【自治体の制度】家族介護慰労金とは?もらえる条件や申請の流れ、支給額をわかりやすく解説

ご家族の介護を在宅で続けている方の中には、「公的な支援はないだろうか」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。実は、自治体によっては、在宅で介護をするご家族を支援するために「家族介護慰労金」という現金を給付する制度があります。
この記事では、あまり知られていない「家族介護慰労金」制度について、どのような制度なのかという基本から、支給を受けるための具体的な条件、申請の流れ、支給額の相場まで、分かりやすく解説します。
ただし、この制度は全ての自治体にあるわけではなく、支給条件も厳しいのが実情です。記事の後半では、制度を利用する際の注意点や、在宅介護の負担を軽減するための他の選択肢もご紹介します。ご自身の状況と照らし合わせながら、利用できる制度やサービスを知り、介護の負担を少しでも軽くするための一助としてください。
家族介護慰労金とは在宅介護を支えるための制度
家族介護慰労金は、重度の要介護状態にある高齢者を、在宅で介護しているご家族の身体的・経済的負担を軽減し、その労をねぎらうことを目的とした制度です。まずは、この制度の基本的な特徴について理解を深めましょう。
自治体が主体となって実施する現金給付
家族介護慰労金制度の最も大きな特徴は、国ではなく、市区町村などの基礎自治体が主体となって実施している点です。それぞれの自治体が独自の財源と判断で条例などを定めて運営しています。
そのため、制度の有無や名称、支給の条件、金額、申請方法などは、お住まいの自治体によって大きく異なります。現金で給付されるため、使い道が限定されず、介護用品の購入や介護者の休息(レスパイト)のための費用など、各家庭の状況に応じて自由に使えるのがメリットです。
介護保険外のサービスとしての位置づけ
この制度は、介護保険制度とは別の、自治体独自の福祉サービス(任意事業)として位置づけられています。介護保険サービスが、要介護度に応じて利用できるサービス内容(現物給付)が決まっているのに対し、家族介護慰労金は自治体の裁量で提供される現金給付であるという違いがあります。
後述しますが、支給条件として「一定期間、介護保険サービスを利用していないこと」を挙げている自治体がほとんどです。これは、公的な介護サービスに頼らず、ご家族の力だけで介護を担っている世帯を重点的に支援するという制度の趣旨に基づいています。
家族介護慰労金の支給条件|対象者となる要件を確認
家族介護慰労金は、誰もが受け取れるわけではありません。制度の趣旨から、非常に厳しい支給条件が設けられています。ここでは、多くの自治体で共通してみられる一般的な条件を、「介護を受けている方」と「介護をしているご家族」に分けて解説します。
介護を受けている方(高齢者)の主な条件
まず、介護を受けている高齢者側が満たすべき主な条件は、以下の3つです。これら全てを満たす必要があります。
要介護認定が要介護4・5である
支給対象となるのは、要介護認定で最も重度な区分である「要介護4」または「要介護5」と判定された方です。
- 要介護4
- 食事や排泄、入浴、着替えなど、日常生活のほぼ全ての場面で介助が必要な状態です。立ち上がりや歩行も自力では困難な場合が多いです。
- 要介護5
- 要介護の最重度区分で、基本的に寝たきりの状態です。意思の伝達も困難な場合が多く、生活全般において全面的な介助が必要となります。
このように、常時介護が必要な状態であることが前提条件となります。
住民税が非課税世帯である
経済的に困難な状況にある世帯を支援するという目的から、介護を受けている高齢者ご本人が属する世帯全員が、住民税非課税であることが条件となっている場合がほとんどです。
過去1年間介護保険サービスを利用していない
これが最も厳しい条件と言えます。対象となる期間(多くの場合は申請対象期間である過去1年間)において、以下の介護保険サービスを一切利用していないことが求められます。
- 訪問サービス
- 訪問介護(ホームヘルプ)、訪問入浴、訪問看護、訪問リハビリテーションなど
- 通所サービス
- 通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)など
- 短期入所サービス
- 短期入所生活介護(ショートステイ)など
福祉用具のレンタルや特定福祉用具の購入、住宅改修費の支給なども利用できない場合があります。つまり、公的な介護サービスに頼らず、完全に家族だけで1年間介護を続けた実績が求められるのです。
介護をしているご家族(介護者)の主な条件
次に、実際に介護を行っているご家族側が満たすべき主な条件です。
介護を受けている方と同居している
介護者と介護を受ける高齢者が、同じ家で同居し、生計を共にしていることが条件です。別居しているご家族による介護は対象外となります。
介護者自身も住民税が非課税である
多くの自治体では、介護をしているご家族も、住民税非課税であることが条件とされています。ただし、自治体によっては、介護者の所得要件は問われない場合もあります。
詳細はお住まいの自治体への確認が必須
これまで述べた条件は、あくまで一般的なものです。自治体によっては、「要介護3以上」を対象としていたり、「介護保険サービスの未利用期間が半年」であったり、あるいは所得制限の基準が異なったりと、独自の基準を設けています。
ご自身が対象となるかどうかを正確に知るためには、必ずお住まいの市区町村の高齢福祉課や介護保険課の窓口、または公式ウェブサイトで最新の情報を確認するようにしてください。
支給額はいくら?自治体による違いと相場
