老人ホームの5つの入居条件とは?入居審査の内容や入居までの流れ

 

お役立ちコラム

老人ホームの5つの入居条件とは?入居審査の内容や入居までの流れ

「老人ホームに入るにはどのような入居条件が必要?」

「要介護者はどのような老人ホームに入れる?」

入居を前に手探り状態のご家族もいるかもしれません。

老人ホームといってもさまざまな施設があり、施設によって入居条件は異なります。

この記事では、老人ホームの入居を控えている方やご家族の方に向け、老人ホームの入居条件や入居審査の内容・入居までの流れを解説いたします。

入居までの手続きがわかり、スムーズに入居ができると思いますので最後まで読んでご活用ください。

老人ホーム・介護施設の入居条件は5つ

老人ホームや介護施設に入居するには次の5つの条件を確認しましょう。

  • 要介護度
  • 年齢
  • 必要な医療行為
  • 保証人・身元引受人の有無
  • 収入

1. 要介護度

老人ホーム・介護施設では要介護度で受け入れ条件を定めています。

要介護度とは、自立・要支援(1・2)・要介護(1・2・3・4・5)と段階的に介護の重さを表したものです。

介護認定は介護サービスの必要度を判断するものなので、介護サービスを受けたい場合は必ず認定を受けなければなりません。また、要介護度によって介護サービスの内容が異なりますし、自己負担額も変わります。

 

施設の種類

要介護度による入居条件

公的施設

特別養護老人ホーム

要介護3~要介護5

介護老人保健施設

要介護1~要介護5

介護医療院

要介護1~要介護5

ケアハウス(※)

自立~要介護5

養護老人ホーム

自立~要支援2

民間施設

介護付き有料老人ホーム

自立~要介護5

住宅型有料老人ホーム

自立~要介護5

健康型有料老人ホーム

自立~要支援2

グループホーム

要支援2~要介護5

サービス付き高齢者向け住宅

自立~要介護5

シニア向け分譲マンション

自立~要介護5

※一般型(自立者向け)は要介護で退去の場合あり

2. 年齢

介護保険の介護サービスを利用するには65歳以上であることが必要です。

介護が不要な自立者などは60歳からでも民間施設の老人ホームに入居できます。健康型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などは、原則60歳から入居可能です。

また、60歳以下でも特定疾病により介護認定を受けた40歳以上の人は、介護保険の介護サービスを利用できます。

3. 必要な医療行為

老人ホーム・介護施設によって対応できる医療行為が異なるため、入居者の医療ケアがどこまで必要か明らかにしなくてはなりません

老人ホームは介護ケアを中心とした生活支援のため、日中に看護師が1人のみという施設もあります。医療ケアを受けたい方は、施設の医療対応状況をしっかり確認しておく必要があります。

4. 保証人・身元引受人の有無

老人ホームに入居する際には保証人や身元引受人が必要です。

保証人・身元引受人とは、施設利用料の連帯保証・緊急時連絡先・ケアプランの了承・治療方針の判断・入院、死亡などの対応を任される人を指します。

一般的には家族が引き受けますが、万が一家族がいない場合は成年後見人を立てるか、保証人代行サービスを行っている保証会社を利用するなどの対応が必要です。

5. 収入

利用者の支払い能力も重要な入居条件の一つです。入居時には年金収入などの資産状況を提出しなければなりません

3ヶ月以上の支払いが滞った場合、退去を命じられることもあります。

レクレーションが充実した施設はその分サービス料がかかりますし、要介護度が上がるにつれ介護費用も増えていきます。支払いで苦しまないよう施設やサービス内容を選択するとよいでしょう。

また生活保護受給者や低所得者でも、受け入れ可能な施設や支援制度もあります。

関連記事:介護付有料老人ホームの特徴・入居の条件と費用相場

老人ホームには入居審査がある

老人ホームに入居する際は入居審査を受ける必要があります。

入居審査とは、入居希望者が施設の入居条件を満たしているか施設側が判断するための審査で、一般的に書類審査と面談が実施されます。

老人ホームの入居審査に必要な事が多い書類は次のとおりです。

  • 利用申込書
  • 健康診断書や診療情報提供書
  • 住民票
  • 保険証(介護保険証・介護保険負担割合証・後期高齢者医療被保険者証など)

