小規模多機能ホームとグループホームの違い|比較表で費用と条件を解説

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小規模多機能ホームとグループホームの違い|比較表で費用と条件を解説

小規模多機能ホーム(小規模多機能型居宅介護)とグループホーム(認知症対応型共同生活介護)は名前が似ているため、どちらが親御さんに合うのか迷っていませんか?実際には、小規模多機能ホームは在宅で使うサービス、グループホームは入居して暮らす住まいで、使い方も費用も大きく異なる別のサービスです。

この記事では、小規模多機能ホームとグループホームの違いを比較表で整理し、利用条件と月々の費用、どちらを選ぶかの判断軸を解説します。契約前の注意点や、状態が変わったあとの住み替えの考え方も取り上げます。

この記事を読めば、2つの違いをご自身の言葉でケアマネジャーに確かめられるようになり、親御さんに合う候補を1つに絞れるでしょう。

※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。

小規模多機能ホームとグループホームの違い

小規模多機能ホームとグループホームは、どちらも住み慣れた地域での暮らしを支える介護保険のサービスです。名前は似ていても、自宅で暮らしながら使うか、住まいを移して暮らすかで大きく異なります。

ここでは、比較表で違いを整理したうえで、それぞれの特徴を見ていきます。

ひと目でわかる比較表

2つのサービスの主な違いを表にまとめると、次のとおりです。

項目 小規模多機能ホーム グループホーム
暮らす場所 自宅 グループホーム
主なサービス 通い・訪問・泊まり 共同生活での介護
対象者 要支援1〜要介護5 要支援2〜要介護5
認知症の診断 不要 必要
定員 登録29人以下 1ユニット5〜9人
介護保険の料金 1か月の定額 1日ごとの料金
自己負担の目安 月約1.1〜3万円 月約2.5〜2.9万円
ケアプランを作る人 事業所のケアマネジャー 計画作成担当者

自己負担の目安は、大阪市の単価で計算した要介護1〜5の1割負担の基本部分です(グループホームは1ユニットの事業所・31日で計算)。どちらも地域密着型サービスで、原則として事業所がある市区町村に住民票がある人が利用できます。

表の中で特に差が大きいのは、暮らす場所と認知症の診断の要否です。

小規模多機能ホーム(小規模多機能型居宅介護)の特徴

小規模多機能ホームは、自宅での暮らしを続けながら、通い・訪問・泊まりの3つを1つの事業所で組み合わせて使えるサービスです。正式名称は小規模多機能型居宅介護で、要支援の人は介護予防小規模多機能型居宅介護として利用します。

中心になるのは日中の通いで、体調やご家族の予定にあわせて自宅への訪問や泊まりを加える使い方です。3つのサービスを同じ事業所の職員が担うため、泊まりの日も見慣れた場所と顔ぶれの中で過ごせます。

料金は要介護度ごとに決まった1か月の定額制で、通いや泊まりの回数が増えても介護保険の自己負担は変わりません。日中ひとりで過ごす時間が心配な親御さんでも、自宅での暮らしを保ちながら見守りの時間を増やせます。

関連記事:小規模多機能型居宅介護とは?デイサービスとの違いや料金、メリットをわかりやすく解説

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の特徴

グループホームは、認知症の人が5〜9人の少人数で共同生活を送る住まいです。正式名称は認知症対応型共同生活介護で、要支援2の人は介護予防認知症対応型共同生活介護を利用します。

5〜9人の生活の単位をユニットと呼び、1つの事業所に置けるユニットは最大3つです。入居者は原則として個室をもち、家庭的な雰囲気の中で職員の手助けを受けながら暮らします。

夜間も職員が勤務しているため、夜中のトイレや不安な時間帯の見守りも任せられます。料金は介護保険の自己負担に、家賃や食費などの生活費を加えた金額です。

自宅での介護が難しくなってきた認知症の親御さんにとって、次の住まいの候補になるでしょう。

関連記事:グループホームとは?認知症の方の安心な暮らしを支える仕組みや費用、選び方を徹底解説

小規模多機能ホームとグループホームの利用条件の違い

利用できる人の条件は、要介護度・認知症の診断・住民票の3点です。このうち要介護度と認知症の診断は2つのサービスで異なり、住民票の要件はどちらにも共通します。条件を満たさないと、希望する事業所があっても利用できないため、申し込む前に確認しておきましょう。

