認知症における音楽療法の効果とは|種類・やり方・注意点を解説

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認知症における音楽療法の効果とは|種類・やり方・注意点を解説
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「最近、会話が減ってきた父が昔の歌を口ずさむと、少し表情が和らぐ気がする」「認知症の母が穏やかに過ごせるような、何か良い方法はないだろうか」ご家族の認知症の症状と向き合う中で、このように感じている方はいらっしゃいませんか。この記事では、認知症の非薬物療法として注目されている「音楽療法」について、その効果や具体的な方法、安全に取り組むための注意点を詳しく解説します。音楽療法とは、音楽の持つ力を活用して心身の健康をサポートするリハビリテーションの一種です。音楽を聴くだけでなく、歌ったり演奏したりすることで、心を落ち着かせる効果や、脳を活性化させて認知機能の維持を助ける効果が期待できます。この記事を最後までお読みいただければ、ご自宅や介護施設で音楽療法をどのように取り入れられるか、具体的なイメージが湧くはずです。ご本人らしい穏やかな時間を取り戻すためのヒントとして、ぜひお役立てください。

認知症の治療・リハビリに用いる「音楽療法」とは

認知症の進行を緩やかにしたり、症状を緩和したりする方法には、薬物療法のほかに、薬を使わない「非薬物療法」があります。音楽療法は、この非薬物療法の代表的な手法の一つとして、多くの介護現場で実践されています。

まずは、音楽療法の基本的な考え方について理解を深めましょう。

音楽の力を活用して心身を元気にする非薬物療法

音楽療法とは、音楽を聴いたり、演奏したりする活動を通して、心身の機能回復や維持・改善、生活の質の向上を目指すものです。専門的な知識を持つ「音楽療法士」が、対象者の状態や目的に合わせてプログラムを計画し、実施します。

認知症の方に対しては、不安や興奮、抑うつといった行動・心理症状(BPSD)を和らげ、精神的な安定を図ることを主な目的として行われることが多いです。薬による治療と異なり、副作用の心配が少なく、穏やかな気持ちで取り組めるという利点があります。

音楽が持つリラックス効果や、感情を呼び起こす力、記憶を刺激する力などを活用し、ご本人が自分らしく、より豊かな生活を送れるよう支援するのが音楽療法なのです。

聴くだけでなく歌うことや演奏することも含まれる

「音楽療法」と聞くと、静かにクラシック音楽を聴くようなイメージを持つ方がいるかもしれません。しかし、実際には音楽を聴く(受動的音楽療法)だけでなく、自ら歌ったり、楽器を演奏したりする(能動的音楽療法)活動も含まれます。

例えば、懐かしい歌をみんなで歌う「歌唱」、タンバリンや鈴などの簡単な楽器を鳴らす「楽器演奏」、音楽に合わせて手足を動かす「音楽体操」など、その内容は多岐にわたります。

このように、様々な形で音楽に関わることで、聴覚だけでなく、発声や身体運動を伴う活動となり、脳のより広い範囲を刺激することができます。ご本人の興味や関心、その日の体調に合わせて活動内容を選べるのも、音楽療法の大きな特徴です。

音楽療法の2つの種類|受動的音楽療法と能動的音楽療法

音楽療法は、ご本人の関わり方によって「受動的音楽療法」と「能動的音楽療法」の2つに大別されます。それぞれの特徴や目的を理解し、ご本人の状態に合わせて使い分けることが大切です。

ここでは、2種類の音楽療法について、それぞれの定義と具体例を解説します。

療法の種類 概要 具体例
受動的音楽療法 音楽を聴くことを中心としたアプローチです。心身のリラクゼーションや精神的な安定を促すことを主な目的とします。
  • 本人の好きな音楽や思い出の曲を聴く
  • クラシックや自然音などの癒やしの音楽鑑賞
  • 音楽療法士による生演奏を聴く
能動的音楽療法 ご本人が主体的に歌ったり楽器を演奏したりするアプローチです。自己表現や意欲の向上、他者との交流を促すことを目的とします。
  • 童謡や歌謡曲などをみんなで歌う(合唱)
  • カラオケ
  • 鈴やタンバリン、太鼓などの簡単な楽器を演奏する
  • 音楽に合わせて手遊びや体操をする

