老人ホームの費用が払えないときの対処法|利用できる制度や相談先を解説

老人ホームへの入居は、安心したセカンドライフを送るための大切な選択肢ですが、「もし将来、費用が払えなくなったら…」という不安をお持ちの方も少なくないでしょう。結論からお伝えすると、万が一費用が払えなくなっても、決して一人で抱え込む必要はありません。すぐに専門家へ相談し、利用できる公的な負担軽減制度や資産活用方法を検討することで、解決の道筋を見つけることが可能です。場合によっては、より費用の安い施設へ転居するという選択肢もあります。
この記事では、老人ホームの費用が払えなくなった場合に起こりうること、その主な理由から、具体的な対処法、そして将来困らないための予防策までを詳しく解説します。いざという時に慌てないためにも、正しい知識を身につけておきましょう。
老人ホームの費用が払えないとどうなる?滞納のリスク
まずは施設からの督促
もし老人ホームの費用を滞納してしまった場合、すぐに退去を求められるわけではありません。一般的には、まず施設から電話や書面で支払いを促す連絡が入ります。
この最初の段階で、支払いが難しい事情を正直に説明し、相談することが非常に重要です。一時的な資金繰りの問題であれば、支払い期限の延期など、柔軟に対応してもらえる可能性があります。放置してしまうと、最終的に契約解除に至るため、早期の相談が鍵となります。
連帯保証人・身元引受人への請求
本人による支払いが困難な場合、次に請求の連絡がいくのが「連帯保証人」や「身元引受人」です。
入居契約時に連帯保証人を立てている場合、本人と同等の支払い義務を負うため、施設は連帯保証人に対して滞納している費用を請求します。多くの場合、子どもや親族が連帯保証人になっているため、家族に大きな負担をかけてしまうことになります。入居前に契約書の内容をしっかりと確認しておくことが大切です。
契約解除と退去勧告
督促や連帯保証人への請求を経てもなお支払いがされない場合、施設側は契約内容に基づき、契約解除の手続きを進めることになります。
契約が解除されると、施設からの退去を求められます。法的な手続きを経て退去勧告に至るケースもあり、新たな住まいを探さなければなりません。このような事態を避けるためにも、支払いが困難になった時点で速やかに施設へ相談することが不可欠です。
老人ホームの費用が払えなくなる主な理由
入居時の資金計画が不十分だった
老人ホームの費用が払えなくなる最も多い理由の一つが、入居当初の資金計画の見通しの甘さです。年金収入や貯蓄額だけを基に、長期的な視点での収支計画を立てていないケースが少なくありません。
平均寿命が延びている現代では、想定よりも長生きすることで、用意していた資金が尽きてしまうリスクも考慮しておく必要があります。
想定外の医療費や介護費が発生した
入居後に病気やけがで入院・手術が必要になったり、認知症が進行して要介護度が上がったりすると、当初の想定を上回る費用が発生することがあります。
例えば、月額利用料とは別に、医療機関への通院費や薬代、介護保険サービス利用料の自己負担額が増えることなどが挙げられます。おむつ代や特別な介助費用といった日々の出費も、積み重なると大きな負担になり得ます。
年金の減少や貯蓄が底をついた
公的年金の支給額は、物価や賃金の変動に応じて改定される「マクロ経済スライド」が導入されており、将来的に減額される可能性も考えられます。
また、インフレによる物価上昇は日々の生活費を増加させ、予想よりも早く貯蓄が減少してしまう原因にもなります。長期的な経済動向の変化が、個人の資金計画に影響を及ぼすことも少なくありません。
保証人である子ども世代の経済状況の変化
入居者本人ではなく、費用を援助している、あるいは連帯保証人になっている子どもの経済状況の変化も大きな要因です。
子どもの失業や転職による収入減、病気、孫の教育費の増大など、予期せぬライフイベントによって、親への経済的支援が困難になるケースもあります。
費用が払えないかも…まずはすぐに相談を
支払いが難しいと感じたら、決して一人で悩まず、できるだけ早い段階で専門家に相談することが解決への第一歩です。主な相談先をご紹介します。
入居中の施設の施設長やケアマネジャー
まず最初に相談すべきは、現在入居している施設の責任者である施設長や、担当のケアマネジャーです。施設の事情を最もよく理解しており、支払い計画の見直しや、施設内で利用できる安価なプランへの変更など、内情に応じた現実的な解決策を一緒に考えてもらえる可能性があります。
担当のケアマネジャー(居宅介護支援事業所)
在宅サービスを利用していた時からの担当ケアマネジャーがいる場合や、施設外の居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーに相談するのも有効です。
介護保険サービスの専門家として、現在のケアプランが最適かを見直し、より負担の少ないサービスの組み合わせを提案してくれるでしょう。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを支えるための公的な総合相談窓口です。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職が在籍しており、介護、医療、福祉、権利擁護など、様々な相談に無料で応じてくれます。利用できる公的な制度や、地域の社会資源について情報提供を受けられます。
