老人ホームにテレビは持ち込める?NHK・配線・置き場所・注意点

老人ホームへの入居を控え「親が毎日楽しみにしているテレビを施設に持ち込めるのか」とお悩みではないでしょうか?施設パンフレットだけでは、NHK受信料や配線環境、電気代の負担まではわからず、不安を感じる方は少なくありません。
この記事では、老人ホームへのテレビ持ち込みの可否やルール、配線・設置の確認事項、NHK受信料の扱い、費用の目安まで幅広く解説しています。また、メリット・デメリットや音量対策など、入居後に役立つ情報も紹介しています。
読み終えるころには、テレビの持ち込みに必要な準備と手続きが明確になり、親御さんが施設で快適にテレビを楽しめる環境を整えられるでしょう。
老人ホームにテレビは持ち込める?
老人ホームへの入居を検討するなかで、自宅のテレビを施設に持ち込めるかどうかは気になるポイントです。施設の種類や運営方針によって持ち込みのルールは異なるため、事前の確認が必要です。
ここでは、テレビの持ち込みが可能な施設の特徴や入居前にチェックすべき項目を見ていきましょう。
テレビ持ち込みを許可する老人ホームが多い
老人ホームの多くは、入居者が自宅からテレビを持ち込める仕組みになっています。居室の設計も、テレビの持ち込みを前提としている施設が大半です。
居住スペースで使うテレビや冷蔵庫などの生活家電は、入居者自身が準備しなければなりません。施設側がテレビを備え付けているケースは少なく、家電を置けるスペースが居室内に確保されています。
有料老人ホームでは居室にコンセントやアンテナ端子があらかじめ用意されており、テレビをすぐに設置できる環境が整っている場合が多いようです。持ち込みの可否やルールは施設ごとに異なるため、見学時に確認しておきましょう。
特養・有料・グループホームで異なる持ち込みルール
テレビの持ち込みルールは、入居する施設の種類によって異なります。すべての老人ホームが同じ対応をしているわけではありません。
介護付き有料老人ホームでは介護用ベッドや車椅子が備え付けられている一方、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では各自で家電を持ち込む形式がほとんどです。施設ごとに備え付け設備の範囲が異なり、テレビの扱いもその方針に左右されます。
備え付けの家電が充実している施設であれば、テレビの持ち込みが不要になるケースもあります。入居先を比較する際は、施設類型ごとの備え付け状況とテレビの持ち込みルールを確認しましょう。
テレビの持ち込みが制限される施設の特徴と条件
テレビの持ち込み自体が禁止されるケースはまれですが、施設のルールによっては制限が設けられている場合があります。安全性や居室環境の維持を理由に、持ち込み家電のサイズや消費電力に基準を設けている施設も珍しくありません。
刃物類や火気器具、暖房器具、電子レンジなどは発火の恐れから持ち込み禁止とされるケースがほとんどです。テレビは対象外になる場合が大半ですが、サイズが極端に大きいものは断られる可能性があります。
居室のスペースに収まらない大型テレビを希望する方は、施設と相談のうえで適切なサイズを検討する必要があります。持ち込みたいテレビの型番やサイズを事前に施設へ伝え、問題がないか確認しておきましょう。
入居前に施設へ確認しておきたいチェック項目
テレビをスムーズに持ち込むには、入居前にいくつかのポイントを施設へ確認しておく必要があります。確認不足による設置トラブルは珍しくありません。
施設への見学時に確認すべき主なポイントは、以下のとおりです。
- テレビの備え付けがあるかどうか
- 持ち込み可能なテレビのサイズの上限
- 居室内のコンセントとアンテナ端子の位置
- 車椅子で移動できる通路幅が確保されるか
見学時にこれらのポイントを確認しておけば、テレビ選びから設置までの段取りがスムーズに進みます。居室の間取り図や写真をもらえる場合は、設置場所のイメージづくりに活用しましょう。
