認知症の「異食」はなぜ起こる?過食・拒食の原因と食事トラブルへの対策・対応ガイド

  カテゴリー:
認知症の「異食」はなぜ起こる?過食・拒食の原因と食事トラブルへの対策・対応ガイド
24時間受付中!
施設探しのプロに無料で相談する
0120-177-250 無料相談

認知症の介護において、ご家族を悩ませる大きな問題の一つに「食事のトラブル」があります。中でも、食べ物ではないものを口にしてしまう「異食」は、命に関わる危険性もあり、片時も目が離せないという精神的な負担を介護者に強いるものです。

「なぜ、あきらかに食べ物ではないものを食べてしまうのか?」「どうすれば防げるのか?」

こうした疑問や不安を抱えるご家族に向けて、本記事では認知症による異食の原因やメカニズム、家庭でできる具体的な予防策について詳しく解説します。

また、異食だけでなく、食欲が止まらない「過食」や、食事を摂らなくなる「拒食」といった悩みに対する効果的な対応方法もあわせてご紹介します。ご本人の尊厳を守りつつ、介護者の負担を少しでも軽減するためのヒントとして、ぜひお役立てください。

認知症の方に見られる主な食事トラブルの種類

認知症が進行すると、記憶力や判断力の低下に伴い、食事に関する様々な問題が生じることがあります。まずは、代表的な食事トラブルの種類とその特徴について理解を深めましょう。

食べ物ではないものを口に入れてしまう「異食」
ティッシュペーパー、石鹸、土、ボタン電池など、栄養価のないものや食べ物ではないものを口に入れ、飲み込んでしまう行動のことです。認知機能の低下により「それが食べ物であるか否か」の判断がつかなくなることが主な原因です。誤飲による窒息や、中毒症状を引き起こすリスクが高く、介護現場では最も注意が必要な症状の一つと言えます。
食欲が止まらない「過食」と食事を忘れる記憶障害
さっき食事を終えたばかりなのに「ご飯はまだか」と訴えたり、目の前にある食べ物を際限なく食べ続けてしまったりする状態です。これは、食べたこと自体を忘れてしまう「記憶障害」や、満腹を感じる中枢神経の機能低下などが関係しています。体重の急激な増加や、糖尿病などの生活習慣病の悪化につながる恐れがあります。
食事を拒否する「拒食」や「小食」
過食とは対照的に、食事を全く口にしなかったり、数口食べただけで止めてしまったりするケースです。「お腹が空かない」という生理的な理由だけでなく、うつ状態による意欲の低下、または「毒が入っている」などの妄想が原因で食事を拒否することもあります。低栄養や脱水症状を引き起こし、全身状態の悪化を招く危険性があります。
食べ方がわからなくなる「失行」や飲み込みにくい「嚥下障害」
目の前に食事が用意されていても、箸やスプーンの使い方が分からなくなったり、そもそも「どうやって食べるのか」という手順が理解できなくなる「失行」が見られることがあります。また、加齢や疾患により「噛む」「飲み込む」という機能が低下する「嚥下(えんげ)障害」を併発している場合も多く、食事中にむせたり、喉に詰めたりするリスクが高まります。

なぜ起こる?認知症による「異食」の原因とメカニズム

「なぜ、そんなものを食べるの?」と健常者には理解しがたい異食行動ですが、ご本人の中にはその行動に至る理由やメカニズムが存在します。原因を知ることは、適切な対策への第一歩です。

