世帯分離で介護費用は安くなる?メリット・デメリットと手続き方法をわかりやすく解説

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そもそも世帯分離とは

世帯分離という言葉を初めて聞くご利用者やご家族もいらっしゃるかもしれません。これは、介護費用を考える上で重要なキーワードとなります。まずは、世帯分離の基本的な意味から理解していきましょう。

住民票における「世帯」の定義

住民票における「世帯」とは、「住居と生計を同じくする人々の集まり」と定義されています。つまり、同じ家で暮らし、家計(お財布)を一つにして生活している家族は、一つの「世帯」として住民票に登録されています。例えば、父・母・長男の3人家族で、長男が働いて家計を助けている場合、この3人は同一世帯となります。

同居していても世帯分離は可能

「世帯分離」とは、この一つの世帯を、住民票の上で二つ以上の世帯に分ける手続きのことです。重要なポイントは、同じ家に住み続けていても(同居していても)、生計が別であれば世帯分離が可能という点です。例えば、親の年金と、同居しているお子さまの給料で、それぞれが独立して生計を立てている場合です。この場合、親の世帯と子の世帯に分ける「世帯分離」の手続きを行うことができます。これにより、住民票上は同じ住所に2つの世帯が存在することになります。

世帯分離が認められないケース

世帯分離は、あくまで「生計が別である」という実態に基づいて行われる手続きです。そのため、以下のような場合は世帯分離が認められない可能性があります。

  • 収入のある親族(子など)からの経済的な援助がないと、親の生活が成り立たない場合
  • 親子間で収入や支出の区別がなく、家計が完全に一体化している場合

単に「介護費用を安くしたいから」という理由だけで、生活の実態が伴わない世帯分離を申請することはできません。窓口で生活状況について質問されることもありますので、注意が必要です。

世帯分離で介護費用が安くなる仕組み

では、なぜ世帯分離をすると介護費用が安くなる可能性があるのでしょうか。その鍵は、介護保険制度における費用負担の判定基準にあります。

介護保険サービスの自己負担割合は所得で決まる

介護保険サービスを利用した際の自己負担割合は、原則として1割ですが、現役世代並みの所得がある場合は2割または3割となります。この自己負担割合の判定は、サービスを利用する「ご本人」の所得に基づいて行われます。そのため、世帯分離をしても、ご本人の所得自体は変わらないため、この自己負担割合(1割~3割)が直接的に変わるわけではありません。

世帯の所得が判定基準になる費用項目

一方で、介護費用の中には、「世帯」の所得状況(具体的には、世帯全員の住民税の課税状況)によって負担額が大きく変わるものがあります。世帯分離を行うと、親は子などの高所得のご家族から独立した「住民税非課税世帯」になる可能性があります。その結果、以下の表に示すような費用の負担が軽減されるのです。

費用項目 判定基準 世帯分離による影響
高額介護サービス費 世帯全員の住民税課税状況 世帯分離により、親が住民税非課税世帯等になることで、自己負担上限額が下がり、払い戻される金額が増える可能性がある。
特定入所者介護サービス費 世帯全員の住民税課税状況、ご本人の所得・資産 世帯分離により、親が住民税非課税世帯になることで、施設利用時の食費・居住費の負担軽減制度の対象となる可能性がある。
介護保険料 ご本人の所得、世帯全員の住民税課税状況 世帯分離により、親が住民税非課税世帯になることで、保険料の段階が下がり、負担が軽減される可能性がある。

このように、世帯分離は特に「高額介護サービス費」「特定入所者介護サービス費」という2つの制度において、大きな効果を発揮する可能性があるのです。

介護費用や保険料を軽減できる世帯分離のメリット

それでは、世帯分離によって得られるメリットを、具体的な制度とあわせて詳しく見ていきましょう。

メリット1:介護保険の自己負担限度額が下がる(高額介護サービス費)

高額介護サービス費とは

高額介護サービス費とは、介護保険サービスの自己負担額(1割~3割)の月々の合計額が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度です。医療費における「高額療養費制度」の介護保険版と考えると分かりやすいでしょう。この上限額は、世帯の所得状況によって区分が分かれています。