テレビを持ち込む際に押さえたい配線・設置の確認事項
テレビを老人ホームに持ち込む際は、配線や設置場所の事前確認が必要です。居室のコンセント位置やアンテナ端子の有無によって、テレビを置ける場所が限られる場合もあります。
ここでは、配線環境の確認ポイントや安全な設置方法について見ていきましょう。
居室にあるアンテナ端子と電源コンセントを確認する
テレビの設置場所は、居室内のアンテナ端子とコンセントの位置によってほぼ決まります。端子やコンセントから離れた場所にテレビを置くのは、配線が長くなるため現実的ではありません。
テレビとベッドとの距離感や窓との位置関係を考慮しながら、端子の場所に合わせてレイアウトを考える必要があります。入居前の見学時に端子やコンセントの位置をメモしておくと、設置計画が立てやすくなるでしょう。
ベッドから見える位置にアンテナ端子があれば、寝たままテレビを楽しめます。見学の際はスマホで居室の写真を撮り、端子やコンセントの位置を記録しておきましょう。
配線環境が整っていない場合は施設に相談する
居室にアンテナ端子がない場合やテレビの配線が通っていない場合は、施設に相談して対応策を確認する必要があります。配線工事の可否は施設の方針や建物の構造によって異なります。
アンテナ工事には4~7万円の費用がかかる場合があり、施設の許可なく工事を進められません。配線の問題を入居前に把握しておけば、代替手段を検討する時間を確保できます。
アンテナ工事が難しい場合は、工事不要のモバイルWi-Fiルーターを契約し、インターネット経由の動画配信サービスでテレビ番組を視聴する方法もあります。配線環境に不安がある場合は、入居前の早い段階で施設に確認しておきましょう。
居室の広さや視聴距離に合うテレビサイズを選ぶ
テレビのサイズは、居室の広さと視聴距離に合わせて選ぶ必要があります。老人ホームの居室は20平方メートル前後が主流のため、自宅と同じサイズのテレビが設置できるとは限りません。
テレビを快適に見るための視聴距離は、フルHDテレビで「画面の高さの約3倍」4Kテレビで「画面の高さの約1.5倍」が目安です。居室が狭い施設にファミリー向けの大型テレビを持ち込むと、画面が近すぎて見づらくなります。
6畳程度の居室であれば32V型、8畳程度であれば40V型が適しています。居室の面積と視聴距離の目安を照らし合わせ、最適なサイズを事前に選んでおきましょう。
テレビ台や転倒防止グッズを使って安全に設置する
テレビの転倒は液晶の飛散やケガにつながるため、転倒防止対策が必要です。
地震などの揺れでテレビが落下すると、入居者が下敷きになる危険性があります。
老人ホームの居室は賃貸扱いが多いため、壁に穴を開けない設置方法を選びましょう。壁を傷つけない転倒防止グッズであれば、退去時の原状回復にも影響しません。
代表的な転倒防止グッズは、以下のとおりです。
- テレビの底面に貼る耐震ジェルマット
- テレビとテレビ台を固定する耐震ベルト
- 壁に穴を開けない壁寄せテレビスタンド
転倒防止グッズはテレビの重心付近に取り付けるのが基本のため、設置時に位置を確認しましょう。
車椅子でも安全に移動できるレイアウトを考える
テレビや家具の配置を考える際は、車椅子でも安全に移動できるレイアウトを意識しましょう。大きな家具や家電を置きすぎると通路が狭くなり、転倒や衝突の危険が生じる可能性があります。
幅65cm程度の車椅子でスムーズに移動するには、80~90cmの通路幅が必要です。方向転換を考慮すると、140~150cm角のスペースを確保しなければなりません。
将来的に車椅子が必要になる可能性もあるため、入居時点では歩行できる方でもスペースに余裕をもたせたレイアウトにしておくと安心です。テレビの設置場所を決める際は、居室全体の動線をイメージしながら配置を考えましょう。
参考:高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準|国土交通省
