老人ホームは個室が良い?多床室との違い・費用・メリット/注意点と選び方

「親の入居先を個室にすべきだろうか、それとも費用を抑えて多床室にすべきだろうか」と悩むご家族は多いのではないでしょうか。居室タイプの選択で迷ってしまうのは無理もありません。
この記事では、老人ホームの個室と多床室の基本的な違いや居室タイプ別の費用目安と公的な軽減制度、失敗しない施設選びのポイントまで幅広く解説します。
この記事を読めば、ご本人の身体状態やご家族の経済状況に合った居室タイプがわかるでしょう。後悔のない施設選びができるようになりますので、ぜひご覧ください。
老人ホームの個室と多床室の基本的な違い
老人ホームの居室は「個室」と「多床室」に大きく分かれ、それぞれケアの方式や費用、生活環境が異なります。どちらを選ぶかで入居後の暮らしの質が変わるため、まずは基本的な分類と特徴を正しく理解しておきましょう。
ここでは、ユニット型・従来型の違いや多床室での生活実態、プライバシーと設備面の差を順に解説します。
ユニット型・従来型の個室と多床室(準個室)の違い
老人ホームの個室は「ユニット型」と「従来型」の2種類に分かれ、ケアの提供方式が大きく異なります。ユニット型は10名以下の少人数を1グループとし、専任スタッフが入居者の生活リズムに合わせた個別ケアを担当する方式です。
従来型は個室の空間が確保されているものの、施設全体で集団的にケアを提供する仕組みになっています。多床室は2~4名が同室で暮らす相部屋で、カーテンや仕切りで空間を区切る形式が一般的です。
「ユニット型個室的多床室(準個室)」は大部屋をパーテーションで区切った形態ですが、感染症対策の観点から新設は原則禁止されています。居室タイプごとの特徴を理解し、ご本人に合った環境を選ぶ際の参考にしましょう。
多床室(相部屋)の居室構造と日常の生活実態
多床室の構造は病院の病室に近く、居室が廊下に面した配置で、食堂や浴室は離れた場所に設けられています。入居者は長い廊下を移動して共有スペースを利用する形になるため、足腰の弱い方には負担が生じる場合があります。
各入居者のスペースにはベッドとサイドボードが置かれ、ベッド間はカーテンで仕切るのが一般的です。日常の食事や入浴、起床のスケジュールは施設の運営方針に沿って決められるため、個人の生活リズムに合わせた対応は難しい傾向にあります。
多床室では費用面の負担が軽い反面、日々の暮らし全般が施設の運営に左右される点を理解しておきましょう。
個室と多床室のプライバシー・設備の主な違い
個室と多床室では、プライバシーの保護水準と設備の充実度に大きな差があります。個室は壁とドアで空間が完全に仕切られ、他人の目を気にせず過ごせる環境が整っているからです。
一方、多床室では同じ空間を複数名で共有するため、おむつ交換などの介護場面でプライバシーの確保が難しくなります。設備面でも両者の違いは顕著で、主な比較ポイントは以下のとおりです。
- ユニット型個室:ユニット内にリビングやトイレを完備
- 従来型個室:施設全体で食堂や訓練室を共有
- 多床室:ベッド周りのみが個人スペース
居室タイプによって日常生活の快適さが大きく変わるため、見学時に設備の違いを直接確認しておきましょう。
老人ホームの個室を選ぶメリット
老人ホームの個室には、プライバシーの確保や生活の自由度、感染症対策の面でさまざまな利点があります。多床室にはない快適さや安心感を得られる環境は、入居者ご本人だけでなくご家族にとっても心強い選択肢になるでしょう。
ここでは、老人ホームで個室を選ぶ5つのメリットを具体的に紹介します。
プライバシーを守って自分のペースで過ごせる
個室の最大のメリットは、ほかの入居者の視線や生活リズムに縛られず、あなた自身のペースで暮らせる点です。
特にユニット型個室では、専任スタッフが入居者の生活リズムに合わせた個別ケアを行うため、起床や就寝の時間を柔軟に調整しやすい環境です。
従来型個室は集団ケアが基本となるため、食事や入浴のスケジュールは施設の運営方針に従う場合があります。
たとえば、好きな時間にテレビを観たり読書を楽しんだりと、自宅にいたときと近い感覚で日常を過ごせるでしょう。体調がすぐれない日も周囲を気にせず静養でき、精神的な負担が軽減されます。
多床室では同室者のスケジュールに合わせた共同生活が求められるため、自由度に大きな差が出ます。老人ホームの個室は、入居者が自分らしい暮らしを維持するための基盤となる環境です。
ご家族の面会時間とプライバシーを両立できる
個室であれば、面会に訪れたご家族とほかの入居者に気兼ねなくゆっくり過ごせます。壁で仕切られた空間で自由に会話や食事を楽しめるのは、プライバシーがしっかり守られているからです。