ここでは、3つの条件を順に解説します。

対象になる要介護度

小規模多機能ホームは要支援1から要介護5まで、グループホームは要支援2から要介護5までの認定を受けた人が対象です。要支援1の人はグループホームを利用できない点が、2つの違いの一つです。

要介護2の親御さんであれば、どちらのサービスも対象になります。要支援の人は介護予防のサービスとして利用し、小規模多機能ホームでは月々の料金も要介護の人より低く設定されています。

要介護度の確認先は、手元に届いている介護保険被保険者証です。更新や区分変更で要介護度が変わると使えるサービスも変わるため、結果が届いたら担当のケアマネジャーに利用の可否を尋ねておきましょう。

関連記事:要介護認定とは?申請方法からサービス利用開始までの流れと老人ホーム選びの関連性

認知症の診断の要否

グループホームに入居するには、医師による認知症の診断が必要です。事業所は入居の際に、主治医の診断書などで認知症であるかを確認する決まりになっており、診断のない人は入居できません。

ただし、小規模多機能ホームの利用に認知症の診断は必要ありません。認知症のある人もない人も、要介護度などの条件を満たせば利用でき、診断を受ける前の段階から通いや泊まりを使い始められます。

グループホームでは、認知症の原因になる病気が急性の状態にある人も対象から外れます。入居を考え始めたら、診断書の準備も含めて早めに主治医へ伝えておくと、手続きが滞りません。

住民票の所在地による制限

どちらのサービスも地域密着型サービスのため、原則として事業所がある市区町村に住民票がある人に限られます。たとえば、大阪市の被保険者が利用できるのは、基本的に大阪市内の事業所です。

注意したいのは、親御さんとご家族が別の市に住んでいて、ご家族の住まいから近い事業所を使いたい場合です。住民票のない市の事業所を使うには事業所がある市の同意を得る手続きが必要で、手続きをしないまま利用すると介護保険の給付を受けられません。

グループホームは、入居前の市区町村の介護保険を続けられる住所地特例の対象外です。別の市の事業所を考えているなら、親御さんが住む自治体の介護保険の窓口で、手続きの流れを先に聞いておきましょう。

関連記事:介護保険の地域密着型サービスとは?9つのサービス内容や利用条件、費用をわかりやすく解説

小規模多機能ホームとグループホームのサービスの違い

受けられるサービスも、自宅を拠点にするか、住まいを移すかで大きく変わります。医療的なケアへの対応にも差があり、親御さんの体の状態によっては選べる先が限られます。

ここでは、それぞれのサービス内容と医療的ケアへの対応範囲を見ていきましょう。

小規模多機能ホームの通い・訪問・泊まり

小規模多機能ホームでは、3つのサービスの組み合わせを、ご本人の状態やご家庭の事情に応じて変えられます。日中は通いで過ごし、ご家族の帰りが遅い日はそのまま泊まる使い方もできます。1つの事業所と契約するだけで使えるため、サービスごとに別の事業所を探す手間がかかりません。

1つの事業所で受け入れる人数には、次の定員があります。

  • 登録定員は29人以下
  • 通いは原則1日15人以下
  • 泊まりは1日9人以下

登録定員が26人以上の事業所では、登録定員に応じて通いの定員を16〜18人まで増やせます。泊まりの枠は通いより少ないため、泊まりを増やしたいときは早めに事業所へ希望を伝えましょう。

グループホームの共同生活の支援

グループホームでは、食事や入浴の介護と日常生活の手助けを受けながら、ほかの入居者と共同生活を送ります。暮らしそのものを職員が支えるため、ご家族が付き添わなくても、朝起きてから夜眠るまでの生活が成り立ちます。

職員の配置にも決まりがあり、日中は入居者3人に対して職員1人以上を置き、夜間も原則として各ユニットに1人以上の職員が勤務する体制です。入居者ごとの介護計画は計画作成担当者が作り、ご本人やご家族に説明して同意を得たうえで支援が進みます。

認知症の人を対象にした住まいのため、少人数で落ち着いて暮らしたい親御さんに向いています。地域密着型なので、住み慣れた地域のなかで住まいを移せるのも利点です。

関連記事:グループホームと特養・老健の違いは?費用や入居条件を一覧で徹底比較

医療的ケアへの対応範囲

医療的なケアへの対応は、看護職員の配置が義務かどうかで異なります。小規模多機能ホームには、原則として看護師または准看護師を1人以上置く決まりがあり、利用中も訪問看護を併用できます。ただし、看護職員が夜間も常駐しているとは限らないため、夜の医療的な対応は事業所ごとに確認しておきましょう。

