認知症の「性的逸脱行動」にどう対応する?家族の戸惑いと薬・施設での対策

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認知症の介護において、ご家族が最も相談しづらく、精神的な負担を感じやすいのが「性的逸脱行動(性的異常行動)」です。これまで真面目だった親が、急に卑猥な言葉を発したり、異性の身体を触ったりする姿を見て、ショックを受ける方は少なくありません。しかし、これはご本人の性格が変わったのではなく、脳の病気による「症状」の一つです。

本記事では、認知症による性的逸脱行動が起こる原因や背景、ご家族ができる適切な対応策、そして薬物療法や施設選びのポイントについて詳しく解説します。一人で抱え込まず、適切な知識と対策を持つことで、介護の負担を少しでも軽減していきましょう。

認知症による性的異常行動(性的逸脱行動)とは

認知症の周辺症状(BPSD)の一つとして、性的な羞恥心の低下や、理性のコントロールが効かなくなることによって現れる行動を「性的逸脱行動」または「性的異常行動」と呼びます。

これは決して珍しいことではありませんが、介護をする家族にとっては「恥ずかしい」「誰にも相談できない」と孤立を深める原因になりがちです。まずは、この行動がどのようなものなのか、正しく理解することから始めましょう。

症状の特徴と家族が抱える羞恥心という悩み

性的逸脱行動は、言葉によるセクシャルハラスメントから、身体への接触、露出など多岐にわたります。特に、実の娘や息子、あるいは介護スタッフに対してこのような行動が向けられると、介護者は強い嫌悪感やショックを受けます。

「あんなに厳格だった父がなぜ」「母がこんなことをするなんて」という悲しみや、周囲に知られたくないという羞恥心から、ケアマネジャーや医師にさえ報告できず、家庭内で隠してしまうケースが多く見られます。しかし、隠すことで対応が遅れ、介護者のメンタルヘルスが悪化してしまうことが最大の問題です。

本人の性格ではなく病気の症状であるという理解が重要

最も大切なことは、「これは本人の性格や人間性の問題ではなく、病気による症状である」と割り切って理解することです。

認知症、特に前頭側頭型認知症などでは、脳の理性を司る部分が萎縮し、本能的な欲求を抑えるブレーキが壊れてしまっている状態にあります。本人に悪気があるわけでも、単なる性的な欲求不満だけが原因であるわけでもありません。

「病気がそうさせている」と客観的に捉えることは容易ではありませんが、そう考えることで、介護者の心理的なダメージを少しでも和らげることが、介護を続ける上での第一歩となります。

なぜ性的行動が起こるのか 主な原因と背景

性的逸脱行動への対策を立てるためには、その背景にある原因を探る必要があります。単なる性欲の現れと決めつけず、脳の機能障害や身体的・心理的な要因が複合的に絡み合っていないかを確認しましょう。

前頭側頭型認知症など脳の機能障害による理性の低下

認知症の種類によって、症状の出やすさは異なります。特に「前頭側頭型認知症(ピック病など)」は、社会的なルールを守る機能や理性を司る前頭葉に障害が出るため、本能のままに行動してしまう傾向が強く現れます。

理性のコントロール機能の低下

脳の前頭葉が萎縮することで、善悪の判断や「これをしたら恥ずかしい」という抑制が効かなくなります。その結果、場所や相手を問わず、本能的な衝動がそのまま行動に出てしまいます。

脱抑制(だつよくせい)

社会的な常識やマナーを無視した行動をとってしまう症状です。性的逸脱行動だけでなく、万引きや暴力といった反社会的な行動として現れることもあります。

不安や寂しさなど満たされない心理的要因

性的な行動の裏に、実は「寂しさ」「不安」が隠れていることがあります。人肌恋しさや、誰かに触れていてもらいたいという安心感を求める行動が、結果として他人の体に触れるという行為につながってしまうのです。