支給条件を満たした場合、実際にどのくらいの金額が受け取れるのでしょうか。これも自治体によって異なりますが、一定の相場があります。
年額10万円前後が一般的
多くの自治体では、支給額を年額10万円、または月額に換算して8,000円〜1万円程度に設定しています。年に1回、指定した口座に一括で振り込まれるのが一般的です。決して大きな金額ではないかもしれませんが、介護を続けるご家族にとっては大きな支えとなり得ます。
自治体ごとの支給額の例
参考として、いくつかの自治体の支給額の例を見てみましょう。
| 自治体名 | 制度の名称(例) | 支給額(年額) |
|---|---|---|
| 東京都世田谷区 | 在宅高齢者介護者支援手当 | 100,000円 |
| 神奈川県横浜市 | 横浜市家族介護慰労金 | 100,000円 |
| 大阪府堺市 | 家族介護慰労金 | 120,000円 |
| 兵庫県神戸市 | 神戸市家族介護慰労金 | 100,000円 |
※上記は本記事の校閲時点(2025年8月)の情報です。最新の情報や詳細な条件は各自治体の公式サイトでご確認ください。
このように、多くの大都市で年額10万円を基準としていることがわかりますが、自治体の規模や財政状況によって金額は異なります。
家族介護慰労金の申請方法と手続きの流れ
家族介護慰労金は、条件を満たしていても自動的に支給されるものではありません。必ずご本人(または代理人)による申請が必要です。ここでは、一般的な申請の流れを解説します。
申請のタイミングは年に1回が基本
申請の受付期間は、年に1回、特定の期間(例:毎年7月1日〜7月31日までなど)に定められているのが一般的です。この期間を過ぎてしまうと、その年度の支給は受けられなくなってしまうため、注意が必要です。自治体の広報誌やウェブサイトで、申請期間を事前に確認しておきましょう。
申請に必要な主な書類
申請には、自治体が指定する申請書の他に、いくつかの添付書類が必要となります。一般的に求められる書類は以下の通りです。
- 家族介護慰労金支給申請書
- 自治体の窓口やウェブサイトで入手します。
- 介護を受けている方の介護保険被保険者証の写し
- 要介護度を確認するために必要です。
- 振込先口座がわかるもの(通帳の写しなど)
- 慰労金の振込先として、申請者名義の口座情報が必要です。
- (場合によって)世帯全員の住民税非課税証明書
- 自治体がマイナンバー情報などで確認できる場合は不要なこともあります。
その他、民生委員の証明などが必要な自治体もありますので、必ず事前に確認しましょう。
申請から支給までの基本的なステップ
申請から支給までは、一般的に以下のような流れで進みます。
- 申請
定められた受付期間内に、必要書類を揃えて市区町村の担当窓口に提出します。 - 審査
自治体が、提出された書類をもとに支給要件を満たしているかどうかの審査を行います。介護保険サービスの利用履歴などもここで確認されます。 - 支給決定通知
審査の結果、支給が決定すると、自宅に「支給決定通知書」が届きます。 - 支給
決定通知に記載された支払日に、指定した口座に慰労金が振り込まれます。
家族介護慰労金を利用する際の注意点
これまで見てきたように、家族介護慰労金は非常に限定的な制度です。利用を検討する際には、以下の点に注意してください。
全ての自治体で実施している制度ではない
最も重要な注意点は、この制度が全国一律ではないということです。財政状況などから、制度自体を設けていない自治体も少なくありません。まずは、お住まいの自治体にこの制度があるかどうかを確認することがスタート地点になります。
制度の名称が自治体によって異なる場合がある
「家族介護慰労金」という名称が最も一般的ですが、自治体によっては「在宅高齢者介護手当」「家族介護手当」「高齢者在宅介護支援奨励金」など、異なる名称を用いている場合があります。ウェブサイトなどで探す際は、複数のキーワードで検索してみると良いでしょう。
自動的に支給されるものではなく申請が必要
繰り返しになりますが、この制度は申請主義です。条件に当てはまっていても、ご自身で申請手続きを行わなければ支給されることはありません。該当する可能性がある場合は、必ずご自身から自治体へ問い合わせるようにしてください。
在宅介護の負担を感じたら専門家への相談も選択肢に
家族介護慰労金の条件である「1年間介護保険サービスを全く利用しない」というのは、介護する側にとってもされる側にとっても、非常に大きな負担を伴います。もし、慰労金を受け取ることだけを目的に介護サービスを我慢しているとしたら、本末転倒になりかねません。介護者の心身の健康が損なわれれば、在宅介護そのものが立ち行かなくなってしまいます。
介護保険で利用できる在宅サービス
介護の負担を感じたら、まずは介護保険で利用できるサービスを積極的に活用することを検討しましょう。ホームヘルパーに身体介護や生活援助を依頼したり、デイサービスを利用して日中の介護を専門家に任せる時間を作ることで、介護者の負担は大きく軽減されます。
ショートステイや介護施設の利用を検討する
介護者が休息を取るためのショートステイの利用や、在宅介護が限界に近いと感じた場合には、特別養護老人ホームや有料老人ホームといった介護施設への入居も重要な選択肢です。「ご家族だけで抱え込まない」ことが、質の高い介護を長く続けるための秘訣です。
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このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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