介護施設・老人ホームに入るには?入居条件や入居の流れを解説

介護施設・老人ホームに入りたいと考えているものの、どうしたらいいのかわからず困っている人もいるのではないでしょうか。介護施設に入るためには、まずはどこの施設に入居するのかについて、条件も含め確認していかなくてはいけません。必要な書類をそろえ、資金の準備も行わなければならず、数日の情報収集だけでは最適な介護施設を見つけるのは難しいでしょう。
今回は介護施設・老人ホームに入居する条件や費用、流れについて紹介していますので、1つずつ確認していきましょう。
介護施設・老人ホームに入るには入居条件を満たす必要がある

介護施設・老人ホームに入るためには、以下のような決められた入居条件を満たさなくてはいけません。
- 要支援・要介護の区分を満たしているか
- 入居時の年齢が適切かどうか
- 医療ケアはどの程度必要になるのか
- 保証人や身元引受人がいるのかどうか
- 入居時の費用は問題なく支払えるか
高齢になったからといって、誰でも介護施設に入れるわけではありません。
介護施設の空き状況によっても変わりますが、希望したい施設がどんな入居条件を挙げているのか、確認しておくことが重要です。それぞれの条件について、詳しく解説していきます。
関連記事:老人ホームの5つの入居条件とは?入居審査の内容や入居までの流れ
条件1:要支援・要介護度の区分
介護施設によって、入居条件として要支援や要介護によって受けられるサービスが決められています。要介護度に見合った介護施設にしか入居できない決まりです。なかには指定がない介護施設もありますので、施設の種類によって区分が分かれていることを覚えておきましょう。
【要支援2~要介護5】
- 認知症対策型グループホーム
【要介護1~5】
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
【要介護3~5】
- 特別養護老人ホーム(原則)
などの区分があります。
要介護2の段階で、日常生活に支障をきたすことも多く、介助を必要とする段階になります。思考にも影響が出ている段階なのでサポートなしで生活していくのは難しくなります。
要支援・要介護の区分については、介護保険サービスの申請を行う必要があります。
条件2:年齢
介護施設に入居するときの年齢も入居条件の一つです。基本的には法律で65歳以上と決められているため、介護施設のほとんどで対象となります。
特養や老健は65歳以上を募集対象としていますし、一般的に介護保険の第一号被保険者となる年齢です。ただし、40歳〜64歳で特定疾患にかかっている人は、介護保険サービスが受けられます。
特定疾患が原因で介護が必要であると診断されないと、対象外になってしまうため注意しましょう。
【65歳以上で利用できる施設】
- 特別養護老人ホーム
- 認知症対応型グループホーム
- 介護老人保健施設
- 介護型のケアハウス
- 住宅型有料老人ホーム(60歳から可の場合も)
【60歳以上で利用できる施設】
- 軽費老人ホーム
- 自立型のケアハウス
- サービス付き高齢者向け住宅
などが年齢によっても変わってきます。
関連記事:認知症向けの老人ホームは?施設に入れるタイミングや選び方を解説
条件3:必要とする医療ケアの程度
介護施設は、必要とする医療ケアの程度によっても入居できるかどうかが変わってきます。これは、施設によってもできる医療行為が限られてしまっていることが関係しています。
あくまでも生活をする場所になりますので、看護師の数も少なくすべてを見きれるわけではありません。なかには常駐している介護施設もあれば、日中のみしか勤務していない場合もあります。
介護施設によってできる医療ケアには以下のような違いが出てきます。
- インスリンに対応している
- 胃ろうに対応している
- 在宅酸素療法に対応している
要介護の状態によっては完全に寝たきりの人もいます。そのため、医療体制を重視するのであれば介護医療院なども選択肢にいれるようにしておきましょう。
条件4:保証人・身元引受人の有無
介護施設に入居するためには、保証人や身元引受人も必要です。保証人がいないと要支援・要介護でも入居を拒否されてしまう施設も多くあります。
入居時に一時的に親族が保証人となり、入居の手続きを進めることも少なくありません。介護施設に保証人や身元引受人が必要なのは、何かあったときの連絡先・相談先になるためです。
- 入居者のケアプランの方針を相談する
- 緊急時に連絡をするために必要になる
- 施設料金が未納になったときに支払ってもらう
以上のような理由から、保証人や身元引受人を定めています。
ちなみに保証人は、支払いや債務などの連帯保証がメインとなります。身元引受人は、入居者が亡くなったあとの対応を行う人であり、身元を引き取り葬儀などの対応をする人です。
条件5:費用の支払い能力の確認
介護施設に入居するためには、入居時にかかる一時金や月額費用などの支払いが必要です。その費用を支払うだけの収入があるかどうかも、条件の一つになります。
保有している資産や年金などの収入源をもとに判断していきます。
もし入居後に支払いを滞納すると、1〜2ヶ月(施設による)の猶予ののち契約解除が予告され、それでも支払いがない場合には退去勧告となってしまいます。
連帯保証人や身元引受人に連絡や請求がいくことにもなってしまうので、収入に対して無理なく支払いをしていける介護施設・老人ホームを選ぶようにしましょう。
生活保護受給者でも介護施設に入居できる?