多床室の場合、面会での会話が同室者に筒抜けになり、話題が限られたり訪問時間を短く切り上げたりする場面が生まれがちです。個室なら遠慮なくご家族とリラックスした時間を過ごせます。
面会の質が高まれば入居者の孤独感が和らぎ、ご家族側の精神的な安心にもつながるでしょう。
自室の空間を持ち込んだ家具でアレンジできる
施設によっては、自宅で長年使い慣れたタンスや椅子、写真立てなどの家具や思い出の品を個室に持ち込めます。見慣れた家具に囲まれた空間は、新しい環境への不安を和らげ、入居者の心理的な安定につながります。
たとえば、自宅のリビングに飾っていた家族写真や愛用の座椅子を配置するだけで、居室の雰囲気が大きく変わるでしょう。好みの空間を作れる自由度は、日々の暮らしへの満足感を高めてくれます。
多床室ではスペースの制約が厳しく、持ち込める荷物にも限りがあるのが実情です。老人ホームの個室なら入居前の生活に近い空間を再現でき、穏やかな日常を送る助けとなるでしょう。
関連記事:老人ホームの部屋レイアウトの重要性と選び方のポイントについて
感染症が広がりにくい環境で安心して過ごせる
完全な個室は壁とドアで空間が遮断されるため、飛沫や接触による感染リスクを物理的に低減できます。多床室と比較して、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症が施設内で広がる危険性を大きく抑えられる環境です。
厚生労働省も感染症対策の観点から施設の個室化を推進しており、ユニット型の整備目標を掲げています。新型コロナウイルスの流行以降、個室がもつ感染防止効果への関心は一層高まりました。
同室者がいない老人ホームの個室では、体調を崩した方との接触を避けながら安心して療養に専念できます。免疫力の低下した高齢者にとって、感染リスクの少ない居住空間は心身を守る大きな支えとなるでしょう。
ほかの入居者からの生活音に悩まされず過ごせる
多床室で問題になるのが、同室者のいびきや咳き込み、深夜のトイレ移動といった生活音による睡眠への影響です。
個室であれば多床室と比較して同室者の生活音によるストレスを軽減しやすく、壁で仕切られた空間で落ち着いて過ごせる環境です。
ただし、隣室の音や廊下の足音などは伝わる場合があるため、完全な無音を期待するよりは「多床室より静かになりやすい」程度の理解が適切でしょう。
聴覚が敏感な方や対人関係でストレスを感じる方にとって、音の問題は心身の消耗に直結します。睡眠の質が下がれば日中の体調にも悪影響がおよび、生活全体の質が低下する恐れがあるでしょう。
老人ホームの個室は、音にまつわるトラブルを避けたい方にとって有力な選択肢です。安定した睡眠を確保し、日中を元気に過ごすための土台を整えられます。
老人ホームの個室を選ぶ前に知っておく注意点
老人ホームの個室にはメリットが多い反面、費用負担や安全面で注意すべき点も存在します。入居後に「想定外だった」と後悔しないためにも、デメリットを正しく理解しておく必要があるでしょう。
ここでは、個室を検討する前に押さえておきたい4つの注意点を解説します。
多床室と比較すると月額費用の負担が増える
個室は居住費(家賃相当額)が高く設定されているため、多床室に比べて月々の負担が大きくなります。
特別養護老人ホーム(要介護3・自己負担1割・基準費用額ベース)の場合、月額居住費の目安は多床室で約27,450円、ユニット型個室で約61,980円です。あくまで目安であり、実際の金額は施設や契約内容、所得段階によって異なります。
両者の差は月額で約34,000円にのぼり、年間では約40万円以上の開きが生じます。長期的な入居を前提にすると、数年単位で大きな金額差になる点を見逃せません。
ただし、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護医療院などの「介護保険施設」に限り、所得に応じた補足給付制度を利用すれば自己負担額を軽減できる場合があります。
民間の有料老人ホームやサ高住は補足給付の対象外のため、老人ホームの個室を検討する際は施設の種類を確認し、補足給付の対象になる場合は制度の活用を含めた資金計画をご家族で話し合っておきましょう。
参考:サービスにかかる利用料
法令で最低基準はあるが施設ごとに広さが異なる
老人ホームの個室面積には法令や国の指針で基準が設けられていますが、実際の広さや間取りは施設ごとに大きく異なります。
特別養護老人ホームでは1人あたり10.65㎡以上、有料老人ホームでは13㎡以上、サ高住では原則25㎡以上(共用部分がある場合は18㎡以上)が基準です。ただし、あくまで下限の数値であり、同じ施設タイプでも居室面積に差があるのが実情です。
