介護保険施設とは?種類や費用、選び方のポイントを徹底解説!

はじめに:介護保険施設とは?高齢者の暮らしを支える公的な選択肢
日本は世界でもトップクラスの高齢化が進んでおり、多くの方が介護について考える機会が増えています。実際に、約690万人もの方が要介護(要支援)認定を受けているという状況は、介護が一部の人々だけでなく、社会全体にとって身近な課題であることを示しています。もしご自身や大切なご家族が介護を必要とする状態になったとき、どのような選択肢があるのか、特に公的な支援について知っておくことは非常に重要です。この記事では、介護保険制度のもとで運営される「介護保険施設」に焦点を当て、その種類、費用、そして後悔しないための選び方のポイントを、介護の専門用語に不慣れな方にも分かりやすく解説します。
介護保険制度と介護保険施設の位置づけ
介護保険制度は、2000年に始まった、高齢者の介護を社会全体で支え合うための仕組みです。40歳以上の国民が支払う保険料と税金を主な財源としており、具体的には公費(国、都道府県、市町村)が50%、保険料が50%(うち第1号保険料23%、第2号保険料27%)で構成されています。この制度は、市区町村が保険者となり運営されています。介護が必要と認定(要支援・要介護認定)された方が、様々な介護サービスを利用する際の費用の一部が給付されるという、利用者本位の考え方と、給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用している点が特徴です。
この介護保険制度の中で、「介護保険施設」は、主に在宅での生活が困難になった要介護高齢者が入所し、日常生活の支援や介護、必要な医療的ケアを受けることができる公的な施設を指します。国や自治体からの補助があるため、民間の有料老人ホームなどと比較して、利用者の費用負担が軽減される傾向にあるのが大きな特徴です。この費用負担の軽減は、多くの方にとって介護保険施設が魅力的な選択肢となる一方で、施設によっては入所待機者が多くなる一因ともなっています。
介護保険施設を利用する目的とメリット
介護保険施設は、要介護認定を受けた方が、専門的なケアを受けながら安全で安心な生活を送ることを目的としています。単に身の回りのお世話をするだけでなく、入居者の尊厳を守り、その人らしい生活が継続できるよう支援することを重視している点は、介護を考える上で非常に心強いポイントです。主なメリットとしては以下のような点が挙げられます。
- 専門的な介護: 24時間体制で、食事、入浴、排泄などの介助や、機能訓練(リハビリテーション)を受けられます。
- 医療連携: 看護職員が常駐していたり、協力医療機関との連携が整っていたりするため、日々の健康管理や緊急時の対応も安心です。
- 家族の負担軽減: 在宅介護を担ってきたご家族の身体的・精神的な負担を大きく減らすことができます。これは、介護者にとっても重要な支援となります。
- 安全な環境: バリアフリー設計はもちろん、事故防止や緊急時の対応策が講じられています。
- 栄養管理された食事: 管理栄養士により、健康状態や嚥下能力に配慮された食事が提供されます。
これらの施設は、入居者が尊厳を保ちながら、可能な限り自立した生活を送れるよう支援することを目指しています。
【一覧で比較】介護保険施設は主に3種類!それぞれの特徴と対象者
介護保険施設には、主に「特別養護老人ホーム(特養)」「介護老人保健施設(老健)」「介護医療院」の3種類があります。かつて存在した「介護療養型医療施設」は、医療と介護の役割分担の明確化といった観点から2024年3月末で廃止され、介護医療院などへ移行しました。そのため、現在新規で入所することはできません。この変更は、より利用者の状態に応じた適切なサービス提供体制を目指す国の政策の一環です。それぞれの施設の特徴と対象者を理解することが、施設選びの第一歩です。
介護保険施設の種類と概要(比較表)
以下に、主な3種類の介護保険施設の特徴をまとめました。
種類 | 主な目的 | 主な対象者(要介護度) | 提供サービスの特徴 | 費用感(月額目安) | 入所期間 |
---|---|---|---|---|---|
