老人ホーム入居で住民票異動は必要?住所地特例制度とは?
お役立ちコラム
老人ホームを探している方に向けて、住民票の異動について解説します。
老人ホームに入居するときに悩みがちなのが、「住民票の異動」についてです。郵送物は届くようにしたいけれど、変更するべきなのか?と悩む方が少なくありません。
そこで今回の記事では、老人ホーム入居時の住民票の異動について、異動をするメリット・デメリットも含めて解説します。また、施設に入居する際に住民票を移しても、移す前の市区町村がそのまま保険者になる「住所地特例制度」についてもご紹介します。読んでいただければ、住民票を移すべきなのか判断しやすくなるはずです。
老人ホームに入居したら住民票を移さないといけない?
老人ホームに入居した場合の住民票異動は、施設により対応が変わります。
基本的には「居住地が変わる」ことになるため、住民票を移すのが正しい対応です。異動しなくても入居できる老人ホームもあります。しかし市町村から提供される支援サービスを利用して入居するなら別です。市町村ごとに提供されるサービスであるため、該当の市町村に住民票を異動させないと利用できません。
以上のように入居のときに住民票を移すかどうかは、使う施設により変わります。また移すことのメリット・デメリットも知っておくべきでしょう。入居する施設の種類にあわせて考えてみてください。
老人ホーム入居後に住民票を移すメリット
住民票を移すと、各自治体による支援サービスを利用できるようになると解説しました。それでは老人ホーム入居後に住民票を移すと、具体的にどのようなメリットがあるのかご紹介します。
メリット①介護保険料が下がることがある
介護保険料は一律ではなく、市町村ごとに決められています。
市町村を越えて老人ホームに入居する場合は、転居先の地域の介護保険料を事前に調べておくことが重要です。
住所地特例制度の対象ではない施設に入居する方は、転居先の介護保険料が安い場合は介護保険料が安くなりことがあります。
反対に高くなることもありますが、住所地特例制度の対象施設を選べば、転居前の住所地と同じ介護保険料で入居ができます。
メリット②郵便物が老人ホームに直接届く
住民票を移せば、本人宛ての郵便物が老人ホームに直接届くようになります。郵便局に転送届を出すこともできますが、期限は1年間のみです。
しかし住民票を移すと、転送届の期限が過ぎても郵便物は老人ホームへと届くようになります。異動させなければ自宅へと配達され、家族がポストを見に行って、本人に手渡さなければならなくなり面倒です。
郵便物のなかには市役所などからの重要なものも含まれるはずです。重要な郵便物を確実に受け取るなら、老人ホーム入居にあたって住民票を移してください。
メリット③公共施設の割引などが活用できる
最後にご紹介するメリットは、公共施設の割引などが使えるようになることです。公共施設の割引のなかには、該当の市町村に住んでいる人しか使えないものも多く見られます。
そのため住民票を移さないと、本来であれば受けられるはずの割引・サービスが受けられなくなってしまいます。介護保険を使うなら、自治体からサービスを受けられることも多くなるでしょう。住民票を移せば割引やサービスなどをフルに活用できるようになります。
老人ホーム入居後に住民票を移すデメリット
老人ホームに入居したときに住民票を移すことには、メリットもありますがデメリットもあります。住民票の異動をどうするか考える場合は、デメリットも知っておかなければなりません。
デメリット①介護保険料が高くなるケースがある
住民票を移せば介護保険料が低くなることがありますが、反対に高くなる可能性もあります。
前述のように介護保険料は各市町村によって決まっています。そのため自宅があったところを管轄する自治体のほうが介護保険料が低く、住民票を移すことで支払う金額が増えてしまうこともあるでしょう。
住民票を異動させたことで介護保険料が高くなってしまう場合は、住所地特例制度の対象の施設を検討してみてください。
住所地特例制度については、次の章で解説しています。
デメリット②手続きに時間がかかる
続いてのデメリットは、手続きの手間についてです。住民票を移すには市役所などに行かなければなりません。そして手続きをする必要があります。
そのため役所に行き、順番を待って、手続きをする一連の手間と時間がかかります。老人ホーム入居前はいろいろと準備があるはずです。手続きに時間がかかることはデメリットのひとつとなるでしょう。