ベッドや持ち込み家具を配置したあとに、車椅子での移動や方向転換(直径約150cmのスペースが必要)が十分に取れるかが判断の目安となるでしょう。
パンフレットの数字だけで判断せず、見学時に居室へ足を運んで生活動線の広さを確認しておきましょう。数値上は基準を満たしていても、実際に生活すると窮屈に感じるケースもあるため注意が必要です。
個室での暮らしでも孤立・孤独のリスクが生じる
個室はプライバシーが守られる反面、居室に閉じこもりがちになり孤独感が強まるリスクがあります。常に誰かの気配を感じていたい方や一人の時間に不安を覚える方にとって、四方を壁で囲まれた空間が孤立感を深めてしまうからです。
多床室であれば同室者と日常的に顔を合わせるため、自然な会話や見守りが生まれる環境です。一方、個室では入居者ご本人が共有スペースへ出向かない限り、ほかの入居者との交流が途絶えてしまいます。
入居前にご本人の性格や人付き合いの傾向を見極め、レクリエーションへの参加を促す仕組みがある施設を選びましょう。孤独のリスクはケアの体制で軽減できるため、施設側のサポート内容を確認しておくと安心です。
急変や転倒の際にスタッフが気づくのが遅れる
個室は密室になるため、室内で転倒や体調の急変が起きた際にスタッフの発見が遅れるリスクがあります。多床室であれば同室者が異変に気づいてナースコールを押せる一方、個室では早期発見の仕組みが働きません。
見学の際は、ナースコールがベッドや車椅子から手の届く位置に設置されているかを確かめましょう。センサーマットや見守りカメラなどのICT機器が導入されているかも、施設の安全対策を判断するうえで見逃せないポイントです。
夜間帯の巡回頻度やスタッフの配置人数は、緊急時の対応スピードに直結します。老人ホームの個室を選ぶ際は、プライバシーの確保と安全管理を両立する体制が整っているか、十分に確認しておきましょう。
老人ホームの個室にかかる費用と軽減制度
老人ホームの個室は多床室より費用が高い傾向にありますが、公的な軽減制度を活用すれば負担を抑えられる場合があります。漠然と「個室は高い」と感じている方も、正確な費用感を把握すれば選択の幅が広がるでしょう。
ここでは、居室タイプ別の費用目安と軽減制度の活用法を詳しく解説します。
ユニット型個室・従来型個室・多床室の月額費用の目安
特別養護老人ホーム(要介護3・自己負担1割・補足給付なし・基準費用額ベース)で比較した場合、居室タイプによって月額の居住費に大きな差が生じます。30日換算の居住費の目安は以下のとおりです。
- ユニット型個室:約61,980円/月
- ユニット型個室的多床室:約51,840円/月
- 従来型個室:約36,930円/月
- 多床室:約27,450円/月
いずれも基準費用額に基づく目安であり、実際の金額は施設や契約内容、所得段階によって異なります。ユニット型個室と多床室では月額で約34,000円、年間で約40万円以上の差が生まれるケースが多いでしょう。
また、居住費のほかにかかる費用は以下のとおりです。
- 介護サービス費(約22,000~24,000円)
- 食費(約43,350円)
- 日常生活費(約10,000円)
- 医療費や薬代(月額5,000~15,000円程度)
老人ホームの個室を検討する際は月額の総費用で比較しましょう。ご家族の予算に合った居室タイプを見つけるために、複数施設の見積もりを取り寄せて比較するのが効果的です。
参考:サービスにかかる利用料
特養など介護保険施設で使える補足給付制度
補足給付(特定入所者介護サービス費)は、所得の低い方が施設に入所する際に居住費と食費の自己負担額へ上限を設ける公的制度です。
「個室は費用が高すぎる」と感じていても、この制度で月々の負担を大幅に軽減できるのは、国が低所得者の施設利用を支援しているからです。
対象は特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院などの「介護保険施設」に限られます。民間運営の有料老人ホームやサ高住は補足給付の対象外のため、施設選びの段階で種類を確認しておく必要があるでしょう。
老人ホームの個室を費用面で断念する前に、補足給付の対象になるかどうか市区町村の介護保険窓口で相談してみましょう。制度を正しく理解すれば、想定よりも少ない負担で個室を選べる可能性が広がります。
補足給付を受けるための申請の流れと段階区分
補足給付を受けるには、住んでいる市区町村の介護保険担当窓口で申請手続きを済ませる必要があります。対象は世帯全員が住民税非課税で、預貯金等が一定額以下の方です。
所得や年金収入に応じて以下の段階に分かれ、段階ごとに自己負担の上限額が異なります。基準となるのは、本人の課税年金収入額・非課税年金収入額および合計所得金額の合計です。
