【認知症の妄想】症状の種類・原因とやってはいけない対応・正しい対応方法を解説

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【認知症の妄想】症状の種類・原因とやってはいけない対応・正しい対応方法を解説
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「お財布を盗られた」「家族が私の悪口を言っている」。認知症のご家族から、このような訴えを受けて、どう対応すれば良いか深く悩んでいませんか。認知症の症状として現れる「妄想」は、ご本人にとっては紛れもない「事実」です。その背景には、病気によって引き起こされる記憶障害や判断力の低下、そしてそこから生まれる深い不安や孤独感が隠されています。そのため、ご家族が良かれと思って事実を伝えても、かえってご本人を傷つけ、症状を悪化させてしまうことがあります。この記事では、認知症でよく見られる妄想の種類とその原因を詳しく解説するとともに、ご家族が知っておくべき「やってはいけないNG対応」と、ご本人と穏やかに向き合うための「正しい対応方法」を具体的にお伝えします。妄想の背景にあるご本人の辛い気持ちを理解し、適切に対応することで、ご本人もご家族も安心して過ごせる時間を取り戻すことができます。この記事が、そのための第一歩となれば幸いです。

認知症の妄想とは?症状が起こる原因

認知症における「妄想」とは、明らかに事実とは異なることを、訂正できないほど固く信じ込んでしまう状態を指します。周囲がどれだけ論理的に「それは間違いだよ」と説明しても、ご本人の中ではそれが揺るぎない真実であるため、受け入れることができません。例えば、「ヘルパーさんにお金を盗られた」という妄想がある場合、ご本人にとっては「お金がなくなった」という事実と「ヘルパーさんが部屋にいた」という事実が結びつき、「ヘルパーさんが犯人だ」という結論に至っています。これは、ご本人が嘘をついているわけではなく、病気の症状として現れているものなのです。

脳の機能低下による不安や記憶障害が背景に

妄想が生まれる根本的な原因は、認知症による脳の機能低下にあります。特に、記憶障害や理解力・判断力の低下が大きく関わっています。妄想は、ご本人が自身の置かれた不可解な状況を理解し、心の平穏を保つために無意識に作り出した「物語」とも言えます。その根底には、先の見えないことへの「不安」、大切なものを失う「恐怖」、誰からも理解されない「孤独感」といった、切実な感情が渦巻いているのです。

【妄想が生まれるメカニズムの一例】

  1. 記憶障害:財布を自分でしまったことを忘れてしまう。
  2. 不安の発生:財布が見つからず、「ない」という事実に直面し、どうしてなくなったのか分からず強い不安に駆られる。
  3. 自己の正当化:自分の記憶違いだとは考えられず、不安な状況を何とか説明しようとして「誰かに盗られたに違いない」という結論にたどり着く。

幻覚や幻視との違い

妄想と混同されやすい症状に「幻覚」があります。この二つは異なる症状であり、対応方法も変わってくるため、違いを理解しておくことが大切です。

症状 定義 具体例
妄想 事実ではない考えを、訂正不能なほど固く信じ込むこと。 「財布を盗まれた」「家族が悪口を言っている」といった、思考や考えに関する症状。
幻覚 実際には存在しないものを、あたかも実在するかのように五感で感じてしまうこと。 「部屋の隅に子どもがいる」(幻視)、「悪口が聞こえる」(幻聴)、「ゴムの焼ける臭いがする」(幻嗅)といった、感覚に関する症状。

幻覚の中でも、特に「幻視(げんし)」は、レビー小体型認知症という種類の認知症でよく見られる特徴的な症状です。妄想と幻覚が同時に現れることもあり、ご本人の混乱はさらに深まります。

【種類別】認知症でよく見られる妄想の症状

認知症の妄想にはいくつかの典型的なパターンがあります。ここでは、代表的な妄想の種類と、その背景にある心理について解説します。

物盗られ妄想

認知症の妄想の中で、最も頻繁に見られるのが「物盗られ妄想」です。財布や通帳、印鑑、衣類など、ご本人にとって大切なものが対象になりやすい傾向があります。特徴的なのは、犯人として疑いの目を向けられるのが、配偶者や子ども(特に同居している嫁など)、介護ヘルパーといった、最も身近で熱心に介護をしている人であることが多い点です。これは、ご本人にとって最も頼りにしている存在だからこそ、「裏切られた」という形で妄想が現れてしまうと考えられています。決して、疑われたご家族の愛情が足りないわけではありません。