ほかにも印鑑・通帳・戸籍謄本・保証人の身分証明書・顔写真などが必要とされる場合があります。

面談では、施設の責任者などが入居者本人と実際に会い、健康状態や介護の状況などを確認します。

老人ホーム入居検討時のチェックポイント

老人ホームを検討する際にチェックしておくべき点は次の4つです。

  • 認知症の受け入れ可否
  • 看取りの可否
  • 退去条件
  • 感染症や災害対策

認知症の受け入れ可否

老人ホームによっては、重度の認知症の高齢者を受け入れていない施設もあります。一方、グループホームは認知症の高齢者専門の老人ホームなので認知症の診断を受けた高齢者のみが入居可能です。認知症には食事・排泄・入浴などの一般的な介護だけでなく、認知機能のリハビリなど専門ケアが必要になります。認知症の診断を受けている方は施設の受け入れ可否だけでなく、施設の介護プランを事前にチェックするようにしましょう。

看取りの可否

看取りが可能か確認をしましょう。

看取り介護とは、延命治療を無理に行わずに尊厳ある生活を最後まで送れるよう支援することです。日常生活の支援を通して精神的・身体的苦痛を和らげたり、家族の寄り添いのサポートを行ったりします。

特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなど多くの施設で看取り介護を行っています。ターミナルケアなど医療ケアを希望する場合は医療スタッフが充実している老人ホームを選びましょう。

関連記事:介護付有料老人ホームの特徴・入居の条件と費用相場

退去要件

老人ホームでは退去要件が規定で決められています。

施設によって内容は多少異なりますが、主な要件は次の4つです。

  • 他人への迷惑行為
  • 医療行為などで対応ができない
  • 長期入院
  • 費用の未払い(滞納)

とくに医療行為については注意が必要で、施設によっては看護師などの医療スタッフが常駐していないことがあります。胃ろうやたんの吸引などが必要になった場合は、医療ケアができる老人ホームや病院に入院をお願いされるかもしれません。

他にも施設によっては要介護度が上がると退去させられる場合があります。たとえば一般型のケアハウス・健康型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅などが該当します。

感染症や災害対策

感染症対策や災害時など有事の対策がマニュアル化されているかもチェックポイントです。

近年では新型コロナウイルス感染症など、感染症のリスクが問題になっています。たとえば入居者とデイサービス利用者(外部の人間)との接点、面会の仕方、感染者が発生したときの対応など、感染症対策がどのように行われているか確認しておきましょう。

また、災害時の避難体制や避難訓練の計画、物品の備蓄等の確認も必要です。施設の場所がハザードマップの危険区域にないか、医療機関などと協定を結んでいるか、非常電源など非常用の準備があるかなどは家族の方も一緒に見ておきましょう。

老人ホーム入居までの流れ

ここでは老人ホーム入居までの一連の流れを紹介します。

  1. 見学・体験入居
  2. 仮押さえ
  3. 入居審査
  4. 契約・入居

1. 見学・体験入居

入居条件や希望条件を満たす老人ホームをピックアップし、資料請求を行いましょう。その後、実際に見学をします。

見学時に施設内のサービス内容やスタッフの雰囲気、入居者の様子などを確認し、体験入居が可能な気になる施設は3日から1週間ほど体験入居をして雰囲気や住み心地を確かめる事もおすすめです。

2. 仮押さえ

体験入居などで入居先を決めたら仮押さえをします。入居申込書を記入し、入居までの必要な手続きについて相談員から具体的な説明を受けます。施設によっては仮押さえの料金が発生する場合があるので事前に確認しましょう。

3. 入居審査

入居条件を満たしているか、入居審査(書類審査・面談)が行われます。

審査では入居予定者の要介護度(健康状態)・経済状況・面談による評価などによって受け入れ可否が決められます。

4. 契約・入居

入居時には「重要事項説明書」が施設から渡されます。重要事項説明書とは、サービス内容や利用料金など詳しく記載されたものです。そこで記載されていない内容や不明な点は入居をする前に直接聞いておくとよいでしょう。