関連記事:老人ホームの部屋レイアウトの重要性と選び方のポイントについて
老人ホームにおすすめのテレビサイズ
快適な視聴環境を整えるには、老人ホームの居室にあったテレビサイズを選ぶことがポイントです。事前に居室の広さや視聴距離の目安を知ることで、適切なサイズを迷うことなく選定できます。
ここでは、施設の居室面積に合わせたサイズの目安と高齢者の視力を考慮した選び方を確認していきましょう。
居室が狭い施設に適したテレビサイズの目安
居室の広さが限られている施設では、居室面積に合ったテレビサイズの選定が欠かせません。フルHDテレビの適切な視聴距離は「画面の高さの約3倍」が目安であり、居室が狭いほどコンパクトなサイズが適しています。
6畳程度の部屋であれば32V型が目安ですが、ベッドサイドに設置する場合はさらに小さい19~24V型でも十分に視聴を楽しめます。居室のレイアウトや視聴位置との距離感に合わせて、無理のないサイズ選びがポイントです。
ベッドから画面までの距離が1m前後の場合、19~24V型であれば文字も読みやすく快適に視聴できます。居室の面積と視聴位置を確認したうえで、設置場所に合ったサイズを選びましょう。
居室が広い施設に適したテレビサイズの目安
居室の面積に余裕がある施設では、32~40V型のテレビを選んでも窮屈になりません。サービス付き高齢者向け住宅の居室基準は18~25平方メートル以上で、やや大きめのサイズにも対応可能です。
6畳程度の部屋であれば32V型、8畳程度であれば40V型が適切なサイズの目安です。40V型のフルHDテレビであれば、約1.5mの視聴距離でも映像の見づらさはないでしょう。
特別養護老人ホームの居室面積基準は10.65平方メートル以上ですが、居室面積は施設ごとに大きく異なるため、実際の広さを見学時に確認する必要があります。入居予定の施設の居室面積をもとに、最適な視聴距離とサイズのバランスを検討しましょう。
高齢者の視力低下を考慮したサイズ選びの基準
高齢者は加齢による視力低下で、テレビの文字や映像が見えにくくなります。視力低下への対策として、画面の物理的な大きさと文字のサイズが重要なポイントです。
一般的に、視距離1.4mの場合、テレビ画面上の文字サイズは12mmが最も読みやすいとされています。画面が大きいほど文字も大きく表示されるため、視力が低下した高齢者でも番組の内容を把握しやすくなるでしょう。
居室のスペースが許す範囲でできるだけ大きめの画面を選び、文字と背景のコントラストを高める設定にしておくのが効果的です。テレビ選びの際は解像度よりも画面サイズと文字の見やすさを優先して選びましょう。
テレビ持ち込み時のNHK受信料の扱い
老人ホームにテレビを持ち込む際は、NHK受信料の扱いを事前に把握しておきましょう。施設の種類によって受信料が免除されるケースと、そうでないケースがあります。
ここでは、入居後のNHK受信料の支払い体系や免除制度、解約手続きについて解説します。
入居者本人がNHK契約者になる場合の料金体系
老人ホームの居室にテレビを設置する場合、NHKとの受信契約が必要になります。放送法に基づく義務であり、施設に入居しても受信機がある限り契約の対象から外れることはありません。
自宅で受信契約していた方が施設へ移る際、手続きの方法は世帯の状況によって異なります。世帯全員が施設へ転居する場合は住所変更(転居届)で対応できますが、ご家族が自宅に残り入居者だけが施設に移る場合は世帯が分かれるため、新たな受信契約が必要です。
公的扶助を受給している方など一定の条件を満たせば、受信料が全額免除される制度も用意されています。ご自身の世帯状況に合った手続きを確認するため、NHKの公式サイトや電話窓口へ事前に問い合わせておきましょう。
参考2:受信料免除の対象となる方について|NHK受信料の窓口
特養など社会福祉施設で適用される受信料の全額免除
特別養護老人ホームや養護老人ホーム、軽費老人ホームなどの社会福祉施設に入居している場合、NHK受信料を支払う必要はありません。免除の対象は、入居者ご本人が持ち込んだテレビや入居者専用として使用しているテレビです。
