【認知症の治療法】薬物療法と非薬物療法の種類・費用・効果を解説

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【認知症の治療法】薬物療法と非薬物療法の種類・費用・効果を解説
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ご自身やご家族が認知症と診断されたとき、「これからどうなるのだろう」「治療法はあるのだろうか」と、大きな不安に包まれるのは当然のことです。現在の医療では、残念ながら認知症を完全に治す方法はまだ見つかっていません。

しかし、決して希望がないわけではありません。認知症治療の最大の目的は、「完治」ではなく、「症状の進行を穏やかにし、ご本人らしい生活を一日でも長く続けること」にあります。適切な治療を受けることで、症状をコントロールし、心穏やかに過ごす時間を増やすことは十分に可能です。

この記事では、認知症治療の2つの柱である「薬物療法」「非薬物療法」について、それぞれの種類や効果、かかる費用の目安などを詳しく解説します。また、治療と仕事や生活を両立させるための公的支援制度についてもご紹介します。

正しい知識を得ることで、不安は具体的な備えに変わります。この記事が、ご本人とご家族が前向きに治療と向き合っていくための一助となれば幸いです。

認知症治療の目的|完治は難しいが症状の進行を穏やかにする

治療の基本は進行の抑制と症状の緩和

認知症治療の基本的な考え方は、失われた脳の機能を元に戻すことではなく、今ある能力を最大限に活かしながら、病気の進行をできる限り緩やかにすることにあります。

認知症は、その原因となる病気によって脳の神経細胞が少しずつ壊れていく進行性の病気です。治療の主な目的は、薬やリハビリテーションによって、この進行スピードをできるだけ遅らせ、記憶障害や判断力の低下といった「中核症状」を緩和することです。

症状の進行を抑制できれば、ご本人が穏やかに過ごせる時間が長くなり、住み慣れた地域で自分らしい生活を続けることにつながります。それは、介護をするご家族の負担軽減にもつながる、非常に重要な意味を持つのです。

早期発見で治療可能な「治る認知症」もある

認知症と診断されても、原因となっている病気によっては治療で症状が改善する、いわゆる「治る認知症」の可能性があります。これらは、厳密には認知症とは異なる病気が原因で、認知症と似た症状を引き起こしている状態です。

代表的なものには、脳内に髄液がたまる「正常圧水頭症」や、頭部の打撲などが原因で血腫ができる「慢性硬膜下血腫」、甲状腺の機能が低下する「甲状腺機能低下症」などがあります。これらの病気は、手術や適切な治療を行うことで、認知症のような症状が劇的に改善することがあります。

このことからも、気になる症状があれば自己判断せず、早期に専門医を受診することがいかに重要かが分かります。

認知症治療の2つの柱「薬物療法」と「非薬物療法」

認知症の治療は、主に「薬物療法」と「非薬物療法」という2つのアプローチを組み合わせて行われます。この2つは、いわば車の両輪のような関係で、どちらか一方だけでなく、両方をバランスよく行うことが、より良い効果につながります。

薬物療法:症状をコントロールするための治療薬

薬物療法は、薬を用いて認知症の症状に対応する治療法です。記憶障害などの「中核症状」の進行を抑制したり、妄想や興奮といった「行動・心理症状(BPSD)」を和らげたりします。ご本人の苦痛を軽減し、穏やかな生活を送るための土台を作ることを目的とします。

非薬物療法:心身を活性化させ生活の質を高めるアプローチ

非薬物療法は、リハビリテーションや心理療法などを通じて、脳の活性化や精神的な安定を図るアプローチです。薬に頼らずに、ご本人が持っている能力を引き出し、自信や意欲を取り戻すことで、生活の質(QOL)を高めることを目指します。

薬物療法の種類|中核症状と行動・心理症状(BPSD)へのアプローチ

認知症の薬物療法では、治療の対象とする症状によって使われる薬が異なります。主に「中核症状」の進行を遅らせる薬と、「行動・心理症状(BPSD)」を緩和する薬に分けられます。

記憶障害など「中核症状」に処方される薬(抗認知症薬)

