老人ホームの費用は誰が払う?親の資産で足りない場合の対処法と補助制度を解説

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老人ホームの費用は誰が払う?親の資産で足りない場合の対処法と補助制度を解説

親御さんの老人ホームへの入居を考え始めたとき、多くの方が直面するのが「費用は誰が、どうやって支払うのか」という問題です。結論から言うと、老人ホームの費用は、原則として入居するご本人の年金や資産で支払います。お子さんなどご家族に法的な支払い義務はありませんが、現実的にはご本人の資産だけでまかなえないケースも少なくありません。この記事では、老人ホームの費用の支払いに関する基本原則から、親御さんの資産で費用が足りない場合の具体的な対処法、そして負担を軽減するための公的な補助制度まで、網羅的に解説します。さらに、費用を抑えるための施設選びのポイントや、ご家族間での金銭トラブルを防ぐための秘訣もお伝えします。いざという時に慌てないためにも、この記事を読んで正しい知識を身につけ、ご家族にとって最適な選択ができるよう準備を始めましょう。

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老人ホームの費用は本人の資産や年金で支払うのが大原則

支払い義務は入居するご本人にある

老人ホームの利用にかかる費用は、サービスを受けるご本人が、ご自身の資産や収入から支払うのが大原則です。これは、介護保険制度が、自立した生活を尊重し、利用者本人の能力に応じて負担を分ち合う考えに基づいているためです。施設との契約も、原則として入居者本人と施設の間で結ばれます。

しかし、ご本人の資産だけでは費用をまかなえない場合も多く、その際はご家族が援助するケースが一般的です。まずは、費用の支払いの基本となる「本人の資産」とは何を指すのか、そしてご家族の「扶養義務」について正しく理解しておきましょう。

「本人の資産」の具体的な内訳

費用の支払いに充てられる「本人の資産」には、定期的な収入だけでなく、現金化できるさまざまなものが含まれます。主に以下の3つに分けられます。

年金などの収入
最も基本となるのが、国民年金や厚生年金などの公的年金です。多くの高齢者にとって、年金は生活を支えるための安定した収入源であり、老人ホームの月額利用料の支払いに充てられる中心的な財源となります。その他、個人年金保険や企業年金、不動産からの家賃収入なども含まれます。
預貯金
普通預金や定期預金など、すぐに現金として使える資産です。入居一時金(入居時に支払うまとまった費用)の支払いや、月々の費用の不足分を補うために使われます。ご本人がどれくらいの預貯金を持っているか、事前にご家族で確認しておくことが非常に重要です。
不動産や生命保険など換金できる資産
ご本人が所有する自宅や土地などの不動産、株式や投資信託といった有価証券、解約返戻金のある生命保険なども、売却したり解約したりすることで支払いに充てられる資産と見なされます。特に、自宅を売却してまとまった資金を作り、入居費用に充てるというケースは少なくありません。

お子さんに法的な支払い義務はあるのか?「扶養義務」について

「親の介護費用を子供が支払うのは当たり前」というイメージがあるかもしれませんが、法律上、老人ホームの費用をお子さんが支払わなければならないという直接的な義務はありません

ただし、民法第877条には「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められています。これは「扶養義務」と呼ばれ、親子間にも適用されます。

扶養義務とは
自分の力だけでは生活が成り立たない親族に対して、経済的な援助を行う義務のことです。ただし、この義務は「自分の生活を犠牲にしない範囲で」援助するというのが原則であり、生活に困窮している親を、経済的に余裕のある子供が助ける、といった場合に適用されるものです。

したがって、施設側が「扶養義務があるから」という理由で、入居者本人に代わってお子さんに支払いを法的に強制することはできません。しかし、多くの施設では入居契約時に「身元引受人」や「連帯保証人」を立てることを求められます。連帯保証人になった場合、本人の支払いが滞った際には、その支払い義務を負うことになりますので、契約内容は十分に確認する必要があります。

まずやるべきこと:ご本人の収支と資産状況を正確に把握する

ご本人の資産だけで費用がまかなえるのか、それとも援助が必要なのかを判断するためには、まず現状を正確に把握することが不可欠です。感情的になったり、憶測で話を進めたりするのではなく、客観的な数字に基づいて親子で話し合うことが、スムーズな施設選びの第一歩となります。

以下の3つのステップで、ご本人の経済状況を整理してみましょう。

収入の確認(年金受給額など)

毎月どれくらいの収入があるかを確認します。主な収入源である年金については、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」や「年金証書」で正確な金額を確認できます。

確認すべき収入項目 確認書類の例
公的年金(国民年金、厚生年金など) ねんきん定期便、年金証書、年金振込通知書
個人年金保険 保険証券
不動産収入(家賃など) 賃貸契約書、確定申告書
その他の収入(配当金など) 取引報告書

資産の確認(預貯金・不動産・有価証券など)

次に、現在どれくらいの資産があるかを確認します。預貯金だけでなく、現金化できる可能性のある資産もすべてリストアップすることが大切です。

預貯金
通帳や残高証明書で確認します。複数の金融機関に口座がある場合は、すべてを合計します。
不動産(土地・建物)
固定資産税の納税通知書に記載されている評価額や、不動産会社の査定などを参考に、おおよその価値を把握します。
生命保険
保険証券で、解約した場合に受け取れる「解約返戻金」の額を確認します。
有価証券(株式・投資信託など)
証券会社から送られてくる取引残高報告書などで、現在の評価額を確認します。
その他の資産
自動車や貴金属など、売却して現金化できるものがないか確認します。