「日本放送協会放送受信料免除基準」により、社会福祉法に規定された福祉事業を営む施設に対して免除制度が設けられています。入居者個人が手続きをしなくても、施設側が一括して免除申請を進めるケースが一般的です。
特別養護老人ホームに入居している親御さんの居室にテレビを設置する場合は、受信料の負担を心配する必要はありません。入居予定の施設が免除対象に含まれるかどうか、契約前に確認しておきましょう。
参考2:受信料免除の対象となる方について|NHK受信料の窓口
有料老人ホームやサ高住は原則として免除対象外
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、社会福祉法に規定された施設に該当しないため、NHK受信料の免除対象には含まれません。居室に持ち込んだテレビの受信料は、原則として入居者が支払う必要があります。
ただし、入居者が実家のご家族と同一生計と認められる場合は、NHKの「家族割引」が適用され受信料が半額になります。年払いへの変更による割引もあるため、制度を活用すれば負担を軽くできるでしょう。
有料老人ホームやサ高住への入居を検討する際は、利用できる割引制度を事前に確認しておきましょう。
自宅で契約していたNHK受信料の解約・変更手順
老人ホームへの入居後に自宅が空き家になる場合は、自宅のNHK受信契約を解約できます。テレビをすべて処分して受信機がなくなった場合も、解約手続きが可能です。
解約の手続きはNHKふれあいセンターへ電話で申し込んだのち、届出書類を返送する流れになります。インターネットで申し込めるのは世帯同居にともなう解約のみで、空き家やテレビ処分を理由とする解約は電話でしか受け付けていません。
解約時に提出を求められる書類の例は、以下のとおりです。
- 施設への入所証明書
- 家電リサイクル券の控え
- 実家にテレビがない旨の申告書
必要書類を事前に準備しておけば、解約手続きをスムーズに進められます。手続きの詳細はNHKふれあいセンターの電話窓口やインターネットで確認しましょう。
テレビ持ち込みにかかる費用と電気代
テレビの持ち込みには購入費や設置費のほかに、毎月の電気代も発生します。施設ごとに電気代の負担ルールが異なるため、入居前に費用の全体像を把握しておきましょう。
ここでは、初期費用の内訳や電気代の目安について解説します。
テレビの運搬・設置にかかる初期費用の内訳
業者に依頼してテレビを施設に設置する場合は、設置作業の費用が発生します。設置費用は数千~1万円前後が目安で、作業時間は10~30分ほどです。もちろん、ご家族が運搬・設置すれば料金はかかりません。
エレベーターがない施設で階段を使って業者に搬入してもらう場合、追加料金が発生する可能性があります。3階への搬入で1,100円程度の上乗せになるケースがあるため、見積もり時に搬入経路も伝えておきましょう。
また、自宅から施設へ運搬する際に引越し業者を利用すると、搬入費とは別に運搬費がかかる場合もあります。テレビを購入する際は、運搬・設置のコストを考慮して適切なサイズを検討しましょう。
施設ごとに異なるテレビの電気代の負担ルール
テレビなどの家電を個室に持ち込む場合、施設によっては月額の電気代が別途設定されています。テレビ1台につき月額200~1,000円程度を定額で徴収する施設が多い傾向です。
電気代の負担ルールは施設の運営方針によって異なり、統一された基準はありません。月額料金に電気代が含まれている施設もあれば、持ち込み家電ごとに追加料金が発生する施設もあります。
入居前の契約内容に電気代の記載があるか確認し、不明な点は施設の担当者に問い合わせておきましょう。電気代の負担ルールを把握しておけば、毎月の生活費を正確に計算できます。
テレビ視聴にかかる月額電気代の目安と節約のコツ
