介護保険申請の流れと適切なタイミングを徹底解説

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介護者の負担を軽減し、社会全体で支えあう目的を持った「介護保険」の申請を考えている人も多いのではないでしょうか。そもそも自身が介護保険の対象になるのか、サービスが受けられるかどうかについて気になる方も多いでしょう。

近年は高齢化や核家族化の影響もあり、以前よりも介護期間が長くなり、介護保険のニーズも拡大しています。意外と知らない介護保険申請のタイミングや流れ、必要な書類についてわかりやすくご紹介していきます。

そもそも介護保険の申請とは?

そもそも介護保険制度とは、介護を必要としている人に給付を行い、適切なサービスを受けられるようにサポートするのが目的です。介護者の自立支援や、家族にかかる負担を軽減する目的があります。介護保険の申請は、2通りの方法があるので覚えておきましょう。

要介護認定を希望している被保険者が、管轄の自治体もしくは地域包括支援センターに、必要書類をそろえて申請します。介護保険を希望する被保険者が自分でできないときは、家族(子ども)や親族が代わりに申請することもできます。

申請のタイミングこそ変わりますが、基本的な申請の流れについては変わりません。

関連記事:介護保険料を払わなくていい人とは?滞納ペナルティや減免制度についても

「介護保険申請」と「介護保険サービス」の違い

申請条件を満たし、介護保険申請ができる人でも、介護保険サービスを利用できるとは限りません。通常は必要書類を揃え申請したあとに、訪問調査や医師の診断書で「要支援1〜2」「要介護1〜5」のいずれかに分類されますが、いずれも”該当しない”という判断になってしまうこともあります。

介護の必要性が高いほど、サービスの種類も増えますが介護保険サービスの範囲が限られてしまう可能性も考えられます。第二号被保険者で特定疾患に診断されても、介護申請の原因として認められない場合もあるので注意しましょう。

関連記事:介護保険サービスとは?サービスの種類・料金・利用の流れをわかりやすく解説

介護保険を申請して介護サービスが受けられる人

介護保険を申請し介護サービスが受けられる人は以下の通りです。

  • 65歳以上で第一号被保険者であり、要介護状態・要支援状態と認められた人
  • 40歳以上65歳未満の第二号被保険者であり、16種類の特定疾患の診断をされた人(協会けんぽや居住地で国民健康保険、後期高齢者医療制度などの加入者に限る)

いずれかに該当していないと、介護保険の申請はできません。

それぞれ受けられる人の概要について詳しく解説していきましょう。

関連記事:介護保険を申請できる年齢や申請場所は?要介護認定の流れも解説

65歳以上の方(第一号被保険者)

第一号被保険者は、65歳以上の人が対象です。誕生日の前月までに被保険者証が全員に交付されます。要介護状態・要支援状態になった原因を問わず介護サービスを受けられます。

主に、寝たきりで認知症がある人、入浴や排泄、食事などの日常生活に支障があり介護が必要、身支度の支援が必要なケースです。毎月の保険料は、市町村や特別区など自治体が徴収し、基本的には年金からの天引きです。

40歳以上65歳未満の方(第二号被保険者)

第二号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険者が対象です。特別な手続きがなくとも、40歳になると自動的に資格を取得できます。

健康保険者の場合は、事業主が原則として1/2を負担します。その後、65歳以上になると、自動で第一号被保険者に切り替わる仕組みです。第二号被保険者が介護保険申請を行うためには、老化に起因する疾患が「特定疾患」による場合に限定されます。

1 がん(末期)

2 関節リウマチ

3 筋萎縮性側索硬化症

4 後縦靱帯骨化症

5 骨折を伴う骨粗鬆症

6 初老期における認知症

7 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病

8 脊髄小脳変性症

9 脊柱管狭窄症 

10 早老症

11 多系統萎縮症

12 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症

13 脳血管疾患

14 閉塞性動脈硬化症 

15 慢性閉塞性肺疾患

16 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

引用元:介護保険制度について(厚生労働省)

介護保険を申請するタイミング

介護保険を申請するタイミングとしてもっとも多いのは、認知症や転倒による骨折です。

在宅で介護をしているケースでは、介護保険の申請は「身の回りのことを自分でできなくなったとき」行うケースが多く、長期化し家族だけでは支えきれなくなったときがタイミングといえます。

入院中にも介護保険の申請を行う場合がありますが、医療保険と同時に使えないため、退院が決まって一・二か月前が目安です。

それぞれのタイミングについて詳しく解説します。

被保険者が入院中の介護保険申請のタイミング

被保険者が入院中の介護保険申請のタイミングを説明いたします。

被保険者が入院しているとき、退院が決まって一・二か月前に手続きを行うようにしましょう。

そもそも医療保険と介護保険は併用できません。そのため「入院中は介護保険を利用できない」決まりがあります。退院してから手続きをするのでは空白の期間ができてしまいます。

介護保険を利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。

  • 身体の状態が安定したタイミング
  • 病状が安定したタイミング

上記のタイミングでないと申請ができないため、主治医と相談しながら申請の手続きを進めましょう。

被保険者を在宅介護している際の介護保険申請のタイミング

被保険者を在宅介護しているときの申請のタイミングとして、以下のような状況が考えられます。

  • 自分で身の回りのことができなくなった
  • 認知症が進み目を離せなくなった
  • 転倒による骨折で排せつや自分で食事ができなくなった

在宅介護における介護保険申請は、自分で決める人は少なく、家族や親戚からすすめられたケースが多いのが実情です。被保険者にとって、自分に介護は必要ないと考えてしまったり、恥ずかしいなどの理由から申請できなかったりするケースが少なくありません。

