遠距離介護とは?かかる費用や準備すべきこと、限界を感じた時の対処法を解説

「実家の親が最近、少し心配になってきた」「でも、自分は遠方に住んでいて、すぐには駆けつけられない」そんな悩みを抱えていませんか? 親と離れて暮らしながら介護に関わる「遠距離介護」は、今や特別なことではなく、多くの人が直面する可能性のある課題です。いざ遠距離介護が始まると、何から手をつければ良いのか、費用はどれくらいかかるのか、不安に思うことも多いでしょう。しかし、事前にポイントを押さえて準備をしておくことで、親と自分の負担を減らし、円滑に介護を進めることが可能です。この記事では、遠距離介護にかかる費用の内訳から、具体的な準備やポイント、メリット・デメリット、そして親子が共倒れになる前に知っておきたい対処法まで、網羅的に解説します。遠距離介護への不安を解消し、前向きな一歩を踏み出すためのヒントとして、ぜひお役立てください。
遠距離介護とは?離れて暮らす親を介護すること
遠距離介護とは、介護が必要な親と子が離れた場所に住みながら、子が親の介護に関わるスタイルを指します。明確な距離の定義はありませんが、一般的には「何かあった時にすぐに駆けつけられない距離」での介護を指す場合が多く、新幹線や飛行機などの利用が必要な距離が該当します。
遠距離介護の割合と増加している理由・背景
現代の日本では、遠距離介護は珍しいことではありません。総務省の調査などによると、65歳以上の親と子が別居している割合は増加傾向にあります。これは、核家族化の進行や、進学・就職を機に子が都市部へ移り住み、そのまま定住するライフスタイルが一般的になったことが大きな要因です。親世代が高齢になり介護が必要になった際、子世代はすでに遠方で家庭や仕事を築いているケースが多く、結果的に遠距離で介護に関わらざるを得ない状況が生まれています。この傾向は今後も続くと考えられ、遠距離介護はますます身近な課題となっていくでしょう。
【内訳別】遠距離介護でかかる費用の目安
遠距離介護では、親の生活を支えるための費用と、介護する子自身が負担する費用の両方が発生します。どのような費用がかかるのか、事前に把握しておくことが大切です。
親の介護に直接かかる費用
親が自宅で生活を続けるために必要となる費用です。親の年金や貯蓄から支払うのが基本ですが、不足分は子が支援することも少なくありません。
介護サービス費や医療費
要介護認定を受けると、介護保険サービスを所得に応じて1割から3割の自己負担で利用できます。訪問介護やデイサービスなどの利用料がこれにあたります。また、持病の治療や定期的な通院にかかる医療費も必要です。
住宅改修費や福祉用具のレンタル・購入費
自宅で安全に暮らすために、手すりの設置や段差の解消といった住宅改修が必要になることがあります。介護保険を利用すれば、上限20万円までの工事費のうち、所得に応じた自己負担額(1割から3割)を差し引いた額が支給されます。また、介護用ベッドや車いすのレンタル、ポータブルトイレなどの購入にも介護保険が適用されます。
介護する側(子)の負担費用
遠距離介護ならではの、子が直接負担することになる費用です。家計に直接影響するため、計画的な管理が求められます。
帰省のための交通費・宿泊費
遠距離介護において大きな負担となりやすいのが、親元へ帰省するための費用です。距離が遠いほど、また帰省の頻度が高いほど、その負担は大きくなります。例えば、東京・大阪間を新幹線で月に1回往復する場合、年間で30万円以上の出費になることもあります。緊急時には飛行機を利用したり、宿泊が必要になったりするなど、想定以上の費用がかかる可能性も考慮しておきましょう。
電話やオンラインでの通信費
親とのこまめな連絡は欠かせません。電話代はもちろん、近年ではスマートフォンのビデオ通話を利用したり、親の様子を確認するために見守りカメラを設置したりするケースも増えています。これらの通信費や機器の購入・利用料も継続的にかかる費用です。
始める前に知っておきたい遠距離介護のメリット・デメリット
遠距離介護には、同居介護にはない利点がある一方で、特有の難しさも存在します。両方の側面を理解しておくことで、課題への対策を立てやすくなります。
遠距離介護の3つのメリット
メリット1:親の生活環境を変えずに済む
高齢になると、新しい環境への適応が難しくなることがあります。遠距離介護では、親は住み慣れた自宅で、長年築いてきた近所付き合いや地域のコミュニティとの関係を維持しながら生活を続けることができます。これは、親にとって大きな精神的安定につながるという利点があります。
メリット2:介護離職のリスクを避けられる
