重度認知症でも受け入れ可能な老人ホームとは?BPSDや暴力・徘徊への対応と施設探しのポイント

認知症の症状が進行し、暴力や徘徊といった「行動・心理症状(BPSD)」が顕著になると、「今の施設を退去しなければならないかもしれない」「次の受け入れ先が見つからないのではないか」と深い不安を抱かれるご家族は少なくありません。しかし、重度の認知症であっても、適切な医療連携や専門的なケア体制が整っている施設であれば、入居は十分に可能です。
本記事では、重度認知症の方が施設から受け入れを断られやすい理由を整理した上で、BPSDへの対応が可能な老人ホームの種類や、失敗しない施設選びのチェックポイントを解説します。ご本人にとってもご家族にとっても、安心して過ごせる場所を見つけるための手引きとしてお役立てください。
重度認知症とはどのような状態か
認知症は進行度合いによって症状の現れ方が異なります。一般的に「重度」とされる段階では、記憶の消失に加え、会話による意思疎通が困難になり、食事や排泄、着替えなど日常生活のほぼ全てに介助が必要となります。ここでは、施設入居のハードルとなりやすい症状について解説します。
認知症の中核症状と周辺症状(BPSD)の違い
認知症の症状は、脳の細胞が壊れることで直接起こる「中核症状」と、本人の性格や環境などの要因が絡み合って起こる「行動・心理症状(BPSD)」の2つに大別されます。
- 中核症状
- 記憶障害(物忘れ)、見当識障害(時間や場所がわからなくなる)、理解・判断力の低下など、認知症の方の誰にでも現れる症状です。
- 行動・心理症状(BPSD)
- 中核症状に加え、不安や混乱、身体的不調や環境への不適応などが重なって生じる症状です。暴言、暴力、徘徊、抑うつ、幻覚などがこれに当たり、個人差が大きく現れます。
施設入居が難しくなる重度な症状の具体例
施設側が入居を躊躇したり、断らざるを得なくなったりするのは、主に「集団生活の維持が困難」と判断されるBPSDが見られる場合です。
暴力や暴言などの攻撃的行動
感情のコントロールが効かなくなり、介護スタッフや他の入居者に対して大声を出したり、手を出してしまったりするケースです。これらは本人に悪気があるわけではなく、不安や不快感の表現であることが多いですが、周囲への危害が懸念されるため、受け入れには高度な対応力が求められます。
徘徊や異食などの行動障害
- 徘徊
- 施設の外へ一人で出て行こうとしたり、施設内を絶え間なく歩き回ったりする行為です。転倒や行方不明のリスクがあるため、見守り体制や施錠管理が厳格な施設でなければ対応が難しい場合があります。
- 異食
- 食べ物ではないもの(ティッシュ、石鹸、排泄物など)を口に入れてしまう行為です。窒息や中毒など生命に関わる事故に繋がるため、常時の監視が必要となります。
介護拒否や昼夜逆転による介護負担の増大
入浴や排泄の介助を激しく拒否したり、昼夜が逆転して夜間に大きな声を出したりする状態です。スタッフの業務負担が著しく増大するため、人員配置に余裕のない施設では対応しきれないことがあります。
老人ホームで受け入れ拒否や退去を求められる理由
なぜ「認知症対応」を謳っている老人ホームであっても、重度の方の受け入れが難しい場合があるのでしょうか。施設側の事情を知ることで、対策が見えてきます。
他の入居者への迷惑行為や危害のリスク
老人ホームは集団生活の場です。特定の入居者が、他の方の居室に勝手に入ったり、暴力を振るったりするリスクがある場合、施設側は他の入居者の生命・身体の安全を守る義務(安全配慮義務)があるため、受け入れを断らざるを得ないことがあります。
施設側のスタッフ配置や専門性の限界
多くの介護施設における人員配置基準は「要介護者3名に対しスタッフ1名」が原則です。これは常勤換算での計算であり、実際の現場ではスタッフ1名で多数の入居者を見守る時間帯も存在します。BPSDが激しくマンツーマンに近い対応が必要な場合、標準的な人員配置では物理的に対応が難しく、受け入れを制限せざるを得ません。
医療依存度が高く常時の医療行為が必要な場合
重度認知症に加え、誤嚥性肺炎のリスクや胃ろう、インスリン注射などの医療処置が必要な場合、看護師が24時間常駐していない施設では対応できません。認知症ケアと医療的ケアの両方が必要になると、選択肢はさらに狭まる傾向にあります。
重度認知症の方でも受け入れ可能な老人ホームの種類
重度の認知症であっても、施設の種類や特徴によっては安心して入居できる場所があります。それぞれの特徴と、重度認知症ケアにおけるメリット・デメリットを整理します。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
- 特徴
- 1ユニット5名から9名の少人数で、家庭的な雰囲気の中で共同生活を送ります。認知症ケアに特化しており、スタッフも顔なじみの関係を作りやすいため、環境の変化に弱い認知症の方でも精神的に安定しやすいメリットがあります。
- 注意点
- 原則として医療職の配置義務がないため、医療依存度が高くなると退去を求められる場合があります。ただし、近年は訪問看護と連携し、看取りまで対応する施設も増えています。
特別養護老人ホーム(特養)
- 特徴
- 公的な施設であり、原則として要介護3以上の方が入居対象です。認知症ケアだけでなく、身体介護や看取りまで長期的に対応します。費用も民間の施設に比べて安価に設定されています。
- 注意点
- 人気が高く、地域によっては待機期間が発生します。ただし、虐待のリスクや家族の状況など緊急性が高いと自治体に認められれば、優先的に入居できる措置もあります。
介護付き有料老人ホーム
- 特徴