生活保護を受けている人でも、介護施設に入れます。支給されている受給金額の中で収まる費用であれば、支払能力があると判断されます。ただし介護施設のなかには、生活保護受給者の入居を断るケースも少なくありません。
「生活保護だと介護施設に入れないのでは」と不安に思われている方は、特別養護老人ホーム(特養)の入居をおすすめします。特別養護老人ホーム(特養)は公的機関が管理している介護施設であり、生活保護を受けているなど、収入が少ない人を優先して入居させてくれます。生活保護の入居を考えている場合は、一度相談してみるとよいでしょう。
特別養護老人ホーム(特養)の入居条件
特別養護老人ホームの入居条件についてご紹介します。
- 要介護3以上で65歳以上。感染症などの医療措置の必要がない人
- 要介護3以上で特定疾患と認められている40~64歳の人
- 特例によって入居が認められた要介護1もしくは要介護2の人
上記いずれか一つの条件を満たしている人が申込できます。
特別養護老人ホームは、安い費用で入居できるため、人気があり希望通りには入れません。入居待ち問題がたびたび指摘されているため、以前は要介護1・2も入居できましたが、現在は要介護3以上でないと申込ができなくなっています。
特養の入居条件を満たしても入居が確定するわけではありませんので、申込をする際に待ち時間が発生することは覚えておきましょう。
特別養護老人ホーム(特養)に早く入る方法はある?
特別養護老人ホームは人気があるので、できるだけ早く入居できる方法について紹介します。
- 世帯で全員が就労することで「介護施設の利用がやむを得ない」状況を作る
- ショートステイを連続で利用し、顔を覚えてもらい優先順位を上げる
- 待機者によって変わるので、複数特養に申込をしておく
- ユニット型であり、できたばかりの特養を狙う
- こまめに情報を収集し空き状況を確認しておく
上記のような対策を進めておきましょう。地域によっても混雑度が変わるため、複数の対策を行うようにして、待ち時間を減らして行くことも大切です。
介護施設・老人ホームの入居条件一覧

介護施設・老人ホームの入居条件は「公的施設」なのか「民間施設」なのかによっても変わります。
公的施設は、地方自治体や社会福祉法人、医療法人などが設置しているものです。民間に比べると費用の負担が少なく人気があります。そのため入居待ちも多く、生活保護など収入の低い人を優遇して入居させているケースも少なくありません。
民間施設は、民間企業によって運営されています。費用負担こそ多くなるものの利用できるサービスが充実しているのも特徴です。
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公的施設の入居条件 |
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介護老人福祉施設(特養) |
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介護老人保健施設 |
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ケアハウス(自立型/一般型) |
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ケアハウス(介護型) |
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介護医療院(介護療養型医療施設) |
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養護老人ホーム |
環境及び経済的理由で困窮している65歳以上の高齢者 ※一般的には介護の必要がなく、自立した人が入居する施設だが、市区町村によっては要介護者でも入居可能な場合がある |
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民間施設の入居条件 |
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グループホーム |
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住宅型有料老人ホーム |
原則60歳以上の高齢者 ※施設と入居希望者の状況によっては、60歳以下でも入居できる場合もある |
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介護付き有料老人ホーム |
原則60歳以上の高齢者 ※施設と入居希望者の状況によっては、60歳以下でも入居できる場合もある |
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サービス付き高齢者向け住宅 |
60歳以上の高齢者もしくは60歳未満で要介護認定を受けている方 ※実際の詳細な入居基準は、「自立した生活を送れること」や「感染症にかかっていないこと」など施設ごとに異なる |
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健康型有料老人ホーム |
自立している60歳以上の高齢者 |
介護施設・老人ホームの費用平均はいくら?