これらの療法は、どちらか一方だけを行うのではなく、組み合わせて実施されることが一般的です。例えば、まず落ち着いた音楽を聴いてリラックスし(受動的)、その後、みんなで歌を歌って気分を高揚させる(能動的)といった流れが考えられます。

認知症への音楽療法に期待できる6つの効果

音楽療法を認知症ケアに取り入れることで、心身に様々な良い影響が期待できます。音楽療法が認知症の方にもたらす代表的な6つの効果を、具体的なメカニズムとあわせて解説します。これらの効果が、ご本人の生活の質(QOL)向上にどのようにつながるのかを見ていきましょう。

痛みやストレスを和らげ、心を落ち着かせる

好きな音楽やゆったりとした曲調の音楽を聴くと、心身がリラックス状態になります。これは、音楽が自律神経に働きかけ、心拍数や血圧を安定させ、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制するためと考えられています。

認知症に伴う不安や焦燥感、興奮といった症状(BPSD)は、ご本人にとってもご家族にとっても大きな負担となります。音楽の鎮静作用により、こうした症状が緩和され、心が穏やかになる効果が期待できるのです。穏やかな時間を過ごせるようになると、介護する側の負担軽減にもつながります。

脳を活性化させ、認知機能の維持をサポート

音楽に関わる活動は、脳の様々な領域を同時に使う、優れた「脳のトレーニング」です。具体的には、以下のような働きかけが脳を活性化させます。

音楽を聴く
音を処理する「聴覚野」や、記憶を司る「海馬」、感情に関わる「扁桃体」などが活性化します。
歌詞を思い出しながら歌う
過去の記憶を引き出す働きや、言葉を発する言語機能を使います。
楽器を演奏する
楽譜を見て、指を動かし、音を聴くという一連の動作が、脳の認知機能と運動機能を結びつけ、広範囲にわたる神経ネットワークを刺激します。

これらの活動を通じて脳の血流が促進され、神経細胞の働きが活発になることで、記憶力や注意力といった認知機能の維持・向上をサポートする効果が期待されています。

豊かな表情や感情を引き出すきっかけになる

認知症が進行すると、感情の表現が乏しくなり、無表情になることがあります。音楽は、言葉を介さずに直接、人の感情に働きかける力を持っています。

楽しかった頃に聴いた曲、思い出の詰まった曲に触れることで、喜び、懐かしさ、楽しさといった感情が自然に呼び起こされます。普段はあまり表情を変えない方が、音楽を聴いて笑顔になったり、涙を流したり、リズムに合わせて体を揺らしたりと、豊かな感情表現が見られるようになることは少なくありません。

こうした感情の表出は、ご本人の精神的な活性化につながるだけでなく、ご家族や介護者にとっても、ご本人の内面を理解する貴重な機会となります。

自尊心や意欲の向上につながる

「昔得意だった歌を、みんなの前で上手に歌えた」「簡単な楽器でも、みんなとリズムを合わせて演奏できた」といった経験は、ご本人にとって大きな成功体験となります。

認知症になると、できないことが増えて自信を失いがちになりますが、音楽活動を通じて「まだ自分にもできることがある」と感じることは、自尊心や自己肯定感を回復させるきっかけになります。

「またやってみたい」「次はもっと上手に」という意欲が湧き、日々の生活に前向きな気持ちをもたらす効果が期待できます。役割を持つことの喜びは、生きがいにもつながる大切な要素です。

昔の記憶を思い出す「回想法」としての効果

音楽には、特定の記憶や感情を鮮明に呼び起こす力があります。特に、若い頃に流行した歌謡曲や、子どもの頃に歌った童謡などは、その時代の風景や出来事、人間関係といった個人的な記憶と強く結びついています。

懐かしい音楽を聴くことで、忘れていた昔の記憶を思い出すことがあります。これは「回想法」と呼ばれる心理療法の一つで、過去の経験を語り合うことを通じて、精神的な安定や自己肯定感の向上を図るものです。音楽は、この回想法のきっかけとして非常に有効なツールとなります。

昔の思い出を語ることで、ご本人は自分自身の人生を再確認し、アイデンティティを保つことにつながります。

他者とのコミュニケーションを円滑にする

合唱や合奏など、集団で行う音楽活動は、他者との自然なコミュニケーションを生み出します。言葉での会話が難しくなった方でも、音楽という共通の体験を通じて、他者と気持ちを分かち合い、一体感を得ることができます。

