老健から老健への移動は可能か?条件と手続きを徹底解説

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老健から老健への移動は可能か?条件と手続きを徹底解説

老健(介護老人保健施設)に親御さんが入居している場合「同じ老健には長くいられないなら、別の老健へ移れないか」と悩むご家族は少なくありません。退所の話が出ると、自宅介護の準備や次の施設探しを短期間で進める必要があり、不安が大きくなります。

結論からいうと、老健から老健への移動は制度上可能です。ただし、移動先の老健が受け入れられる状態か、親御さんの要介護度や医療ニーズが老健の役割に合っているかを確認する必要があります。

この記事では、老健から老健への移動が可能かどうか、満たす条件、手続きの流れを解説します。老健での継続が難しい場合の代替施設や相談先も紹介するため、次に取る行動を整理する参考になるでしょう。

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老健から老健への移動は可能か

老健から老健への移動は、法律で禁止されているわけではありません。ただし、老健は「長く住み続ける施設」ではなく、在宅復帰を目指すための介護保険施設です。

そのため「移動できるか」だけでなく「移動先の施設方針と親御さんの状態が合うか」を確認する必要があります。まずは、老健の役割と移動の可否を整理して見ていきましょう。

老健の役割と入居期間の原則

老健は、介護保険法第8条第28項に基づく介護保険施設です。要介護者が自宅などで生活できるよう、医師の管理のもとで看護や介護を受けます。リハビリや日常生活の支援も対象です。

入居期間は一律に決まっているわけではありませんが、3~6か月を目安に退所や在宅復帰を検討する施設が多い傾向にあります。親御さんが入居して数か月たった頃に、支援相談員から次の生活場所の相談が始まるのは自然な流れです。

老健を「ずっと入れる場所」と考えすぎない姿勢が必要です。退所の話が出た時点で、別の老健だけでなく特養や介護付き有料老人ホームなども含めて選択肢を広げるとよいでしょう。

関連記事:老健(介護老人保健施設)とは?役割・費用・入所条件からスムーズな退所後の選択肢まで徹底解説

老健から老健への移動の可否

老健から別の老健へ移動する対応は可能です。老健から老健への移動を禁止する法律や制度はなく、厚生労働省の調査でも、退所者の一部がほかの老健へ移っている実態があります。

ただし、希望すれば必ず受け入れてもらえるわけではありません。移動先の老健は、要介護度や医療処置の内容を確認します。認知症と診断された方への対応や空き状況も見たうえで、受け入れ可否を判断します。

ご家族としては「制度上は可能だが、施設側の判断が必要」と理解しておくと現実的です。今の老健から退所を求められている場合は、早めに支援相談員へ相談し、受け入れ可能な施設を探し始めましょう。

老健から老健へ移動するために満たす条件

老健へ移動するには、移動先でも老健の入居条件を満たす必要があります。特に確認したいのは、要介護認定・医療ニーズ・受け入れ体制の3つです。

親御さんが今の老健に入れている場合でも、状態の変化によって別の老健で受け入れが難しくなる場合があります。ここでは、確認したい条件を順番に解説します。

要介護1以上の介護認定の維持

老健の入居対象は、原則として要介護1~5の認定を受けた方です。65歳以上の方だけでなく、40~64歳で特定疾病により要介護認定を受けた方も対象になります。

リハビリの結果、状態が改善して要支援になった場合は、老健での継続入居や別の老健への移動が難しくなります。現在の要介護度だけでなく、次回の認定更新でどう判断されそうかも確認しておきましょう。見通しに不安がある場合は、更新前に現在の施設へ相談しておくと安心です。

確認したい項目は、次のとおりです。

  • 現在の要介護度
  • 認定の有効期間
  • 次回更新の時期
  • 直近の心身状態

要介護度は、施設探しの前提になります。介護保険証や認定結果通知書を手元に用意し、支援相談員やケアマネジャーと共有しましょう。

医療ニーズが現施設と同等以下

老健は医師や看護職員が配置されている施設ですが、病院と同じように高度な医療を続ける場所ではありません。移動先の老健では、必要な医療処置が自施設で対応できる範囲かの確認が必要です。

たとえば、服薬管理や日常的な健康観察であれば対応できる施設が多い一方、喀痰吸引や経管栄養などが必要な場合は、施設ごとに受け入れ判断が異なります。常時の医療管理が必要な状態では、介護医療院のほうが合うケースもあります。