親の介護を理由に仕事を辞める「介護離職」は、大きな社会問題です。遠距離介護は、子が自身のキャリアや生活基盤を維持したまま、親の介護に関わることができるという大きなメリットがあります。仕事や自身の家庭との両立がしやすい介護スタイルです。
メリット3:適度な距離感で良好な親子関係を保ちやすい
常に一緒にいる同居介護では、お互いにストレスが溜まり、関係が悪化してしまうことも少なくありません。物理的な距離があることで、お互いに干渉しすぎず、ほどよい距離感を保つことが可能です。会う時には新鮮な気持ちで優しく接することができ、良好な親子関係を維持しやすいという側面があります。
遠距離介護の3つのデメリット
デメリット1:緊急時の対応が難しい
遠距離介護における最大の課題が、緊急時の対応です。親が転倒して骨折した、急に倒れたといった緊急事態が発生しても、すぐに駆けつけることができません。到着するまでの間、親は一人で不安な時間を過ごすことになり、子も何もできずにもどかしい思いをします。
デメリット2:心身と経済的な負担が大きい
前述の通り、帰省にかかる交通費や時間は大きな経済的・時間的負担となります。それに加え、「親は元気にしているだろうか」「何か困っていないだろうか」と常に親を気にかける精神的な負担も無視できません。心身ともに疲弊してしまう可能性があります。
デメリット3:親の心身の変化に気づきにくい
定期的にしか会えないため、親の心身の細かな変化を見逃しがちです。「少し痩せた」「物忘れが増えた」といった変化は、病気の初期サインである可能性もあります。電話の声だけでは分からないことも多く、認知症や病気の発見が遅れてしまうリスクが考えられます。
遠距離介護を円滑に進めるための準備とポイント
遠距離介護のデメリットを克服し、円滑に進めるためには、事前の準備と体制づくりが不可欠です。以下のポイントを参考に、できることから始めてみましょう。
まずは家族・兄弟で役割分担を話し合う
介護は一人で抱え込むものではありません。兄弟姉妹がいる場合は、必ず事前に話し合いの場を持ち、それぞれの状況に合わせて役割分担を決めましょう。「誰が、何を、どこまでやるのか」を明確にし、お互いに協力し合う姿勢が大切です。
- 帰省担当
- 実家に一番近い、あるいは比較的移動しやすい人が中心になる。
- 金銭管理・手続き担当
- お金の管理が得意な人が、介護費用の管理や行政手続きを担当する。
- 情報収集担当
- インターネットなどで介護サービスや制度の情報を集める。
- 金銭的支援
- 帰省などが難しい場合、費用面でサポートする。
親の状況と考えを正確に把握する
心身の状態と生活状況の確認
帰省した際には、親の健康状態や日常生活の様子をさりげなく確認しましょう。冷蔵庫の中に賞味期限切れの食品はないか、掃除は行き届いているか、薬はきちんと飲めているかなどをチェックします。また、どんなことに困っているのか、今後どうしたいのか、親自身の気持ちをしっかりと聞くことが重要です。
お金(資産)の管理と詐欺被害の防止
介護にはお金がかかります。親の年金額や預貯金、保険、不動産といった資産状況を把握し、介護費用をどう捻出するか親子で話し合っておく必要があります。また、高齢者を狙った詐欺被害も増えているため、不審な電話や訪問がないか確認し、対策を講じておくことも大切です。
キーパーソンとなるケアマネジャーを見つける
遠距離介護を円滑に進めるためには、現地の「キーパーソン」の存在が非常に重要です。その中心となるのが、介護の専門家であるケアマネジャー(介護支援専門員)です。ケアマネジャーは、親の状況を客観的に評価し、必要な介護サービスの計画(ケアプラン)を作成するほか、様々な相談に応じてくれます。信頼できるケアマネジャーを見つけるため、まずは親が住む地域の「地域包括支援センター」に相談しましょう。
地域の協力体制を構築する
子が離れていても親が安心して暮らすためには、地域の人の協力が不可欠です。
近所の人とのコミュニケーション
帰省した際には、日頃から親がお世話になっているご近所の方に挨拶をし、良好な関係を築いておきましょう。「何かあったら、こちらの携帯に連絡をください」と連絡先を伝えておくだけでも、いざという時の安心につながります。
民生委員や地域包括支援センターとの連携
民生委員は、地域住民の身近な相談相手として、行政との橋渡し役を担うボランティアです。定期的な見守り活動を行っている場合もあるため、担当の民生委員と連絡を取っておくと心強いでしょう。また、介護に関する総合相談窓口である地域包括支援センターは、遠距離介護の強い味方です。地域の情報に精通しているため、積極的に連携を図りましょう。
