介護保険のケアプランは自分で作れる?セルフプラン(自己作成)のメリット・デメリットと手続き方法を解説

介護保険サービスを利用する際に不可欠な「ケアプラン(居宅サービス計画書)」は、実はケアマネジャーに頼まず、利用者本人や家族が自分で作成することが可能です。これを「セルフプラン(自己作成)」と呼びます。結論から申し上げますと、セルフプランでも介護保険の給付は全額対象となり、自分の希望を100%反映できるメリットがある一方で、書類作成や各サービス事業者との連絡調整をすべて自力で行うという大きな労力が伴います。本記事では、セルフプランの仕組み、メリット・デメリットから、具体的な作成手順まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
ケアプランは自分で作成できる?セルフプランの仕組みと基本知識
ケアプランは、どのような介護サービスをいつ、どれくらい利用するかを決める大切な設計図です。一般的には居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成しますが、法律上は利用者が自ら作成することも認められています。
ケアプランの自己作成(セルフプラン)とは
セルフプランとは、介護保険の要介護認定を受けた方が、ケアマネジャー(介護支援専門員)を介さずに、自分自身や家族でケアプランを作成し、自治体に届け出てサービスを利用する仕組みのことです。
介護保険法では「自ら居宅サービス計画を作成することができる」と定められており、専門家に任せるか自分で行うかは利用者の自由な選択に委ねられています。
ケアマネジャーに依頼する場合との違い
ケアマネジャーに依頼する場合とセルフプランの主な違いは、「マネジメントの主体」と「手続きの責任」にあります。
| 項目 | ケアマネジャーに依頼 | セルフプラン(自己作成) |
|---|---|---|
| 主な担当者 | ケアマネジャー | 利用者本人・家族 |
| サービス選定 | 本人の状態を分析しプロが提案 | 本人がすべて選定・交渉 |
| 給付管理 | ケアマネジャーが代行 | 本人が実績確認・書類提出 |
| 認定更新 | 手続きを代行 | 本人が窓口で申請 |
セルフプランでも介護保険サービスは全額給付の対象
セルフプランを選択しても、介護保険から支給されるサービス利用料の給付額が変わることはありません。
通常、ケアマネジャーに依頼すると「居宅介護支援費」として月額約1万円から1万5千円程度が保険から全額支払われます(利用者負担は0円)。セルフプランの場合、この支援費は発生しませんが、デイサービスや訪問介護などのサービス利用料に対する保険給付(原則9割〜7割)は、適切に手続きを行えば同様に受けられます。
ケアプランを自分で作るセルフプランのメリット
手間がかかるイメージのセルフプランですが、あえて自分で行うことで得られる独自のメリットも存在します。
自分の希望やライフスタイルを最大限に反映できる
セルフプラン最大のメリットは、自分の意向を100%プランに盛り込める点です。
ケアマネジャーを介すと、どうしても「効率的な組み合わせ」や「特定の提携事業者の提案」に偏ってしまうケースが稀にあります。自分で作成すれば、「この曜日にはどうしてもこの趣味の時間を確保したい」「馴染みのある特定の事業所だけを使いたい」といった、細かなこだわりを誰に気兼ねすることなく反映させることができます。
介護保険制度や地域のサービスに詳しくなれる
自分でプランを作る過程で、介護保険制度の仕組みや、住んでいる地域にどのようなサービスがあるのかを深く理解できるようになります。
自治体の窓口と直接やり取りし、各事業所のパンフレットを比較検討することで、保険料がどのように使われ、どのような基準でサービスが提供されているのかという知識が身につきます。これは、将来的に介護度が進んだ際の備えとしても非常に役立つ財産となります。
ケアマネジャーとの相性に悩む必要がない
介護サービスを継続する上で、ケアマネジャーとの相性は非常に重要ですが、中には「話が合わない」「希望を理解してもらえない」といった不満を抱える方もいます。
セルフプランであれば、こうした人間関係のストレスから解放されます。自分自身の責任で決定を下すため、意思疎通の齟齬によるイライラが発生せず、納得感を持って介護生活を送ることが可能です。
ケアプランを自分で作るセルフプランのデメリットと注意点
メリットがある一方で、セルフプランには相応の負担とリスクが伴います。事前にデメリットを正しく理解しておくことが大切です。
書類作成や自治体への届出に手間と時間がかかる
介護保険の書類は項目が多く、作成には専門的な知識が必要な場合もあります。
第1表から第3表といった複数の計画書を作成し、月ごとに「サービス利用票」や「別表」を管理しなければなりません。これらを不備なく作成し、毎月決まった期限までに自治体の窓口へ直接持参、あるいは郵送して確認を受ける作業は、大きな事務負担となります。
サービス事業者との連絡調整をすべて自分で行う必要がある
通常、ケアマネジャーが行っている「調整役」をすべて自分で担わなければなりません。
- 事業所の選定と見学
- 希望するサービスを提供している事業所を探し、見学の予約や費用の確認を自分で行います。
- 空き状況の確認と契約
- 利用したい日時に空きがあるか交渉し、個別の事業所ごとに契約手続きを進めます。
- 担当者会議の招集
- サービス開始前やプラン変更時に、複数の事業者を一堂に集めた「サービス担当者会議」を自ら主催し、司会進行を務める必要があります。
最新の制度改正や専門的な判断が難しい
介護保険制度は3年に一度、大きな報酬改定やルール変更が行われます。