グループホームには看護職員を置く義務がなく、医療への対応は事業所ごとの体制次第です。医療機関や訪問看護ステーションと連携して体制を整えている事業所もある一方で、医療の必要な人の入居を断る場合もあります。

たんの吸引や点滴など、日常的な医療が必要な親御さんは、受け入れの可否を契約前に確認しておけば、入居後の不安を減らせるでしょう。

小規模多機能ホームとグループホームの費用の違い

費用は、介護保険の自己負担に、食費や家賃などの実費を足した金額になります。介護保険の料金は、小規模多機能ホームが1か月の定額、グループホームが1日ごとの計算と、決まり方が異なる点も押さえておきましょう。

ここでは、大阪市の金額を例に、月々の費用と負担を軽くする制度を紹介します。

小規模多機能ホームの月額費用

小規模多機能ホームの介護保険の料金は、要介護度に応じた月単位の定額制です。大阪市の場合、自宅から利用するときの1割負担月額は次のとおりです。

要介護度 1割負担の月額(大阪市)
要介護1 約11,400円
要介護2 約16,700円
要介護3 約24,300円
要介護4 約26,800円
要介護5 約29,600円

要支援1は約3,800円、要支援2は約7,600円です。表の金額は大阪市の単価で計算した基本部分で、職員の処遇改善などの加算がある事業所では、その分が上乗せされて表より高くなります。

介護保険の料金とは別に、食費・宿泊費・おむつ代などは実費でかかり、金額は事業所ごとに決まります。泊まりの回数が多い月ほど実費が増えるため、見学で加算を含めた月々の料金と、1日あたりの食費・宿泊費を聞いておきましょう。

関連記事:介護保険の「自己負担額」は年収で変わる|1割・2割・3割の負担割合の仕組みと判定基準

グループホームの月額費用

グループホームの月額は、介護保険の自己負担に、家賃・食費・光熱水費などの生活費を足した金額です。大阪市の場合、1ユニットの事業所の自己負担は、1割負担で月約25,400〜28,500円です(要介護1〜5・31日で計算)。この金額も基本部分のため、加算のある事業所では実際の自己負担が増えます。

生活費は介護保険の対象外で、金額は事業所がそれぞれ定めています。たとえば、大阪市平野区の『グループホームナチュラル』は、家賃4.2万円・食費4.7万円・その他3.1万円で月額12万円です。

この事業所では、介護保険の自己負担やおむつ代は月額12万円とは別にかかります。月々の支払いを見積もるときは、生活費と介護保険の自己負担を分けて聞き、重要事項説明書で総額を確かめておきましょう。

関連記事:グループホームナチュラル(大阪市平野区)の詳細情報・費用

費用負担を軽くする制度

自己負担が高くなった月は、高額介護サービス費で上限を超えた分が払い戻されます。上限額は所得によって異なり、住民税の課税世帯で課税所得が380万円未満なら、世帯で月44,400円です。払い戻しには自治体への申請が必要で、大阪市では一度申請すれば次から自動で支給されます。

小規模多機能ホームは社会福祉法人などによる利用者負担の軽減制度の対象で、生計が特に苦しい世帯は介護費・食費・宿泊費を減らせる場合があります。しかし、食費や居住費を軽くする負担限度額認定は、2つのサービスとも対象外です。

グループホームの家賃を助成している自治体もあります。滋賀県湖南市では、住民税非課税の世帯などに月1〜2.5万円を助成しています。親御さんが住む自治体の窓口で利用できる制度を確かめておくと、負担を抑えられるでしょう。

関連記事:【高額介護サービス費】介護費用の「払いすぎ」が戻ってくる?申請方法や上限額を解説

介護が難しくなったら施設入居も考えませんか

小規模多機能ホームとグループホームはどちらを選ぶ?