活用できるサービスや制度を調べる
遠距離介護を支える様々なサービスや制度があります。これらを積極的に活用しましょう。
介護保険サービスの種類と手続き
訪問介護(ホームヘルプ)、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)などを組み合わせることで、親の在宅生活を支えることができます。これらのサービスを利用するには、お住まいの市区町村から要介護認定を受ける必要があります。まずは地域包括支援センターに相談して手続きを進めましょう。
介護休暇・介護休業制度
会社員の場合、要介護状態の家族を介護するために休暇を取得できる制度があります。「介護休暇」は対象家族が1人の場合で年5日まで(2人以上なら年10日まで)1日または時間単位で、「介護休業」は対象家族1人につき通算93日まで取得できます。親のケアや手続きのために帰省する際に活用できますので、会社の就業規則を確認してみましょう。
ICT機器や緊急通報システムの導入
テクノロジーの活用も有効です。室内にカメラを設置してスマートフォンのアプリで様子を確認できる「見守りカメラ」や、人の動きを検知して通知する「人感センサー」、ボタン一つで警備会社や家族につながる「緊急通報システム」などがあります。これらを導入することで、離れていても親の安全を見守りやすくなります。
親子が倒れる前に…遠距離介護に限界を感じたときの選択肢
万全の準備をしても、親の介護度が上がったり、子の負担が限界に達したりすることがあります。介護で親子が共倒れになってしまう前に、次なる選択肢を検討することも大切です。
呼び寄せ介護(同居・近居)を検討する
親を自分の住まいの近くに呼び寄せて介護をする「呼び寄せ介護」も一つの方法です。同じ家で暮らす「同居」や、近くのアパートなどで暮らす「近居」といった形があります。緊急時にすぐ対応できる安心感がある一方、親にとっては住み慣れた土地を離れるという大きな変化が伴います。また、子の介護負担が増える可能性もあるため、親子でよく話し合い、慎重に検討する必要があります。
老人ホーム・介護施設への入居を考える
在宅での生活が難しくなった場合、介護のプロが24時間体制でケアをしてくれる老人ホームや介護施設への入居も有力な選択肢です。子の精神的・身体的負担が大幅に軽減され、親も安全な環境で専門的なケアを受けられるようになります。施設には様々な種類があるため、親の状態や希望に合った場所を選ぶことが重要です。
介護付き有料老人ホーム
介護スタッフが24時間常駐し、食事や入浴、排泄の介助といった介護サービスから、掃除、洗濯などの生活支援、レクリエーションまで提供する施設です。介護度が重くなっても住み続けられる「終身利用権方式」が一般的です。
住宅型有料老人ホーム
食事サービスや見守りなどの生活支援が中心の施設です。介護が必要な場合は、外部の訪問介護やデイサービスといった介護保険サービスを個別に契約して利用します。比較的、自立度の高い方向けの施設です。
サービス付き高齢者向け住宅
バリアフリー構造の賃貸住宅で、「安否確認」と「生活相談」サービスの提供が義務付けられています。自由度の高い暮らしを送りながら、必要に応じて外部の介護サービスなどを利用できます。
グループホーム
認知症の診断を受けた高齢者が、5人から9人の少人数単位で共同生活を送る施設です。家庭的な雰囲気の中で、専門スタッフの支援を受けながら、料理や掃除などを分担して行い、自立した生活を目指します。
遠距離介護や老人ホーム探しでお困りなら「笑がおで介護紹介センター」へご相談を
遠距離介護には多くの悩みや不安がつきものです。特に、いよいよ在宅での生活が難しくなった時の施設探しは、遠方に住んでいるとなかなか進められないものです。
「笑がおで介護紹介センター」では、遠距離介護に関するお悩みや、親御さんのための老人ホーム探しを、介護の専門知識が豊富な相談員が無料でサポートいたします。関西エリア(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、三重)の施設情報に精通しておりますので、ご実家が関西にある方はぜひお気軽にご相談ください。ご希望に合った施設のご提案から見学のセッティングまで、責任をもってお手伝いいたします。

監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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