生活保護で老健に入所したら自己負担はいくら?居住費・食費と自宅の家賃も解説

病院から老健(介護老人保健施設)への入所をすすめられたものの、生活保護を受けている親御さんの費用は誰が払うのかと不安になっていませんか?ご自身に請求が届くのではと、心配になる方も少なくありません。
生活保護を受けていても老健には入所でき、介護サービス費の1割と食費は介護扶助から施設へ直接支払われるのが原則です。この記事では、多床室なら0円になる居住費を含めた自己負担の内訳と、入所中の保護費や自宅の家賃の扱いを解説します。個室の可否や入所の手順、請求が届く場合もあわせて紹介します。
最後まで目を通せば、どの費用を誰が払うのかがわかり、入所に向けた手続きを落ち着いて進められるでしょう。
※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。
生活保護でも老健に入所できる?
生活保護を受けていても、老健(介護老人保健施設)には入所できます。老健での介護は生活保護の介護扶助で賄われるため、受給中でも申し込みは可能です。ただし、満床などの理由で断られる場合もあります。
ここでは、入所できる根拠と、入所を断られる場合を見ていきます。
入所できる根拠
生活保護法では、老健で受ける介護も介護扶助の「施設介護」にあたると定めています。介護扶助は、生活費にあてる生活扶助や家賃にあてる住宅扶助と並ぶ生活保護の扶助の一つで、介護にかかる自己負担を賄います。
老健は、介護扶助を担当する機関として指定を受ける施設の一つです。介護扶助による介護は福祉事務所から施設への委託で進み、指定を受けた施設は、委託された介護の提供を正当な理由なく断れない決まりです。候補の老健が生活保護の受け入れに対応しているかは、申し込み前に病院の相談員や老健の支援相談員、ケースワーカーに聞いておきましょう。
入所を断られる場合
老健が入所の申し込みを断れるのは、正当な理由がある場合だけです。国の基準では、正当な理由として次のような場合が挙げられています。
- ベッドに空きがない
- 入院して治療を受ける必要がある
- 施設では適切な介護の提供が難しい
3つ目には、たとえば必要な医療ケアが施設の体制で対応できる範囲を超える場合などが考えられます。これに対して、身元保証人がいない場合は、それだけでは入所を断る正当な理由になりません。
断られたときは、まず理由を老健の支援相談員に確かめましょう。満床なら空きが出る時期を聞き、医療ケアが理由なら対応できる老健を病院の相談員と探すと、次の候補を絞り込めるでしょう。
生活保護で老健に入所したときの自己負担額
老健で親御さんにかかる費用は、介護サービス費の1割・居住費・食費・日常生活費の4つです。このうち、介護サービス費の1割と食費は原則として介護扶助から施設へ直接支払われ、多床室の居住費は0円になります。
ここでは、費用ごとに生活保護を受けている方の負担額と支払い方を解説します。
介護サービス費の1割負担
老健の介護サービス費は、65歳以上の親御さんなら9割を介護保険が負担し、残る1割の自己負担分は介護扶助で賄われます。1か月の1割分が15,000円を超えたときは、超えた分を介護保険の高額介護サービス費が負担するため、この場合も親御さんの負担は生じません。
介護扶助は、お金を受け取って施設に払う仕組みではなく、自治体が施設に直接支払います。介護扶助の支給が決まると、福祉事務所が決定の内容を記した「介護券」を老健へ直接送り、1割分は施設へ支払われます。
介護サービス費は要介護度や施設の体制によって変わりますが、1割分が介護扶助などで賄われる点は同じです。介護券が施設に届いていれば、親御さんが1割分を立て替える必要は原則ありません。そのため、入所前に介護扶助の手続きを済ませておきましょう。
関連記事:生活保護受給者の介護保険料は支払いが必要?免除の可否と介護扶助のしくみを解説
部屋代にあたる居住費
居住費は老健の部屋代にあたる費用で、多床室なら1日0円です。生活保護の受給者は、居住費と食費を軽くする負担限度額の制度で、最も負担の軽い第1段階にあたります。