関連記事:在宅介護の大変さを軽減する4つの方法と施設入居のタイミング

介護保険申請の流れと必要書類

介護保険申請は、要支援認定・要介護認定が必要です。

市区町村は、被保険者の状態を調査したうえで要介護認定を行います。

  1. 申請書類の提出
  2. 主治医からの意見書の提出
  3. 訪問調査
  4. 一次判定
  5. 二次判定
  6. 要介護認定の通知
  7. ケアプランの作成
  8. 介護保険サービスの利用開始

必要な書類を揃え、申請の手続きをしていきます。書類内容に不備があると修正が必要になってしまい、介護認定までの時間がかかるので注意しましょう。

1. 申請書類の提出

介護保険の申請の際には以下の書類が必要です。

  • 介護保険 要介護・要支援認定申請書
  • 健康保険被保険者証(40歳~65歳)/介護保険被保険者証(65歳以上)
  • マイナンバーが確認できるもの(原本だけでなく写しでも可)
  • 申請者の身元確認書類(運転免許証・身体障碍者手帳など)
  • 主治医が確認できる診察券など

被保険者以外の人が介護保険申請を行う場合は、下記の書類なども用意しましょう。

  • 被保険者との関係が 分かる委任状
  • 代理人の身元が確認できるもの
  • 印鑑

2. 主治医からの意見書の提出

被保険者の主治医からの意見書の提出も必要です。疾患・負傷に対して医学的な意見を求めるものになり、所要の事項を医師に記載してもらいます。

意見書は主に、要介護認定を行うための一次判定などの資料として使われます。主治医がおらず、作成してもらえる医師がいないときは、市区町村で指定されている医師からの診断を利用しましょう。

3. 訪問調査

介護保険申請の訪問調査は、お住いの市区町村の職員が訪問し状況の確認を行います。生活にどの程度支障が出ているのか、特別な医療の必要性があるのかを質問票にチェック形式で記載します。

在宅介護は、調査員が自宅に訪問します。

入院中の場合は病室を直接訪問して、被保険者の状態を調べます。

調査内容は以下の6項目です。

  • 身体機能や起居動作の確認(日常生活における基本的動作)
  • 生活機能の確認(一人で日常生活を送れるかどうか)
  • 認知機能の確認(意思疎通や名前・生年月日などの基本的な認知機能9
  • 精神や行動障害(物忘れや情緒不安定など直近1か月)
  • 社会生活にどの程度適用しているか(金銭管理や服薬、買い物、調理など)
  • 特別な医療に関しての項目(14日の間で特別な医療行為を受けたか)

4. 一次判定

一次判定は、公平性を保つためコンピュータを使った判定です。厚生労働省にて全国共通の要介護認定ソフトがあり「要介護認定等基準時間」を分析します。

そのため、どの地域で受けても結果は変わりません。要介護認定等基準時間が長ければ長いほど、介護度が高いと判断します。

この1次判定で要介護や要支援に認定されると、次の二次判定に進みます。

要介護認定等基準時間の算出基準は以下の通りです。

  • 入浴や排泄、食事などの直接生活介助
  • BRSDなど関連行為(徘徊や不潔な行為)
  • 掃除や洗濯などの間接生活介助
  • 機能訓練関連行為
  • 医療関連行為

5. 二次判定

一次判定の結果と、主治医意見書を使い「介護認定審査会」を行い介護保険が必要かどうかを判定します。この審査会は、保険・福祉・医療などの学識経験者の合計5名で構成され、全国一律の基準がもうけられています。

要介護状態なのか、要支援状態なのか、もしくは該当しないのかを決定します。二次判定では、介護保険証の認定有効期間も決まり、新規申請の場合は三〜六か月程度です。状態が安定しているときは、有効期間が長く設定されることもあります。

6. 要介護認定の通知

要介護認定の通知は「申請日から30日以内」に、被保険者(利用者)に通知する決まりがあります。審査内容によって、要介護1〜5、要支援1.2、非該当のいずれかが記載された、結果通知書が届く仕組みです。

状況によって結果の通知が遅れる場合は「見込み期間」「遅れる理由」が通知されています。

もし、判定結果に納得できないときは、不服申し立てを行うことができます。結果を受け取った翌日から3か月以内に申し立てを行います。

関連記事:要介護5とは?もらえるお金やサービス・在宅介護は無理なのかを解説

7. ケアプランの作成

要介護認定が下りたら「ケアプラン」を作成して、自治体に提出します。介護認定が下りただけでは、介護保険サービスは利用できません。ケアプランは地域包括支援センターの職員と相談しながら作成していきます。

被保険者や家族の相談に応じて、希望に沿ったケアプランを作成します。大切なことになりますので、できるだけ希望は伝えられるようにしましょう。施設の入居を希望する場合は、適切な施設を紹介してくれることもあります。

8. 介護保険サービスの利用開始

ケアプランに基づき、介護保険サービスの利用を開始します。ケアプランのなかに記載のないサービスは利用できません。内容を更新する場合は、担当のケアマネジャーに相談します。

介護保険で利用できるサービスは、認定内容によって変わります。

  • 要介護1~5の場合は「介護給付」
  • 要支援1~2の場合は「予防給付」

施設にでかける日帰りでのサービスや、宿泊しながら長期間もしくは短期間受け取れるサービスも対象です。福祉用具の利用に関してのサービスや、自宅での家事援助なども含みます。

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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