特別養護老人ホーム(特養) | 生活の場としての長期的な介護 | 原則 要介護3以上 | 日常生活介護、看取り | 比較的安価 | 原則終身 |
介護老人保健施設(老健) | 在宅復帰を目指したリハビリテーション | 要介護1以上 | リハビリ、医療ケア、日常生活介護 | 特養よりやや高め | 原則3~6ヶ月 |
介護医療院 | 長期療養と医療ケア、看取り | 要介護1以上 | 医療ケア、介護、看取り、生活施設としての機能 | 老健と同等かやや高め | 長期可能 |
※費用はあくまで目安で、居室タイプや所得、サービス内容により変動します。詳細は各施設にご確認ください。
特別養護老人ホーム(特養)
「特養(とくよう)」とも呼ばれ、常時介護が必要で自宅での生活が難しい方が入所する施設です。「終の棲家」として看取りまで対応する施設も多く、費用が比較的安いため人気がありますが、待機者が多い地域もあります。
介護老人保健施設(老健)
「老健(ろうけん)」は、病状が安定し、病院から退院したものの、すぐに在宅生活に戻るのが不安な方が、リハビリテーションを中心としたケアを受け、在宅復帰を目指す施設です。入所期間は原則3~6ヶ月程度です。
介護医療院
2018年度に創設された比較的新しい施設で、長期的な医療と介護の両方が必要な高齢者を受け入れます。医療ケアや看取りにも対応し、特養や老健では対応が難しい医療ニーズの高い方の療養生活を支えるとともに、生活施設としての機能も重視されています。
介護療養型医療施設(※2024年3月末で廃止、介護医療院へ移行)
医療ニーズの高い高齢者の長期療養施設でしたが、医療と介護の役割分担の明確化などの観点から2024年3月末で廃止されました。現在は介護医療院などへの移行が進められています。このため、新規の入所はできません。この情報を知っておくことは、古い情報に惑わされず、現在の選択肢を正しく理解する上で非常に重要です。
種類別に詳しく解説!各介護保険施設の特徴・サービス内容・費用・入居条件
ここからは、各介護保険施設について、もう少し詳しく見ていきましょう。
特別養護老人ホーム(特養)~終身利用も可能な生活の場~
特養は、社会福祉法人や地方公共団体などが運営する公的な施設です。「介護老人福祉施設」とも呼ばれます。
特養のサービス内容と人員体制
食事、入浴、排泄などの日常生活全般の介護、機能訓練、健康管理、レクリエーションなどが提供されます。看護職員や介護職員、生活相談員、機能訓練指導員などが配置されており、看取りに対応する施設も増えています。人員配置は法律で基準が定められており、例えば看護職員は入所者30人以下で1人以上、31人~50人で2人以上といった基準があります。医師は非常勤でも認められていますが、協力医療機関との連携は図られています。
特養の費用(目安と内訳)
月額費用の目安は8万円~15万円程度です。内訳は主に以下の通りです。
- 介護サービス費(自己負担分)
- 要介護度や所得に応じて1割~3割負担となります。
- 居住費(部屋代)
- 居室タイプ(多床室、従来型個室、ユニット型個室など)により異なります。
- 食費
- 1日3食の費用です。
- その他日常生活費
- 理美容代、個人の日用品費などです。
居住費と食費は、所得の低い方向けの負担軽減制度(補足給付)があります。
特養の入居条件と待機状況
原則として65歳以上で要介護3以上の方が対象です(特定疾病の場合は40歳以上65歳未満の方も対象となります)。要介護1・2の方でも、例えば家族等による深刻な虐待が疑われる場合や、単身世帯で家族等の支援が期待できず地域サービスも不十分な場合など、やむを得ない事情がある場合は特例的に入所が認められることがあります。この「やむを得ない事情」の具体的な判断は市区町村に委ねられているため、確認が必要です。
費用が比較的安く、終身利用が可能なため人気が高く、多くの地域で入居待機者が発生しています。入居の優先順位は、要介護度や介護の必要性、家族の状況などが総合的に判断されます。この待機期間の長さは、特養を検討する上で非常に重要な考慮事項となります。
特養のメリット・デメリット
- メリット
- 費用が比較的安い、終身利用が可能、24時間介護を受けられる。
- デメリット