市区町村の役所の担当窓口
お住まいの市区町村の役所にある「介護保険課」や「高齢福祉課」といった窓口も重要な相談先です。後述する公的な負担軽減制度の申請手続きは、基本的に役所の窓口で行います。具体的な制度利用について、直接相談することが可能です。
【費用負担を軽減】利用できる公的な減免・助成制度
介護保険制度には、所得の低い方や、一時的に費用負担が大きくなった方のための負担を軽減する仕組みが設けられています。これらの制度を正しく利用することで、支払いの負担を大きく減らせる可能性があります。
特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)|食費・居住費の負担を軽減
この制度は、介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院など)やショートステイを利用する際に、所得や資産が一定基準以下の方を対象に、食費と居住費の負担を軽減するものです。「負担限度額認定」とも呼ばれます。
対象者
世帯全員が市区町村民税非課税で、預貯金等の資産が一定額以下の方が対象です。所得等に応じて負担段階が分かれており、それぞれに食費・居住費の上限額が定められています。
- 対象資産
- 預貯金(普通・定期)、有価証券、金・銀、投資信託、タンス預金など
- 資産要件(目安)
- 単身で1,000万円以下、夫婦で2,000万円以下
※配偶者が課税者の場合や、世帯分離している場合など、条件は細かく規定されています。
申請方法
市区町村の介護保険担当窓口に「介護保険負担限度額認定申請書」と資産を証明する書類(預金通帳の写しなど)を提出します。認定されると「介護保険負担限度額認定証」が交付され、施設に提示することで減額が適用されます。
高額介護サービス費|介護保険サービスの自己負担上限額を超えた分を還付
介護保険サービスを利用した際の1ヶ月の自己負担額(1割~3割)が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度です。
自己負担上限額(月額)の例
| 所得区分 | 自己負担上限額(月額) |
|---|---|
| 現役並み所得者 (課税所得380万円以上など) |
44,400円(世帯)~140,100円(世帯) ※所得に応じて3段階に分かれます |
| 市区町村民税課税世帯 (上記以外) |
44,400円(世帯) |
| 市区町村民税非課税世帯 | 24,600円(世帯) |
| 生活保護受給者など (非課税世帯で特に所得の低い方) |
15,000円(個人) |
※同じ世帯に複数の利用者がいる場合は合算できます。
※食費、居住費、日常生活費などは対象外です。
※詳細な所得区分や上限額は市区町村にご確認ください。
高額医療・高額介護合算療養費制度|医療費と介護費の負担を合算して軽減
この制度は、医療保険と介護保険の両方を利用している世帯の負担を軽減するためのものです。毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間にかかった医療費と介護費の自己負担額を合算し、世帯の所得に応じた上限額を超えた場合に、その超過分が支給されます。医療費か介護費のどちらか一方の負担がそれほど高くなくても、両方を合わせることで対象となる場合があります。
自治体独自の助成制度や減免措置
国が定める制度のほかに、市区町村が独自に高齢者福祉のための助成制度や、施設利用料の減免措置を設けている場合があります。内容は自治体によって様々ですので、お住まいの地域の役所窓口や地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。
【資産を活用】持ち家などを利用した資金調達方法
預貯金が少なくなっても、持ち家などの不動産資産がある場合には、それを活用して資金を調達する方法があります。
リバースモーゲージ|自宅を担保に金融機関から融資を受ける
自宅を担保にして、金融機関から生活資金を融資してもらう仕組みです。契約者が亡くなった際に、担保である自宅を売却するなどして借入金を一括返済します。
メリット
- 自宅に住み続けながら(または空き家にして)融資を受けられる
- 毎月の返済は利息分のみで、元金は死亡時に一括返済するのが一般的
注意点
- 不動産評価額や年齢、対象地域など、金融機関ごとに利用条件が異なる
- 金利上昇リスクや不動産価格下落リスクがある
- 原則として、推定相続人(子どもなど)の同意が必要
不動産担保型生活資金|自宅を担保に社会福祉協議会から融資を受ける
これは、都道府県の社会福祉協議会を主体として実施されている公的なリバースモーゲージ制度です。低所得の高齢者世帯を対象としています。
対象者
原則として65歳以上で、世帯の構成員が市区町村民税非課税であるなど、一定の所得要件を満たす方が対象です。
特徴
居住用の不動産(土地の評価額が自治体の定める基準以上)を担保に、生活資金の貸付を行います。貸付上限額は月30万円以内で、連帯保証人が原則1名必要です。金融機関のリバースモーゲージより利用条件はありますが、公的な制度としての安心感があります。