多床室の居住費は、本来なら1日437円で、室料を取る老健では697円です。2025年8月から一部の老健で多床室に室料の負担が加わりましたが、第1段階の方の居住費は増えていません。
0円になるのは、自治体の介護保険の窓口で負担限度額の認定を受け、認定証を老健に出している場合です。老健の居住費は自宅の家賃にあてる住宅扶助とは別の仕組みなので、混同しないよう注意しましょう。
関連記事:老健(介護老人保健施設)の費用はいくら?自己負担額や軽減制度を徹底解説
1日3食分の食費
老健の食費は1日単位の額で決まっており、第1段階の負担限度額は1日300円です。国が定める標準の食費(基準費用額)は2026年8月から1日1,545円に上がりましたが、第1段階の300円は変わっていません。
基準費用額との差額1,245円は、介護保険から施設へ支払われます。残る300円も原則として介護扶助から施設へ支払われるため、親御さんが保護費から食費を払う必要はありません。
食費が介護扶助の対象になるのは、老健などの施設に入所したときです。自宅から通うデイサービスの食費とは扱いが異なるため、支払い方の細かな点は入所前にケースワーカーへ問い合わせておきましょう。
理美容代などの日常生活費
理美容代や身の回り品にかかる費用は介護扶助の対象ではなく、親御さんが毎月の保護費から支払います。老健が介護サービス費や食費、居住費のほかに利用料として受け取れるのは、理美容代と次のような日常生活費です。
- 希望した身の回り品の費用
- 希望した教養娯楽の費用
- 予防接種などの健康管理費
- 預り金の管理費
- 私物の洗濯代
これらは、サービスを受ける前に内容と金額を記した文書で説明を受け、同意したうえで支払う費用です。このほか、個人専用の家電にかかる電気代や嗜好品の購入費など、施設のサービスと関係のない費用を請求される場合もあります。
追加料金のかかる特別な療養室や特別な食事は生活保護の方には提供しない決まりのため、その費用もかかりません。
老健に入所しても生活保護は続く?
老健への入所だけを理由に、生活保護が打ち切られる決まりはありません。しかし、入所後は毎月の生活費が施設に入所している方向けの基準に切り替わり、振り込まれる額もそれまでとは変わります。
ここでは、入所中に支給される生活費と、手元に届く保護費が在宅のときより減る理由を見ていきます。
毎月支給される生活費
老健に入所すると、生活扶助はそれまでの生活費に代わって、施設入所者向けの2つの費目で計算されます。金額は2026年9月時点の基準額で、次のとおりです。
| 費目 | 月額 | 主な使い道 |
|---|---|---|
| 介護施設入所者基本生活費 | 10,120円以内+1,000円 | 下着や歯ブラシなど |
| 介護施設入所者加算 | 10,120円の範囲内 | 理美容品など |
基本生活費に上乗せされる1,000円は、特例加算の分です。介護施設入所者加算は、障害者加算や母子加算を受けていない方が対象です。11〜3月には、基本生活費に地域ごとの冬季加算もつきます。
切り替わるのは入所した月の翌月からで、入所日が月の初日ならその月からです。入所した月はそれまでの生活費のまま支給され、1か月以上入院していた方は入院中の生活費(入院患者日用品費)が続きます。
手元に届く保護費が減る理由
入所後に親御さんの口座へ振り込まれる保護費は、在宅のときより少なくなります。在宅のときの生活費には、食費や光熱費にあてる分も含まれていたためです。
入所後は、食事や部屋、介護の費用が介護扶助などで賄われるため、振り込まれるのは主に身の回りの費用にあてる分です。1か月以上入院していた方は、入院中にすでに生活費の計算が切り替わっている可能性があります。
年金などの収入がある方は、入所後の基準で保護が必要かどうかが改めて判断され、収入によっては保護が停止・廃止される場合もあります。家賃の扱いとあわせて入所後の支給額をケースワーカーに確認しておけば、振り込みの額を見て慌てずにすむでしょう。
老健入所中の自宅の家賃は生活保護で出る?