被害妄想・見捨てられ妄想

「近所の人に悪口を言われている」「食事に毒を盛られた」といった被害妄想や、「家族は自分を邪魔者扱いしている」「施設に追い出される」といった見捨てられ妄想もよく見られます。これらの妄想の背景には、認知機能の低下によって自信を失い、「自分は役に立たない存在だ」と感じる疎外感や孤独感が隠されています。周囲の何気ない会話を自分の悪口だと誤解したり、ささいな出来事から「自分は見捨てられるのではないか」という不安を募らせたりしてしまうのです。

嫉妬妄想

主に配偶者に対して「浮気をしている」と激しく思い込むのが「嫉妬妄想」です。夫がデイサービスから帰宅した妻に「男と会ってきたんだろう」と詰め寄ったり、妻が介護に来た女性ヘルパーと夫の関係を疑ったりするケースがあります。これもまた、ご自身の老いや能力の低下に対する不安、そして「配偶者を失いたくない」という愛情や依存心の裏返しと捉えることができます。

帰宅願望

自宅にいるにもかかわらず、「自分の家に帰ります」と言って外へ出ようとする行動も、広い意味では妄想の一種と考えられます。これは「帰宅願望」と呼ばれ、特に夕方になると落ち着かなくなるケースが多く見られます。原因としては、時間や場所が分からなくなる「見当識障害」により、今いる場所が自分の家だと認識できなくなっていることが挙げられます。しかし、その行動の根底にあるのは「ここは自分の居場所ではない」という不安感と、「安心できる場所に帰りたい」という切実な思いです。

認知症の妄想への基本的な対応|ご家族が心がけたい3つのポイント

ご家族にとって、妄想への対応は精神的に非常に辛いものです。しかし、対応の仕方ひとつで、ご本人の興奮を鎮め、穏やかな状態に導くことも可能です。ここでは、最も重要な3つの基本ポイントをご紹介します。

ポイント1:まずはご本人の話を傾聴し、否定しない

ご本人が「財布を盗られた!」と訴えてきた時、つい「そんなことないでしょ」「誰も盗らないよ」と否定したくなりますが、これは最もやってはいけない対応です。ご本人にとっては「事実」を訴えているだけなので、否定されると「誰も信じてくれない」と興奮し、不信感を募らせるだけです。まずは、「そうなんですか」「お財布がなくなったんですね」と、ご本人の訴えをありのままに受け止めましょう。これを「受容」と言います。正しいか間違っているかを判断するのではなく、ご本人の世界観を一旦そのまま受け入れる姿勢が、信頼関係を築く第一歩です。

ポイント2:ご本人の不安な気持ちに寄り添い、共感する

訴えを受け止めたら、次はその妄想の裏に隠された「感情」に焦点を当てます。「財布を盗られた」という言葉の裏には、「大切なものがなくなって心配だ、不安だ」という気持ちがあります。その気持ちに対して、「それは心配ですね」「大切なものがないと不安になりますよね」と、共感の言葉をかけてあげましょう。ご本人は、妄想の内容を信じてもらいたいのではなく、「この辛い気持ちを分かってほしい」のです。気持ちに寄り添うことで、ご本人は「この人は自分の味方だ」と感じ、少しずつ落ち着きを取り戻していきます。

ポイント3:話題を変えたり、気分転換を促す

ご本人の気持ちが少し落ち着いてきたら、一つの考えに集中している意識を、別の楽しいことへそっと向けてみましょう。例えば、「お財布、心配ですよね。一緒に探す前に、少しお茶でも飲みませんか?」と誘ったり、「そういえば、お庭のアジサイがきれいですよ。見に行きませんか?」と全く違う話題を振ったりします。ご本人が好きなことや、関心のあることをきっかけにすると、スムーズに気分転換を図りやすくなります。無理に変えようとせず、さりげなく提案するのがコツです。