どちらを選ぶかは、親御さんの状態とご家族の暮らし方によって変わります。ご本人の希望とご家族の負担を両方見ながら、次の3つの軸で順に考えていきましょう。

ここでは、判断の軸を1つずつ解説します。

認知症の診断があるかを確かめる

最初に確かめたいのは、親御さんが医師から認知症の診断を受けているかどうかです。グループホームは診断が入居の条件のため、診断がなければ小規模多機能ホームなど在宅のサービスから検討します。

物忘れが増えたのにまだ受診していない場合は、かかりつけ医か認知症疾患医療センターに相談しましょう。認知症疾患医療センターは、認知症の鑑別診断や専門の医療相談を受けつける医療機関です。

大阪府内では、大阪府・大阪市・堺市がそれぞれ認知症疾患医療センターを指定しています。親御さんが住む地域の認知症疾患医療センターは、自治体のホームページや地域包括支援センターで調べられます。診断を受けてグループホームも候補に入ったら、次の軸で2つを比べていきましょう。

自宅での暮らしを続けたいかを本人と話し合う

次に、ご本人が今の家で暮らし続けたいと思っているかを確かめます。住み慣れた家で過ごしたい気持ちが強いなら、自宅を拠点に使える小規模多機能ホームのほうが合います。いきなりの入居をご本人が嫌がる場合は、通いや泊まりで少しずつ事業所に慣れてもらうのも一つの方法です。

これに対して、ひとりで過ごす時間の不安が大きく、ご本人も共同生活を受け入れられそうなら、グループホームへの住み替えが選択肢に入ります。グループホームのなかには30日以内の短期利用ができる事業所もあるため、入居前に泊まって相性を確かめてみましょう。

話し合うときは、ご本人の言葉を否定せず、一緒に見学しながら気持ちを聞いていくのがおすすめです。

関連記事:在宅介護の限界サインを見逃さないで!施設入居の決断タイミングと後悔しない家族会議の進め方

夜間の見守りを家族が担えるかを見極める

3つめの軸は、夜間の見守りをご家族が担えるかどうかです。小規模多機能ホームは自宅での生活が基本のため、泊まりを使わない日の夜は、必要なときに訪問を頼めても、見守りの中心はご家族になります。夜中にどこまで訪問してもらえるかは、見学で尋ねてみましょう。

夜中のトイレ介助や昼夜逆転で、ご家族の睡眠不足が続いているなら、夜間も職員が勤務するグループホームを考える目安です。ご家族が夜に休めない日々が重なると、在宅での介護そのものが難しくなります。3つの軸をまとめると、次のように整理できます。

  • 診断なし:小規模多機能ホーム
  • 診断あり・在宅を希望:小規模多機能ホーム
  • 診断あり・夜間が難しい:グループホーム

迷うときは、この整理をもとにケアマネジャーと話し合うと、親御さんに合うほうを選べるでしょう。

小規模多機能ホームを使う際の注意点

小規模多機能ホームは1つの事業所で在宅の暮らしをまとめて支えてくれる反面、今の介護サービスの使い方が大きく変わります。契約してから慌てないよう、事前に知っておきたい注意点を整理しておきましょう。

ここでは、特に影響の大きい4つの注意点を紹介します。

デイサービスや訪問介護との併用制限

小規模多機能ホームに登録すると、現在利用しているデイサービスや訪問介護、ショートステイは使えなくなります。3種類のサービスを1つの事業所で担う仕組みのため、ほかの事業所の同じ種類のサービスとは重ねて使えません。

介護保険で併用できるのは、次の5つに限られます。

  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 福祉用具の貸与・購入
  • 住宅改修

長く通っているデイサービスを親御さんが気に入っている場合は、やめてもよいかをご本人と話し合ってから契約しましょう。デイサービスの入浴を楽しみにしている親御さんなら、小規模多機能ホームの通いでも同じように入浴できるかを、見学で聞いておきたいところです。

担当ケアマネジャーの交代

小規模多機能ホームを使い始めると、ケアプランを作る担当ケアマネジャーが、利用する事業所に所属するケアマネジャーに代わります。事業所には原則として、登録者のケアプラン作りを担うケアマネジャーを置く決まりがあります。

長年付き合ってきたケアマネジャーとは、利用開始と同時に担当の関係が終わるのが原則です。交代で困らないよう、これまでの経過と親御さんの好みを、新しい担当者へしっかり引き継いでもらいましょう。

小規模多機能ホームの利用をやめてほかの在宅のサービスに戻るときは、改めてケアマネジャーを決める必要があります。今のケアマネジャーとの関係を大切にしたい場合は、交代も含めて契約前に相談しておくと安心です。