契約内容を確認し契約後、入居一時金と必要なものを準備して入居となります。

老人ホームの入居費用

ここでは大まかな入居にかかる費用をまとめています。要介護度によって必要になる介護サービス料も異なり、要介護度が上がるにつれ費用は高くなります。また、レクレーションなどQOLを上げるサービスが充実した民間施設は公的施設よりも高い傾向です。

 

施設の種類

初期費用

月額費用

公的施設

特別養護老人ホーム

0円

5~15万円

介護老人保健施設

0円

8~20万円

介護医療院

0円

9~15万円

ケアハウス 一般型

介護型

0~30万円

0~30万円

6~12万円

8~20万円

養護老人ホーム

0円

0~14万円

民間施設

介護付き有料老人ホーム

0~数千万円

15~30万円

住宅型有料老人ホーム

0~数千万円

12~30万円

健康型有料老人ホーム

0~数億円

10~40万円

グループホーム

0~数百万円

12~18万円

サービス付き高齢者向け住宅

0~数十万円

10万~40万円

シニア向け分譲マンション

数千万~

10万~30万円

関連記事:老人ホームの費用相場を紹介!費用を抑える方法や国民年金だけで払えるかについても解説

老人ホームの入居に関するよくある質問

ここでは老人ホームの入居に関するよくある質問をまとめています。

入居に関してはさまざまな疑問や不安もお持ちだと思います。入居希望者の状況やお住いの地域によって対応も異なりますので、わからないことなどがあったら一人で悩まず、介護のプロに相談してみましょう。

老人ホームの入居審査に落ちたらどうする?

審査に落ちた場合は次のような対応が考えられます。

  • 入りやすい老人ホーム(有料老人ホームなど)に条件を変えて再度申し込む
  • ショートステイ・訪問介護・デイサービスを活用する

とくに特別養護老人ホームは人気が高く、入居待ちの地域も多くあります。入居審査に落ちてしまった場合、入居条件・優先順位を再度確認してみましょう

介護をしながら施設探しに東奔西走するのも大変です。抱え込まず地域包括支援センターなどに相談して希望の老人ホームを再度探してもらいましょう。

老人ホームの入居準備は何をすればいい?

入居が決まったら入居に必要なものを揃えます。施設によって必要なものや持ち込み禁止のものはありますが、一般的には下記のような持ち物が必要となります。

  • 寝具
  • 衣類・履物(室内外両方)
  • タオル類
  • 洗面用具
  • 衣装ケース
  • ハンガー
  • 衛生用品(ティッシュ・おむつなど)
  • 箸・コップ など

また施設によっては家具の運び入れや携帯電話の持ち込みも可能ですので、入居前に確認・準備しておくとよいでしょう。

老人ホームの費用は年金でまかなえる?

特別養護老人ホームなど公的施設では費用が比較的抑えられており、要介護度によっては年金でまかなえる施設もあります。

ただし老人ホームでは、月額費用に含まれない医療費や雑費なども別途費用として発生します。さらに国民年金の場合は平均支給額が約5.6万円と、厚生年金がない分支給額は少額です。

老人ホームの費用を年金だけでまかなうのは不可能ではないものの、施設の選択肢が限られるうえに日々の生活を切り詰めることになるでしょう。

少しでも費用を抑えたい場合、特別養護老人ホームの「負担限度額認定制度」や各種助成制度を活用しましょう

関連記事:老人ホームの費用相場を紹介!費用を抑える方法や国民年金だけで払えるかについても解説

老人ホームを検討する際は入居条件を事前に確認しよう

老人ホームといってもさまざまな施設があり入居条件も異なります。一つひとつ探しているととても大変ですし時間がかかりますよね。

まずは5つの入居条件の確認をし、ケアマネージャーや相談センターなどに個別相談しながら入居先を進めていってください。入居がスムーズにいけば入居家族も安心して老人ホームで過ごせるでしょう。

笑がおで介護紹介センターでは経験豊富な相談員があなたの老人ホーム選びをお手伝いいたします。無料でご利用いただけるのでぜひお気軽にお問い合わせください。

監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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