- 待機期間が長い場合が多い、医療ケアに限界がある場合も(近年は強化傾向にありますが、施設によります)、個室が少ない施設もある。
介護老人保健施設(老健)~在宅復帰を目指すリハビリ拠点~
老健は、病院と自宅の中間的な役割を担う施設です。その最大の目的は、利用者が安定した状態で在宅生活へ復帰できるよう支援することにあります。
老健のサービス内容と人員体制(リハビリ専門職の配置)
医師の管理のもと、看護・介護、そして理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といった専門職によるリハビリテーションが提供されます。在宅復帰に向けた退所支援も積極的に行われ、入所者の状態に応じたリハビリテーション計画が作成されます。
老健の費用(目安と内訳)
月額費用の目安は9万円~17万円程度です。費用内訳は特養と概ね同様ですが、リハビリテーションの内容によって費用が加算される場合があります。居住費・食費の負担軽減制度(補足給付)も利用可能です。
老健の入居条件と入所期間
65歳以上で要介護1以上の方が対象です(特定疾病の場合は40歳以上65歳未満の方も対象)。病状が安定していることが条件となります。
在宅復帰が目的なので、入所期間は原則3~6ヶ月程度とされています。この期間限定という点が、特養との大きな違いであり、利用後の生活設計をあらかじめ考えておく必要があります。
老健のメリット・デメリット
- メリット
- リハビリが充実、医療ケアも受けられる、在宅復帰支援がある、特養より待機期間が短い傾向。
- デメリット
- 入所期間に限りがある(終身利用は不可)、特養より費用がやや高い場合も。
介護医療院~長期療養と医療ケアを一体的に提供~
介護医療院は、2018年度に創設された、医療ニーズの高い高齢者のための、住まいと生活を医療が支える新たな施設類型です。長期にわたり療養が必要な要介護者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理下での介護および機能訓練、その他必要な医療と日常生活上の世話を提供することを目的としています。
介護医療院のサービス内容と人員体制(医療スタッフの充実)
医師、看護職員、介護職員、薬剤師、理学療法士などが配置され、日常的な医学管理、喀痰吸引や経管栄養などの医療処置、看取りやターミナルケア、リハビリテーション、日常生活の介護が提供されます。プライバシーに配慮した療養環境や、家族や地域住民との交流が可能な生活施設としての機能も重視されています。
介護医療院には、利用者の状態に応じて主に2つの類型があります。
- Ⅰ型介護医療院
- より重篤な身体疾患を持つ方や、認知症に伴う行動・心理症状が重い方など、旧介護療養病床(療養機能強化型A・B)の利用者に近い、比較的医療ニーズの高い方が対象です。医師や介護職員の人員配置基準がⅡ型より手厚くなっています。
- Ⅱ型介護医療院
- Ⅰ型と比較して容体が安定している方が対象で、介護老人保健施設相当以上のサービス提供が想定されています。
このⅠ型・Ⅱ型の区分は、利用者の医療依存度に応じた適切なケアを提供するためのものであり、施設選びの際には重要なポイントとなります。
介護医療院の費用(目安と内訳)
月額費用の目安は10万円~20万円程度です。医療ケアが充実している分、他の介護保険施設より高めになる傾向があります。費用内訳や負担軽減制度(補足給付)は他の施設と同様に利用可能です。
介護医療院の入居条件
65歳以上で要介護1以上、かつ長期的な療養と医療的ケアが必要な方が主な対象です(特定疾病の場合は40歳以上65歳未満の方も対象)。
介護医療院のメリット・デメリット
- メリット
- 医療ケアが充実、看取り対応、長期療養が可能。特養や老健では対応困難な医療ニーズの高い方にとって重要な選択肢となります。
- デメリット
- 費用が比較的高め、施設数がまだ少ない場合がある、リハビリは機能維持が中心となることが多い。
介護療養型医療施設(療養病床)~医療ニーズの高い高齢者のための施設(現在は介護医療院へ移行)~
介護療養型医療施設の概要と役割
かつては医療依存度の高い要介護高齢者の長期療養を支えてきましたが、医療と介護の役割分担の不明確さや、医療の必要性が低い社会的入院の温床になっているなどの課題が指摘されていました。