泊まりを希望どおりに使えない可能性

小規模多機能ホームの泊まりは、1日あたりの定員が9人以下と少ない人数です。登録している利用者どうしで枠を分け合うため、希望した日に泊まれない場合があります。

また、小規模多機能ホームは通いを中心に在宅の暮らしを支えるサービスです。泊まりの日数に上限は決められていないものの、長く泊まり続ける使い方ができるかどうかは事業所との相談次第になります。泊まりの日数が大半を占めるようになったら、グループホームへの入居も比べてみる時期です。

ご家族の出張や冠婚葬祭で泊まりが必要になりそうな日は、予定がわかった時点で早めに伝えておきましょう。見学のときに、泊まりの空き状況や希望が重なったときの決め方を聞いておくと安心です。

関連記事:小規模多機能型居宅介護はずっと泊まりも可能?30日ルールと対処法を解説

利用が少ない月でも同じ定額料金

小規模多機能ホームの介護保険の料金は1か月単位の定額制のため、通いや泊まりの回数が少ない月でも金額は変わりません。多く使う月は割安になる一方で、あまり使わない月は割高に感じる場合があります。

月の途中で利用を始めたときや契約を終えたときは、日割りで計算されます。日割りになる場面は決められているため、入院などで利用が止まる月の扱いは、契約前に事業所へ尋ねておきましょう。

通いを週に何回も使う予定なら、定額制の利点を生かせます。今のデイサービスの利用回数と自己負担額を並べて計算してみれば、定額にしたほうが負担を抑えられるかを判断できるでしょう。

グループホームに入居する際の注意点

グループホームへの入居は、住まいそのものが変わる大きな節目です。特に、今使っているサービスとお金の準備は、入居の前に整理しておく必要があります。

ここでは、入居の前に押さえておきたい3つの注意点を見ていきます。

ほかの介護サービスとの併用制限

グループホームに入居すると、介護はグループホームの職員が担うため、訪問介護やデイサービスは、介護保険では利用できなくなります。介護保険の訪問看護や福祉用具の貸与も、入居中は使えません。

医療保険の訪問看護は、主治医から特別訪問看護指示書が出た場合や、国が定める特定の病気がある場合などに限って利用できます。特別訪問看護指示書が出るのは原則として月1回で、期間は最長14日間です。

入居すると、ケアプランを作る人もこれまでの担当ケアマネジャーから、グループホームの計画作成担当者に代わります。今のデイサービスで楽しみにしている活動がある親御さんは、入居後にその時間がなくなる場合も考えておきましょう。

空きが出るまでの待機

グループホームは1つのユニットが5〜9人と小さく、空きが出るまで待つ場合があります。認知症グループホームの事業者で作る日本認知症グループホーム協会の調査によると、2025年8月末時点の入居率の平均は97.10%でした。

1事業所あたりの待機者は平均4.23人ですが、待機者がいない事業所も約3割あります。空き状況は事業所ごとに大きく異なるため、1か所だけで判断せず、複数の事業所に問い合わせておきましょう。

入居を待つ間は、小規模多機能ホームなど在宅のサービスで暮らしを支える方法もあります。親御さんの状態が落ち着いているうちに申し込んでおくと、慌てずに入居の準備を進められます。

入居一時金などの初期費用

グループホームの入居時にかかる初期費用の主なものは、敷金と、家賃などをまとめて前払いする入居一時金(前払金)です。たとえば、大阪市東住吉区の『なでしこの家』は入居時の費用が0円、平野区の『グループホームナチュラル』は16.8万円と、事業所によって差があります。

家賃などを前払金として一括で受け取る事業者は、原則として、金額の算定根拠を書面で示したうえで、返金に備えた保全措置をとる必要があります。契約前には、初期費用の内訳(敷金か前払金か)と前払金の保全措置の有無を聞き、退去したときに返ってくるお金の条件も確認しておきましょう。

初期費用だけで判断せず、月額の生活費とあわせて数年分の支払いを試算しておくと、入居後の見通しが立つでしょう。

関連記事:なでしこの家(大阪市東住吉区)の詳細情報・費用

小規模多機能ホームやグループホームは最期まで使える?