認知機能の低下による認識力の障害
異食の最大の原因は、認知機能の低下により、目の前にある物体が何であるかを正しく認識できなくなる「失認」です。例えば、丸い石鹸を見て「美味しそうな饅頭だ」と誤認したり、花の植えてある土を見て「ご飯にふりかけがかかっている」と感じたりします。形、色、大きさなどの視覚情報から、過去の記憶にある食べ物と結びつけてしまい、口に運んでしまうのです。
満腹中枢の機能不全と強い空腹感
認知症、特に前頭側頭型認知症やアルツハイマー型認知症の一部では、脳の視床下部にある満腹中枢がうまく働かなくなることがあります。いくら食べても満腹感を得られず、常に強い空腹感(飢餓感)に襲われている状態になります。この耐え難い空腹を満たすために、手近にあるものを手当たり次第に口に入れてしまうという衝動的な行動につながる場合があります。
不安やストレスによる心理的な要因
環境の変化や、自分の思うようにできないもどかしさからくるストレス、孤独感や不安感を紛らわせるために、口にものを入れるという行為に及ぶことがあります。赤ちゃんの「指しゃぶり」のように、口に何かが入っていることで精神的な安定を得ようとする「口唇傾向」が強く現れることも、異食の一因と考えられています。
視覚情報の誤認や幻覚の影響
レビー小体型認知症などで多く見られる「幻視」も異食の原因となります。実際には存在しない虫やゴミが食べ物に見えたり、壁のシミが果物に見えたりすることがあります。ご本人にとっては「そこにある食べ物」を掴もうとしているだけであり、周囲が否定しても理解を得ることが難しいケースが少なくありません。

命を守るために家庭でできる異食の予防と対策

異食は一度起こると命に関わる重大な事故につながりかねません。ここでは、ご家庭ですぐに取り組める具体的な予防策と環境づくりのポイントをご紹介します。

誤飲すると危険なものを手の届く場所に置かない

最も確実な対策は、物理的に「口に入れられるものを置かない」ことです。ご本人の行動範囲を見直し、危険なものを徹底的に排除しましょう。

洗剤・薬品・化粧品の管理を徹底する

特に液体洗剤や漂白剤、殺虫剤などは、ジュースや調味料と間違えやすいため大変危険です。化粧水や乳液なども飲み物と誤認されがちです。これらの物品は、ご本人の目につかない場所に収納し、できれば鍵のかかる戸棚で管理することをお勧めします。

電池・ボタン・硬貨などの小物は鍵のかかる場所へ

ボタン電池は誤飲すると食道や胃の粘膜を損傷する恐れがあります。硬貨、クリップ、画鋲などの小物類も、ふとした拍子に口に入れてしまう可能性があります。引き出しにはチャイルドロック(ストッパー)を取り付けるなどして、ご本人が自由に開けられないような工夫が必要です。

食品と間違えやすいパッケージや置物は避ける

果物の形をした石鹸、お菓子のようなパッケージの入浴剤、食品サンプルのような置物などは、誤認の元凶となります。「きれいだから」と飾っているものでも、認知症の方にとっては「美味しそうなお菓子」に見えている可能性があります。紛らわしいデザインのものは、生活空間から取り除くようにしましょう。

生活環境と食環境の工夫

物理的な排除だけでなく、ご本人が安心して過ごせる環境を整えることも異食防止に役立ちます。

ゴミ箱は蓋付きのものや中身が見えないタイプにする

ゴミ箱に捨ててあるものを「食べ残し」だと思って拾って食べてしまうことがあります。中身が見えない蓋付きのゴミ箱に変えるか、ご本人の目につかない場所(洗面所の下や扉の中など)にゴミ箱を移動させましょう。キッチンへの立ち入りを制限するゲートの設置も有効です。

空腹を感じさせないための間食や食事回数の調整

強い空腹感が異食の引き金になっている場合は、空腹を感じさせない工夫が効果的です。1回の食事量を減らして食事の回数を1日5回程度に増やす「分食」や、低カロリーなゼリーや昆布などを間食としてこまめに提供することで、口寂しさを紛らわせ、満腹感を維持しやすくなります。

異食を発見した際の緊急対応と注意点

どれほど対策をしていても、異食が起きてしまう可能性はゼロではありません。万が一の際にパニックにならず、適切な対応が取れるよう準備しておきましょう。

大きな声を出さず冷静に口の中を確認する

異食を見つけた際、驚いて「ダメ!」「吐き出して!」と大声を出してはいけません。驚いたご本人が反射的に飲み込んでしまったり、怒られたと感じて頑に口を閉ざしてしまったりする恐れがあります。まずは深呼吸をして冷静になり、優しく声をかけながら口の中を確認し、指を入れて掻き出すなどの対応を行います。

