グループホームの費用相場は?給付や軽減制度についても解説
お役立ちコラム


グループホームで生活することを検討している方にとって、費用面の不安は大きいでしょう。事前に相場を把握しておくことで、しっかりとした準備が進められます。
本記事では、グループホームにおける具体的な費用、入居一時金や月額利用料、それに伴う日常生活費や介護サービス費などを詳しく解説しています。さらに、費用を抑えるために利用できる制度や、入居一時金の償却と返還金についても触れています。
グループホームの費用に関する疑問や不安を持つ方は、この記事を参考にして、入居を検討する際に役立ててください。
グループホームとは何か
グループホームは、認知症を抱える高齢者が家庭的な環境の中で、共同生活を送るための介護施設です。ここでは、5人~9人の入居者が一つのユニットを形成し、日々の生活を支え合いながら過ごします。このような小規模な単位での運営は、利用者一人ひとりに寄り添ったケアを可能にし、スタッフの目が行き届きやすくなるという大きなメリットがあります。
施設内では、リラックスできる居間や食堂が設けられており、入居者にとって快適な生活空間が提供されています。また、24時間体制で専門的な介護スタッフによるサポートがあり、入居者の安全や日々のケアが行われる体制が整えられています。
また、グループホームは地域密着型サービスの一つであり、施設の運営は主に社会福祉法人や地方自治体、非営利団体(NPO)などが担っています。
関連記事:障害者グループホームとは?種類や費用相場・入居の流れについて
グループホームの入居条件
グループホームへの入居には、特定の条件が設定されています。
【入居条件】
- 認知症の診断
- 年齢と要支援・要介護の認定
- 居住地の要件
- 集団生活の適応性
これらの条件を満たすことが求められます。グループホームが提供するサービスの性質や目的、利用者の安全と快適性を確保するために重要であるためです。以下で詳しく見ていきましょう。
認知症の診断
グループホームは認知症の高齢者専用施設であるため、入居者は医師から認知症と診断されている必要があります。自己判断や家族の見解だけでなく、医師による診断書をもらわなければ、グループホームに入居することはできません。
年齢と要支援・要介護の認定
基本的には65歳以上の高齢者が対象ですが、64歳以下でも初老期認知症と診断された場合、入居することが可能です。また、「要支援2」「要介護1〜5」の認定を受けていることも必須条件です。
居住地の要件
グループホームは地域密着型サービスであり、入居希望者は施設が所在する市区町村に住民票を有している必要があります。この条件は、住み慣れた地域での生活を継続することを目的としています。
集団生活の適応性
入居者は、集団での共同生活に適応できることが求められます。自傷や他傷のリスクが高い場合や、医療的なケアが必要な場合は、入居が困難になることがあります。具体的な要件は施設によって異なりますので、入居前に確認することが大切です。
グループホームの特徴
グループホームは、認知症の高齢者が自立した生活を送るための特別な施設であり、老人ホームやケアハウスとは異なる点が多いです。グループホームには以下のような特徴があります。
【グループホームの特徴】
- 認知症の高齢者だけ入居できる
- 少人数で共同生活をおくる
- 日常の家事は入居者がおこなう
- 看護師の配置が義務づけられていない
入居を検討する際は、事前に特徴を理解しておきましょう。
特徴①認知症の高齢者だけ入居できる
グループホームの最大の特徴は、認知症の高齢者だけが入居対象とされていることです。そのため、入居希望者は医師による正式な認知症の診断書を提出する必要があります。
認知症の方々が安心して生活できるように特化された環境を提供するための条件となります。
特徴②少人数で共同生活をおくる
グループホームでは、5〜9人の入居者が一つのユニットを形成し、共同生活を送ります。少人数制は、入居者がお互いに支え合い、個々のニーズに合わせたケアが可能になるよう設定されています。
また、認知症の方々にとって、環境の変化に対応するのが難しいため、小規模な集団で安定した生活環境を提供することが目的となっています。
特徴③日常の家事は入居者がおこなう
