特別養護老人ホームの費用負担を軽減!知っておきたい減免制度と申請方法

「特別養護老人ホーム(特養)は、他の介護施設に比べて費用が安いと聞くけれど、それでも負担は大きいのでは…」
「もし年金だけで足りなかったらどうしよう…」
終身にわたって手厚い介護が受けられる特別養護老人ホームですが、費用に関する不安をお持ちの方は少なくありません。
結論からお伝えすると、特別養護老人ホームには、所得や資産が一定の基準を下回る方の負担を大幅に軽減するための、複数の公的な減免制度が用意されています。
この記事では、特別養護老人ホームの費用負担を軽くするための代表的な制度である「負担限度額認定制度」や「医療費控除」について、対象となる条件から申請方法まで、分かりやすく徹底解説します。これらの制度を正しく理解し活用することで、費用に関する不安を解消し、安心して施設選びを進めることができます。
特別養護老人ホームの費用構造を理解しよう
特別養護老人ホームの利用料の内訳
月々の利用料を構成する4つの費用
特別養護老人ホームの月々の利用料は、主に以下の4つの項目で構成されています。
- 施設介護サービス費
- 介護保険が適用されるサービスの自己負担分です。要介護度や居室のタイプに応じて金額が異なり、所得に応じて費用の1割~3割を負担します。
- 居住費(滞在費)
- 居室を利用するための家賃に相当する費用です。多床室や個室といった部屋のタイプによって料金が異なります。
- 食費
- 1日3食の食事にかかる費用です。
- 日常生活費
- 理美容代、個人の希望で購入する嗜好品、レクリエーションの材料費など、個人的な支出です。
このうち、費用減免制度の主な対象となるのは「居住費」と「食費」です。
なぜ費用減免制度が必要なのか
介護保険制度では、施設サービス費以外の居住費・食費・日常生活費は、原則として全額自己負担となります。しかし、それでは所得の低い方や貯蓄の少ない方にとって、施設の利用が非常に困難になってしまいます。
そこで、誰もが必要な介護を受けられるよう、所得や資産に応じて居住費や食費の負担を軽減し、公平性を保つための制度が設けられているのです。
所得が低い方が対象!負担限度額認定制度
負担限度額認定制度とは
居住費と食費の負担を軽減するための、最も代表的な制度が「負担限度額認定制度」です。
この制度は、所得および預貯金などが一定の基準を下回る方に対して、居住費と食費の自己負担額に上限(負担限度額)を設ける制度です。基準となる費用と上限額との差額は「特定入所者介護サービス費」として介護保険から給付されるため、自己負担を大幅に抑えることができます。
対象者と認定要件
この制度の対象となるのは、以下の3つの要件をすべて満たす方です。
- 所得要件
- 本人および世帯全員が市区町村民税非課税であること。配偶者がいる場合は、世帯分離をしていても配偶者も非課税である必要があります。
- 資産要件
- 預貯金や有価証券などの資産額が、国が定める基準額以下であること。
- その他
- 介護保険料を滞納していないこと。
所得に応じた負担段階(令和6年8月~)
対象者は、収入や資産の状況に応じて以下の4つの段階に分けられ、それぞれに上限額が定められています。以下の表は、2024年(令和6年)8月からの基準に基づいています。
| 負担段階 | 主な対象者 | 預貯金等の資産要件 |
|---|---|---|
| 第1段階 | ・世帯全員が市区町村民税非課税で、老齢福祉年金を受給している ・生活保護を受給している |
単身1,000万円以下 夫婦2,000万円以下 |
| 第2段階 | ・世帯全員が市区町村民税非課税 ・本人の合計所得金額+課税・非課税年金収入額が年80万円以下 |
単身 550 万円以下 夫婦 1,550 万円以下 |
| 第3段階① | ・世帯全員が市区町村民税非課税 ・本人の合計所得金額+課税・非課税年金収入額が年80万円超~120万円以下 |
単身 500 万円以下 夫婦 1,500 万円以下 |
| 第3段階② | ・世帯全員が市区町村民税非課税 ・本人の合計所得金額+課税・非課税年金収入額が年120万円超 |
単身 500 万円以下 夫婦 1,500 万円以下 |
| 第4段階 | ・上記以外の方(市区町村民税課税世帯の方など) | 該当しない |
| ※第4段階の方は、負担限度額認定の対象外となり、施設が設定した居住費・食費を全額自己負担します。 | ||
居住費と食費の負担限度額(令和6年8月~)
負担段階ごとに、1日あたりの居住費と食費の負担限度額が定められています。特に食費は、近年の食料品価格高騰の影響をふまえ、2024年(令和6年)8月から負担額が見直されました。
| 負担段階 | 居住費(多床室) | 居住費(ユニット型個室) | 食費 |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 0円 | 820円 | 300円 |
| 第2段階 | 370円 | 820円 | 600円 |
| 第3段階① | 370円 | 1,310円 | 1,000円 |
| 第3段階② | 370円 | 1,310円 | 1,100円 |
※上記は国の基準額であり、実際の金額は施設との契約内容によって定められます。
申請手続きと必要書類
この制度を利用するには、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口への申請が必要です。
<主な必要書類>
- 介護保険負担限度額認定申請書、同意書(窓口または市区町村のホームページで入手)
- 本人および配偶者の預貯金通帳などの写し(銀行名、支店名、口座番号、名義人、直近2ヶ月程度の残高がわかるページ)
- 有価証券や投資信託などがある場合は、その残高がわかる書類の写し
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
※虚偽の申告をした場合、認定が取り消されるだけでなく、不正に受給した額に加えて加算金が課されることがあるため、正確に申告しましょう。
負担限度額認定証の活用
申請が承認されると、「介護保険負担限度額認定証」が交付されます。特別養護老人ホームを利用する際に、この認定証を提示することで、居住費と食費の減額が適用されます。提示しないと減額は受けられないため、入所の際には必ず施設に提出しましょう。
医療費控除で税金還付を受けよう
医療費控除とは?