個人で常に最新の法改正情報を追い、単位数(利用料)の計算ルール変更に対応するのは至難の業です。また、リハビリの必要性や福祉用具の適合性など、専門的な視点が必要な場面で適切な判断を下せず、結果として自立支援を阻害してしまうリスクもあります。
ケアマネジャーがいないことによる孤立のリスク
ケアマネジャーは単なるプラン作成者ではなく、介護の悩みを聞いてくれる良き相談相手でもあります。
セルフプランの場合、介護疲れや家族関係のトラブル、急な体調悪化などが起きた際に、即座に相談できる「プロの窓口」が不在となります。トラブルが発生した際、すべてを自分一人で解決しなければならないため、精神的な孤立感を深めてしまう懸念があります。
セルフプランでケアプランを自己作成する手順と方法
セルフプランを進めるための具体的なステップを解説します。基本的には自治体のサポートを受けながら進めることになります。
- 市区町村の介護保険窓口への相談と届出
まずは、お住まいの市区町村の介護保険課や、地域包括支援センターの窓口へ「ケアプランを自分で作成したい」という旨を相談します。自治体によっては自己作成用のマニュアルや様式を配布している場合があります。相談後、ケアマネジャーに依頼しないことを正式に伝える「居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書」を提出します。
- アセスメントの実施と課題の整理
アセスメントとは、利用者の現在の状況を客観的に把握し、どのような課題(解決すべき問題)があるかを分析することです。「一人で入浴するのが不安」など、日々の困りごとを書き出します。この際、単に「サービスを使いたい」だけでなく、「どのような状態になりたいか(目標)」を明確にすることが、良いプラン作成の鍵となります。
- ケアプラン(居宅サービス計画書)の作成
厚生労働省が定める標準的な書式に沿って、以下の書類を作成します。
第1表:居宅サービス計画分析表
利用者の基本情報や、解決すべき課題、介護に対する本人・家族の意向を記入する書類です。ここでプラン全体の方向性を定めます。
第2表:居宅サービス計画書
具体的な目標を設定し、それを達成するために「どの事業者の」「どのサービスを」「どのくらいの頻度で」利用するかを記入します。短期目標と長期目標に分けて記載するのが一般的です。
第3表:週間サービス計画表
1週間のスケジュールを24時間の時間軸で表したものです。介護保険外のサービスも含めて記入し、生活全体の流れを確認します。
- サービス担当者会議の開催と調整
プランの原案ができたら、利用する各サービスの担当者を集めて会議を開きます。本人の自宅に集まるのが基本ですが、現在はオンラインでの開催も認められるケースが増えています。作成したプランの内容を説明し、専門的な立場から意見をもらって内容を確定させ、会議の内容は「要点」として記録に残す必要があります。
- 自治体への書類提出と確認
完成したケアプラン一式を自治体の窓口に提出します。窓口の担当者が、プランの内容が介護保険のルール(支給限度額内か、必要項目が埋まっているかなど)に適合しているかを確認します。不備があれば修正を求められることもあります。
セルフプランを継続するための運用ルール
ケアプランは一度作って終わりではなく、作成後も毎月の管理業務が発生します。
毎月のモニタリングと給付管理の手続き
セルフプランを継続するには、毎月の「モニタリング」が義務付けられています。
これは、プラン通りにサービスが提供されているか、目標に近づいているかを確認する作業です。また、毎月のサービス利用実績をまとめた「利用票」と「別表」を作成し、自治体へ提出して給付管理の手続きを行う必要があります。
要介護認定の更新申請とプランの見直し
要介護認定には有効期限があるため、期限が切れる前に更新申請を行うのも自分たちの役割です。
また、心身の状態に変化があった場合や、認定結果(要介護度)が変わった場合には、その都度ケアプランを見直し、再作成しなければなりません。
セルフプランが向いている人と難しい人の特徴
セルフプランは万人向けの仕組みではないため、ご自身やご家族の状況に合っているか検討しましょう。
セルフプランをスムーズに進められるケース
- 利用者の状態が安定しており、サービスの変更が少ない
- パソコン操作や書類作成が得意で、事務作業を苦にしない
- 自治体の窓口が開いている平日の昼間に動くことができる
- 介護保険制度について自ら進んで学習する意欲がある
専門家であるケアマネジャーに依頼したほうがよいケース
- 病状が不安定で、頻繁にプランの調整が必要
- 家族が遠方に住んでいる、または仕事で忙しく手続きの時間が取れない
- 認知症などで本人の意思決定が難しく、専門的な助言が必要
- 複数の医療機関や介護サービスが複雑に絡み合っている
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セルフプランの検討は、介護への深い関心の表れでもあります。しかし、在宅での管理が限界に達したり、手続きの重圧に疲れてしまったりすることもあるでしょう。
関西エリア(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、三重)で介護に関するお悩みを抱えているなら、「笑がおで介護紹介センター」へお気軽にご相談ください。
入居後のケアプランや施設選びの不安を専門相談員が解消します
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このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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