一人暮らしの親御さんが入所中も自宅の家賃を払い続けるときは、条件を満たせば家賃の扶助(住宅扶助)が続く場合があります。入所中の住宅扶助は自宅の家賃にあてるお金で、老健の居住費を払うものではありません。
ここでは、入所期間の見込みごとに家賃の扱いを整理し、自宅を引き払うか迷ったときの考え方も紹介します。
6か月以内に退所できる見込みの場合
一人暮らしの親御さんが6か月以内に退所できる見込みなら、入所中も自宅の家賃が保護費で認められる場合があります。認められる期間は6か月が限度です。病院から続けて老健に入所する場合、この6か月を入院した日と入所した日のどちらから数えるかは、ケースワーカーに尋ねておきましょう。
入所中の家賃は、家賃を払い続けなければならない単身の方について、福祉事務所が認定できる決まりです。必ず出るものではなく、退所の見込みがあるかどうかで判断されます。たとえば、入所から4か月で自宅に戻る予定なら、その4か月分の家賃が対象です。
老健は在宅復帰を目指す施設で、入所中も退所後の生活に向けた支援が続きます。入所が決まったら、自宅に戻る予定と家賃の額を、ケースワーカーに早めに伝えましょう。
入所期間が6か月を超えそうな場合
病状の変化などで入所が6か月を超えるとわかった場合でも、その時点から3か月以内に確実に退所できる見込みがあれば、家賃の扶助をさらに最長3か月続けてもらえる場合があります。延長を含めても、家賃が認められるのは最長9か月までです。
延長できるかどうかも、福祉事務所が退所の見込みを確かめたうえで判断します。見込みが立たないまま6か月を迎えると家賃の扶助が終わり、自宅の家賃を払い続けるのが難しくなります。
そのため、入所が長引きそうだとわかった時点で、支援相談員とケースワーカーに相談しておきましょう。家賃の期限が近づく前に動けば、自宅を残すか引き払うかをじっくり選べます。
自宅を引き払うか迷う場合
自宅を引き払うかどうかは、親御さんが退所後に自宅へ戻れるかで判断しましょう。戻れる見込みがあるうちに引き払うと、退所のときに新しい部屋を探し直さなければなりません。
自宅を引き払うときは、次の費用が保護費から出る場合があります。
- 家財を預ける保管料(月14,000円まで)
- 家財の処分費用(6か月超の入所見込み)
- 荷造りや運搬の費用(事前の承認が必要)
保管料は1年が限度で、家賃が認められていた月数はその1年から差し引かれます。明らかに1年以上の入所が必要な場合は、保管料の対象になりません。
いずれも福祉事務所が必要と認めた場合に限られるため、業者に頼む前にケースワーカーへ相談しましょう。
生活保護で老健の個室は選べる?