- 第1段階:生活保護受給者等
- 第2段階:上記の合計が80万円以下(令和7年8月からは80.9万円以下に変更)
- 第3段階①:80万円超~120万円以下(令和7年8月からは80.9万円超~120万円以下に連動して変更)
- 第3段階②:120万円超
預貯金の上限額も段階ごとに設定されており、たとえば第2段階では単身650万円・夫婦1,650万円が基準です。
申請には預貯金通帳の写しなどが必要になるため、事前に書類を揃えてから窓口を訪ねるとスムーズに進むでしょう。
参考:持続可能性の確保
参考2:介護保険最新情報Vol.1280
老人ホームの個室選びで失敗しないポイント

費用や設備の情報を集めたあとは、実際に施設を選ぶ段階で見落としがちなポイントを押さえておく必要があります。入居者ご本人の状態やご家族の状況に合わせて判断基準を整理しておけば、後悔のない選択につながるでしょう。
施設選びの段階で押さえておきたい4つのポイントを紹介します。
入居者の介護度と認知症の有無に合わせて選ぶ
老人ホームの個室を選ぶ際は、入居者ご本人の介護度や認知症の有無を踏まえた居室タイプの見極めが必要です。
認知症による周辺症状(BPSD)がある方には、ユニット型個室の少人数環境が不安や混乱を和らげ、症状を穏やかにする効果が期待されています。
たとえば、顔なじみのスタッフが固定で配置されるユニット型では、入居者が安心感を得て落ち着いた生活を送れる傾向にあります。反対に、一人の時間に不安を覚える方は、ほかの入居者の気配がある多床室のほうが精神的に安定する場合もあるでしょう。
ご本人の性格や身体の状態、医療面でのニーズを総合的に考慮し、どの居室タイプが最適かをご家族で話し合って判断しましょう。
月額費用の内訳と将来の負担増を事前に確認する
施設から提示される基本料金だけでなく、実際にかかる費用の全体像を把握しておきましょう。
家賃・食費・管理費・介護保険の自己負担分に加え、医療費や理美容代が上乗せされます。おむつ代は民間の有料老人ホームなどでは、月額7,500~20,000円程度の実費負担となる場合があります。
しかし、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護医療院などの介護保険施設では施設サービス費に含まれるため、原則として別途の実費負担は生じません。
2025年8月からは、介護老人保健施設(療養型・その他型)や介護医療院(II型)の一部の多床室に室料(月額約8,000円)の自己負担が新たに加わる制度改正されています。
補足給付を受けている低所得の入所者については、負担を増やさない方針です。老人ホームの個室を選ぶ場合は、現在の費用だけでなく5年後・10年後の負担増も見据えた長期の資金計画を立てておきましょう。
ご家族の収入や貯蓄を含め、無理のない範囲で居室タイプを決めるのが賢明です。
見学時に室内の設備と共用スペースの状態を確かめる
施設見学では、パンフレットだけではわからない「現場の空気」を直接確かめるとよいでしょう。居室や共用スペースを実際に見学すると、写真と現場の暮らしぶりにギャップがある場合も多いからです。
見学時に注目したいポイントは、以下のとおりです。
- 車椅子でスムーズに方向転換できるか
- ベッドからトイレまでの動線に障害物はないか
- 共用スペースの清潔感と排泄臭の有無
- 入居者やスタッフの表情・雰囲気
夫婦での入居を希望する場合は部屋タイプを確認する
夫婦で老人ホームへの入居を考えている場合、2人部屋(夫婦部屋)の有無を施設に確認しておく必要があります。すべての施設に夫婦向けの居室が用意されているわけではなく、空き状況によっては長期間待つケースも想定されるでしょう。
入居後にどちらか一方の介護度が重くなった場合や、入院で一時退去が必要になった場合の対応方針も確認しておくと安心です。別々の部屋へ移る際に追加費用が発生するか、片方が退去した場合の契約変更の条件なども、契約前に書面で確かめておきましょう。
夫婦での暮らしを長く続けるためには、将来の変化まで見据えた施設選びが求められます。重要事項説明書に住み替えの条件が記載されているため、契約の段階で細部まで目を通しておくとよいでしょう。
老人ホームの個室に関するよくある質問
老人ホームの個室を検討していると「広さの基準は決まっているの?」「入居後に部屋を移される場合はある?」「認知症でも個室に入れる?」など、具体的な疑問が浮かんでくるものです。
施設を比較するうえで判断材料となる情報を正しく理解しておけば、迷いなく居室タイプを選べるようになります。
ここでは、頻繁に寄せられる3つの質問を取り上げ、わかりやすく回答します。
老人ホームの個室の広さや設備の基準は?