認知症と診断された方の場合も、移動そのものが一律に不可になるわけではありません。徘徊や不安の強さ、夜間の様子、ほかの入居者との関係も含め、生活支援の体制が合うかを確認しましょう。

移動先の受け入れ体制と空き状況

老健は、施設の空きがあればすぐ入れるとは限りません。受け入れの可否は、ベッドの空きだけでなく、施設方針や職員体制によって変わります。医療対応やリハビリの方針も判断材料です。

老健には、超強化型・在宅強化型・加算型・基本型・その他型といった類型があります。これらは、在宅復帰率などの評価に基づく区分です。

在宅復帰を重視する施設では、自宅や病院からの入居を優先し、ほかの老健からの移動に慎重な場合があります。

施設へ問い合わせる際は、次の点が判断材料です。

  • ほかの老健からの受け入れ可否
  • 認知症対応の体制
  • 医療処置の対応範囲
  • 入居判定までの期間
  • おおよその空き状況

同じ老健でも、施設ごとに方針は異なります。1か所だけに絞らず、複数の候補を並行して相談する必要があります。

老健から老健へ移動する手順

老健から老健へ移動したい場合は、今の施設の退所準備と移動先の入居手続きを同時に進めます。退所まで時間が限られるため、受け身で待つよりも、早めの相談先選びが必要です。

ここでは、ご家族が取りやすい3つの流れを紹介します。

支援相談員に相談する

最初に相談したい相手は、現在入居している老健の支援相談員です。支援相談員は、入居中の生活相談や退所後の行き先調整を担当する職種で、地域の施設情報にも詳しい立場です。

相談するときは「自宅介護が難しいため、別の老健や施設介護を検討したい」と伝えましょう。退所を告げられた理由、退所までの目安、親御さんの状態、老健への再入居が現実的かを確認できます。

必要に応じて、居宅ケアマネジャーへの相談も選択肢です。特養の申し込み状況や在宅サービスの利用可能性も含めて整理すると、老健以外の選択肢も比較できます。相談内容はメモに残し、次の施設探しで同じ説明を繰り返せるようにしましょう。

移動先候補の老健を探す

移動先候補は、現在の老健からの紹介だけに頼らず、地域包括支援センターや介護紹介センターも活用して探しましょう。候補が少ない地域では、探し始める時期が遅れるほど選択肢が狭くなります。

希望条件は「譲れない条件」と「あればうれしい条件」に分けると整理できます。譲れない条件には、医療対応や認知症対応を入れるとよいでしょう。費用や通いやすさも確認しておくと、判断材料になります。

候補施設を比較するときは、次のような観点を確認しましょう。

  • 月額費用の総額
  • 面会のしやすさ
  • リハビリの頻度
  • 医療処置の対応
  • 退所支援の考え方

施設探しでは、完璧な条件を待ちすぎない判断も必要です。親御さんの安全と生活の継続を優先し、現実的に受け入れ可能な候補を複数用意しておきましょう。

入居を申し込み移動準備を進める

候補が決まったら、入居申込書や診療情報、介護保険証の写しなどを用意して申し込みましょう。移動先の老健では、書類確認、面談、判定会議などを経て受け入れ可否が決まります。

受け入れが決まったあとは、現在の老健と移動先の老健で情報の引き継ぎが必要です。薬の内容、リハビリ状況、認知症と診断された方への声かけの工夫、転倒リスクなどを共有してもらう必要があります。

移動日が近づいたら、ご家族は荷物、移動手段、当日の付き添いを準備します。親御さんが不安を感じる場合は、移る理由を一度に説明しすぎず、安心できる言葉で少しずつ伝えましょう。当日の流れも確認しておくと、移動時の混乱を減らせます。

老健から老健への移動で押さえる注意点

老健から老健への移動は可能ですが、親御さんにとっては生活環境が変わる大きな出来事です。ご家族の都合だけでなく、ご本人の状態や施設の役割も踏まえて判断する必要があります。

移動を急ぐ場面でも、次の3つの注意点を押さえておきましょう。

環境変化によるご本人へのストレス

施設を移ると、居室や職員、食事の時間、入浴の流れなどが変わります。認知症と診断された方は、環境の変化によって不安が強くなり、混乱や落ち着かなさが現れる場合があります。