生活保護を受けている方が老健に入所する場合、部屋は原則として多床室(相部屋)になります。個室を選ぶと第1段階でも居住費がかかり、その費用は例外を除いて介護扶助の対象になりません。
ここでは、多床室が原則になる理由と、個室の居住費が軽減される特養との違いを解説します。
原則として多床室になる理由
多床室が原則なのは、個室だと第1段階でも居住費がかかるためです。1日あたりの額は、次のとおりです。
| 部屋の種類 | 居住費(1日) |
|---|---|
| 多床室 | 0円 |
| 従来型個室 | 550円 |
| ユニット型個室的多床室 | 550円 |
| ユニット型個室 | 880円 |
30日分では、従来型個室とユニット型個室的多床室で16,500円、ユニット型個室で26,400円になります。多床室以外の居住費は、原則として介護扶助の対象になりません。福祉事務所が例外的に個室への入所を認めた場合は、ほかの部屋や施設に移るまでの間、負担限度額分の居住費が保護費から支払われる扱いもあります。
病院の相談員には、多床室での入所になると伝えておきましょう。多床室に空きのある老健に絞って、候補を探してもらえます。個室を望むときは、入所前にケースワーカーの判断を仰ぎましょう。
関連記事:老人ホームは個室が良い?多床室との違い・費用・メリット/注意点と選び方
個室の居住費が軽減される特養との違い
特養(特別養護老人ホーム)には、生活保護の受給者が個室を使うときの居住費を全額軽減する制度があります。これは、社会福祉法人等による利用者負担額軽減制度と呼ばれる仕組みです。
この制度で生活保護受給者の個室居住費が軽減されるのは、地域密着型を含む特養とショートステイ(短期入所生活介護)に限られます。老健は対象に含まれないため、老健の個室の費用を軽くする方法としては使えません。
特養でも、軽減が受けられるのは運営する社会福祉法人が軽減制度を実施している場合のみとなります。長く暮らせる施設として特養を考えるときは、個室を利用できるかを申し込み先に問い合わせておきましょう。
生活保護で老健に入所する手順
入院中の親御さんが老健に入所するまでには、病院・福祉事務所・自治体の介護保険の窓口・老健の4か所で手続きが進みます。順番がずれると、施設から思わぬ請求が届く場合もあるため注意が必要です。
ここでは、入所までの流れを4つのステップに分けて紹介します。
病院の相談員に生活保護の受給を伝える
老健への入所をすすめられたら、まず病院の相談員(医療ソーシャルワーカー)に、生活保護を受給中だと伝えましょう。相談員は、退院後の療養先の調整や、利用できる制度の案内を担う専門職です。
相談の際は、次の3点を伝えておくと話が早く進みます。
- 生活保護の受給状況
- 担当ケースワーカーの連絡先
- 退所後に自宅へ戻る希望
相談員には、老健の候補探しや、申し込みに必要な書類の準備を手伝ってもらえます。ケースワーカーの連絡先がわかれば、相談員と福祉事務所の間で必要な連絡を取り合えます。
ケースワーカーに相談する
入所先の候補が決まったら、福祉事務所のケースワーカーに連絡し、介護扶助を申請しましょう。ご本人だけでなく、同居の親族や、扶養義務者にあたる離れて暮らすご家族も申請できます。
介護扶助を利用できるのは、原則として申請書を出した日以降です。入所日より前に申請を済ませておけば、手続きの遅れで費用を立て替える心配を減らせます。老健への入所には要介護認定も必要なので、まだ受けていない場合は認定の申請もあわせて進めましょう。
支給が決まると、介護券が月ごとに福祉事務所から老健へ直接送られます。自宅の家賃や家財の扱いも申請時に相談しておくと、入所後に改めて連絡する手間が省けます。
関連記事:生活保護でも老人ホームに入居できる?費用や探し方、注意点を徹底解説
負担限度額認定を申請する
居住費と食費を第1段階の額にするには、自治体の介護保険の窓口で負担限度額認定を申請し、認定証を受け取る必要があります。生活保護を受給中でも、申請しなければ認定証は届きません。
生活保護の方は第1段階にあたり、預貯金の要件もありません。申請の際は介護保険の被保険者証を提示し、交付された認定証を老健に提出しましょう。入所の準備で手が回らないときは、申請を手伝ってもらえるか老健の支援相談員に聞いてみましょう。