テレビの月額電気代はサイズや解像度によって大きく異なります。液晶テレビを1日6時間・30日間使用した場合の目安は、24V型で約125円、32V型で約197円、43V型で約295円です。
4Kや有機ELテレビは消費電力が高く、50V型の4Kテレビで約312~456円、55V型の有機ELテレビで約502円の電気代がかかります。電気代を少しでも抑えるには、日々の使い方の工夫が必要です。
節約に効果的な方法は、以下のとおりです。
- 見ていないときはこまめに電源を切る
- 部屋の明るさに合わせて画面の輝度を調整する
- オフタイマーや無操作自動オフ機能を活用する
- 大きすぎない適切なサイズのテレビを購入する
日々の小さな習慣を積み重ねるだけで、月々の電気代の差は大きくなるでしょう。
参考:テレビの電気代っていくら?4Kは?有機ELは?種類別に徹底比較!節約の方法までご紹介|関西電力
老人ホームにテレビを持ち込むメリット
老人ホームにテレビを持ち込むと、入居後の生活がより充実したものになります。使い慣れたテレビがある環境は、新しい暮らしへの不安軽減につながるでしょう。
ここでは、テレビを持ち込む3つのメリットを解説します。
使い慣れた自宅のテレビで入居後も安心感を得られる
老人ホームへの入居は住み慣れた自宅を離れるため、精神的な負担が大きくなります。使い慣れたテレビを持ち込めば、新しい環境での不安やストレスを和らげる効果が期待できるでしょう。
慣れ親しんだリモコンの操作感やチャンネル設定がそのまま引き継がれるため、入居初日から迷わずテレビを楽しめます。新しい操作方法を覚える負担がなく、入居後の生活もスムーズです。
好きな番組をいつもと同じテレビで見る時間は、施設での暮らしに安心感を与えてくれます。環境の変化が大きい入居直後こそ、馴染みのあるテレビを居室に設置しましょう。
好きな番組を居室で自由なタイミングで楽しめる
個室に専用のテレビを持ち込めば、好きな番組を好きな時間に楽しめます。共用スペースのテレビとは違い、チャンネル選択や視聴時間を周囲に合わせる必要がありません。
共用テレビはほかの入居者と共同で使用するため、見たい番組を自由に視聴できないケースがあります。食事の時間にテレビを消すなど、施設独自のルールが設けられている場合も多いでしょう。
朝のニュースや夜のドラマなど、毎日の楽しみにしていた番組を自分のペースで見られる環境は、入居後の生活の質を高めます。テレビを自由に楽しめる環境を整えて、施設での暮らしに張りをもたせましょう。
新たにテレビを購入・レンタルする費用を抑えられる
自宅で使っていたテレビのサイズが居室に合っていれば、そのまま持ち込めるため新たな購入費はかかりません。レンタル料金も不要になり、初期費用を大幅に節約できます。
テレビを新規で購入すると数万円、レンタルでも月額数千円の出費が発生しますが、手持ちのテレビを活用すれば、浮いた費用をほかの入居準備に充てられます。
テレビの状態が良く、サイズも居室に適していれば、新品やレンタルにこだわる必要はありません。買い替えやレンタルを検討する前に、まずは手持ちのテレビが使えるか確認してみましょう。
老人ホームにテレビを持ち込むデメリット
テレビの持ち込みにはメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。運搬の手間や故障時の対応、音量トラブルなど、事前に把握しておきたいポイントがあります。
デメリットを理解したうえで、適切な対策を準備しておきましょう。
施設への運搬や居室での設置に手間と費用がかかる
自宅から施設へテレビの運搬を業者に依頼すれば、引越し費用や設置作業費用がかかります。入居時の荷物が多い場合、テレビの運搬が負担になる可能性もあるでしょう。
運搬だけでなく、退去時にテレビが不要になった場合は処分の手間と費用も発生します。粗大ゴミの処理手数料は1,000~3,000円程度で、家電リサイクル料金の負担も加わるのが一般的です。
