【認知症の症状】初期症状から進行、種類別の特徴までわかりやすく解説

「最近、親のもの忘れがひどくなった気がする」「もしかして認知症の始まり…?」ご家族の言動に変化が見られると、誰もが不安になるものです。認知症は、決して特別な病気ではなく、高齢化に伴い誰にでも起こりうる身近な脳の病気です。結論からお伝えすると、認知症の症状は、脳の機能が低下することで直接起こる「中核症状」と、ご本人の性格や周りの環境などが影響して起こる「行動・心理症状(BPSD)」の2つに大別されます。 そして、原因となる病気の種類や進行度によって、症状の現れ方は人それぞれ異なります。この記事では、認知症のサインを見逃さないための初期症状から、加齢によるもの忘れとの違い、症状の種類、進行に合わせた変化、そして代表的な認知症のタイプ別の特徴まで、網羅的にわかりやすく解説します。認知症への理解を深め、適切な対応や施設選びに繋げるための一助となれば幸いです。
もしかして認知症?初期症状と「加齢によるもの忘れ」との違い
「もの忘れ」は歳を重ねれば誰にでも見られる現象ですが、認知症の初期症状である「記憶障害」とは質的に異なります。まずは、認知症のサインとして考えられる症状と、「加齢によるもの忘れ」との違いを正しく理解することが大切です。
【簡単チェック】認知症の初期症状のサイン
ご本人やご家族に以下のような変化が見られる場合、認知症の初期症状の可能性があります。複数当てはまる場合は、一度専門機関に相談してみることをお勧めします。
- 同じことを何度も言ったり、聞いたりする
- 物の名前がなかなか出てこなくなった
- 物の置き忘れやしまい忘れが増えた
- 今日が何月何日かわからない時がある
- 慣れているはずの道で迷うことがあった
- 以前はあった興味や関心が薄れてきた
- ささいなことで怒りっぽくなった
- 服装に無頓着になるなど、身なりを気にしなくなった
- 計画を立てたり、段取りを考えたりすることが苦手になった
- これまでできていた家事や趣味の段取りが悪くなった
「認知症」と「加齢によるもの忘れ」の決定的な違い
認知症によるもの忘れと、加齢による自然なもの忘れには、下記のような明確な違いがあります。最も大きな違いは、体験の一部を忘れるのが「加齢によるもの忘れ」、体験したこと自体をすっぽり忘れてしまうのが「認知症のもの忘れ」です。
| 項目 | 加齢によるもの忘れ | 認知症によるもの忘れ(記憶障害) |
|---|---|---|
| 忘れる範囲 | 体験したことの一部 (例:昨日の夕食のメニューを思い出せない) |
体験したことの全て (例:夕食を食べたこと自体を忘れている) |
| 自覚 | もの忘れの自覚がある | もの忘れの自覚がないことが多い |
| 探し出す力 | ヒントがあれば思い出せる | ヒントがあっても思い出せない |
| 進行 | 年齢相応で、進行は緩やか | 症状が徐々に進行していく |
| 日常生活への影響 | ほとんどない | 支障が出てくる |
| 判断力 | 正常に保たれている | 低下していることがある |
認知症の症状は「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」の2種類
認知症の症状は、大きく「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」の2つに分けられます。この2つの症状を理解することは、認知症の方への適切な対応の第一歩となります。
脳の機能低下が原因の「中核症状」
中核症状とは、脳の神経細胞が壊れることによって、脳の機能が直接的に低下して起こる症状です。認知症と診断された方には、程度の差はあれ必ず見られる基本的な症状です。
記憶障害
新しいことを記憶できなくなる症状です。
- 症状の例
-
- 数分前、数時間前の出来事を忘れる(食事をしたこと、人が訪ねてきたことなど)。
- 同じことを何度も言ったり、尋ねたりする。
- 大切なものを置いた場所を忘れ、誰かに盗られたと思い込むことがある(もの盗られ妄想)。
見当識障害
時間、場所、人物など、自分がおかれている状況を正しく認識できなくなる症状です。
- 症状の例
-
- 今日の年月日や曜日、季節がわからなくなる。
- 慣れているはずの場所で道に迷う、自分のいる場所がわからなくなる。
- 家族や親しい人の顔がわからなくなることがある。
理解力・判断力の低下
物事を理解するスピードが遅くなったり、二つ以上のことを同時に考えたり処理したりすることが難しくなる症状です。
- 症状の例
-
- テレビドラマの内容が理解できない。
- ATMの操作や電化製品の使い方がわからなくなる。
- 予期せぬ出来事が起こると混乱してしまう。
- 季節に合わない服装をしてしまう。
実行機能障害
計画を立てて段取り良く物事を進めることができなくなる症状です。
- 症状の例
-
- 料理で品数を一度に作れなくなる。
- 買い物で必要なものを計画的に買えなくなる。
- 一連の動作(着替えなど)を順序立てて行えない。
本人の性格や環境が影響する「行動・心理症状(BPSD)」
行動・心理症状(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)は、中核症状がベースとなり、そこにご本人の元々の性格、身体的な状態、生活環境、人間関係などが複雑に絡み合って二次的に現れる症状です。そのため、症状の現れ方には個人差が大きく、適切なケアや環境調整によって改善・軽減する可能性があります。
抑うつ・不安・幻覚・妄想
- 症状の例
-
- 気分が落ち込み、何事にも興味を失う(抑うつ)。
- 一人になることを怖がったり、焦燥感にかられたりする(不安)。
- 実際にはないものが見える(幻視)、聞こえる(幻聴)。
- 「財布を盗られた」と思い込む(もの盗られ妄想)など。
徘徊・暴言・介護拒否など
- 症状の例
-
- 特に目的もなく歩き回り、家に戻れなくなる(徘徊)。
- 介助しようとすると、大声を出したり、暴力をふるったりする(暴言・暴力)。
- 入浴や着替え、服薬などを頑なに拒否する(介護拒否)。
- その他、不眠、興奮、食行動の異常などが見られることもある。
認知症の進行段階と症状の変化
認知症は、一般的に「初期」「中期」「後期」と段階的に進行していきます。それぞれの段階で現れやすい症状は異なります。
| 進行段階 | 主な症状の変化 |
|---|---|
| 初期 |

このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
この記事の関連記事

0120-177-250

