認知症の中核症状とは?失語・失行・失認の具体例と適切な対応方法を解説

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認知症の中核症状とは?失語・失行・失認の具体例と適切な対応方法を解説
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ご家族が認知症と診断された際、「なぜ同じことを何度も聞くのか」「なぜ当たり前にできていたことができなくなるのか」と戸惑うことは少なくありません。認知症には、脳の細胞が壊れることで直接起こる「中核症状」と、環境や性格が影響して現れる「周辺症状(BPSD)」があります。結論から申し上げますと、中核症状は脳の障害による避けられない症状であり、周囲がその特性を正しく理解し、「否定せず安心感を与える対応」「非言語コミュニケーション」を取り入れることが、介護負担を軽減する鍵となります。本記事では、記憶障害見当識障害に加え、理解が難しいとされる失語・失行・失認の具体例と、今日から実践できる適切な接し方を分かりやすく解説します。

認知症の中核症状とは?周辺症状(BPSD)との違いと原因

認知症の症状は、大きく「中核症状」「周辺症状(BPSD)」の二つに分けられます。中核症状は、脳の神経細胞がダメージを受けることで直接的に引き起こされる症状を指します。

これに対し、周辺症状(行動・心理症状:BPSD)は、中核症状に本人の性格や置かれている環境、人間関係などが複雑に絡み合って現れる精神症状や行動を指します。まずはこの二つの違いを整理しましょう。

脳の細胞が壊れることで直接起こる中核症状の仕組み

中核症状は、認知症の原因となる疾患(アルツハイマー型、レビー小体型、血管性など)によって脳の細胞が脱落したり、働きが低下したりすることで起こります。例えば、記憶を司る「海馬」が萎縮すれば記憶障害が起こり、物事を論理的に考える「前頭葉」の機能が低下すれば実行機能障害が起こります。これらは病気そのものによる症状であるため、本人の努力や性格の問題ではなく、周囲の適切なサポートが必要不可欠です。

環境や性格に左右される周辺症状(BPSD)との関係性

周辺症状(BPSD)は、中核症状という土台の上に、不安や焦り、不適切なケアなどが加わることで現れます。

周辺症状の具体例

徘徊、抑うつ、暴言・暴力、幻視、不潔行為、睡眠障害などが挙げられます。

中核症状は誰にでも現れますが、周辺症状は適切なケアや環境調整によって、症状を和らげたり、出現を抑えたりすることが可能です。

なぜ中核症状を知ることが介護の負担軽減につながるのか

中核症状を正しく理解することは、介護者の心の安定に直結します。「なぜできないのか」という怒りが、「病気のせいで分からなくなっているのだ」という理解に変わるからです。症状の特性が分かれば、先回りして環境を整えたり、本人が失敗しにくい声掛けを選んだりできるようになります。結果として、介護の空回りが減り、お互いのストレスを軽減することにつながります。

代表的な中核症状の具体例と日常生活への影響

中核症状の中でも、多くの認知症の方に見られる「三大症状」が、記憶障害見当識障害実行機能障害です。

記憶障害

新しいことを覚えられない・昔のことは覚えている

記憶障害は、認知症の最も代表的な症状です。単なる「物忘れ」とは異なり、体験したことそのものを丸ごと忘れてしまうのが特徴です。

症状の特徴 数分前や数時間前の出来事を忘れる「近時記憶の障害」が目立ちます。
日常生活への影響 何度も同じ質問を繰り返す、薬の飲み忘れ、食事をしたことを忘れるといったことが起こります。
残る能力 古い記憶(子供の頃のことや若い頃の習慣)は比較的長く保たれる傾向にあります。

見当識障害

時間・場所・人物の感覚がわからなくなる

見当識とは、今がいつで、ここがどこかといった、自分を取り巻く状況を正しく認識する機能です。

1. 時間の見当識障害
日付や季節、昼夜の区別がつかなくなります。深夜に「仕事に行かなければ」と起き出すなどの行動が見られます。
2. 場所の見当識障害
慣れ親しんだ道で迷ったり、自宅の中にいても自分の部屋やトイレの場所が分からなくなったりします。
3. 人物の見当識障害
親族や友人の顔は分かるが関係性が分からなくなったり、症状が進むと家族を他人と間違えたりします。

実行機能障害

料理の段取りや家電操作など計画的な行動ができない

実行機能障害とは、物事を論理的に考え、計画を立てて順序よく実行することが困難になる状態です。

調理ができなくなる 献立を考え、並行して複数の料理を作るなどの複雑な工程がこなせなくなり、同じ味付けを繰り返したりします。
家電製品の操作ミス テレビのリモコン、電子レンジ、洗濯機などの使い方が分からなくなり、日常生活に支障が出ます。
金銭管理の困難 ATMの操作ができなくなったり、買い物の際に計算が追いつかず、小銭がたまったりします。