テレビのサイズが大きいほど運搬や処分の費用は高くなる傾向があるため、コンパクトなサイズを検討するのもひとつの方法です。運搬と処分にかかるトータルコストを事前に見積もり、持ち込みの判断材料にしましょう。
テレビの故障時に家族が修理や買い替えを手配する
持ち込んだテレビが故障した場合、修理や買い替えの手配はご家族が担う必要があります。施設側が私物の修理を代行してくれるケースはほとんどありません。
テレビは消耗品であり、経年劣化による故障を避けることは困難です。古いテレビを持ち込む場合は、入居後に故障するリスクも考慮に入れる必要があります。
故障時の対応をご家族が遠方から手配しなければならないケースでは、修理業者の手配や新しいテレビの搬入に時間がかかります。テレビの購入時期や状態を確認し、故障リスクが高い場合は新しいテレビへの買い替えも検討しましょう。
テレビの音量でほかの入居者とトラブルになる場合がある
個室であってもテレビの音量が大きいと隣室に響き、ほかの入居者との間でトラブルに発展する可能性があります。老人ホームは共同生活の場であり、音への配慮は入居者全員に求められるルールです。
加齢による聴力の低下で、テレビの音量を上げがちになる高齢者は少なくありません。ご本人に自覚がないまま大音量になっており、施設側から注意を受けるケースも見られます。
イヤホンやワイヤレスの手元スピーカーを活用すれば、周囲に音が漏れる心配なくテレビを楽しめます。音量トラブルを避けるために、入居前に対策グッズを準備しておきましょう。
老人ホームでテレビを使うときの注意点
老人ホームでテレビを快適に使い続けるには、音量対策や機種選び、視聴時間の管理など、いくつかの注意点があります。高齢者の身体的な変化にも配慮した工夫が必要です。
ここでは、テレビを安全に使うための具体的な対策を確認していきましょう。
イヤホンや手元スピーカーを活用して音量対策をする
テレビの音量トラブルを防ぐには、イヤホンやワイヤレスの手元スピーカーの活用がおすすめです。テレビ本体の音量を上げなくても音声がはっきり聞こえるため、周囲への騒音を防げます。
加齢による難聴でテレビの音量を上げがちな高齢者は、手元スピーカーが効果的です。テレビの音声を近くのスピーカーから出力する仕組みで、テレビ本体の音量を抑えたまま視聴できます。
ワイヤレスタイプの手元スピーカーであれば配線の手間がなく、居室内のどこにでも持ち運べるため便利です。入居前にイヤホンや手元スピーカーを用意し、施設での音量対策に備えましょう。
高齢者でも迷わず操作できるシンプルな機種を選ぶ
テレビやリモコンは、ボタンが大きく機能が絞られたシンプルな機種がおすすめです。高齢になると認知能力や指先の器用さが低下し、多機能なリモコンの操作が難しくなります。
ボタンの数が多いリモコンは、どのボタンを押せばよいか迷ってしまいます。操作に迷うたびにご家族や施設スタッフに助けを求める負担を減らすうえでも、シンプルなリモコンを選びましょう。
親御さんの状態に合わせて操作が簡単なテレビを選べば、入居後のストレスを減らせるでしょう。
聴力や視力の低下を補う音声読み上げ・字幕機能を使う
聴力や視力が低下した高齢者でも、字幕機能や音声読み上げ機能を活用すればテレビを楽しめます。最近のテレビ番組は字幕放送に対応しているものが多く、音が聞き取りにくい方でも視聴をあきらめる必要はありません。
字幕を表示させれば、音量を上げなくても番組の内容を理解できます。聴力の低下が進んでも視覚で情報を補えるのが、字幕機能のメリットです。
AndroidTVなど一部の機種には、番組表や設定画面の文字情報を音声で読み上げるアクセシビリティ機能が搭載されており、視力低下のサポートとしても活用できます。テレビの購入時には、字幕機能や音声読み上げ機能の有無をチェックしておきましょう。
テレビの視聴時間や音量のルールを施設と事前に共有する
施設によっては、テレビの視聴時間や音量に独自のルールが定められています。入居前にルールを確認しておくと、入居後のトラブルを防げるでしょう。