また、認知症によって自分自身の存在価値や居場所が失われつつあると感じている場合、配偶者や異性に甘えることで、精神的な安定を得ようとしている可能性もあります。心の空虚さを埋めようとするサインであるケースも少なくありません。

トイレの失敗や不快感など身体的な要因

陰部を触る、ズボンを脱ぐといった行動は、必ずしも性的な意味を持つとは限りません。身体的な不快感を取り除こうとしているだけの可能性があります。

排泄のトラブル 便秘や下痢、オムツの濡れなどが不快で、オムツを外そうとしたり、陰部を触ったりしていることがあります。
皮膚のトラブル 陰部のかゆみ(皮膚炎や感染症など)があり、無意識にかいている姿が、自慰行為のように誤解されて見えることがあります。
衣服の締め付け ズボンや下着のゴムがきつい、暑いなどの理由で、単に服を脱ぎたいだけの場合もあります。

このように、まずは身体的な不快感がないかを確認することが重要です。

服用している薬の副作用の可能性

現在服用している薬が影響している可能性も考えられます。特に、パーキンソン病の治療薬(ドパミンアゴニスト等)などの一部には、副作用として「衝動制御障害」を引き起こすものがあり、これが性的亢進につながることが報告されています。

また、抗うつ薬や抗認知症薬の一部でも、興奮作用が強く出すぎてしまい、結果として性的な活動性が高まってしまうケースがあります。薬を変更したり飲み始めた時期と、問題行動が始まった時期が重なっていないか振り返ってみましょう。

よく見られる具体的な性的行動の例

介護現場や家庭でよく見られる性的逸脱行動には、いくつかのパターンがあります。どのような行動があるのか、具体例を知っておくことで、いざという時に冷静に対処しやすくなります。

介護中に下ネタや卑猥な発言を繰り返す

入浴介助や排泄介助の最中に、介護者に対して性的な冗談や卑猥な言葉を投げかけるケースです。

卑猥な言葉の連呼

脈絡なく性的な単語を口にしたり、自分の性的な体験談を大きな声で話したりします。羞恥心が低下しているため、周囲に人がいてもお構いなしに発言してしまいます。

介護者への性的誘い

「一緒にお風呂に入ろう」「ベッドに入ってこないか」など、介護者を性的な対象として誘う言葉をかけることがあります。

これらは言葉だけの問題と軽視されがちですが、言われる側にとっては精神的な苦痛が大きく、介護拒否につながる原因にもなります。

介護者や異性の体に触るセクハラ行為

言葉だけでなく、実際に身体に触れてくる行為です。特に身体介護の場面で密着した際に起こりやすくなります。

胸やお尻を触る 介助中に抱きついたり、隙を見て介護者の胸やお尻を触ったりします。男性から女性への行為だけでなく、女性から男性へ行われることもあります。
キスを迫る 顔が近づいた瞬間にキスをしようとしたり、手を握って離さなかったりといったスキンシップを過剰に求めてくることがあります。

これらは明確なセクシャルハラスメントにあたり、介護サービスの利用停止につながることもある深刻な問題です。

人前での露出や自慰行為

家族や他人がいるリビングなどで、突然服を脱ぎ出したり、自慰行為を始めたりするケースです。

弄便(ろうべん)との区別

オムツの中に手を入れて便をいじる「弄便」と、性的な自慰行為の区別がつかないこともあります。どちらも不潔行為として家族を困惑させます。

公共の場での露出

デイサービスや散歩中の公園などで下半身を露出してしまうことがあります。これは「トイレに行きたいが場所がわからない」という混乱から、ズボンを下ろしてしまっている場合も多く見られます。