グループホームの入居者は、日常生活の中で可能な限り自立を促すため、自分たちで家事を分担して行います。食事の準備、洗濯、掃除などが含まれ、スタッフのサポートのもとで実施されます。
このような取り組みは、入居者の自立支援と認知機能の維持・改善を目指しています。
特徴④看護師の配置が義務づけられていない
グループホームでは、看護師の常駐が義務づけられていません。そのため、医療的なケアが頻繁に必要な方にとっては、グループホームを選ぶ際に注意が必要です。看護師が常駐している施設もありますが、その場合、費用が高くなることが一般的です。
グループホームは、入居者一人ひとりに合わせたケアと、快適な生活環境を提供しています。入居を検討している場合は、これらの特徴を参考に、施設を選びましょう。
関連記事:グループホームの特徴と入居条件・メリットや入居費の相場を紹介
グループホームの費用
グループホームの利用に必要な費用は、入居時の一時金と毎月継続して支払う利用料に分けられます。これらの費用の詳細と一般的な相場を解説します。
入居一時金
入居時に必要な一時金は施設によって異なり、0円の場合もあれば100万円程度必要な施設もあります。一時金は基本的に退去時に返金されますが、施設の規定によっては、利用期間に応じて償却されることもあります。
具体的な金額や返金条件は、事前に施設に確認することが重要です。
月額利用料
毎月発生する利用料は、介護サービス費と日常生活費に分けられます。全体の費用は、月額で約15万円から30万円程度が一般的な相場とされています。
日常生活費
日常生活費には、以下の内容が含まれています。
【日常生活費】
- 居住費(家賃)
- 食費
- 光熱費
- 管理費
施設の立地や居室の設備によって異なり、都市部の施設は高額になる傾向があります。また、理美容代やおむつ代などは、個々の利用者によって必要なサービスが異なるため、費用も変動します。
一般的な相場としては、居住費は5万円〜6万円、食費3万〜6万円、光熱費2万円〜4万円、管理費1万円〜2万円程度だと認識しておきましょう。
関連記事:老人ホームの入居にかかる費用は?相場と安く抑えるポイント
介護サービス費
介護サービス費は、介護保険が適用される部分の自己負担額です。利用者の要介護度に応じて変動し、利用者負担は1割から3割と決められています。1ユニットの場合の介護サービス費は、以下を参考にしてください。
要介護度 | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
要支援2 | 22,800円 | 45,600円 | 68,400円 |
要介護1 | 22,920円 | 45,840円 | 68,760円 |
要介護2 | 24,000円 | 48,000円 | 72,000円 |
要介護3 | 24,690円 | 49,380円 | 74,070円 |
要介護4 | 25,200円 | 50,400円 | 75,600円 |
要介護5 | 25,740円 | 51,480円 | 77,200円 |
※参照元:厚生労働省(介護報酬の算定構造)
介護サービスの内容や、ユニット数によっても費用は変わりますので、具体的な費用は施設によって異なります。
関連記事:グループホームの料金表|入居の条件・費用を抑える方法も紹介
サービス加算
サービス加算については、施設が提供する特別なサービスや、体制に対する追加費用です。代表的なもので、次の5つが挙げられます。
【サービス加算】
- 初期加算
- 認知症専門ケア加算
- 夜間支援体制加算
- 医療連携体制加算
- 看取り介護加算
サービス加算の内容や金額は施設によって異なるので、入居する前に詳細を確認することが重要です。
グループホームの費用は、施設ごとに大きな差があります。入居を検討する際は、それぞれの施設で費用内容を確認し、比較検討するようにしましょう。
入居一時金の償却と返還金
グループホームへ入居を検討する際の入居一時金は、賃貸住宅での「敷金」に似ています。グループホームを利用する権利を取得するために必要な費用で、施設によって費用は異なります。
また、入居一時金は退去時に一部が返還されるのが一般的ですが、その際の償却率は施設によりさまざまです。例えば、入居して1年後に退去すると、入居一時金の一部が償却され、残額が返還されるという仕組みです。
