老人ホームで使える補助金は?申請方法と費用負担を軽減できる制度

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老人ホームで使える補助金は?申請方法と費用負担を軽減できる制度

介護や老人ホームの入居には多くの費用がかかるため、経済的負担を軽減するために補助金を活用することがおすすめです。補助金を使えば、自己負担額を減らして老人ホームに入居することができます。

本記事では、老人ホームで使える補助金を紹介します。経済的負担を少しでも軽くするためにも、ぜひ利用できそうな補助金を探してみてください。

老人ホームの入居時に使える補助金と申請方法

老人ホームの入居時に使える補助金は、以下の5種類です。

  • 高額介護サービス費制度
  • 高額介護合算療養費制度
  • 介護保険負担限度額認定制度
  • 社会福祉法人等利用者負担軽減制度
  • 自治体独自の補助金

各制度の詳細をみていきましょう。

高額介護サービス費制度

高額介護サービス費制度とは、1か月に支払った利用者の負担額が限度額を超えたときに、払い戻しを受けられる制度です。一般的な所得の人であれば、月額44,400円が負担限度額となります。

負担額が限度額を超えたときは、後日自治体から申請書が送付されます。その申請書をもとに、自治体の窓口もしくは郵送で手続きを行いましょう。

参考:厚生労働省「令和3年8月利用分から高額介護費サービス料の負担限度額が見直されます

高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度は、1年間の医療保険と介護保険の自己負担額を合算した金額が上限額を超える場合、払い戻しが受けられる制度です。上限額は、被保険者の年齢や所得によって決定されます。

自治体によって異なりますが、高額医療・高額介護合算療養費制度が適用される場合は、年末頃に申請の案内が届きます。手続きは市区町村の窓口で行うことが可能です。

なお、なかには案内を送付しない自治体もあるため、「医療費と介護費の自己負担額が多いな」と感じたら、担当窓口に問い合わせてみることをおすすめします。

参考:厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度について

介護保険負担限度額認定制度

介護保険負担限度額認定制度は、低所得者が老人ホームを利用する際の食費や居住費に負担限度額を設け、それを超えた金額について給付が受けられる制度です。所得が少なく、経済的な不安が大きい方が利用できます。

認定を受けるためには、「生活保護を受給している」「世帯全員が住民税非課税」などの要件を満たす必要があります。また、対象者の所得と預貯金等の資産によって負担額が段階的に決められる点が特徴的です。

申請の際は、お住まいの自治体に身分確認書類や申請書のほか、資産に関する情報を提出しなければいけません。

参考:大阪市「介護保険負担限度額認定申請書

社会福祉法人等利用者負担軽減制度

社会福祉法人等利用者負担軽減制度は、低所得者の人が社会福祉法人の提供する介護サービスを利用する際、自己負担額の4分の1もしくは全額を軽減できる制度です。対象施設を利用した際の自己負担額、食費・居住費に適用となります。

制度を利用できるのは、以下のすべての要件を満たす方もしくは生活保護受給者です。

  • 世帯の年間収入が150万円以下(世帯員が1人増えるごとに50万円を加算)
  • 世帯の預貯金等の額が350万円以下(世帯員が1人増えるごとに100万円を加算)
  • 日常生活に供する資産以外に活用できる資産がない
  • 負担能力のある親族等に扶養されていない
  • 介護保険料を滞納していない
  • 養護老人ホームに入所していない

申請は、お住まいの自治体窓口より行えます。申請書のほか、世帯の収入が分かる資料や収入等申告書が必要になります。

参考:大阪市「介護保険負担限度額認定申請書

自治体独自の補助金

上記で紹介したもののほかにも、自治体独自で行っている補助金制度を利用することが可能です。

自治体ごとに用意されている補助金の種類と要件は異なります。一度、ホームページもしくは市区町村の窓口で相談してみるとよいでしょう。

介護の費用負担を軽減できるその他の制度

高齢者が利用できる経済的負担を軽減するための制度は、ほかにも多く存在しています。

  • 医療費控除
  • 家族介護慰労金
  • 介護休業給付金
  • 居宅介護住宅改修費

ここからは、介護の費用負担を軽減できる制度を4つ紹介します。

医療費控除

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの間に、自分や生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費が10万円を超えるとき、所得控除が受けられる制度です。

医療費控除の対象となる金額は、以下のとおりです。

(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円

以下の老人ホームや介護施設を利用するときは、医療費控除の対象となります。

施設名

医療費控除の対象

医療費控除の対象外

指定介護老人福祉施設

【特別養護老人ホーム】

指定地域密着型介護老人福祉施設

施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額の2分の1に相当する金額

  • 日常生活費
  • 特別なサービス費用

介護老人保健施設

施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額

  • 日常生活費
  • 特別なサービス費用

指定介護療養型医療施設

【療養型病床群等】

施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額

  • 日常生活費
  • 特別なサービス費用

介護医療院

施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額

  • 日常生活費
  • 特別なサービス費用

引用:国税庁「No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価

医療費控除を受けるには、領収書や医療費控除の明細書を添付して確定申告書を提出する必要があります。老人ホームや介護サービスを利用するときは、領収書を捨てずに残しておきましょう。