施設によっては、ほかの入居者への配慮を目的に夜間のテレビ視聴を禁止していたり、音量の上限を定めていたりするケースがあります。ルールを知らないまま入居すると、意図しないマナー違反につながりかねません。
実際に「22時以降はテレビの音量を最小にする」「イヤホンの使用を推奨する」などルールが設けられている施設があるようです。施設のルールを事前に確認し、親御さんにも伝えておきましょう。
テレビの長時間視聴による生活リズムの乱れを防ぐ
テレビをつけたまま寝てしまったり、1日中テレビだけを見て過ごしたりすると、生活リズムの乱れにつながる可能性があります。昼夜逆転や運動不足による筋力の低下にもつながるため、視聴時間の管理が必要です。
長時間視聴を防ぐための工夫には、以下のものがあります。
- オフタイマーで自動的に電源を切る
- 決まった時間にテレビを消す習慣をつける
- テレビ以外の趣味やレクリエーションに参加する
視聴時間をコントロールする仕組みを整えれば、テレビと上手に付き合えるでしょう。
テレビの持ち込みとレンタルはどちらがお得か

テレビを持ち込むかレンタルするかは、入居期間や費用面から総合的に判断する必要があります。それぞれの特徴を理解しておけば、あなたの状況に合った選択ができます。
ここでは、レンタルの料金相場や持ち込みとの費用比較を確認していきましょう。
家電レンタルサービスの料金相場
家電のレンタルサービスを利用すれば、初期費用を抑えながら入居後すぐにテレビを使えます。故障時の交換や回収も料金に含まれるケースが多く、手間がかかりません。
生活必需品4点セット(冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・テレビ)のレンタル相場は、30日契約で33,000円程度です。
レンタルの料金体系は事業者や契約期間によって大きく異なるため、複数のサービスから見積もりを取って比較しましょう。
テレビ持ち込みとレンタルにかかる総費用の比較
テレビの持ち込みとレンタルでは、利用期間によって総費用が大きく変わります。短期利用ではレンタルが有利ですが、長期利用では持ち込みのほうが割安になるケースが多いでしょう。
中古家電4点セット(テレビ・冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ)をレンタルした場合の総額と、同等の家電を新品で購入し処分費用まで含めた場合の比較は以下のとおりです。
| 利用期間 | 持ち込み | レンタル |
|---|---|---|
| 半年 | 約94,000円 | 約48,000円 |
| 1年 | 約94,000円 | 約58,000円 |
| 2年 | 約94,000円 | 約74,000円 |
| 3年※ | 約94,000円 | 約109,000円 |
※3年の金額は2年契約+延長1年の推計値です。
3年以上の利用ではレンタルの累積額が購入費を上回るため、長期入居では購入のほうが経済的です。入居期間の見通しを立てたうえで、あなたに合った方法を選びましょう。
入居期間や入居者の状況に合った選び方
テレビを持ち込むかレンタルするかは、入居期間の見通しと入居者の状態に合わせて選ぶ必要があります。一律に「持ち込みがお得」「レンタルがお得」と判断できるものではありません。
2年以内の短期~中期入居では、レンタルのほうが費用面で有利になる傾向です。3年以上の長期入居を前提とする場合は、月々のレンタル料が累積するため購入のほうが経済的です。
入居者の介護度が高く退去の時期が読めない場合は、解約や回収に対応してくれるレンタルのほうがリスクを抑えられます。入居期間の見通しと親御さんの状況を総合的に考え、無理のない方法を選びましょう。
老人ホームのテレビ持ち込みでよくある質問
老人ホームへのテレビ持ち込みに関して、多くのご家族から寄せられる疑問をまとめました。テレビ以外の家電やBS・CS放送の視聴など、気になるポイントを確認していきましょう。
テレビ以外に老人ホームへ持ち込める家電はある?