介護医療院への移行とその背景
これらの課題解決のため、2024年3月末をもって廃止され、介護医療院などへの移行が進められました。現在、新規入所はできません。この移行は、医療ニーズに応じた適切なケア提供体制の再構築と、介護保険制度の持続可能性確保を目指すものです。
介護保険施設の費用について~負担を軽減する制度も活用しよう~
介護保険施設の費用は、決して安くはありません。しかし、負担を軽減するための制度があります。これらの制度を理解し活用することが、安心して施設を利用するために不可欠です。
各介護保険施設の費用比較(月額料金の目安)
前述の比較表(【一覧で比較】の章)をご参照ください。個々の状況で大きく異なるため、あくまで目安として捉え、詳細は各施設にご確認ください。
費用の内訳(介護サービス費、居住費、食費、その他)
施設の月額費用は、主に以下の要素で構成されます。
- 介護サービス費(自己負担分)
- 介護保険サービス利用料の1割~3割。この負担割合は、本人の合計所得金額や世帯の所得状況によって決定されます。例えば、65歳以上で本人の合計所得金額が220万円未満(単身世帯の場合)であれば原則1割負担ですが、所得に応じて2割または3割負担となる場合があります。
- 居住費
- 部屋代。施設の種類や居室タイプ(多床室、個室、ユニット型個室など)で異なります。
- 食費
- 1日3食の費用。
- その他日常生活費
- 理美容代、おむつ代(施設によっては介護サービス費に含まれる場合と別途実費の場合あり)、レクリエーション費用など実費負担分。
知っておきたい!介護保険施設の費用負担を軽減する制度
経済的な負担を軽減するための主な公的制度です。
高額介護サービス費
1ヶ月の介護サービス費の自己負担額(同一世帯に複数の利用者がいる場合は世帯合算)が、所得に応じた上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。居住費、食費、その他日常生活費は対象外です。申請が必要な場合がありますので、市区町村の窓口で確認しましょう。
負担上限額は所得区分によって異なり、例えば以下のような設定があります(2021年8月改定後の基準)。
所得区分 | 負担の上限額(月額) |
---|---|
現役並み所得に相当する方 (課税所得690万円以上、年収約1,160万円以上) | 140,100円 (世帯) |
現役並み所得に相当する方 (課税所得380万円~690万円未満、年収約770万円~1,160万円未満) | 93,000円 (世帯) |
市町村民税課税世帯の方 (上記以外、年収約770万円未満) | 44,400円 (世帯) |
世帯の全員が市町村民税非課税の方 | 24,600円 (世帯) |
世帯全員非課税で、前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等 | 15,000円 (個人) |
生活保護を受給している方等 | 15,000円 (個人) |
※「世帯」とは、住民基本台帳上の世帯で、介護サービスを利用した方が複数いる場合に、自己負担額を合算して上限額を超えた場合に支給されます。
※「個人」とは、個人の自己負担額に対して上限額が適用されます。
この制度を理解しておくことで、予期せぬ高額な自己負担に備えることができます。
特定入所者介護サービス費(補足給付)
所得や資産が一定基準以下の方を対象に、介護保険施設の「居住費」と「食費」の負担を軽減する制度です。「介護保険負担限度額認定証」の交付を市区町村に申請し、認定されると、所得段階に応じた負担限度額までの支払いで済むようになります。
この制度は、利用者の所得段階(第1段階~第3段階②など)と資産(預貯金等)によって負担限度額が設定されています。例えば、預貯金等が単身で1,000万円以下、夫婦で2,000万円以下といった基準があります。
重要な注意点として、令和6年(2024年)8月1日から、この補足給付における居住費の負担限度額および基準費用額が、近年の光熱水道費の高騰などを踏まえ、一部引き上げられました。ただし、利用者負担第1段階の多床室利用者の負担限度額は据え置かれています。最新の負担限度額については、必ず市区町村の窓口やケアマネジャーにご確認ください。この改正は、低所得者層の負担に配慮しつつ、制度の公平性を保つためのものです。