- 民間施設ならではの柔軟さがあり、サービス内容が異なります。「入居者2名や1.5名に対してスタッフ1名」など、基準以上の手厚い人員配置を行っている施設では、重度のBPSDがある方でもきめ細やかな対応が可能です。
- 医療面
- 看護師が24時間常駐している施設や、精神科医による往診体制を整えている施設が多くあります。薬の調整によって症状が落ち着くケースも多いため、医療連携の強さは重要です。
介護老人保健施設(老健)
- 特徴
- 医師や看護師が常駐し、医療ケアとリハビリテーションに重点を置いた施設です。在宅復帰を目指す中間施設のため原則として終身利用はできませんが、精神科医が配置されている老健では、薬物療法の調整期間として利用できる場合があります。
重度認知症の受け入れ先を探す際のチェックポイント
パンフレットの情報だけでは、実際の対応力を判断するのは困難です。施設を探す際に必ず確認すべき具体的なポイントを挙げます。
精神科・心療内科との医療連携の実績
BPSDの緩和には、環境調整だけでなく適切な薬物療法が効果的な場合があります。協力医療機関に精神科や心療内科が含まれているか、また定期的な往診で薬の調整を相談できる体制があるかを確認しましょう。
認知症ケア専門士など有資格者の在籍状況
スタッフの専門性も重要です。以下の資格を持つスタッフが在籍しているか、あるいは施設全体で研修を行っているかは、ケアの質を測る指標になります。
- 認知症ケア専門士
- 認知症ケアに対する高度な知識と技術、倫理観を備えた専門職です。
- 認知症介護指導者・実践リーダー
- 地域の認知症介護の質を向上させるための研修を修了したリーダー的存在です。
スタッフの人員配置基準と夜間の体制
徘徊や夜間の不穏に対応するためには、夜勤スタッフの人数が十分であるかが鍵となります。フロアごとにスタッフが配置されているか、緊急時の応援体制はどうなっているかを質問してください。
個室の環境や徘徊への安全対策などの設備面
他の入居者とのトラブルを防ぐためには、プライバシーが保たれる個室の環境が望ましい場合があります。また、エレベーターや玄関のロックシステム(暗証番号式や顔認証など)が導入されているかなど、安全を守るハード面の設備も確認が必要です。
ユマニチュードなど認知症ケア技法の導入状況
- ユマニチュード
- 「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱を基本とした、フランス発祥の認知症ケア技法です。
こうした科学的根拠に基づいたケア技法や、パーソン・センタード・ケア(その人らしさを尊重するケア)を組織的に導入している施設は、BPSDへの対応力も高い傾向にあります。
重度認知症の施設探しをスムーズに進めるために
切迫した状況での施設探しは、ご家族にとって大きな精神的負担となります。効率よく、かつ適切な施設を見つけるための進め方をご紹介します。
ケアマネジャーや医師からの情報収集と相談
まずは担当のケアマネジャーに相談しましょう。また、主治医に「診療情報提供書(紹介状)」を早めに作成してもらうことで、施設側の事前の受け入れ審査がスムーズに進みます。特にBPSDの状況については、包み隠さず正確に伝えることが、入居後のトラブル防止につながります。
施設見学時に確認すべき入居者の様子とスタッフの対応
見学は必ず行ってください。その際、建物だけでなく以下の点に着目しましょう。
- 入居者の表情
- 落ち着いて過ごされているか、笑顔が見られるか。
- スタッフの言葉遣い
- 入居者に対して「~ちゃん」付けではなく、敬称をつけて丁寧に接しているか。また、忙しそうにしていても入居者の呼びかけに反応しているか。
将来的な症状の進行を見越した施設選びの重要性
現在は軽度であっても、認知症は進行性の病気です。「寝たきりになった場合」「食事が口から摂れなくなった場合」に、住み続けられるのか、それとも退去しなければならないのかを入居前に確認しておくことが重要です。
関西で重度認知症の老人ホーム探しなら「笑がおで介護紹介センター」へ
重度の認知症の方の施設探しは、一般的な検索条件だけではマッチする施設を見つけるのが非常に難しいのが実情です。ご自身だけで悩まず、専門家の力を借りることをお勧めします。
地域密着の情報量で受け入れ可能な施設をご提案
「笑がおで介護紹介センター」は、関西エリア(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、三重)の老人ホーム情報を網羅しています。ウェブ上の情報だけでなく、相談員が実際に施設へ足を運び、「今の空室状況」や「現場の雰囲気」、「施設長の人柄」といった生きた情報を把握しています。
入居拒否や退去でお困りの方の相談実績も豊富
「他の紹介センターで断られた」「現在入居中の施設から退去を求められている」といった難しいケースのご相談も数多く承り、解決へ導いてきた実績があります。BPSDの症状に合わせて、精神科との連携が強い施設や、手厚い人員配置の施設など、ピンポイントでのご提案が可能です。
見学同行や入居後のアフターフォローまで無料サポート
ご希望があれば施設の見学にも同行し、専門的な視点からチェックポイントをアドバイスいたします。ご相談から入居決定、そして入居後のアフターフォローまで、費用は一切かかりません。
重度認知症のご家族の介護は、先が見えず不安が大きいものです。ぜひ私たちにご相談いただき、ご家族皆様が笑顔で過ごせる最適な住まいを一緒に見つけましょう。

監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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