家族ができる適切な対応と接し方のポイント

性的逸脱行動に対して、家族はどう接すればよいのでしょうか。感情的に反応してしまうと状況が悪化することが多いため、冷静かつ毅然とした対応が求められます。

感情的に叱ったり騒いだりしない

目の前で恥ずかしい行動をされると、つい「何やってるの!」「やめて!」と大声で怒鳴りたくなります。しかし、感情的に叱責することは逆効果になる場合がほとんどです。

本人は叱られている理由が理解できず、「怒られた」という不快な感情だけが残ります。これがストレスとなり、さらなる興奮や問題行動を引き起こす悪循環に陥りかねません。まずは深呼吸をして、騒がず冷静に対応することを心がけてください。

毅然とした態度でその場を離れて距離を置く

セクハラ行為や卑猥な発言があった場合は、曖昧な態度は禁物です。「やめてください」と短く、低いトーンで毅然と伝えましょう。笑ってごまかしたり、恥ずかしがったりする反応を見せると、本人は「喜んでいる」「構ってもらえている」と勘違いし、行動がエスカレートする可能性があります。

物理的な距離を取る

体に触られそうになったら、すぐに本人の手が届かない距離まで離れます。安全が確保できるなら、一時的に別室へ移動し、本人の興奮が冷めるのを待つのも有効です。

無視をするのではなく「反応しない」

無視をすると寂しさから行動が悪化することがあります。必要な介護は行いつつ、性的な言動に対しては無反応を貫き、淡々と接することがポイントです。

手作業や他の話題へ注意をそらす

性的行動に意識が向いている時、無理に止めさせるよりも、別のことに気を逸らせる方がスムーズに収まることがあります。

話題を変える 「そういえば、お茶が入りましたよ」「好きなテレビ番組が始まりますよ」など、全く関係のない話題を振り、意識を切り替えます。
手作業を促す タオルたたみや塗り絵、簡単な計算ドリルなど、手や頭を使う作業をお願いすることで、性的衝動から意識を逸らせます。
何かを持たせる 手が寂しくて触ってくる場合は、クッションやぬいぐるみなどを抱えてもらうことで落ち着くことがあります。

本人が興味を持ちそうなことを見つけておき、行動の予兆が見えたらすぐに誘導できるように準備しておくと良いでしょう。

同性による介護や着衣の工夫を検討する

異性の介護者に対して反応してしまう場合は、同性の家族やスタッフが対応することで行動が収まることがあります。特に排泄や入浴など、肌が触れ合う介助は同性が担当するのが望ましいでしょう。

また、すぐに脱いでしまう場合は、つなぎタイプの介護服(続き服)を利用したり、脱ぎにくいズボンを選んだりするのも一つの物理的な対策です。ただし、これは身体拘束に近い側面もあるため、本人の尊厳に配慮しつつ、最終手段として検討してください。

改善しない場合は専門家への相談と医療的アプローチ

家族だけの対応で改善が見られない場合、我慢し続ける必要はありません。専門家の知恵を借り、医療的な介入を検討する段階です。

ケアマネジャーやかかりつけ医へ相談するタイミング

「恥ずかしいから」と相談を先延ばしにせず、以下のような状況があればすぐにケアマネジャーやかかりつけ医に相談してください。

介護者のストレスが限界に近い時

介護者が嫌悪感で眠れない、本人に手を上げてしまいそうになるなど、精神的に追い詰められている場合は緊急性が高いです。

介護サービスの利用に支障が出た時

ヘルパーへのセクハラで訪問介護を断られたり、デイサービスでトラブルになったりした場合は、早急な対策会議が必要です。

専門家に相談する際は、具体的な行動内容、頻度、どのような状況で起こるかをメモしておくと、状況が伝わりやすくなります。

薬物療法による衝動のコントロール

認知症の性的逸脱行動に対しては、薬物療法が効果を発揮する場合があります。脳の興奮を抑えたり、ホルモンバランスを調整したりすることで、衝動をコントロールします。

抗精神病薬 興奮や衝動性を抑える効果が期待できますが、ふらつきや転倒などの副作用に注意が必要です。
SSRI(抗うつ薬) 性的衝動を抑制する副作用を利用して、性的逸脱行動の治療に用いられることがあります。
女性ホルモン剤 男性の性的亢進に対し、性欲を減退させる目的で使用されるケースがあります。