介護施設・老人ホームに入居するには「入居一時金」や「月額料金」の支払いが発生します。
どの施設を利用するのかによっても費用負担が変わりますので、選ぶ時の目安にしてください。
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公的施設の利用料 |
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|
名称 |
初期費用 |
月額料金 |
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特別養護老人ホーム |
0円 |
5~15万円 |
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介護老人保健施設 |
0円 |
8~20万円 |
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ケアハウス |
0〜30万円 |
6~20万円 |
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介護医療院 |
0円 |
9~15万円 |
| 民間施設の利用料 | ||
|
名称 |
初期費用 |
月額料金 |
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介護付き有料老人ホーム |
0〜数千万円 |
15~30万円 |
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住宅型有料老人ホーム |
0〜数千万円 |
12~30万円 |
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グループホーム |
0〜数百万円 |
12~18万円 |
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サービス付き高齢者向け住宅 |
0〜数千万円 |
10~40万円 |
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分譲マンション(シニア向) |
施設によって異なる |
10~30万円 |
公的施設の場合、初期費用がかからず、月額利用料の費用も抑えられています。その点、民間施設になると入居時はもちろん、月額利用料も10万円を超えるところが少なくありません。他にもかかる費用があると考えると、金銭的な制限も出てきます。
介護施設・老人ホームの費用を捻出する方法
介護施設・老人ホームの費用は「払える施設に入居する」が一般的です。入居時にかかる費用だけでも、数十万円〜数千万円と大きな差が出てきます。公的施設の特別養護老人ホームなど入居一時金としてかかる費用が0円となり初期費用の負担を減らせます。
また、行政によって行われている「補助制度」を使う方法もあります。医療費控除もそうですし、自己負担金を減らす「高額介護サービス費制度」や、「介護保健負担限度認定証」の交付なども視野に入れ、手続きを行うようにしていきましょう。
入居後に費用が支払えない場合の対処法
介護施設に入居したものの、費用が払えなくなってしまうこともあるかもしれません。支払が遅れても、1・2か月の猶予期間があります。期間を過ぎても延滞していると退去させられてしまいます。
そのため延滞したままにするのではなく、なにかしらの方法を検討していきましょう。
- 介護施設のスタッフに費用の相談をする
- 補助制度を使って費用の負担を減らす
- 月額利用料の少ない介護施設に転居する
などの対策方法も考えていくようにしましょう。
介護施設・老人ホームの入居の流れ

介護保険・老人ホームの入居の流れについて説明します。
- 施設探し
- 施設見学
- 体験入居
- 入居申し込み
- 面談・入居審査
- 契約・入居
それぞれの手続きについて説明します。
1. 施設探し
介護施設を探すとき、まずは住んでいるエリア内で候補となる施設を洗い出していきます。条件に基づき、施設を絞っていき、要支援・要介護の区分や年齢、医療体制、保証人、収入などを整理したうえで優先度を決めていきます。ある程度候補が決まったら、問い合わせもしくは資料請求をします。
2. 施設見学
予約し、施設を見学します。設備や居住空間を確認して食事をできる施設もあります。見学に行くと、イメージと違うケースもありますので、実際に目で見て確認しておきましょう。
3. 体験入居
見学で良さそうな施設があれば、実際に体験入居をして様子を見る方法もあります。有料にはなりますが、施設との相性や入居者、雰囲気を把握することもできイメージしやすくなります。
4. 入居申し込み
見学や体験入居を経て、納得のいく施設が見つかれば入居申し込みを行います。申し込み後すぐに契約ではなく、施設担当者からの面談・審査があるので、施設からの指定に従って必要な書類をそろえておく必要があります。
5. 面談・入居審査
施設の担当者との面談が行われます。健康状態や希望条件などを確認し、入居しても問題なくやっていけるかどうかを判断します。
6. 契約・入居
審査が終わり入居になると準備を始めます。必要になる備品や設備も変わってくるので担当者に確認しつつ、準備を行うようにしていきましょう。
介護施設・老人ホーム探しは『笑がおで介護紹介センター』にお任せください

介護施設・老人ホームの入居が初めての場合、入居の流れや必要書類など、分からないことだらけで不安に思う人もいるのではないでしょうか。笑がおで介護紹介センターでは、介護保険サービスの利用を検討するご利用者様の要望を丁寧に伺っています。施設に入居するまでの流れについても相談しながら決めていきますので、困ったときの相談相手として、『笑がおで介護紹介センター』の相談員を頼っていただければと思います。

監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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