一緒に歌ったり、演奏したりすることで、互いに笑顔を交わしたり、自然と会話が生まれたりする場面が多く見られます。これにより、他者への関心が促され、閉じこもりがちな生活から社会的な交流へとつながるきっかけが生まれます。

他者とのつながりを感じることは、孤独感の解消や精神的な安定に大きく貢献します。

音楽療法の実施例|自宅や介護施設での取り組み方

音楽療法は、専門家でなければ実施できない難しいものではありません。ご本人が安心して楽しめる環境さえ整えれば、ご自宅でも介護施設でも気軽に取り入れることができます。ここでは、具体的な取り組みのアイデアをご紹介します。

自宅で家族とできる音楽療法のアイデア

ご家庭では、ご家族が一緒に楽しむ姿勢が何よりも大切です。無理強いせず、日常生活の中に自然な形で取り入れてみましょう。

思い出の曲を流す
CDや音楽配信サービス、ラジオなどを利用して、ご本人が好きだった曲や青春時代に聴いていた曲を一緒に聴きます。「この曲、昔よく聴いたね」などと話しかけることで、会話のきっかけにもなります。
一緒に歌う
童謡、唱歌、懐かしい歌謡曲など、ご本人が知っている歌を一緒に歌ってみましょう。歌詞カードを用意すると、より歌いやすくなります。カラオケ機器があれば、活用するのも良いでしょう。
簡単な楽器に触れる
鈴やカスタネット、タンバリンなど、特別な技術がなくても音を出せる簡単な楽器を用意し、音楽に合わせて鳴らしてみます。リズムに乗って体を動かす楽しさを感じられます。
音楽番組を観る
テレビの歌番組や音楽祭などを一緒に観るのも一つの方法です。映像とともに音楽を楽しむことで、より一層、興味や関心を引き出すことができます。

介護施設でのレクリエーションとしての音楽療法

多くの老人ホームやデイサービスでは、レクリエーション活動の一環として音楽療法が積極的に取り入れられています。専門の音楽療法士が定期的に訪問してセッションを行う施設もあれば、介護スタッフが中心となって実施する施設もあります。

施設での音楽活動は、集団で行われることが多いため、他者と交流する良い機会となります。

合唱・歌の会
季節の歌や懐かしい名曲などを、入居者とスタッフが一体となって歌います。一体感が生まれ、社会的な孤立を防ぐ効果が期待できます。
楽器演奏会
ハンドベルやトーンチャイム、簡単な打楽器などを使って、全員で一つの曲を演奏します。自分の役割を果たすことで、達成感や満足感を得られます。
音楽鑑賞会
ボランティアの演奏家を招いたり、良質な音響設備で音楽を聴いたりする機会を設けている施設もあります。質の高い音楽に触れることは、心に深い感動と安らぎを与えます。

施設見学の際には、どのような音楽レクリエーションが行われているか、入居者の皆さんがどのような表情で参加しているかを確認してみることをお勧めします。

音楽療法を安全に楽しむための4つの注意点

音楽療法は多くのメリットがある一方で、実施する際にはいくつか配慮すべき点があります。ご本人の心身の状態を第一に考え、無理なく安全に楽しめるように、以下の4つの注意点を心がけましょう。

本人の聴力に合わせた音量に調整する

高齢になると、聴力が低下している方が少なくありません。ご本人にとって快適な音量に調整することが非常に重要です。

音が小さすぎると聞こえにくく、興味を失ってしまう原因になります。反対に、音が大きすぎると不快に感じたり、耳に負担をかけたりすることがあります。特に補聴器を使用している場合は、ハウリング(キーンという音)が起きやすくなるため注意が必要です。

音楽を流し始めたら、ご本人の表情をよく観察し、「このくらいの音量で大丈夫ですか?」と確認しながら、最適な音量を見つけていきましょう。

疲れやすさに配慮し、短時間から始める

認知症の方は、集中力が長く続かなかったり、疲れやすかったりする傾向があります。楽しい活動であっても、長時間続けると心身の負担になってしまうことがあります。

最初は15分から30分程度の短い時間から始め、ご本人の様子を見ながら時間を調整するのが良いでしょう。途中で疲れた様子が見られたり、飽きているように感じられたりしたら、無理に続けずに休憩を挟むか、その日は終わりにする柔軟な対応が大切です。