認定は申請した月の初日から効力をもつ扱いが一般的ですが、細かな運用は自治体の窓口で確かめておくと安心です。認定証には有効期限があるため、期限が近づいたら更新の手続きも済ませましょう。
支援相談員と面談して契約する
老健に申し込むと、施設の支援相談員との面談などを経て入所の可否が決まります。支援相談員は、入所者やご家族の相談に応じ、自治体との連絡も担う老健の相談窓口です。
面談では、生活保護の受給と担当ケースワーカーの連絡先を伝えましょう。介護券や認定証が施設に届くまでの流れを聞いておくと、請求の行き違いを防げます。
契約のときは、理美容代などの日常生活費の項目と金額、身元引受人に求められる役割を確かめましょう。毎月の請求書をどなたあてに送ってもらうかも、このときに決めておくと安心です。
生活保護でも老健から請求が届く場合

生活保護を受けていても、老健から請求書が届く場合があります。慌てて支払う前に、請求された理由が手続きの漏れなのか、収入に応じた負担なのかを確かめましょう。
ここでは、請求が届く代表的な3つの場合と、それぞれの確認先を解説します。
入所の手続きが済んでいない場合
老健からの請求額が思ったより高いときは、介護扶助や負担限度額認定の手続きが漏れている可能性があります。介護扶助の申請や決定が済んでいないと、施設は介護サービス費の1割分を介護扶助に請求できません。
認定証を老健に出していない場合も、第1段階の額は使えません。そのため、介護サービス費の1割分や、施設が契約で定めた額の食費(国の基準費用額は1日1,545円)が、親御さんあてに請求される場合があります。
介護扶助は原則として申請書を出した日以降に適用されるため、申請が遅れた期間の費用は保護費で賄えない場合もあります。請求書が届いたら、支払う前に内訳を支援相談員に確かめ、ケースワーカーにも連絡しましょう。手続きの漏れがわかった場合は、その場で申請を済ませておくと安心です。
年金などの収入がある場合
親御さんに年金などの収入があるときは、老健に払う費用の一部をご本人が負担する場合があります。この額は「本人支払額」として介護券に記載され、施設はその額を親御さんに請求します。
生活保護は、国が定める最低限度の生活費に収入が届かない分を支給する制度です。入所後は必要な生活費が少なくなるため、年金で生活費を賄える方は、残りを介護費などの支払いにあてます。
保護費は収入を差し引いて計算されるため、本人支払額を払っても、保護で保障される生活の水準は変わりません。請求額と介護券の本人支払額が合っているかは、ケースワーカーに照らし合わせてもらいましょう。
家族が身元引受人になっている場合
施設への支払いは介護扶助が担うため、ご家族が親御さんに代わって施設へ費用を払う義務はありません。生活保護法には扶養義務の範囲で費用を徴収できる規定もありますが、徴収するのは保護費を支払った自治体で、施設ではありません。
ただし、身元引受人として契約書に署名した場合は、契約の内容を確かめておく必要があります。身元引受人が連帯保証人を兼ねる契約では、ご本人が払えなかった費用をご家族が請求される場合があります。
ご家族あてに請求が届いたときは、まず契約書で連帯保証の有無を見直しましょう。請求の理由を施設に確かめ、ケースワーカーにも知らせておけば、払うべき費用かどうかを冷静に判断できるでしょう。
関連記事:老人ホームの費用が払えないときの対処法|利用できる制度や相談先を解説
生活保護の老健入所でよくある質問
最後に、生活保護を受けている方の老健入所について、ご家族からよく寄せられる疑問をまとめます。費用の細かな点は、入所先の老健やケースワーカーに尋ねるのが確実です。
ここでは、おむつ代とケースワーカー、医療費に関する3つの質問にお答えします。
おむつ代は別に払う必要がある?
老健では、おむつ代を別に払う必要はありません。おむつの費用は介護保険の給付に含まれるため、施設はおむつ代やおむつカバー代、その洗濯代を一切受け取れない決まりです。
このルールは生活保護の有無に関係なく、すべての入所者に共通で、老健のショートステイ(短期入所療養介護)を使う場合も同じです。日常生活費の名目で、おむつの費用を請求するのも認められていません。
入所後は、施設で使うおむつをご家族が用意する必要もありません。請求書におむつ代の項目があれば、支払う前に支援相談員へ理由を尋ねましょう。
別の市の老健に入所したらケースワーカーは変わる?