中毒症状の確認と医療機関への連絡・受診の目安

何をどれくらい食べたかを確認し、洗剤や薬品、タバコ、電池などを誤飲した場合は、直ちに医療機関や中毒110番へ連絡してください。吐かせるべきか、水を飲ませるべきかは誤飲したものによって異なります。例えば、漂白剤などの強アルカリ性のものは吐かせてはいけません。自己判断せず、専門家の指示を仰ぐことが重要です。

「過食(食べ過ぎ)」への理解と効果的な対応方法

「さっき食べたばかりでしょ!」と言いたくなる気持ちを抑え、過食行動の背景にある記憶障害や不安感に寄り添った対応を心がけましょう。

食べたことを忘れてしまう時の接し方

食べた事実を忘れているご本人にとって、食べていないという感覚は真実です。真っ向から否定すると、混乱や怒りを招く原因となります。

否定せずに「準備していますよ」と安心させる

「まだ食べていない」という訴えに対しては、「今、準備していますから少し待っていてくださいね」と優しく伝えましょう。肯定的に受け止めることでご本人は安心します。その間にお茶を出したり、テレビを見たりして気を逸らすことで、食事の要求自体を忘れることもあります。

食べ終わった食器はすぐに片付ける

テーブルの上に食べ終わった食器が残っていると、それを見て「誰かが食べた後の残り」と認識したり、逆に食器がないことで「まだ食べていない」と思い込んだりすることがあります。食事の記憶をリセットするためにも、食後は速やかに食器を片付け、食卓の風景を変えることが有効です。

カロリーコントロールと満足感の両立

過食を無理に止めさせると、強いストレスを与えてしまいます。また、食べ過ぎによる肥満や持病の悪化も防がなくてはなりません。

低カロリーな食材を活用し水分を多く摂る

食事の量は減らさずに、カロリーの低い食材(こんにゃく、キノコ類、海藻、野菜など)を多く取り入れたメニューに変更しましょう。また、汁物を多めにしたり、水分を十分に摂ったりすることで、胃を膨らませて満腹感を得やすくする工夫もおすすめです。

小分けにして提供回数を増やす工夫

1日3食の総量は変えずに、1回の食事量を減らして提供回数を増やす方法です。「何度も食事が出てくる」という満足感を与えることができ、「食べていない」という不安感を軽減する効果が期待できます。小さなおにぎりや一口サイズのおやつを用意しておくと便利です。

「拒食(食べない)」時の原因特定とサポート方法

食べない原因は、身体的な不調、心理的な要因、環境的な要因など多岐にわたります。観察を通じて原因を探り、アプローチを変えてみましょう。

身体的・機能的な原因を確認する

まずは、口の中に痛みがある、お腹が張っているなど、身体的な苦痛がないかを確認します。ご本人が言葉で不調を訴えられない場合も多いため、介護者の観察力が重要です。

義歯の不具合や口内炎などの口腔トラブル

入れ歯が合わずに当たって痛い、口内炎ができている、虫歯があるなどのトラブルは、食欲減退の直接的な原因になります。定期的に歯科検診を受け、口腔ケアを行うことで、美味しく食べられる口内環境を整えましょう。

便秘や運動不足による食欲不振

高齢者は腸の動きが鈍くなりやすく、便秘になりがちです。便が溜まっているとお腹が空かず、食事を受け付けなくなります。水分摂取を促し、食物繊維を摂る、適度な運動を取り入れる、必要に応じて下剤を使用するなど、排便コントロールを行うことが大切です。