医療費控除の適用について
介護保険施設で支払った費用の一部は、所得税の医療費控除の対象となる場合があります。確定申告が必要です。対象となる範囲は施設の種類によって異なります。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 利用者負担額(介護サービス費、食費、居住費)の 1/2 が対象となります。
- 介護老人保健施設(老健)・介護医療院
- 利用者負担額(介護サービス費、食費、居住費)が 全額 対象となります。
この違いは、施設の医療提供体制の度合いを反映したものであり、実質的な負担額に影響するため、覚えておくとよいでしょう。詳細は税務署にご確認ください。
公的施設と民間施設の違いとは?有料老人ホームやサ高住との比較
介護施設には、これまで説明してきた介護保険施設のような「公的施設」と、民間企業が運営する「民間施設」があります。それぞれの特徴を理解することで、より幅広い選択肢の中から最適な施設を選ぶことができます。
「公的施設」である介護保険施設の特徴
- 運営主体
- 地方公共団体、社会福祉法人など、非営利性が高い団体が中心です。
- 費用
- 民間施設と比較して比較的安価な傾向にあり、入居一時金(まとまった初期費用)は原則として不要です。
- 入居基準
- 主に要介護度が重視され、介護の必要性が高い方が優先される傾向があります。
- 待機
- 特に特別養護老人ホーム(特養)を中心に、入居待機者が多い状況が見られます。
- サービス
- 介護保険法に基づくサービスが中心となります。
「民間施設」の代表例:有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
有料老人ホーム: 多様なタイプがあります。
- 介護付有料老人ホーム: 施設スタッフが介護サービスを提供し、多くは24時間体制です。特定施設入居者生活介護の指定を受けています。
- 住宅型有料老人ホーム: 生活支援サービスが中心で、介護が必要な場合は外部の訪問介護などの介護サービスを利用します。
- 健康型有料老人ホーム: 自立して生活できる高齢者向けで、介護が必要になると退去または住み替えが必要になる場合があります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住): 高齢者住まい法に基づき登録された、バリアフリー構造の賃貸住宅です。安否確認サービスと生活相談サービスが必須で提供されますが、介護サービスは基本的に外部の事業者と別途契約して利用します。ただし、約8割の施設では介護サービス事業所を併設しており、訪問介護や通所介護などを利用しやすくなっています。サ高住はあくまで「住宅」であり、介護保険施設のように介護サービスが一体的に提供されるわけではない点を理解しておくことが重要です。
費用面での違い(初期費用・月額費用)
- 初期費用
- 公的施設は原則として不要です。一方、民間施設では0円から数千万円と施設によって幅広く設定されており、特に有料老人ホームでは高額な入居一時金が必要な場合があります。サ高住では敷金が必要となるのが一般的です。
- 月額費用
- 公的施設は8万円~20万円程度が目安です。民間施設は、提供されるサービス内容や設備の充実度により大きく異なり、15万円~数十万円と幅があります。
入居条件や入居難易度の違い
- 公的施設
- 要介護度が重視され、特に特養は待機期間が長くなる傾向があります。
- 民間施設
- 要介護度に加え、支払い能力なども考慮されます。比較的入居しやすい施設もありますが、費用は高めになる傾向があります。
提供されるサービスや設備の違い
- 公的施設
- 介護保険法に基づいた介護サービスが中心で、設備は標準的なものが多いです。
- 民間施設
- 介護サービスに加え、生活支援、レクリエーション、イベント、豪華な共用設備や居室など、多様なサービスや付加価値が提供されることが特徴です。
公的施設と民間施設は、費用、入居のしやすさ、サービスの多様性などで異なる特徴を持っています。どちらが良いということではなく、ご本人の状態や希望、経済状況などを総合的に考慮して選択することが大切です。