移動前には、親御さんが苦手な場面や安心できる声かけを現在の老健に整理してもらいましょう。好きな持ち物、生活リズム、夜間の様子を移動先へ共有すると、新しい環境での負担を減らせます。

ご家族が見学や面談に参加できる場合は、職員の対応やフロアの雰囲気も確認します。設備だけでなく、親御さんが安心して過ごせそうかという視点も必要です。可能であれば、入居後の面会頻度も決めておきましょう。

在宅復帰を目的とする施設方針

老健は、在宅復帰を目指す施設です。そのため、長期入居を前提にした住まいとは役割が異なり、入居後も退所先の検討が続く場合があります。

施設類型によっては、在宅復帰率やベッド回転率などを重視する運営方針です。超強化型や在宅強化型の老健では、リハビリによる在宅復帰を明確に目指すため、別の老健からの移動希望に慎重な場合があります。

老健を選ぶ際は「どれくらい入居できるか」だけでなく「退所後をどう考える施設か」を聞いておきましょう。ご家族の希望と施設方針が大きくずれていると、入居後に再び行き先探しで困る可能性があります。入居前に方針を聞いておくと、再調整の負担を減らせます。

親御さんの状態に応じた施設選びの視点

老健から老健への移動は、あくまで選択肢の1つです。親御さんの医療ニーズが高くなっている場合や、長期的な住まいを探したい場合は、別の施設種別のほうが合う場合があります。

たとえば、要介護3以上で長期入居を希望するなら特養、医療的ケアが必要なら介護医療院、生活の自由度やサービスの幅を重視するなら介護付き有料老人ホームが候補になります。

「自宅介護を避けたい」というご家族の気持ちは自然なものです。だからこそ、老健にこだわりすぎず、親御さんの状態や費用を比べましょう。待機期間や通いやすさも見ながら、現実的な行き先を選ぶ必要があります。

老健から老健への移動が難しい場合の代替施設

移動先の老健が見つからない場合でも、施設介護を続ける方法はあります。特養、介護付き有料老人ホーム、介護医療院など、親御さんの状態に合う施設を検討しましょう。

それぞれ対象者や費用、医療対応、入居期間の考え方が異なります。ここでは、老健の次に検討される3つの施設を紹介します。

特別養護老人ホームの特徴

特養(特別養護老人ホーム)は、原則として要介護3以上の方を対象とする公的な介護保険施設です。長期入居を前提にでき、看取りまで対応する施設もあるため、自宅介護が難しいご家族にとって有力な選択肢です。

費用は民間施設より抑えられる傾向にありますが、地域によっては入居待ちが発生します。すぐに入れるとは限らないため、老健にいる間から申し込み状況の確認が必要です。

要介護1・2の方でも、認知症や障がい、ご家族の支援が難しい事情などがある場合は、特例的に入居が認められる場合があります。虐待のおそれがある場合も対象になる可能性があります。該当しそうな場合は自治体や施設へ相談しましょう。

介護付き有料老人ホームの特徴

介護付き有料老人ホームは、介護サービスを施設内で受けながら暮らせる民間の住まいです。老健より長く入居でき、施設によっては認知症ケアや看取りにも対応しています。

一方で、月額費用は老健より高くなる傾向です。目安として月15万~35万円程度かかる施設があり、入居一時金が必要な場合もあります。これらの費用は地域差も大きいため、注意が必要です。

費用面で迷う場合は、総額だけで判断せず、介護保険の自己負担や食費を分けて確認しましょう。居住費、医療費、日用品費も別に見ると実際の負担を把握できます。

予算内で探せる地域の範囲を広げると、条件に合う施設が見つかる場合があるでしょう。

介護医療院の特徴

介護医療院は、長期的な療養と生活支援を一体的に受けられる介護保険施設です。2018年に創設され、要介護1~5の方が対象になります。

介護医療院には、重い医療ニーズに対応するⅠ型と、比較的容態が安定した方向けのⅡ型があります。喀痰吸引や経管栄養など、老健では受け入れが難しい医療的ケアが必要な場合に検討対象となる施設です。

老健から老健への移動が難しい理由が医療ニーズの増加であれば、介護医療院が合う可能性があります。主治医や支援相談員に、老健での対応範囲を超えていないか確認してみましょう。生活の場としての機能もあるため、病院退院後の行き先としても検討できます。