記憶障害や見当識障害といった中核症状の進行を遅らせることを目的として、「抗認知症薬」が処方されます。現在、日本で承認されている主な薬剤は以下の通りです。これらの薬は病気を根本的に治すものではありませんが、症状の進行を一定期間遅らせる効果が期待されています。

薬剤名(一般名) 剤形 主な特徴
ドネペジル 飲み薬、貼り薬、ゼリー剤 脳内の神経伝達物質アセチルコリンを増やし神経の働きを助けます。アルツハイマー型、レビー小体型認知症に適用されます。
ガランタミン 飲み薬 アセチルコリンを増やす作用に加え、神経伝達をスムーズにする作用も持ちます。軽度から中等度のアルツハイマー型認知症に用いられます。
リバスチグミン 貼り薬 貼り薬のため、飲み薬が苦手な方や嚥下機能が低下した方でも使用しやすいのが特徴です。軽度から中等度のアルツハイマー型認知症に用いられます。
メマンチン 飲み薬 神経細胞を保護し、記憶や学習に関わる神経の働きを正常に近づけます。中等度から高度のアルツハイマー型認知症に用いられ、興奮や攻撃性を抑える効果も期待できます。

妄想や興奮など「行動・心理症状(BPSD)」に処方される薬

幻覚や妄想、興奮、攻撃性、抑うつといった行動・心理症状(BPSD)が強く、ご本人やご家族の生活に大きな支障が出ている場合には、症状を和らげるための薬が使われます。

抗精神病薬
妄想や興奮を鎮めるために使われますが、副作用のリスクもあるため、専門医による慎重な判断のもとで少量から使用されます。
抗うつ薬
抑うつ気分や意欲の低下、不安感が強い場合に用いられます。
漢方薬
特に「抑肝散(よくかんさん)」は、認知症に伴うイライラや興奮、不眠などの症状を穏やかにする効果が認められており、広く使われています。

薬物療法を安全に続けるためのポイント

薬の効果を最大限に引き出し、副作用を防ぐためには、医師の指示通りに正しく服用することが大前提です。ご家族は、飲み忘れや飲み間違いがないかを見守りましょう。

また、薬の服用後に何か変わった様子や気になる症状がみられた場合は、自己判断で服薬を中止したりせず、すぐに処方した医師や薬剤師に相談することが重要です。

薬に頼らない「非薬物療法」の主な種類と効果

非薬物療法は、ご本人の「できること」に焦点を当て、楽しみながら取り組めるものが多くあります。ご本人の状態や興味に合わせて、様々なアプローチを試してみることが大切です。認知機能の維持や、行動・心理症状(BPSD)の予防・緩和につながります。

心を落ち着かせる心理的アプローチ

ご本人の感情に寄り添い、精神的な安定を図ることで、BPSDの軽減を目指します。

回想法・音楽療法・アニマルセラピー

回想法
昔の写真や懐かしい品物を見ながら、楽しかった思い出を語り合います。過去の記憶を呼び覚ますことで、自信を取り戻し、精神的な安定につながります。
音楽療法
懐かしい歌を聴いたり、みんなで一緒に歌ったり、楽器を演奏したりします。音楽は感情を揺さぶり、脳を活性化させ、不安を和らげる効果があります。
アニマルセラピー
犬や猫などの動物と触れ合うことで、心が癒され、ストレスが軽減される効果が期待できます。穏やかな表情を引き出し、コミュニケーションのきっかけにもなります。

脳の活性化を促すリハビリテーション

脳に適度な刺激を与え、残っている認知機能の維持・向上を目指します。

運動療法・脳トレ・美術療法・園芸療法

運動療法
ウォーキングなどの有酸素運動や簡単な筋力トレーニングは、脳の血流を促進し、気分転換にもなります。運動と計算などを組み合わせる「コグニサイズ」も効果的です。
脳トレ
計算ドリルや漢字の書き取り、パズルなど、ご本人が楽しめる範囲で脳を使う習慣をつけます。認知機能の維持が期待できます。
美術療法・園芸療法
絵を描いたり、粘土で作品を作ったり、草花を育てたりする活動です。指先を使うことで脳が刺激され、作品を完成させる達成感が自信につながります。