別の市の老健に入所しても、ケースワーカーは原則として変わりません。自宅や家財を残し、退所後にその地域へ戻る予定があれば、入所前の地域の福祉事務所が引き続き担当する決まりです。
自宅を引き払った場合も、入院・入所と同時か、その後3か月以内(家賃の扶助を受けていた方はその終了後3か月以内)であれば、入院・入所前の福祉事務所が担当します。それより遅く引き払ったときは、老健のある地域の福祉事務所が担当になる場合もあるため注意が必要です。
有料老人ホームや特養などへ移るときは、施設の種類によって担当の決まり方が異なります。担当が変わるかどうかで相談先も変わるため、入所前にケースワーカーへ見込みを確認しておくと、手続きで迷いません。
入所中に病院を受診したら医療費はかかる?
老健で対応できる医療は施設の医師が担当し、その費用は介護サービス費に含まれています。施設内で受けられる治療について、別に医療費が請求される心配はありません。
老健では対応できない治療が必要なときは、外部の病院を受診します。この医療費は生活保護の医療扶助で賄われるため、窓口での自己負担は原則ありません。受診の際は原則としてマイナンバーカードで資格を確認し、カードを使えない場合は福祉事務所が発行する医療券を使います。
受診が必要かどうかは老健の医師が判断し、受診先の病院への情報提供も施設が担います。急な受診の手続きが心配なときは、流れを支援相談員とケースワーカーに聞いておきましょう。
まとめ
生活保護を受けていても老健には入所でき、介護サービス費の1割と食費は原則として介護扶助から施設へ直接支払われます。多床室なら居住費は0円で、親御さんが保護費から払うのは理美容代などの日常生活費が中心です。
入所を理由に生活保護が打ち切られる決まりはなく、一人暮らしの親御さんは条件を満たせば自宅の家賃も最長9か月まで認められる場合があります。老健から請求が届いたときは、支払う前に手続きの漏れや本人支払額がないかを確かめましょう。
まずは病院の相談員とケースワーカーに相談し、介護扶助と負担限度額認定の申請を入所前に済ませましょう。老健探しや退所後の行き先に不安があるときは『笑がおで介護紹介センター』へご相談ください。
参考サイト
- 生活保護法|e-Gov法令検索
- 介護保険法施行令|e-Gov法令検索
- 介護保険法施行規則|e-Gov法令検索
- 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準|e-Gov法令検索
- 生活保護法による保護の基準|厚生労働省
- 生活保護法による保護の実施要領について|厚生労働省
- 生活保護法による介護扶助の運営要領について|厚生労働省
- 生活保護法による介護券の記載要領及び留意点について|厚生労働省
- 生活保護法第五十四条の二第五項において準用する同法第五十二条第二項の規定による介護の方針及び介護の報酬|厚生労働省
- 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について|厚生労働省
- 通所介護等における日常生活に要する費用の取扱いについて|厚生労働省
- 介護老人保健施設入所者に係る往診及び通院(対診)について|厚生労働省
- 生活保護法による医療扶助運営要領について|厚生労働省
- 市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について|厚生労働省
- 医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について|厚生労働省
- 令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼について(介護保険最新情報Vol.1506)|厚生労働省
- 介護報酬改定率、多床室の室料負担、基準費用額(居住費)について(報告)|厚生労働省
- 介護保険制度の改正に伴う生活保護制度の取扱いについて|厚生労働省
- 生活保護制度における介護扶助について|京都市
- 生活保護法及び中国残留邦人等支援法による介護扶助の手引き(指定介護機関用)|神戸市

このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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