テレビ以外にも、いくつかの生活家電は老人ホームへの持ち込みが認められています。施設によってルールは異なりますが、小型の家電であれば許可されるケースもあります。
ただし、火災リスクの高い家電の持ち込みは認められていません。持ち込みを認めている施設が多い家電の例は、以下のとおりです。
- 小型の冷蔵庫
- 加湿器や加湿空気清浄機
- 扇風機
電子レンジや電気ポット、暖房器具は禁止の施設が大半のため、持ち込みたい家電は入居前に施設へ確認しましょう。
老人ホームの居室でBS・CS放送は視聴できる?
老人ホームの個室でBS・CS放送を視聴できる施設は限られています。建物の構造や配線工事の都合上、個室でのBS・CS受信に対応していない施設が大半です。
BS・CSを受信するには専用のアンテナや配線が必要であり、施設側が個室単位で工事を実施するケースはほとんどありません。アンテナ工事の費用負担や建物への影響を考慮し、対応を見送る施設が多い傾向です。
専門チャンネルや映画を楽しみたい場合は、モバイルWi-Fiルーターを契約してインターネット経由の動画配信サービスを利用する方法があります。BS・CS放送にこだわる場合は、対応可能な施設を事前に探しておきましょう。
テレビの代わりにタブレット端末でも大丈夫?
テレビの代わりにタブレット端末を持ち込んで動画を楽しめます。タブレットはテレビよりも軽量でコンパクトなため、居室のスペースを圧迫しません。
タブレットで動画配信サービスを利用すれば、テレビ番組だけでなく映画やドラマも幅広く視聴できます。ただし、施設内のWi-Fiを個人に開放していない施設が多いため、通信環境の確保と通信費用が課題です。
モバイルWi-Fiルーターを契約するか、スマホの通信回線を利用すれば、Wi-Fiがない施設でもタブレットで動画を楽しめます。タブレットの導入を検討する際は、施設の通信環境を事前に確認しておきましょう。
老人ホームでテレビが不要と判断できるケースは?
入居者の状態や施設の環境によっては、テレビの持ち込みが不要になるケースがあります。すべての入居者にテレビが必要なわけではありません。
介護度が上がり寝たきりに近い状態になった場合や、認知症の進行でリモコン操作が困難になった場合は、テレビへの関心が薄れる傾向にあります。施設内のレクリエーションやイベントが充実していれば、自室でテレビを見る時間がほとんどないケースもあります。
テレビを持ち込んでも使わなくなった場合、処分の手間や費用が発生するため、入居前の段階で必要性を慎重に検討しましょう。親御さんの状態や施設の活動内容を考慮し、テレビの持ち込みが本当に必要かどうか見極めるとよいでしょう。
まとめ
老人ホームへのテレビの持ち込みは多くの施設で認められています。配線環境やテレビサイズの確認、NHK受信料の扱い、電気代の負担ルールを事前に把握しておけば、スムーズに準備を進められます。
また、持ち込みとレンタルの費用比較や音量対策など、入居後の注意点も確認しておくと安心です。まずは入居予定の施設に持ち込みルールを問い合わせ、テレビのサイズ選びや転倒防止グッズの準備を進めましょう。
老人ホームへのテレビ持ち込みで不安や疑問がある方は、『笑がおで介護紹介センター』にご相談ください。プロの相談員が、親御さんに合った施設選びから入居準備までを親身にサポートいたします。

このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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