自分に合った介護保険施設の選び方~後悔しないためのチェックポイント~
最適な施設を選ぶためには、いくつかの重要なポイントがあります。これらを事前に整理し、比較検討することが後悔しない施設選びにつながります。
入居する方の身体状況や医療ニーズを把握する
まず最も重要なのは、入居を希望される方の現在の身体状況や、どのような医療的ケアが必要かを正確に把握することです。
- 要介護度(どの程度の介護が必要か)
- 認知症の有無やその程度
- 必要な医療ケア(例:経管栄養、インスリン注射、喀痰吸引、在宅酸素療法など)
- リハビリテーションの希望(積極的に行いたいのか、現状維持を目指すのか)
これらの情報を基に、どの種類の施設が適しているか(例えば、医療ニーズが高ければ介護医療院のⅠ型、リハビリ重視なら老健など)を絞り込むことができます。この初期評価が不十分だと、入居後に必要なケアが受けられないといったミスマッチが生じる可能性があります。
費用(予算)と支払い能力を確認する
次に、施設利用にかかる費用と、ご自身の支払い能力を照らし合わせることが不可欠です。
- 初期費用(入居一時金など、介護保険施設では原則不要)
- 月額費用(介護サービス費自己負担分、居住費、食費、その他雑費)
- その他、一時的にかかる費用(医療費、特別なレクリエーション費など)
年金収入や貯蓄などを考慮し、長期的に無理なく支払いが継続できるか計画を立てましょう。高額介護サービス費や特定入所者介護サービス費(補足給付)などの負担軽減制度の利用も視野に入れ、概算費用を把握することが大切です。
希望するサービス内容や生活環境を明確にする
費用だけでなく、どのような生活を送りたいか、どのようなサービスを重視するかを明確にすることも重要です。
- 居室タイプ(個室が良いか、多床室でも費用を抑えたいか)
- レクリエーションやイベントの内容、参加の希望
- 食事の内容や提供方法(アレルギー対応、刻み食など)
- 看取りへの対応方針(施設としての方針を確認)
- 家族の面会のしやすさ(立地、交通アクセス、面会時間など)
- 施設の立地(自宅からの距離、周辺環境など)
これらの希望に優先順位をつけ、譲れない条件と妥協できる条件を整理しておくと、施設比較がしやすくなります。
見学や体験入居を活用する際のポイント
資料やウェブサイトの情報だけでなく、必ず複数の施設を見学しましょう。実際に足を運ぶことで、パンフレットだけでは分からない雰囲気や実情を把握できます。見学時には以下の点をチェックするとよいでしょう。
- 施設の清潔感、臭い(清掃が行き届いているか、不快な臭いはないか)
- スタッフの対応(入居者や家族に対して丁寧か、忙しそうにしていないか)
- 入居者の表情(穏やかに過ごしているか、活気があるか)
- 食事の内容(可能であれば試食、メニューの多様性、栄養バランス)
- 介護の様子(入居者への接し方、ケアの丁寧さ)
- 安全対策(手すりの設置、段差の解消、緊急呼び出し装置など)
- 騒音、日当たり(居室や共用スペースの環境)
可能であれば、短期間の体験入居を利用することも有効です。実際に生活してみることで、施設との相性をより深く確認できます。
待機期間や入居のしやすさも考慮に入れる
特に費用が比較的安価な特別養護老人ホーム(特養)は、地域によっては待機期間が非常に長い場合があります。
- 希望する施設の待機状況を確認する。
- 複数の施設に申し込みを行うことも検討する。
- すぐに入居できない場合に備え、在宅サービスやショートステイなどの代替案も考えておく。
入居までの流れや、緊急時の対応についても事前に確認しておくと安心です。
これらのポイントを踏まえ、焦らずじっくりと情報収集と比較検討を行うことが、納得のいく施設選びにつながります。
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監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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