世帯分離による軽減効果

世帯分離を行い、親が「市町村民税非課税世帯」に該当すると、この自己負担上限額が大幅に引き下げられます。

高額介護サービス費の自己負担上限額(月額)の例

所得区分 自己負担上限額
現役並み所得者がいる世帯 44,400円〜140,100円
市町村民税課税世帯 44,400円
市町村民税非課税世帯 24,600円
市町村民税非課税世帯(所得・年金収入が低い方) 15,000円

※上記は2021年8月以降の一般的な基準です。詳細な区分や金額は市区町村にご確認ください。

例えば、子が住民税課税世帯で親と同居している場合、上限額は「44,400円」です。しかし、世帯分離によって親が住民税非課税世帯になると、上限額が「24,600円」や「15,000円」まで下がる可能性があります。毎月の負担上限額が変わるため、継続的にサービスを利用する場合、年間で見ると大きな差になります。

メリット2:介護保険施設の食費・居住費が安くなる(特定入所者介護サービス費)

特定入所者介護サービス費とは

この制度は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院などの介護保険施設に入所した際の「食費」「居住費(部屋代)」の負担を軽減する制度です。通常、これらの費用は全額自己負担ですが、所得や資産が一定基準以下の人は、申請することで負担限度額が適用され、費用を抑えることができます。

世帯分離による軽減効果

この制度の対象となるかどうかは、世帯全員が市町村民税非課税であることが条件の一つとなっています。そのため、親本人(入所者)の所得が低くても、同居しているお子さまの所得が高く住民税を課税されている場合、この制度は利用できません。しかし、世帯分離を行うことで、親が「住民税非課税世帯」となれば、この制度の対象となる可能性があります。施設サービスは高額になりがちなため、食費・居住費の負担が軽減されるメリットは非常に大きいと言えるでしょう。

※別途、預貯金などの資産要件もあります。

メリット3:国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の負担が減る可能性がある

75歳未満の方が加入する「国民健康保険」や、75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療制度」の保険料は、所得に応じて負担額が変わります。世帯分離によって親世帯の総所得が低くなることで、保険料の算定基礎となる「所得割額」が下がったり、低所得世帯向けの「保険料軽減措置」の対象になったりする場合があります。結果として、保険料の負担が軽くなる可能性があります。

メリット4:その他の行政サービスの負担が軽減されることも

世帯分離によって「住民税非課税世帯」になると、介護保険関連以外にもメリットが生じる場合があります。

臨時福祉給付金などの対象になる
国や自治体が、経済対策などで住民税非課税世帯を対象に給付金を支給する場合、その対象となる可能性があります。
医療費の自己負担限度額が下がる
高額療養費制度における自己負担限度額も、住民税非課税世帯は低く設定されています。

これらのメリットも考慮に入れると、世帯分離の恩恵はさらに大きくなる可能性があります。

世帯分離のデメリットと注意点

ここまでメリットを中心に解説してきましたが、世帯分離には慎重に検討すべきデメリットや注意点も存在します。場合によっては、世帯全体での支出が増えてしまうこともあるため、必ず両面を理解しておきましょう。

デメリット1:国民健康保険料が世帯全体で高くなる場合がある

これは最も注意すべきデメリットの一つです。国民健康保険料は、所得に応じてかかる「所得割」と、加入者一人ひとりにかかる「均等割」で構成されています。世帯分離をすると、もともと一つの世帯だったものが二つになるため、それぞれの世帯で均等割が二重にかかることになり、世帯全体で支払う保険料の合計額が増加してしまうケースがあります。特に、世帯に国民健康保険の加入者が多い場合は、この影響が大きくなる傾向があるため、事前のシミュレーションが不可欠です。

デメリット2:会社の健康保険の扶養から外れる可能性がある

同居している親を、ご自身の勤務先の健康保険(組合健保や協会けんぽなど)の「被扶養者」としているご家族も多いでしょう。健康保険の被扶養者として認定されるためには、「主として被保険者(子など)により生計が維持されていること」が条件となります。世帯分離は「生計が別である」ことを役所に届け出る手続きのため、この「生計維持関係」がないと判断され、扶養から外れなければならなくなる可能性があります。扶養から外れると、親は自身で国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入し、保険料を支払う必要が出てきます。これまで保険料の負担がなかった場合は、新たな支出が増えることになります。