支払った利用料の一部は、確定申告をすることで税金の還付を受けられる「医療費控除」の対象になります。
医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費の合計が一定額(原則10万円)を超えた場合に、その超過分を所得から差し引くことができる制度です。課税対象となる所得が減るため、結果として所得税や住民税の負担が軽減されます。本人だけでなく、生計を同一にする家族の分も合算して申告できます。
特別養護老人ホームの費用で控除対象となる項目
特別養護老人ホームの場合、施設から発行される領収書に記載された自己負担額(施設介護サービス費、居住費、食費の合計)の2分の1に相当する金額が、医療費控除の対象となります。
例えば、施設に支払った自己負担額の合計が1年間で120万円だった場合、その半分の60万円が医療費控除の対象額として申告できる計算です。
控除の対象となる条件
- おむつ代も、医師が発行する「おむつ使用証明書」があれば医療費控除の対象にできます(2年目以降は市区町村が要介護認定の際に交付する書類で代用できる場合があります)。
- 日常生活費(理美容代など)や、特別なサービス費用は控除の対象外です。
- 高額介護サービス費の支給を受けた場合は、その金額を支払った医療費から差し引いて計算する必要があります。
医療費控除の申請手続きと必要書類
医療費控除を受けるには、会社員の方でも年末調整とは別に、ご自身で確定申告を行う必要があります。
- 申請期間
- 翌年の2月16日~3月15日
- 申請場所
- 所轄の税務署
- 主な必要書類
-
- 確定申告書
- 医療費控除の明細書(領収書は自宅で5年間保管)
- 特別養護老人ホームが発行した領収書(明細書作成時に必要)
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
- マイナンバーカードなどの本人確認書類
申告書が受理されると、後日、指定した口座に還付金が振り込まれます。医療費控除の申請は、過去5年分まで遡って行うことが可能です。
その他、費用負担を軽減する可能性のある制度
高額介護サービス費制度
1ヶ月に支払った介護保険サービスの自己負担額の合計が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻される制度です。これは居住費や食費ではなく、あくまで介護サービス費の部分が対象となります。
高額医療・高額介護合asan療養費制度
1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)に支払った「医療保険」と「介護保険」の両方の自己負担額を合算し、年間の上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻される制度です。医療費も介護費も高額になっている世帯の負担を軽減します。
特別養護老人ホームの費用減免制度に関する注意点
加算サービスと自己負担
施設が手厚い人員体制を整えていたり、看取り介護などの専門的なケアを提供したりする場合、「サービス加算」として費用が上乗せされることがあります。これらの加算費用は、減免制度の対象とはならないため、全額自己負担となる点に注意が必要です。
制度の改正と最新情報の確認
介護保険制度は、社会情勢に合わせて定期的に見直しが行われます。実際に、2024年度(令和6年度)にも介護報酬の改定があり、負担限度額などが変更されました。今後も基準や要件が変更される可能性があるため、必ずお住まいの市区町村のホームページや窓口で最新の情報を確認するようにしましょう。
特別養護老人ホームの費用に関するよくある質問
減免制度は誰でも利用できるのですか?
いいえ、誰でも利用できるわけではありません。ご紹介した制度は、主に所得や資産が一定基準以下の、住民税非課税世帯の方などを対象としたものです。ご自身が対象となるかどうかは、市区町村の窓口で確認する必要があります。
複数の減免制度を併用することは可能ですか?
はい、可能です。
例えば、「負担限度額認定」で居住費と食費の負担を軽減しつつ、支払った自己負担額の合計について「医療費控除」を申請することができます。さらに、介護サービス費が高額になれば「高額介護サービス費」の対象になることもあり、それぞれの制度は独立して利用できます。
申請のタイミングと有効期限はいつですか?
負担限度額認定の申請は、施設への入所が決まったら速やかに行いましょう。認定証の有効期間は、原則として申請した月の1日から、次の7月31日までです。毎年更新が必要ですので、忘れずに手続きを行いましょう。
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特別養護老人ホームの費用減免制度は、対象となる方の負担を大きく軽減してくれる心強い仕組みです。しかし、制度の種類が多く、申請手続きが複雑に感じられるかもしれません。
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監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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