マイホーム借り上げ制度|自宅を貸して家賃収入を得る
一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)が提供する制度で、50歳以上の方のマイホームをJTIが借り上げ、子育て世帯などに転貸(サブリース)するものです。
メリット
- JTIが借主となるため、入居者がいなくても最低保証額の家賃収入が保証される
- 入居者とのやり取りや管理はJTIが行うため、手間がかからない
- 終身にわたって貸し出すことができ、安定した収入源を確保できる
注意点
- 建物の状態によっては、利用するために一定の修繕が必要になる場合がある
- 制度を利用するには査定や審査がある
現在の施設での支払いが難しい場合の選択肢
様々な負担軽減策を講じてもなお、現在の施設での支払いが困難な場合は、より費用の安い施設への転居を検討することも重要な選択肢です。
より費用の安い老人ホームへ転居する
特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設
特別養護老人ホーム(特養)は、地方公共団体や社会福祉法人が運営する公的な施設です。民間施設に比べて費用が安価なため人気が高く、入居待機者が多いのが現状です。入居は原則として要介護3以上の方に限られます。費用を抑えたい場合の有力な選択肢ですが、すぐに入居できるとは限らない点に注意が必要です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や軽費老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、安否確認や生活相談サービスが付いたバリアフリー対応の賃貸住宅です。必要な介護サービスは別途契約するため、自立度が高い方であれば費用を抑えられる場合があります。また、軽費老人ホーム(ケアハウスなど)も、比較的低料金で食事や生活支援サービスを受けられる施設です。
民間の有料老人ホームでも費用が安い施設を探す
「民間の有料老人ホームは高い」というイメージがあるかもしれませんが、施設の種類や立地、サービス内容によって価格帯は非常に幅広いです。入居一時金が不要な「月額払いプラン」の施設や、都心部から離れた郊外の施設など、費用を抑えられる選択肢も数多く存在します。
最後のセーフティーネット「生活保護」の受給を検討する
あらゆる手段を尽くしても生活が困窮し、費用が支払えない場合の最後のセーフティーネットとして生活保護制度があります。
生活保護を受給するための要件
生活保護は、資産や能力など、活用できるものはすべて活用し、扶養義務者の援助を受けてもなお、国が定める最低生活費に満たない場合に、その不足分を補う制度です(補足性の原理)。
そのため、預貯金や不動産、生命保険などの資産があれば原則として売却して生活費に充てる必要があり、働ける能力があれば働くこと、親族からの援助を受けられる場合は受けることが前提となります。
生活保護で老人ホームに入居する流れと注意点
生活保護を受給しながら老人ホームに入居するには、まず福祉事務所に相談し、ケースワーカーの許可を得る必要があります。入居できるのは、生活保護受給者を受け入れている施設に限られます。
介護費用は「介護扶助」、家賃相当額は「住宅扶助」、その他の生活費は「生活扶助」として支給されるため、自己負担なく入居できる場合があります。ただし、選択できる施設は限られるという点を理解しておく必要があります。
将来のために!老人ホームの費用で困らないための予防策
ここまで費用が払えなくなった場合の対処法を見てきましたが、最も大切なのは、そもそもそうした事態に陥らないように事前に備えておくことです。
無理のない資金計画を立てる
入居を検討する際は、ご自身の年金収入、預貯金、その他の資産を正確に把握し、長期的な視点で無理のない資金計画を立てることが不可欠です。施設の費用だけでなく、ご自身の生活にどれくらいお金がかかるのかをシミュレーションし、余裕を持った計画を心がけましょう。
追加費用も考慮したシミュレーションを行う
月額利用料に含まれるサービスと、別途費用がかかるサービス(オプションサービス)をしっかりと確認しましょう。医療費、介護用品費、理美容代、嗜好品購入費など、月額利用料以外に発生する可能性のある費用もリストアップし、総額でいくらかかるのかを試算しておくことが重要です。
家族や親族と事前に話し合い協力体制を築く
お金の話はデリケートですが、万が一の時に誰がどのようにサポートするのか、家族や親族間で事前に話し合っておくことは非常に大切です。親の資産状況や将来の介護についての意向を共有し、協力体制を築いておくことで、いざという時にスムーズに対応でき、家族間のトラブルを防ぐことにも繋がります。
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このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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