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老健から次の施設へ移る相談先

施設探しは、ご家族だけで抱え込む必要はありません。老健の退所が近づいているときほど、支援相談員やケアマネジャー、地域包括支援センター、介護紹介センターといった相談先をうまく使い分けるとよいでしょう。

ここでは、それぞれの役割と、目的に応じて相談先を並行して活用するコツを解説します。

支援相談員と居宅ケアマネジャー

現在の老健にいる支援相談員は、退所後の行き先を考えるうえで最初の窓口になります。入居中の様子や医療ニーズを把握しているため、別の老健に移れる可能性や、ほかの施設を検討すべきかを相談できます。

居宅ケアマネジャーは、在宅サービスの調整やケアプラン作成を担う専門職です。在宅復帰を一時的に検討する場合や、ショートステイを組み合わせる場合に頼りになります。

両者に相談するときは、同じ情報の共有が必要です。次の情報をそろえて伝えると、提案のずれを減らせます。相談後は、誰がどの施設へ連絡するのかも決めておきましょう。

  • 退所予定時期
  • 特養の申し込み状況
  • 費用の上限
  • 医療処置の内容

情報をそろえて相談すると、両者が同じ前提で動けます。退所までの時間が限られる場合ほど、役割分担を早めに決めましょう。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、市町村が設置する高齢者の総合相談窓口です。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職が、介護や福祉に関する相談に応じます。

地域の介護サービスや施設情報を中立的な立場で案内してもらえるため、どこに相談すればよいかわからないときに役立つ窓口です。費用をかけずに相談できる点も、ご家族にとって安心材料になります。

ただし、個別施設の空き状況や民間施設の詳しい比較まですべて把握しているとは限りません。施設選びを進める段階では、支援相談員や介護紹介センターと併用するとよいでしょう。

関連記事:地域包括支援センターとは?役割や相談できる内容、利用方法をわかりやすく解説

老人ホーム紹介センター

民間の老人ホーム紹介センターは、希望条件に合う老人ホームや介護施設を探す民間の相談窓口です。複数施設の費用、空き状況、受け入れ条件を比較しながら提案を受けられるため、短期間で候補を絞りたい場合に向いています。

相談時は、要介護度や月額予算を伝えると詳しい提案につながります。認知症と診断された有無、医療処置、希望地域も整理しておきましょう。老健から老健への移動だけでなく、特養待機中のつなぎや介護付き有料老人ホームも含めて相談できます。

『笑がおで介護紹介センター』では、関西エリアの老人ホームや介護施設探しをサポートしています。老健退所後の行き先に迷っている場合は、ご家族だけで抱え込まず、早めに相談して選択肢を整理しましょう。

老健から老健への移動でよくある質問

老健から老健への移動を考えると、費用がどれくらい変わるのか不安になりやすいものです。移動先が同じ老健でも、施設ごとの料金や居室タイプによって月額総額は変わります。

最後に、費用面で特に確認したいポイントを解説します。

移動先の費用は今より高くなる?

老健から老健へ移動しても、介護保険の仕組みは継続して使えます。介護サービス費の自己負担は、所得などに応じて1~3割です。

ただし、月額総額が今と同じになるとは限りません。居室タイプや食費、居住費によって支払額が変わります。日用品費、医療費、リハビリ内容も確認が必要です。

2025年8月からは、一部の老健の多床室で、一定所得以上の入居者に月額約8,000円の室料負担が追加されています。対象施設や負担額は条件で異なるため、見学や申し込みの前に「月額総額」と「今後増える可能性がある費用」を確認しましょう。

現在の請求書と比べると、差額を把握できます。

関連記事:老健(介護老人保健施設)の費用はいくら?自己負担額や軽減制度を徹底解説

まとめ

老健から老健への移動は制度上可能です。ただし、移動先の老健が受け入れられるかどうかは、要介護度や医療ニーズによって決まります。認知症と診断された方への対応、施設方針、空き状況も判断材料です。

退所の話が出たら、まず現在の老健の支援相談員に相談しましょう。別の老健を探す場合でも、特養や介護付き有料老人ホームを同時に検討すると、現実的な行き先を見つける助けになります。医療ニーズが高い場合は、介護医療院も候補です。

親御さんの状態に合う施設を短期間で探すには、ご家族だけで抱え込まない姿勢が必要です。老健退所後の施設探しに不安がある方は『笑がおで介護紹介センター』へお気軽にご相談ください。

参考

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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