老人ホームの個室面積は、施設の種類ごとに法令や国の指針で基準が設けられています。
特別養護老人ホームでは1人あたり10.65㎡以上、有料老人ホームでは13㎡以上、サ高住では原則25㎡以上(共用部分がある場合は18㎡以上)、認知症グループホームでは7.43㎡以上です。
設備はナースコール(緊急通報装置)やエアコンが基本で、収納は施設によっては持ち込みが必要な場合もあります。室内にトイレや洗面台が付いている施設もあれば、共用の施設もあります。
面積の数値だけでは生活の快適さを判断しにくいため、家具を置いたあとのスペースを見学時に確認するのがポイントです。
基準はあくまで最低ラインであり、快適に暮らせるかどうかは施設の設計や間取りによって変わります。複数の施設を比較し、ご本人が最も快適だと感じる空間を選びましょう。
個室から多床室に移される可能性はある?
入居時の契約に基づいて生活するため、施設が勝手に部屋を変更する事態は原則として発生しません。ただし、要介護度が重度化し常時の見守りが必要になった場合は、多床室への住み替えを打診される可能性があります。
多床室への移動が提案されるのは、スタッフの目が届く環境のほうが安全面で適切と判断されるからです。重要事項説明書や入居契約書には住み替えの条件や、前払金がある場合の償却調整について記載されています。
契約前に書類の内容を確認し、どのような状況で部屋の変更が生じるのかを把握しておきましょう。不明点があれば施設のスタッフに質問し、納得したうえで契約を結ぶ姿勢が必要です。
認知症の場合でも老人ホームの個室への入居はできる?
認知症の方であっても、老人ホームの個室への入居は十分に可能です。少人数で家庭的な雰囲気のもとで生活できるユニット型個室は、認知症ケアに適した環境として多くの専門家が推奨しています。
顔なじみのスタッフが固定配置される安心感に加え、個人の生活リズムを尊重したケアを受けられる点がユニット型の強みです。刺激の少ない穏やかな環境が、認知症の症状を落ち着かせる効果をもたらすでしょう。
ただし、ほかの入居者への暴力行為や激しい徘徊が見られる場合は、施設の設備や人員体制で安全の確保が難しいと判断され、入居を断られるケースもあります。
入居を検討する段階でご本人の症状を正直に伝え、受け入れの可否を施設に確認しておきましょう。
まとめ
老人ホームの個室は、プライバシーの確保や感染症対策、生活の自由度の面で多くのメリットがあります。一方で、多床室より費用負担が増える点や、孤立・急変時の発見遅れといった注意点も理解しておく必要があるでしょう。
費用面では補足給付制度を活用すれば自己負担を軽減できる可能性があるため、まず市区町村の窓口で対象か確認してみましょう。そのうえで複数施設を見学し、居室の広さや設備、スタッフの対応を比較するのが後悔しない選び方の基本です。
「どの施設が合っているかわからない」「費用の見通しが立たない」と感じたら『笑がおで介護紹介センター』へご相談ください。介護施設選びの専門スタッフが、ご家族の状況に寄り添いながら最適な施設探しをサポートします。

このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
この記事の関連記事

0120-177-250

