要介護認定の結果に納得いかない時の対処法|非該当・自立判定への不服申立てと区分変更申請を解説

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要介護認定の結果に納得いかない時の対処法|非該当・自立判定への不服申立てと区分変更申請を解説
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要介護認定の結果が届いた際、「思っていたよりも介護度が低い」「非該当(自立)と判定されてサービスが受けられない」と、戸惑いや納得がいかない思いを抱える方は少なくありません。要介護認定は、心身の状態を客観的に判断する指標ですが、調査時の本人の振る舞いや提出書類の内容によって、実態と乖離が生じることがあります。

判定結果に納得できない場合の主な対処法は、早急に再審査を求める「区分変更申請」と、判定の妥当性を問う「不服申立て(審査請求)」の2つです。本記事では、判定が低くなる理由や、再審査に向けた具体的な確認手順、それぞれの申請のメリット・デメリットを詳しく解説します。結論として、まずはケアマネジャーなどの専門家に相談し、状況に合わせて「区分変更申請」を優先的に検討することが、早期の解決への近道となります。

要介護認定の結果が納得いかないと感じる主な理由

要介護認定の結果が、家族が感じている介護の負担や、本人の日常生活の困難さと一致しないケースは珍しくありません。なぜこのような乖離が生まれるのか、その主な理由を整理します。

本来の状態より軽い介護度や非該当(自立)と判定された

最も多い理由は、心身の状態に対して判定が軽く出てしまうことです。要介護認定は「介護にかかる時間」を基準に算出されるため、認知症による周辺症状や、見守りが必要な状態が十分に数値化されない場合があります。

また、特定の疾患があっても、それが「日常生活における介護の手間」に直結していないと判断されると、非該当(自立)の結果になることもあります。これは、介護保険制度が「自立支援」を基本理念としているため、現時点で公的な介護が必要ないと見なされるケースがあるからです。

前回の認定より要介護度が下がった

更新申請の際に、状態が維持または悪化していると感じるにもかかわらず、前回より低い区分(例:要介護2から要介護1へ)になることがあります。これは、リハビリの効果によって動作が改善したと見なされたり、認定調査時の評価項目の基準が、最新のアルゴリズムによって厳密に判定されたりすることが要因です。介護保険料の負担は減りますが、利用できるサービス限度額が下がるため、現在受けているサービスを継続できなくなる不安が生じます。

認定調査で本人が「できること」を多めに伝えてしまった

認定調査員が自宅を訪問した際、高齢者の方は「しっかりしていると思われたい」「他人に迷惑をかけたくない」という心理から、普段はできないことを「できる」と答えたり、無理をして動いて見せたりすることがあります。調査員は「その場で確認できたこと」をベースに調査票を作成するため、本人の「見栄」や「頑張り」がそのまま反映されると、実態よりも健康であると判断されてしまいます。家族が横から補足できなかった場合に、この乖離は特に大きくなります。

主治医の意見書と実態に乖離がある

判定には、認定調査の結果だけでなく、主治医が作成する「主治医意見書」が大きく影響します。もし、主治医と本人の面会頻度が低かったり、診察時に家族が介護の困りごとを伝えていなかったりすると、意見書の内容が不十分になることがあります。医学的な所見と、家庭での生活実態が結びついていない意見書が提出されると、介護認定審査会において、適切な介護度が必要であるという根拠が弱まってしまいます。

判定に納得いかない場合にすぐできる「確認」と「相談」

通知書を受け取ってすぐに不服申立てを行う前に、まずは現状の判定がどのような根拠で行われたのかを正確に把握し、専門家の意見を聞くことが重要です。

市区町村から届いた認定結果通知書と調査票の内容をチェック

まずは、届いた通知書と一緒に同封されている、あるいは取り寄せが可能な「認定調査票(特記事項)」や「主治医意見書」の内容を確認しましょう。以下のポイントを重点的にチェックしてください。

認定調査票の基本調査項目
歩行や入浴、食事などの各項目において、実態と異なる「できる」という判定になっていないかを確認します。
特記事項の内容
基本調査の選択肢だけでは伝わらない、具体的な介護の手間や認知症の症状が正しく記述されているかを確認します。
審査会による意見
二次判定の結果として、なぜその区分になったのか、審査会が付け加えた意見があるかを確認します。

まずはケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する

判定結果に疑問を感じたら、すぐにケアマネジャー(既にサービスを利用している場合)や、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談しましょう。ケアマネジャーは多くの認定事例を見てきた専門家であり、その結果が妥当かどうか、客観的な視点でアドバイスをくれます。また、結果を覆すための「区分変更申請」を行うべきか、現在の介護度でやりくりするべきかの判断材料を提供してくれます。

自治体の介護保険窓口で判定理由の詳細を聞く

市区町村の介護保険課の窓口では、今回の判定に至った経緯について説明を受けることができます。「コンピュータによる一次判定の結果はどうだったのか」「二次判定の審査会でどのような議論があったのか」など、個別の状況について回答を求めることが可能です。この際、単に不満を述べるのではなく、「具体的にこの動作ができないのに、なぜ自立と判定されたのか」といった疑問点を明確にして尋ねることが、その後の対応をスムーズにします。