薬には副作用のリスクもあるため、医師とよく相談し、少量から慎重に調整していくことが大切です。「薬で落ち着かせるなんて」と罪悪感を持つ必要はありません。本人と家族が穏やかに過ごすための医療的手段です。

性的問題行動がある場合の老人ホーム・介護施設探し

自宅での介護が困難になった場合、施設入居を検討することになります。しかし、性的逸脱行動がある場合、入居先探しは慎重に行う必要があります。

性的行動があると施設への入居は難しいのか

結論から言えば、性的逸脱行動があることを理由に入居を断られるケースは少なくありません。多くの施設は集団生活の場であり、他の入居者やスタッフへのセクハラ行為は、施設の運営に関わる重大なリスクと判断されるからです。

しかし、すべての施設で断られるわけではありません。認知症ケアに特化したグループホームや、精神科医療と連携している施設、男性専用のフロアがある施設などでは、受け入れ可能な場合もあります。重要なのは、最初から事実を隠さずに伝え、対応可能な施設を探すことです。

入居後に施設から強制退去になるリスク

もし、入居時に性的行動について隠して入居できたとしても、入居後にトラブルを起こせば退去を求められるリスクが非常に高くなります。

他の入居者への迷惑行為

他の入居者の部屋に入り込んだり、身体を触ったりする行為は、被害者家族からのクレームに直結し、即時退去の理由になり得ます。

スタッフへのセクハラ

スタッフの安全が守れないと判断された場合、契約解除を通告されることがあります。

安定した施設生活を送るためにも、入居前の見学や面談の段階で、現在の症状や服用している薬について正直に相談し、施設側がどのような対応をとれるかを確認しておくことが不可欠です。

精神科との連携や対応力のある施設選びが鍵

性的逸脱行動がある方の施設選びでは、以下のポイントを確認しましょう。

医療連携体制の充実

精神科医の往診がある、または精神科病院と協力関係にある施設であれば、薬の調整などをスムーズに行えます。

職員の配置とスキル

認知症ケアの専門資格を持つスタッフがいるか、人員配置に余裕があり個別の見守りが可能かどうかも重要です。

居室やフロアの環境

異性の入居者と接触しにくいゾーニングがされているか、個室でプライバシーが守られつつ見守りができる環境かを確認します。

一般的な有料老人ホーム検索サイトだけで、こうした詳細な対応力を見極めるのは難しいのが実情です。

1人で抱え込まず笑がおで介護紹介センターへご相談ください

「認知症の親が恥ずかしい行動をするなんて、誰にも言えない」と一人で悩まないでください。私たち「笑がおで介護紹介センター」は、そのような深い悩みを抱えるご家族の味方です。

症状や状況に合わせて受け入れ可能な施設をご提案

性的逸脱行動がある場合、施設側との事前の交渉や調整が非常に重要になります。当センターでは、ご本人の具体的な症状や頻度、現在の服薬状況などを丁寧にヒアリングした上で、受け入れ実績のある施設や、対応力の高い施設を選定してご提案します。

「断られるのが怖い」という不安をお持ちの方も、私たちが間に入って施設側に状況を説明し、入居の可能性を探りますのでご安心ください。

関西エリアの施設事情を熟知した相談員がサポート

私たちは関西エリア(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、三重)に特化し、地元の施設情報を網羅しています。

施設の内部事情に精通

パンフレットには載っていない、施設ごとのスタッフの雰囲気や、認知症ケアへの熱心さ、医療連携の実際などを把握しています。

入居後の生活を見据えた提案

ただ入居できるだけでなく、ご本人もご家族も安心して笑顔で過ごせる場所を見つけることが私たちの使命です。

紹介手数料などは一切かかりません。デリケートな問題だからこそ、プロの相談員を頼ってください。まずは、お電話やメールでお気軽にご相談をお待ちしております。

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監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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