デメリット3:扶養手当や家族手当が受け取れなくなる

勤務先の会社によっては、扶養しているご家族がいる場合に「扶養手当」「家族手当」を支給していることがあります。これらの手当の支給条件は会社の規定によりますが、健康保険の扶養を条件としている場合が多くあります。そのため、世帯分離によって親が健康保険の扶養から外れると、これらの手当も受け取れなくなる可能性が高いです。毎月の手当がなくなる影響は大きいでしょう。

デメリット4:手続きに手間と時間がかかる

世帯分離の手続き自体は、役所の窓口で比較的簡単に行えます。しかし、それに伴い、健康保険の扶養変更手続きや、その他の行政サービスに関する手続きが別途必要になる場合があります。どの手続きが必要で、それぞれどこに申請すればよいのかを確認し、書類を準備するには、ある程度の時間と手間がかかることを覚悟しておく必要があります。

デメリット5:一度分離すると元に戻すのは簡単ではない

「デメリットのほうが大きかったから、やっぱり元の世帯に戻したい」と考えても、一度分離した世帯を再び一つにする「世帯合併」の手続きは、簡単には認められない場合があります。世帯合併には「生計が再び同一になった」という合理的な理由が必要です。安易に分離・合併を繰り返すことはできないため、実行する前には十分な検討が必要です。

世帯分離の手続き方法と流れ

世帯分離のメリット・デメリットを比較検討し、実行することを決めた場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか。ここでは、具体的な手続きの流れと必要書類について解説します。

手続きができる人

世帯分離の手続き(世帯変更届の提出)は、以下の人が行うことができます。

ご本人
世帯主
ご本人と同じ世帯の構成員
代理人
(委任状が必要)

親子で世帯分離する場合、親または子のどちらかが窓口に行けば手続きが可能です。

手続きを行う場所|市区町村の役所窓口

手続きは、お住まいの市区町村の役所(市役所、区役所、町・村役場)の、住民票などを扱う窓口(「市民課」「戸籍住民課」など)で行います。

手続きに必要なもの

手続きには、一般的に以下のものが必要となります。ただし、自治体によって異なる場合があるため、事前にお住まいの市区町村のウェブサイトや電話で確認することをおすすめします。

世帯変更届

市区町村の役所の窓口に備え付けられています。ウェブサイトからダウンロードできる自治体もあります。

本人確認書類

窓口に来た方の本人確認ができる書類です。運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど、顔写真付きのものであれば1点、健康保険証、年金手帳など顔写真がないものであれば2点以上必要になるのが一般的です。

印鑑

届出人の印鑑(認印で可)が必要です。シャチハタは不可の場合が多いです。

国民健康保険証(加入者のみ)

世帯分離によって、国民健康保険証の記載内容(世帯主など)が変わるため、世帯に加入者がいる場合は全員分の保険証を持参する必要があります。

委任状(代理人が手続きする場合)

ご本人や同一世帯員以外の人(別世帯の親族など)が代理で手続きを行う場合に必要です。委任状の様式は、各自治体のウェブサイトでダウンロードできることが多いです。

手続きのタイミングと注意点

世帯分離の届出は、原則としていつでも行うことができます。届出が受理された日から、住民票上の世帯が分離されます。注意点として、介護保険料や各種負担限度額の算定は、特定の基準日(例:4月1日など)時点での世帯状況や、前年の所得に基づいて行われます。そのため、「いつ手続きをすれば、いつから費用負担が変わるのか」については、事前に役所の介護保険担当課に確認しておくと安心です。

世帯分離をすべきかどうかの判断基準

メリットとデメリットを理解しても、実際に自分の家庭が世帯分離をすべきなのか、判断に迷うことも多いでしょう。ここでは、どのような世帯が世帯分離を検討する価値があるのか、具体的な例を挙げます。