デメリット③プライバシーが保たれにくい
最後に、住民票を移すとプライバシーが保たれにくいことも知っておいてください。郵便物が直接老人ホームに届くのは便利なことです。しかし郵便物が届くことで、老人ホーム側にプライベートを知られてしまうことがあります。
たとえば返済の督促状や、自治体から届く書類などです。郵便物の内容をスタッフの方に見られないとも限らないため、プライバシーが保たれなくなることが考えられます。
介護保険料が高くなる場合に利用したい住所地特例制度
住民票を移すと介護保険料が高くなることがありますが、その場合、「住所地特例制度」を使ってください。
住所地特例制度を使えば、住民票を移す前の自治体による介護保険料が適用されるため、転居前の市区町村が転居先の市区町村よりも介護保険料が安い場合、費用を抑えることができます。
住所地特例制度とはどのようなものか、対象者や対象施設、手続きの仕方についてご紹介します。
住所地特例制度とは?
住所地特例制度とは、老人ホームに入居して、その老人ホームのある市区町村に住民票を移した後も、もともと住んでいた市区町村が継続して保険者となり、介護保険の給付を受けることができる制度です。
介護保険制度は、住民票がある市区町村に保険料を支払い、介護保険給付を受けるという仕組みです。そのため、介護施設が多いエリアに介護サービス給付費による財政負担が集中してしまいます。
介護施設が多い地域に集中して財政負担がかからないようにするために、このような制度が作られました。
住所地特例制度の対象者
住所地特例制度の対象となる方は、65歳以上の方か、40~64歳で医療保険に加入していて、住所地特例対象施設に入居した方です。65歳以上の方であれば一律で対象となります。
住所地特例制度の対象施設
住所地特例制度の対象となる施設は、グループホーム以外の介護施設です。対象となる施設を改めて一覧にしました。
【対象施設】
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
- 養護老人ホーム
- 軽費老人ホーム
- 有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
見てみるとほとんどの施設が住所地特例制度の対象となります。グループホーム以外の施設に入居する予定なら、制度の適用を考えてみてください。
転居前の自治体の保険料よりも、老人ホームを管轄する自治体の介護保険料のほうが高い場合は負担を軽減することができるので、各自治体の介護保険料を確認することをおすすめします。
住所地特例制度の手続き
住所地特例制度は、自治体によってオンライン申請できることもあります。オンライン申請ではスマホでQRコードを読み取り、リンク先にて手続きを行うだけで大丈夫です。
もしオンライン申請ができない自治体であったり、オンラインで申請できなかったりする場合は書類を提出してください。
必要書類は各自治体の公式サイトからダウンロードできるはずです。
「住所地特例施設入退所連絡」「住所地特例適用・変更・終了届」の2種類の書式がダウンロードできるため公式サイトから確認してみてください。ダウンロードできたらプリントアウトして、必要事項を記載します。そして役所あてに郵送で送れば手続完了です。
もし公式サイトから確認できないながら、電話で役所に連絡をすれば、郵送でも送ってもらえます。役所に直接書類を取りに行ってもよいでしょう。
老人ホーム入居のときは住民票異動を慎重に
いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、老人ホーム入居時の住民票異動についてご理解いただけたと思います。
住民票を移すとメリットがありますが、同時にデメリットもあります。住所地特例制度により、転居前の市区町村が転居先の市区町村よりも介護保険料が安い場合は、介護保険料を抑えることができることも覚えておきましょう。
笑がおで介護紹介センターでは、関西での老人ホーム探しから手続きのサポートもいたしております。住民票の異動に関してもご相談に乗れますので、関西で老人ホームを探している方はぜひ笑がおで介護紹介センターにご相談ください。
監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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