見学や相談の際に、必ず確認しておきたいチェックポイントをご紹介します。
入居者数に対する実際の夜勤スタッフの配置人数
「基準を満たしているか」だけでなく、具体的な人数を確認しましょう。
- 確認すべき質問例
- 「夜勤のスタッフさんは全体で何名いらっしゃいますか?」 「このフロアのご入居者何名に対して、スタッフさんは何名ですか?」
例えば、同じ「夜勤職員2名」でも、入居者が30名の施設と60名の施設では、一人あたりの負担や対応の早さが全く異なります。また、早番・遅番の勤務時間がどうなっているか(夜勤者が一人になる時間がどれくらい長いか)も重要なポイントです。
緊急時対応マニュアルの有無とスタッフへの教育体制
緊急時の対応力が高い施設かどうかは、教育体制に表れます。
- 確認すべきポイント
- 緊急対応マニュアルが整備され、スタッフがすぐに手に取れる場所にあるか。 夜間を想定した避難訓練や、救命講習(AEDの使い方など)を定期的に実施しているか。
質問に対して、相談員や施設長が「年に○回、消防訓練と合わせて救急搬送のシミュレーションを行っています」などと具体的に答えられる施設は信頼性が高いと言えます。
見学時に確認したい夜間の雰囲気や静けさ
施設見学は日中に行われることが多いため、夜の様子を知ることは難しいですが、想像するためのヒントはあります。
- 夕方の見学
- 可能であれば、夕食前の夕方(16時~17時頃)に見学に行くと、日中のスタッフが帰り始め、夜勤スタッフへの申し送りが行われる様子や、夕暮れ時の施設の雰囲気を感じることができます。
- 廊下や居室の環境
- 夜間、トイレに行く際の足元の明かり(フットライト)は適切か、ナースコールは押しやすい位置にあるか、職員の詰め所(スタッフルーム)から居室までの距離は遠すぎないか、などを確認しましょう。
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ここまで老人ホームの夜間体制について解説してきましたが、一般の方が施設の内部事情や、夜勤スタッフの実質的な配置人数まで正確に把握するのは容易ではありません。
「看護師常駐と書いてあったが、実はオンコールだった」「夜間のスタッフ数が思っていたより少なかった」といったミスマッチを防ぐためにも、関西で老人ホームを探すなら「笑がおで介護紹介センター」へご相談ください。
施設の夜間人員体制や設備状況をプロが詳しく解説
「笑がおで介護紹介センター」の相談員は、大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、三重の各施設の詳細な情報を把握しています。
- 情報の質
- パンフレットには載っていない、実際の夜勤スタッフの人数や、導入されている見守りセンサーの種類、提携病院との連携の強さなど、現場のリアルな情報をお伝えできます。
- マッチング
- 「夜間のたん吸引が欠かせない」「夜中に何度もトイレに起きるので心配」といったご入居者様ごとの身体状況に合わせて、本当に安心して夜を過ごせる体制が整った施設をご提案します。
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- 見学同行のメリット
- 見学時には、相談員がお客様に代わって「夜間の緊急時の対応はどうなっていますか?」「昨夜のナースコールの頻度はどれくらいでしたか?」といった、聞きにくいけれど重要な質問を施設側に確認します。
夜間の体制は、入居者様の命と生活の質に関わる最も重要な要素の一つです。自分たちだけで悩まず、ぜひプロの知見を活用して、心から安心できる住まいを見つけてください。

このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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