日常生活の動作を訓練する生活リハビリテーション

「自分で服を着る」「食事の準備を手伝う」「洗濯物をたたむ」など、日常生活の中での何気ない動作そのものをリハビリテーションと捉える考え方です。役割があるという実感は、ご本人の意欲や自尊心を高め、身体機能の維持にもつながります。

認知症の治療にかかる費用と利用できる公的補助制度

認知症の治療は長期にわたることが多いため、費用面の不安も大きいかと思います。医療費の負担を軽減できる公的制度について知っておきましょう。

薬物療法・非薬物療法の費用目安

認知症の治療は、基本的に医療保険が適用されます。自己負担割合は年齢や所得に応じて1割~3割です。

通院の場合
診察と薬の処方で、医療費の自己負担額は月々数千円から1万円程度がひとつの目安となります。
入院の場合
入院費用は、入院する医療機関の種類や個室の利用の有無、治療内容によって大きく異なります。医療費の負担が高額になった場合でも、次に紹介する「高額療養費制度」などを利用することで、自己負担額を一定に抑えることができます。

医療費の負担を軽減する補助制度

高額療養費制度
1か月の医療費の自己負担額が、年齢や所得によって定められた上限額を超えた場合、その超えた分が払い戻される制度です。
自立支援医療制度(精神通院医療)
認知症も対象となる精神疾患の通院治療にかかる医療費の自己負担が、原則1割に軽減される制度です。所得に応じて月々の自己負担上限額も設定されます。申請窓口はお住まいの市区町村です。
その他
精神障害者保健福祉手帳の交付を受けることで、税金の優遇措置や公共料金の割引などが受けられる場合があります。これらの制度の申請窓口は、お住まいの市区町村の担当課(障害福祉課など)となります。

認知症と診断された後の仕事と生活への支援

特に若年性認知症の場合、診断後の仕事や経済的な問題は深刻です。様々な支援制度がありますので、活用を検討しましょう。

認知症が原因で休業・失業した場合の経済的支援

傷病手当金・失業等給付

傷病手当金
健康保険の被保険者が、病気やケガで連続して3日以上仕事を休み、給与が支払われない場合に、4日目から最長で通算1年6か月の間、給与のおよそ3分の2が支給されます。
失業等給付(失業保険)
雇用保険に加入していた方が失業した場合に、再就職するまでの間の生活を支えるために給付されます。

地域障害者職業センターなどの就労支援

全国に設置されている「地域障害者職業センター」では、障害のある方一人ひとりに合わせた職業リハビリテーション計画を立て、職場復帰や再就職の支援を行っています。ハローワークなどとも連携してサポートを提供します。

認知症の治療とケアに対応できる老人ホーム

治療を続けながら、ご本人やご家族が安心して暮らすための選択肢として、認知症ケアに対応した老人ホームへの入居があります。

認知症専門のケアが受けられるグループホーム

認知症の診断を受けた方が、5~9人の少人数ユニットで共同生活を送る施設です。家庭的な雰囲気の中、認知症ケアの専門知識を持ったスタッフによる支援を受けながら、自立した生活を目指します。協力医療機関との連携も定められています。

医療連携が充実した介護付き有料老人ホーム

介護スタッフが24時間常駐し、施設によっては日中看護師も常駐して医療的ケアを受けられる施設です。協力医療機関との連携が義務付けられており、定期的な往診や緊急時の対応体制などが整っているため、持病のある方や医療ニーズの高い方でも安心して生活できます。

認知症の治療や施設探しは「笑がおで介護紹介センター」へ

認知症の治療と、これからの生活や介護をどう両立させていくか。ご家族だけで悩む必要はありません。専門家の力を借りることで、最適な道筋が見えてきます。

専門の相談員が無料で治療と両立できる暮らしをサポート

「笑がおで介護紹介センター」では、介護の専門知識を持つ相談員が、無料で皆様のご相談をお受けします。治療に関する不安、利用できる制度、そして今後の暮らしの場について、親身になってお話を伺います。

ご本人とご家族に最適な施設をご提案

関西エリアの豊富な施設情報をもとに、ご本人の病状や必要な医療的ケア、そしてご家族の希望に沿った最適な老人ホームをご提案いたします。治療を続けながら、誰もが笑顔で安心して暮らせる環境を、私たちと一緒に探しませんか。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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