やり直しを希望する際の2つの選択肢:区分変更申請と不服申立て

納得がいかない結果を覆すためには、制度上の手続きが必要です。主に「区分変更申請」「不服申立て(審査請求)」の2種類がありますが、性質が大きく異なります。

【選択肢1】早急に結果を変えたい場合の「区分変更申請」

「区分変更申請」とは、認定の有効期間内であっても、心身の状態に変化があった場合などに、介護度の変更を求めて申請し直す手続きです。実務上、判定に納得いかない場合の多くはこの手続きが取られます。

区分変更申請のメリットと手続きの流れ

区分変更申請の最大のメリットは、審査請求に比べて結果が出るまでのスピードが早いことです。通常の新規申請と同じく、原則30日以内に新しい結果が出ます。

項目 内容
申請先 市区町村の介護保険窓口
必要書類 申請書、介護保険被保険者証、主治医の情報
認定調査 改めて調査員が訪問し、現状の調査を行う
効力の発生 申請日に遡って新しい介護度が適用される

このように、申請したその日から暫定的に新しい介護度でのサービス利用を検討できるため、緊急性が高い場合に適しています。

区分変更が適しているケースと注意点

区分変更申請は、「前回の調査時よりも状態が悪化した」という名目で行うのが一般的です。注意点として、必ずしも介護度が上がるとは限らず、「現状維持」や、最悪の場合は「さらに下がる」リスクもゼロではありません。また、頻繁に申請を繰り返すと、自治体から適正な申請かどうか厳しく確認されることもあります。ケアマネジャーと連携し、明らかに実態と乖離している証拠を揃えてから行うのが賢明です。

【選択肢2】判定の妥当性を問う「不服申立て(審査請求)」

「不服申立て(審査請求)」は、行われた認定そのものに法令違反や手続き上の不備、誤りがあったとして、都道府県の「介護保険審査会」に取り消しを求める公的な手続きです。

都道府県の介護保険審査会に行う審査請求とは

審査請求は、市町村が行った処分(認定結果)が正しかったかどうかを、第三者機関である審査会が審理する仕組みです。ここでは「今の状態が重いかどうか」よりも、「市町村が行った調査や審査のプロセスに過ちがなかったか」が焦点となります。そのため、単に「介護が大変だから上げてほしい」という訴えだけでは認められにくい傾向にあります。

不服申立ての申請期間と裁決までにかかる時間

審査請求には厳格な期限と時間がかかります。

  1. 申請期限:結果を知った日の翌日から起算して3か月以内に行う必要があります。
  2. 裁決までの期間:審査には数か月から、長い場合は半年以上の期間を要することが一般的です。

この間、判定結果は確定しないため、基本的には元の介護度で過ごすことになり、生活への即効性はありません。

審査請求の成功率と現実的な判断基準

現実的な問題として、審査請求によって判定が覆る「認容」の確率は決して高くありません。自治体の手続きに明らかな瑕疵(必要書類の欠落など)がない限り、不当であると認められるのは難しいのが実情です。そのため、実務的には「不服申立て」を行うよりも、「区分変更申請」を行って最新の状態を再評価してもらう方が、利用者や家族にとって負担が少なく、希望する結果に繋がりやすいと言えます。

要介護認定のやり直しで希望する結果を得るためのポイント

再申請や区分変更を行う際、前回と同じ失敗を繰り返さないための準備が不可欠です。

認定調査の立ち会い時に伝えるべき「困りごと」のメモ

認定調査の際は、必ず家族や日頃の状況をよく知る人が立ち会ってください。そして、その場で思い出すのは難しいため、事前に「困りごとメモ」を作成しておきましょう。

「できないこと」を具体的に書き出す
「歩けない」だけでなく、「ふらついて壁に手をつかないとトイレまで行けない」など、具体的な場面を伝えます。
頻度や時間の情報を添える
「夜中に何度も起きて徘徊し、そのたびに1時間は付き添っている」など、介護にかかる時間を明確にします。
良い時ではなく「悪い時の状態」を基準にする
日によって波がある場合は、最も調子が悪い時の状態をベースに伝えることが、適切な判定に繋がります。

日頃の介護実態を主治医に正確に伝えておく重要性

主治医意見書をより正確に書いてもらうためには、診察時のコミュニケーションが鍵となります。診察室では本人がしっかりして見えることが多いため、家族が別紙で「最近の認知症状の様子」や「自宅で転倒した回数」などをメモにして主治医に渡しておくのが効果的です。医師が日常生活の困難さを医学的見地から裏付けてくれることで、認定審査会での説得力が増します。

「非該当(自立)」でも利用できる自治体の独自サービスを確認

万が一、再審査でも「非該当」となった場合でも、多くの自治体では、介護保険外の「市区町村独自の一般介護予防事業」や「地域支援事業」を提供しています。これらのサービスは、地域包括支援センターが窓口となって案内してくれます。

サービス名 内容
配食サービス 自治体の助成により、安価で栄養バランスの取れた食事を届けてもらうことができます。
緊急通報装置の貸与 一人暮らしの高齢者向けに、ボタン一つで通報できる装置を設置できる場合があります。
介護予防教室 地域の公民館などで開催される体操教室や交流会に参加し、身体機能の維持を図ることができます。

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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