返還金の額は、施設が定める償却期間と償却率によって決定されます。国による基準は設けられておらず、施設によっては入居期間によって全額償却される場合もありますし、長期間にわたって段階的に償却される場合もあります。
そのため、入居契約を結ぶ際は、償却に関するルールをしっかり確認し理解することが重要です。
費用を抑えるために利用できる制度
グループホームへ入居を検討する際、費用の負担を軽減するために利用できる複数の制度が存在します。
- 高額介護サービス費
- 特定障害者特別給付
- 社会福祉法人等の利用者負担軽減制度
ここでは、これらの制度を詳しく見ていきましょう。
高額介護サービス費
高額介護サービス費制度は、介護保険における自己負担額が、所得に応じて設定された上限額を超えた場合、超過分が返金される制度です。介護サービスの利用が増え、自己負担が重くなった際に特に役立ちます。
ただし、この制度は介護保険のサービス費のみが対象であり、日常生活費や居住費などは含まれません。自己負担が上限額を超える可能性がある場合は、申請を忘れずに行いましょう。
特定障害者特別給付
特定障害者特別給付は、低所得者で指定障害者施設を利用する人を対象とした制度です。食費や居住費の一部、光熱費を軽減するためのものです。この制度を利用するには、施設が特定の基準を満たしている必要があります。障害者の生活費の負担を軽減し、自立を支援することが目的とされています。
社会福祉法人等の利用者負担軽減制度
社会福祉法人が運営するグループホームでは、低所得者向けに利用者負担軽減制度を実施している場合があります。施設によって異なるため、具体的な内容や利用条件については、施設に直接問い合わせることが必要です。
制度を利用することで、介護保険サービス費の自己負担分や日常生活費、居住費の一部が軽減される可能性があります。利用を検討している施設が、このような制度を提供しているかどうか事前に確認してみましょう。
グループホームに関するQ&A
グループホームの費用に関するよくある質問をまとめてみました。それぞれ回答していきます。
入居一時金は絶対に必要?
多くのグループホームでは、入居一時金の支払いが求められますが、すべての施設で必須というわけではありません。初期費用が0円の施設も増えており、施設選びには多様な選択肢があります。
入居一時金は、施設を利用する権利を得るための費用であり、退去時に一部が返金されることが一般的ですが、返金額は施設や入居期間によって異なります。生活保護受給者が入居できる施設もあるため、その場合は入居一時金の支払いが免除されるケースもあります。
生活保護を受給していても入居できる?
生活保護受給者でも、グループホームに入居することは可能です。ただし、生活保護受給者を受け入れている施設は限られており、多くはないでしょう。
生活保護受給者を対象とする施設は、地域包括支援センターや自治体の担当部門に相談することで、入居可能な施設の情報を得られます。生活保護対応型の施設では、入居一時金の免除や、費用の軽減措置が取られていることが一般的です。
年金のみで費用をまかなえる?
年金のみでグループホームに入居することは、条件により可能です。ただし、国民年金のみを受給している場合など、受給額が少ない場合、選択肢が限られるでしょう。
グループホームの費用には入居一時金、日常生活費、介護サービス費などが含まれるため、年金収入とこれらの費用を照らし合わせ、実際に入居可能かどうかを検討する必要があります。
経済的に厳しい場合は、上述した高額介護サービス費制度や、社会福祉法人等の利用者負担軽減制度などの、公的支援を活用することも考慮しましょう。
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いかがでしたでしょうか?グループホームの費用面について、お分かりいただけたかと思います。決して安くないグループホームの費用ですが、制度を利用することで抑えられる場合もあります。国や自治体の制度を確認してみてください。
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監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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