世帯分離のメリットが大きい世帯の例

以下のようなケースに当てはまる場合、世帯分離によって介護費用やその他の負担が軽減される可能性が高いと考えられます。

親ご本人の所得は低いが、同居しているお子さまの所得が高い世帯
特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、特定入所者介護サービス費の対象となる施設への入所を検討している世帯
高額な在宅介護サービス(訪問介護やデイサービスなど)を継続的に利用しており、毎月の自己負担額が高額介護サービス費の上限に達している世帯
世帯に国民健康保険の加入者が少なく、保険料増加の影響が小さい世帯

世帯分離を慎重に検討すべき世帯の例

一方で、以下のようなケースでは、デメリットがメリットを上回ってしまう可能性があります。

親を子の勤務先の健康保険の扶養に入れている世帯
子が勤務先から扶養手当や家族手当を受け取っている世帯
世帯に国民健康保険の加入者が多く、均等割などの負担増が介護費用の軽減額を上回ってしまう可能性がある世帯
親子間の収入の区別があいまいで、生計が独立していると説明するのが難しい世帯

必ず事前に市区町村の窓口でシミュレーションを

最終的な判断を下す前に、最も重要なことは、お住まいの市区町村の役所の窓口で必ずシミュレーションをしてもらうことです。

役所には、以下の担当課があります。

介護保険課
(または高齢福祉課など)
国民健康保険課
(または保険年金課など)

これらの窓口で「世帯分離を検討している」と伝えれば、介護保険サービスの負担額や国民健康保険料などが、分離後に具体的にいくらになるのかを試算してもらえます。メリットとデメリットの金額を数字で比較することで、ご自身の家庭にとって本当に得策なのかどうかを客観的に判断することができます。

世帯分離に関するよくある質問(Q&A)

ここでは、世帯分離に関して多くの方が疑問に思う点について、Q&A形式でお答えします。

Q1. 世帯分離の申請理由はどう伝えればいいですか?

A1. 窓口で理由を聞かれた際は、正直に「生計を別にするため」と事実を伝えるのが基本です。無理に「介護費用を安くするため」と言う必要はありません。あくまで、生計が独立しているという実態に基づいて手続きを行うという姿勢で臨みましょう。

Q2. 賃貸住宅や持ち家でも世帯分離はできますか?

A2. はい、できます。世帯分離の判断基準は、住居の所有形態(賃貸か持ち家か)ではなく、生計が同一か別かという点です。そのため、賃貸アパートやマンション、親子名義の持ち家など、どのような住居形態であっても、生計が独立していれば世帯分離は可能です。

Q3. 生活保護への影響はありますか?

A3. はい、影響があります。生活保護は個人単位ではなく世帯単位で認定の可否が判断されます。世帯分離をすると、親の世帯の収入が年金のみになるなど、保護の要件を満たす可能性があります。一方で、子の世帯は援助できるご家族(扶養義務者)とみなされるため、状況は複雑になります。生活保護を検討している場合は、必ず事前に福祉事務所の担当者にご相談ください。

Q4. 世帯分離はいつでもできますか?

A4. はい、手続きは原則としていつでも可能です。ただし、住民票の変更は届出日からとなり、過去に遡っての変更はできません。介護保険料などの算定基準日との兼ね合いもありますので、メリットを最大限に活かすためには、事前に役所に相談することをおすすめします。

老人ホーム探しや介護費用のご相談は「笑がおで介護紹介センター」へ

今回は、世帯分離による介護費用の軽減について解説しました。世帯分離は、条件によっては非常に有効な手段となり得ますが、ご家庭の状況によってはデメリットが上回ることもあります。役所でシミュレーションを行うなど、慎重な判断が求められます。「うちの場合はどうなんだろう?」「そもそも、どんな介護サービスや施設を選べば費用を抑えられるの?」といった介護費用全般に関するお悩みや、ご利用者・ご家族のご希望に合った老人ホーム探しについては、ぜひ私たち「笑がおで介護紹介センター」にご相談ください。

「笑がおで介護紹介センター」は、関西(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、三重)の老人ホーム・介護施設に特化した検索サイトです。介護業界に精通した経験豊富な相談員が、一人ひとりの状況やご予算を丁寧にお伺いし、世帯分離のような公的制度の活用も含め、最適なプランをご提案いたします。相談は無料ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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