食事への意欲を引き出すアプローチ

「食べたくない」という気持ちには、認知症特有の理由が隠れているかもしれません。無理強いはせず、ご本人のペースに合わせる姿勢が必要です。

本人の好きな味付けや食べ慣れたメニューを用意する

認知症が進むと、新しい味や複雑な料理を受け入れにくくなることがあります。昔から馴染みのある家庭の味や、ご本人の好物を一品加えるだけでも、食欲が刺激されることがあります。甘味が好きな方には、少し甘めの味付けにすると食べてくれる場合もあります。

食事だと認識しやすいように配膳や環境を整える

視覚的な認識力が低下しているため、白いご飯を白い茶碗に入れると認識できないことがあります。色の濃い器を使う、ランチョンマットを敷くなどして、ご飯とおかずのコントラストをはっきりさせましょう。また、テレビを消して静かな環境を作ることで、食事に集中しやすくなります。

無理強いはせず時間を空けて再度勧める

どうしても食べない時は、一旦食事を下げて時間を置くことも一つの手です。無理に口に運ぶと誤嚥の原因になったり、食事そのものに対して嫌悪感を抱かせたりしてしまいます。「今は食べたくない気分なんだな」と受け止め、少し時間が経ってから、おにぎりやパンなどを勧めてみましょう。

在宅介護での食事管理に限界を感じた時の選択肢

異食や過食・拒食への対応は、24時間365日続くため、介護者の心身を激しく消耗させます。「もう限界かもしれない」と感じたら、決して一人で抱え込まず、外部の力を借りることを検討してください。

かかりつけ医やケアマネジャーへの早期相談

食事トラブルが頻発する場合は、かかりつけ医に相談し、薬の調整や医学的なアドバイスをもらいましょう。また、担当のケアマネジャーに現状を詳しく伝え、介護プランの見直しを依頼することも大切です。プロの視点から、今の状況に合った解決策を提案してもらえます。

デイサービスやショートステイを活用したレスパイトケア

介護者が休息を取る(レスパイト)時間は絶対に必要です。デイサービスで昼食を提供してもらったり、ショートステイを利用して数日間離れて過ごしたりすることで、介護者の心身のリフレッシュを図ることができます。プロのスタッフによる食事介助を見ることで、家庭での対応のヒントが得られることもあります。

認知症ケアや食事管理が充実した老人ホームへの入居

在宅での安全確保が難しい場合や、介護疲れが深刻な場合は、施設入居も前向きな選択肢の一つです。認知症の方の受け入れ体制が整った老人ホームでは、スタッフの見守りによる誤飲防止、栄養バランスの取れた食事提供、嚥下状態に合わせた食事形態の調整などが行われます。専門家の手厚いケアを受けることで、ご本人もご家族も安心して過ごせるようになります。

関西での老人ホーム探しは「笑がおで介護紹介センター」へご相談ください

食事のトラブルを含め、認知症の介護に限界を感じたり、将来的な施設入居を検討されたりした際は、ぜひ「笑がおで介護紹介センター」にご相談ください。

認知症の方の受け入れ実績が豊富な施設を無料でご紹介

当センターは、大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、三重といった関西エリアに特化し、数多くの老人ホーム・介護施設と連携しています。「異食の症状がある」「食事介助が必要」といった具体的な身体状況やご要望を詳しくヒアリングした上で、認知症ケアに強く、受け入れ実績が豊富な施設を厳選して無料でご紹介いたします。

経験豊富な相談員が入居まで丁寧にサポート

施設探しは初めてという方でもご安心ください。経験豊富な相談員が、見学の同行から入居契約の手続き、入居後のフォローまで、親身になってサポートいたします。ご家族だけで悩まず、まずは私たちにご相談ください。お電話やメールでのお問い合わせをお待ちしております。

24時間受付中!
施設探しのプロに無料で相談する
0120-177-250 無料相談

監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

無料で簡単診断

老人ホーム・介護施設を探す

都道府県をクリックすることで選択したエリアの市区町村や駅・路線などから老人ホームを探すことができます。

スタッフ満足初めての老人ホームの選び方