「楽しかった」というポジティブな気持ちで終えることが、次への意欲につながります。

本人の好みや思い出の曲を尊重する

音楽療法の効果を最大限に引き出すためには、選曲が非常に重要です。「一般的に高齢者向けだから」という理由だけで曲を選ぶのではなく、ご本人の好みや人生の背景を尊重しましょう。

若い頃に好きだった歌手、青春時代に聴いていた音楽、結婚式で流した曲など、その人にとって特別な意味を持つ曲は、感情や記憶を呼び覚ます強い力を持っています。

ご本人に直接尋ねるのが難しい場合は、ご家族から情報を得たり、様々なジャンルの曲を少しずつ聴かせて反応を見たりしながら、お気に入りの曲を探していくと良いでしょう。たとえ良かれと思って選んだ曲でも、ご本人が好まない場合は無理強いしないことが原則です。

心身の状態をよく観察し無理強いしない

音楽療法は、あくまでもご本人が楽しむことが目的です。その日の体調や気分によっては、音楽を聴きたくない、活動に参加したくないという日もあるでしょう。

活動を始める前には、必ずご本人の体調や気分を確認し、参加の意思を尊重してください。表情がすぐれなかったり、嫌がるそぶりを見せたりした場合は、決して無理強いしてはいけません。

無理に参加させると、音楽そのものに対してネガティブな印象を持ってしまう可能性があります。「いつでもやめられる」という安心感が、結果的にリラックスした参加へとつながります。常に「ご本人のペース」を最優先に考えましょう。

音楽療法などのレクリエーションが充実した老人ホーム

認知症ケアにおいて、日中の活動は心身の状態を安定させるために非常に重要です。音楽療法をはじめとするレクリエーションが充実している老人ホームは、入居後の生活の質(QOL)を大きく左右するポイントになります。

レクリエーションの一環として音楽療法を取り入れている施設

近年、多くの介護施設が音楽の持つ力を重視し、レクリエーションの一環として音楽療法を積極的に導入しています。専門の音楽療法士と契約し、質の高いプログラムを定期的に提供している施設も増えています。

施設を選ぶ際には、パンフレットやウェブサイトでレクリエーションの活動内容を確認するだけでなく、実際に見学に行って、音楽活動の様子を見てみることをお勧めします。入居者の方々が生き生きとした表情で参加しているか、楽しそうな雰囲気であるかなどを肌で感じることで、その施設がご本人に合っているかどうかを判断する材料になります。

入居者が楽しめるプログラムが豊富な施設

音楽療法だけでなく、体操、園芸、書道、絵画、脳トレなど、多彩なレクリエーションプログラムを用意している施設は、入居者が飽きることなく、日々の生活に楽しみや張り合いを見つけやすい環境と言えます。

ご本人がもともと持っていた趣味や興味を継続できるか、あるいは新しいことに挑戦できる機会があるかどうかも大切な視点です。様々な選択肢があることで、その日の気分や体調に合わせて活動を選ぶことができ、より主体的な生活を送ることにつながります。

充実したレクリエーションは、心身機能の維持向上だけでなく、他の入居者との交流を促し、孤独感の解消や新たな人間関係の構築にも役立ちます。

認知症のケアや施設探しは「笑がおで介護紹介センター」へ

ご本人に合った介護施設を見つけることは、穏やかで安心できる生活を送るための第一歩です。しかし、数多くの施設の中から最適な一つを選ぶのは、ご家族だけでは難しい場合も少なくありません。

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「笑がおで介護紹介センター」では、介護施設の選び方に関するあらゆるご相談に、専門の相談員が無料でお応えしています。ご本人の心身の状態やご希望、ご予算などを丁寧にお伺いし、数ある選択肢の中から最適な施設をご提案いたします。関西エリア(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、三重)の介護施設情報に精通した私たちに、ぜひお気軽にご相談ください。

レクリエーションが充実した施設をご提案

今回のテーマである音楽療法はもちろんのこと、「レクリエーションが充実している施設」「認知症ケアに力を入れている施設」など、お客様の具体的なご要望に沿った施設探しを得意としています。入居後の生活がより豊かになるよう、ご本人様、ご家族様のお気持ちに寄り添い、全力でサポートさせていただきます。

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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