やってはいけないNG対応

良かれと思ってした対応が、かえってご本人の妄想を強化し、興奮を高めてしまうことがあります。ここでは、特に注意したいNG対応を2つ解説します。

頭ごなしに否定したり、論理的に説得しようとする

「誰も盗る人なんていないでしょ」「おばあちゃんが自分でしまったんだよ、思い出してみて」といった対応は絶対に避けましょう。ご本人にとってはそれが「真実」なので、否定されることは自分自身を否定されることと同じです。また、記憶障害がある方に「思い出せ」と要求したり、論理的に説得しようとしたりしても、混乱を深めるだけで効果はありません。かえって「誰も分かってくれない」と心を閉ざしてしまいます。

ご本人を問い詰めたり、犯人探しに付き合ったりする

「誰が盗ったと思うの?」「本当にないの?もう一度よく探してみて」などと問い詰めたり、一緒になって犯人探しをしたりするのも逆効果です。犯人探しに付き合うと、ご本人の妄想が「やはり本当だったんだ」と強化されてしまいます。また、疑われたご家族やヘルパーは深く傷つき、人間関係が悪化する原因にもなります。あくまで「なくなった物を一緒に探す」というスタンスに留め、犯人を特定するような言動は避けましょう。

ご家族だけで抱え込まないで|妄想の治療と利用できるサポート

妄想への対応は、ご家族にとって精神的な負担が非常に大きいものです。24時間続く介護の中で、常に冷静で優しい対応を続けるのは困難です。決してご家族だけで抱え込まず、専門家や外部のサービスを積極的に頼ってください

専門医による薬物療法やカウンセリング

妄想の症状が激しく、ご本人やご家族の生活に大きな支障が出ている場合や、ご本人が不眠や興奮で苦しんでいる場合は、医療機関への相談が必要です。まずはかかりつけ医に相談するか、認知症の専門医(精神科、心療内科、神経内科、もの忘れ外来など)を受診しましょう。症状を緩和するために、抗精神病薬や漢方薬などが処方されることがあります。薬物療法は副作用のリスクもあるため、必ず医師の診断と指導のもとで行うことが重要です。

デイサービスなどの介護サービスの活用

ご本人が自宅に閉じこもりがちになると、社会的な孤立から不安が募り、妄想が悪化することがあります。デイサービス(通所介護)などを利用して、日中の活動の場を確保することは非常に有効です。同世代の人と交流したり、レクリエーションを楽しんだりすることで、生活にメリハリが生まれ、精神的な安定につながります。また、介護しているご家族が、一時的に介護から離れて心身を休める時間(レスパイトケア)を持つためにも、介護サービスの活用は不可欠です。

地域包括支援センターなど地域の相談窓口

「どこに相談すればいいか分からない」という場合は、まずお住まいの地域にある「地域包括支援センター」を訪ねてみましょう。地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを支える総合相談窓口です。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーといった専門職が、介護に関するあらゆる悩みや相談に対応し、必要なサービスや医療機関につなげてくれます。秘密は厳守されますので、安心してご相談ください。

認知症の妄想への対応や施設選びは「笑がおで介護紹介センター」へ

認知症の妄想症状が続き、ご家族の心身の負担が限界に近づいている時、在宅での介護が困難になったと感じる時は、介護施設への入居も大切な選択肢の一つです。しかし、「妄想の症状がある母を受け入れてくれる施設はあるのだろうか」「認知症ケアに詳しいスタッフがいる施設はどこだろう」といった不安は尽きないことでしょう。

そんな時は、ぜひ私たち「笑がおで介護紹介センター」にご相談ください。介護の専門知識を持つ相談員が、ご本人の症状や性格、ご家族のご希望を丁寧にお伺いし、認知症ケアに実績があり、穏やかに過ごせる環境の施設をご提案します。関西エリア(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、三重)の多種多様な老人ホーム・介護施設の中から、ご本人にとって最適な「新しい我が家」を見つけるお手伝いをいたします。施設の見学調整や同行も無料で行っておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

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監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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