家族介護慰労金

家族介護慰労金とは、要介護度が高い高齢者を自宅で介護している同居家族に支給される慰労金です。自宅で1年以上、要介護度4〜5状態の人を介護している家族に対して、自治体から年額10〜12万円が支給されます。

自治体により要件や申請方法は異なりますが、「住民税非課税世帯であること」「1年間介護保険サービスを利用していない」などの厳しい要件が設けられています。また、給付を実施していない自治体もあるため、在宅介護者であれば必ず受け取れるわけではない点に注意しましょう。

参考:大阪市「家族介護慰労金

介護休業給付金

介護休業給付金とは、家族を介護することを目的に仕事を休業する際、給料の67%が保証される制度です。支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で決定されます。対象となる家族1につき通算93日を限度に取得可能で、この日数は3回まで分割することができます。

介護休業給付金の要件は、「介護休業終了後に職場復帰をする」「2週間以上にわたり常時介護が必要な家族を介護している」などです。介護休業後に離職する予定の人は受け取れないため注意しましょう。

参考:厚生労働省「介護休業給付の内容及び支給申請手続について

居宅介護住宅改修費

居宅介護住宅改修費は、要介護認定または要支援認定を受けている方が生活しやすい環境を整えるため、リフォームをするときに受け取れる給付金です。たとえば、手すりの設置や段差の解消、扉の交換などを行うときに利用できます。

給付を受けられる限度額は、1人あたり20万円です。要支援・要介護区分にかかわらず定額となる点に注意しましょう。

なお、住宅改修工事の際は必ず事前申請が必要となります。事後報告による申請はできません。

参考:大阪狭山市「住宅改修

比較的費用が安い老人ホーム

「介護の経済的負担が大きい」「できるだけ老人ホームを利用する費用を抑えたい」という場合は、比較的費用が安い老人ホームを検討してみてはいかがでしょうか。

費用負担を抑えられる老人ホームの種類としては、以下の3種類が挙げられます。

  • 介護老人保健施設
  • 特別養護老人ホーム
  • 介護医療院

それぞれの費用目安と概要をみてみましょう。

関連記事:有料老人ホーム10種類の特徴や費用を一覧解説!違いや選び方とは

介護老人保健施設

介護老人保健施設(老健)は、在宅復帰を目指している高齢者を対象としている公的施設です。おもに入院していた人がリハビリテーションを行い、自宅で自立した生活を送れるようにサポートを受けるために利用されます。

入居一時金が不要で、月額10万円前後から利用できる施設です。居住費や食費、介護サービス費は医療費控除の対象となっているため、一定額を超える場合は払い戻しを受けられます。

対象者は、65歳以上で要介護1以上の認定を受けている、病状が安定している人です。ただし、特定疾病によって介護認定を受けていれば、65歳未満の方でも利用できます。

在宅復帰・在宅療養支援のための拠点なので、長期間の利用はできません。「退院後の生活に不安があるから少しだけ支援を受けたい」という場合は最適でしょう。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホーム(特養)は、在宅での生活が困難となった要介護の高齢者が入居する公的施設です。介護サービスはもちろん、健康管理やリハビリテーション、レクリエーションなどにも対応。看取りも可能なので、終の棲家としても利用できます。

こちらも入居一時金は不要で、月額5~15万円ほどと安価な費用で利用できます。居住費や食費、介護サービス費は医療費控除の対象です。

対象者は、65歳以上で要介護3以上の高齢者です。ただし、40~64歳で特定疾病が認められた要介護3以の人、特例により入居が認められた要介護1~2の人も入居できます。

要介護度の高い高齢者が入居する施設ではありますが、特別な医療ケアが必要な場合は、受け入れてもらえないケースがあります。また、認知症の人も入居不可の可能性があります。入居を希望する際は、必ず施設ごとの細かい条件を確認しておきましょう。

介護医療院

介護医療院は、長期間の療養が必要な要介護者に対し、医療ケアや介護サービスを提供する公的施設です。日常的な医学管理はもちろん、ターミナルケアや看取り、生活施設としての機能も有しています。

入居一時金は不要で、月額費用の相場は9~15万円です。こちらも、居住費や食費、介護サービス費は医療費控除の対象となります。

対象となるのは、要介護1~5の認定を受けている65才以上の高齢者です。特定疾病を抱えていて要介護認定を受けている人であれば、65歳未満でも利用できる可能性があります。

介護サービスに加え、医療ケアも受けたい場合はこちらを検討しましょう。

老人ホーム入居時は補助金を活用しよう

老人ホームに入居するときは、国や自治体の補助金を利用することで費用負担を抑えられます。介護や療養にかかる負担を少しでも軽減するためにも、ぜひ今回紹介した補助金制度を積極的に活用してみてください。

老人ホーム関連の補助金は制度が複雑なものが多く、要件も非常に細かいです。わからないことやお悩みのことがあれば、お気軽に笑がおで介護紹介センターまでお問い合わせください。

監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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