「失語・失行・失認」の意味と現れやすい症状

中核症状の中には、一見すると性格の変化やわざとやっているように見えてしまう「失語・失行・失認」という症状があります。

失語

言葉が出ない・相手の話を正しく理解できない

失語とは、喉や口の筋肉には問題がないのに、脳の言語領域が損傷することで「話す・聞く・読む・書く」ができなくなる状態です。

運動性失語

相手の言葉は理解できているようですが、自分が言いたい言葉がうまく出てこない状態です。

感覚性失語

言葉は流暢に出ますが、相手の話している内容が理解できず、会話が成立しにくい状態です。

喚語困難

「あれ」「それ」などの指示代名詞が増え、物の名前(鉛筆、時計など)がパッと出てこなくなります。

失行

身体機能は正常なのに服の着方や道具の使い方がわからない

失行とは、手足の麻痺などはないのに、これまで当たり前にできていた「動作」の手順が分からなくなる症状です。

着衣失行

服の上下左右が分からない、袖に足を通そうとする、ボタンの掛け方が分からなくなるといった様子が見られます。

観念失行

道具を正しく使えません。例えば、歯ブラシで髪をとかそうとしたり、箸の使い方が分からなくなったりします。

失認

視覚や聴覚に問題がなくても対象物を正しく認識できない

失認とは、目や耳などの感覚器は正常なのに、捉えた対象が「何であるか」を脳が正しく認識できない状態です。

視覚失認

目の前にあるものが「メガネ」であることは見えていても、それが何に使う道具なのかが分かりません。

相貌失認

人の顔の区別がつかなくなります。鏡に映った自分を他人だと思い込み、話しかける(鏡現象)こともあります。

中核症状への具体的な対応方法と接し方のポイント

中核症状そのものを完治させることは現在の医療では難しいですが、周囲の対応を工夫することで、本人の不安を取り除き、生活を安定させることは可能です。

記憶障害や見当識障害には「否定せず安心感を与える」対応を

記憶障害がある方にとって、忘れていることを指摘されたり、叱られたりすることは、理由の分からない恐怖や悲しみにつながります。

何度も同じことを聞かれたら

「さっきも言ったでしょ」と否定せず、初めて聞かれた時のように、優しく短い言葉で答えましょう。

見当識障害で帰宅願望が出たら

「ここはあなたの家ですよ」と正論で説得するのではなく、「お茶を飲んでから一緒に帰りましょうか」と、まずは本人の気持ちに寄り添い、安心感を与えます。

実行機能障害には「手順を細分化して一つずつ伝える」工夫

一度に多くの情報を処理できなくなっているため、指示や説明はシンプルにするのが鉄則です。

1. 工程を一つずつ伝える
「着替えて、顔を洗って、ご飯を食べて」とまとめて言わず、「まず、この服に着替えましょう」と一つずつ伝えます。
2. 選択肢を絞る
「何が食べたい?」と漠然と聞くのではなく、「魚とお肉、どちらがいいですか?」と二択で選べるようにします。
3. 目印を活用する
トイレや個室のドアに、文字だけでなく「写真」や「イラスト」のマークを貼ることで、直感的に判断できるようにします。

失語・失行・失認には「非言語コミュニケーション」を活用する

言葉を通じたコミュニケーションが難しい場合は、五感に訴えかける方法が有効です。

ジェスチャーや写真を使って視覚的に情報を伝える方法

言葉だけで説明しようとせず、実物を見せたり、身振り手振りを加えたりします。

食事に誘う場合

「ご飯ですよ」と言うだけでなく、茶碗を持って食べる仕草を見せることで、動作の理解を助けます。

道具を使う場合

使い方の説明をするよりも、介護者が実際に使ってみせて、その後に「一緒にやりましょう」と促します。

焦らせず本人のペースに合わせた動作のサポート

「早くして」という急かしは、脳の混乱を招き、さらなる失敗を引き起こします。本人が動作を始めようとしている時は、じっと見守る時間を持つことが大切です。動作が止まってしまったら、さりげなく次の動作のきっかけを作る程度のサポートにとどめ、本人の「自分でできた」という自尊心を尊重しましょう。

中核症状が進んだ場合の介護施設選びと検討のタイミング

認知症は少しずつ進行する病気です。中核症状が進み、24時間の見守りが必要になったり、周辺症状(BPSD)が強くなったりした場合、ご家族だけで抱え込むのは非常に危険です。

自宅介護の限界を感じる前に知っておきたい専門施設の種類

認知症の方が利用できる施設には、様々な選択肢があります。

施設の種類 特徴
グループホーム 5〜9人の少人数で共同生活を送りながら、専門スタッフのサポートを受けます。認知症ケアに特化しています。
有料老人ホーム 介護付、住宅型などがあり、生活の自由度を保ちつつ、手厚い介護サービスを受けられる施設が多いです。
特別養護老人ホーム 要介護3以上の方が対象で、重度の認知症や身体介護が必要な場合でも長期入居が可能です。

認知症ケアに力を入れている老人ホームのチェックポイント

施設を選ぶ際は、単なる設備の綺麗さだけでなく、認知症への理解度を確認することが重要です。

スタッフの専門性と対応

認知症ケアに関する研修を定期的に行っているか、入居者に対して穏やかで丁寧な言葉遣いをしているかを確認します。

生活環境の工夫

認知症の方が混乱しにくい動線になっているか、なじみの家具を持ち込めるか、徘徊対策などの安全管理がなされているかを見ます。

アクティビティの充実

回想法や音楽療法など、認知機能を刺激し、穏やかに過ごせるプログラムがあるかチェックしましょう。

早い段階で施設情報を収集しておくメリット

「まだ家でみられる」と思っている時期から情報を集めておくことには、大きなメリットがあります。いざ緊急で入居が必要になった際、納得のいかない施設選びをしてしまう後悔を防げます。また、複数の施設を比較検討する時間があれば、本人の性格やこだわり、予算にぴったりの「第2の我が家」を見つけやすくなります。

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大阪、兵庫、京都、奈良など、関西エリアで認知症の方に最適な施設をお探しの方は、ぜひ「笑がおで介護紹介センター」にご相談ください。

専門の相談員が認知症の症状に合わせた最適な施設をご提案

当センターでは、認知症の中核症状や周辺症状の特性を熟知したプロの相談員が、ご本人の現在の状態、ご家族のご要望を丁寧にヒアリングいたします。数ある施設の中から、認知症ケアに定評のあるホームや、穏やかに過ごせる環境の施設を厳選してご紹介します。

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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