親御さんの状態は、年月とともに変わっていきます。今どちらを選ぶかだけでなく、認知症が進んだときや医療が必要になったときに使い続けられるかも、選ぶ前に知っておくと安心です。

ここでは、状態が変わる3つの場面ごとに、使い続けられるかと次の選択肢を整理します。

認知症が進んで自宅での生活が難しくなった場合

小規模多機能ホームは自宅での生活を前提にした仕組みなので、ひとりで過ごせる時間が短くなると、在宅のままでは支えきれなくなる場合があります。そのときは、グループホームなど住まいを移す選択肢を考える段階です。

グループホームに入居している場合は、共同生活が送れるうちは、認知症が進んでもそのまま暮らせます。ただし、ほかの入居者との生活が難しくなると、退去を求められる場合もあります。

特別養護老人ホームは原則として要介護3以上が入所の条件のため、要介護度が上がったときの住み替え先の候補です。住み替えを考え始めたら、ケアマネジャー(グループホームに入居中の場合は計画作成担当者)と相談しながら、次の住まいの見学を早めに進めておきましょう。

関連記事:重度認知症でも受け入れ可能な老人ホームとは?BPSDや暴力・徘徊への対応と施設探しのポイント

医療的ケアが必要になった場合

たんの吸引などの医療処置が毎日のように必要になると、グループホームでは対応が難しくなる場合があります。厚生労働省の審議会資料で紹介された2022年度の調査では、医療が必要な人に対応しきれず、退去を求める場合があると答えたグループホームは53.8%でした。

小規模多機能ホームを利用している場合は、訪問看護を組み合わせて在宅での療養を続けられます。医療の必要性が高いときは、訪問看護を一体で提供する看護小規模多機能型居宅介護への切り替えも選択肢です。

それでも自宅や共同生活の場で支えきれないほど医療が必要になったら、医療の手厚い施設への住み替えを主治医やケアマネジャー(グループホームでは計画作成担当者)と話し合いましょう。

看取りを希望する場合

グループホームのなかには、最期まで暮らし続けられるよう看取りに対応する事業所もあります。日本認知症グループホーム協会の調査では、死亡による退去のうち約6割がグループホーム内での看取りでした。

ただし、看取りへの対応は事業所の方針や医療との連携体制によって異なり、すべてのグループホームで最期まで過ごせるわけではありません。小規模多機能ホームにも看取りの時期の支援を評価する加算があり、訪問看護などと組み合わせて自宅での看取りを支える事業所があります。

最期の過ごし方に希望があるなら、見学のときに看取りの実績と方針を聞いておけば、思いに沿った事業所を選べるでしょう。

関連記事:老人ホームの看取り介護とは?費用や流れ・対応できない施設の違いを徹底解説

小規模多機能ホームやグループホームの探し方

小規模多機能ホームもグループホームも地域密着型のサービスのため、親御さんが住む地域の事業所から探します。地域の事情に詳しい相談先を使い分けると、条件に合う事業所を効率よく見つけられます。

ここでは、施設探しの入口になる3つの方法を見ていきましょう。

担当のケアマネジャーに相談する

まず相談したいのは、今の担当ケアマネジャーです。地域の事業所の特徴をよく知っており、親御さんの状態に合う候補を挙げてもらえます。親御さんの暮らしぶりを知っている担当者だからこそ、比較表の内容を当てはめながら一緒に考えてもらえる点も安心です。

相談するときは、次の情報を伝えると候補を絞り込んでもらえます。

  • 要介護度
  • 認知症の診断の有無
  • 夜間の様子
  • 介護するご家族の負担
  • 月々の予算の上限

担当のケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターに相談しましょう。地域包括支援センターは自治体が設置する高齢者の総合相談窓口で、相談は無料です。介護保険の申請がまだの場合も、手続きの相談から始められます。

関連記事:地域包括支援センターとは?役割や相談できる内容、利用方法をわかりやすく解説

市区町村の事業所一覧で候補を探す

ご家族で候補を調べたいときは、自治体が公開している事業所の一覧を使いましょう。大阪市の場合は、グループホームや小規模多機能ホームを含む施設の一覧をホームページで公開しており、掲載ページは介護保険の窓口でも案内してもらえます。

厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも、地域とサービスの種類を選んで事業所を検索できます。大阪市の一覧には空き状況が載っていないため、気になる事業所が見つかったら、電話で空きと見学の可否を問い合わせましょう。

候補を2〜3か所に絞ったら、見学で職員の対応や利用者の様子を確かめてから決めると安心です。

老人ホーム紹介センターを利用する

グループホームなどの住み替え先を探すなら、老人ホーム紹介センターを利用する方法もあります。紹介センターは、希望の地域や予算、親御さんの状態を聞いたうえで、条件に合う施設を紹介する窓口です。

空き状況の確認や見学の日程調整を代わりに進めてもらえるため、仕事と介護を両立しながら探すご家族にとって負担が軽くなります。『笑がおで介護紹介センター』でも、大阪を中心とした関西のグループホームを掲載し、空室の確認や見学の予約を受けつけています。

最終的に選ぶのはご本人とご家族なので、紹介された施設も必ず見学して納得してから決めましょう。ケアマネジャーへの相談と並行して使えば、候補を早く集められるでしょう。

関連記事:ケアマネジャーと紹介センターどっちに相談すべき?役割の違いと使い分け

費用や入居条件を比較して施設を探しませんか

小規模多機能ホームとグループホームの違いでよくある質問

最後に、2つのサービスを比べるときにご家族からよく寄せられる疑問にお答えします。制度の細かな点は自治体や事業所によって運用が異なる場合もあるため、答えを参考にしながら事業所にも確かめましょう。

ここでは、3つの疑問を取り上げます。

2つのサービスは同時に使える?

小規模多機能ホームとグループホームは、同時には利用できません。グループホームに入居している間は、小規模多機能ホームの料金が算定されない決まりになっています。

小規模多機能ホームからグループホームへ移る場合は、入居の日にあわせて小規模多機能ホームの契約を終える流れになります。移る時期が決まったら、両方の事業所とケアマネジャーに早めに伝え、切り替えの日を調整しておきましょう。

どちらか一方に決める必要があるため、今の暮らしで足りない支援が「日中の見守り」なのか「夜間も含めた生活全体」なのかを整理しておくと、選ぶときの目安になります。

利用料は医療費控除の対象になる?

小規模多機能ホームの利用料は、条件を満たせば医療費控除の対象になります。原則として、ケアプランに組み込まれ、訪問看護などの医療系サービスとあわせて利用した場合が対象で、食費や宿泊費は含まれません。

控除できるのは、介護保険のサービス費の自己負担分です。看護小規模多機能型居宅介護は、サービスの組み合わせによって対象かどうかが分かれます。

これに対して、グループホームの利用料は、原則として医療費控除の対象になりません。ただし、介護福祉士などによるたんの吸引などを受けた場合は、その対価の一部が対象になります。

確定申告には、事業所の領収書をもとに作った医療費控除の明細書が必要です。領収書は申告の期限から5年間保管し、わからない点は税務署に問い合わせましょう。

関連記事:介護保険サービスは医療費控除の対象?対象・対象外一覧と申告手順

看護小規模多機能とはどう違う?

看護小規模多機能型居宅介護は、小規模多機能ホームのサービスに、看護師などによる訪問看護を組み合わせたサービスです。医療の必要性が高い人でも、自宅で療養を続けられるよう支えます。

利用できるのは要介護1〜5の人で、要支援の人は対象外です。料金は小規模多機能ホームより高めで、大阪市の場合、自宅から利用するときの1割負担の月額は要介護1で約13,500円、要介護5で約34,200円です。

医療的なケアが日常的に必要な親御さんは、小規模多機能ホームとあわせて看護小規模多機能型居宅介護も候補に入れて比べてみましょう。

関連記事:看護小規模多機能型居宅介護(看多機)とは?サービス内容や費用、メリット・デメリットをわかりやすく解説

まとめ

小規模多機能ホームとグループホームの違いは、自宅で暮らしながら使うか、住まいを移して暮らすかです。グループホームには認知症の診断が必要で、どちらも原則として住民票のある市区町村の事業所を利用します。

選ぶときは、認知症の診断、ご本人の希望、夜間の見守りの3つを順に確かめましょう。小規模多機能ホームを選ぶ場合は、今のデイサービスが使えなくなる点と担当ケアマネジャーの交代も、契約前に知っておきたいポイントです。

まずは今の担当ケアマネジャーに、比較表の内容をもとに相談してみましょう。大阪・関西で住み替え先を探すときは、グループホームなどの施設選びも含めて『笑がおで介護紹介センター』へご相談ください。

参考サイト

このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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