支出の確認(税金・保険料・医療費など)

最後に、毎月あるいは毎年、定期的にどのような支出があるかを確認します。収入からこれらの支出を差し引いた金額が、老人ホームの費用に充てられるおおよその金額となります。

確認すべき支出項目 確認書類の例
税金(住民税、固定資産税など) 納税通知書
社会保険料(国民健康保険料、介護保険料) 納付通知書
医療費 領収書、お薬手帳
生命保険料、損害保険料 保険料控除証明書
公共料金、通信費など 領収書、請求書
その他(食費、日用品費など) 家計簿、レシート

これらの情報を一覧表などにまとめて「見える化」することで、ご家族間での認識のズレがなくなり、具体的な資金計画を立てやすくなります。

ご本人の資産だけで費用をまかなえない場合の選択肢

ご本人の収支と資産を正確に把握した結果、費用が不足することが明らかになった場合、いくつかの選択肢が考えられます。どの方法が最適かはご家庭の状況によって異なりますので、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、ご家族でよく話し合って決めることが大切です。

ご家族・親族で援助する(贈与税に関する注意点)

最も一般的な方法が、お子さんや親族が資金を援助することです。兄弟姉妹がいる場合は、誰が、どのくらいの割合で、どのように負担するのかを事前に明確に話し合っておきましょう。曖昧なまま進めてしまうと、後々のトラブルの原因になりかねません。

ここで注意したいのが「贈与税」です。通常、個人から年間110万円を超える財産をもらうと贈与税がかかりますが、親の老人ホームの費用をお子さんが支払う場合、原則として贈与税はかかりません。これは、扶養義務者(お子さんなど)から生活費や教育費に充てるために、必要に応じてその都度渡されるものについては贈与税の対象外とされているためです。

ただし、生活費の名目で受け取ったお金を預金したり、株式や不動産の購入に使ったりすると贈与税の対象になる場合があります。あくまで「必要な費用を、必要な時に直接支払う」という形をとるのが安心です。

資産の売却を検討する

ご本人が住んでいるご自宅や土地などの不動産、あるいは株式などの金融資産を売却し、まとまった資金を作る方法です。特にご自宅の売却は、大きな資金を得られる可能性がある一方で、ご本人の「住み慣れた家を離れたくない」という気持ちにも配慮が必要です。

また、不動産の売却には時間がかかることもあります。入居を急いでいる場合は、先にお子さんが費用を立て替えておき、売却後に精算するといった方法も考えられます。近年では、自宅を担保に金融機関から融資を受ける「リバースモーゲージ」という仕組みもあり、自宅に住み続けながら老後資金を確保する方法として注目されています。

生活保護の受給を検討する

あらゆる手段を尽くしても費用をまかなうことができず、生活に困窮してしまう場合には、生活保護の受給も選択肢の一つとなります。生活保護を受給すると、生活費(生活扶助)や家賃(住宅扶助)、介護サービス費(介護扶助)などが支給され、費用の心配なく老人ホームで生活することが可能になります。

ただし、生活保護を受給するためには、以下のような厳しい要件があります。

  1. 預貯金や不動産など、活用できる資産を所有していないこと。
  2. 働く能力がある場合は、その能力を活用していること。
  3. 年金など、他の制度で受けられる給付はすべて受けていること。
  4. 親族からの援助が受けられないこと。

生活保護の申請は、お住まいの地域を管轄する福祉事務所で行います。また、生活保護を受けている場合、入居できる施設は「介護扶助」を指定されている施設に限られますので、施設選びの際には注意が必要です。

支払いの負担を軽くする公的な補助制度を最大限に活用

介護保険制度には、利用者の負担を軽減するためのさまざまな制度が用意されています。これらの制度を最大限に活用することで、月々の支払いを大幅に抑えられる可能性があります。ご自身が対象になるかどうかを確認し、積極的に利用しましょう。

居住費・食費の負担を軽減する「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」

「特定入所者介護サービス費」は、所得や資産が一定基準以下の人に対して、介護保険施設の居住費(滞在費)と食費の負担を軽減する制度です。「負担限度額認定」とも呼ばれます。

対象となる施設
特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院など
対象となる方
市町村民税が非課税であるなど、所得や預貯金等の資産が一定額以下の方。所得等に応じて負担の上限額が設定されます。
申請方法
お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に申請し、「介護保険負担限度額認定証」の交付を受ける必要があります。

この制度を利用できるかどうかで、月々の負担額が数万円単位で変わることもありますので、対象になる可能性のある方は必ず申請しましょう。

介護費の自己負担に上限を設ける「高額介護サービス費」

「高額介護サービス費」は、介護保険サービスを利用した際の自己負担額(通常は1割~3割)が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度です。月々の介護費用の負担が大きくなった場合に、家計への影響を和らげてくれます。

上限額は、世帯の所得状況によって複数の段階に分かれています。例えば、市町村民税非課税世帯の方であれば、世帯の合計所得金額や年金収入額に応じて、月々15,000円や24,600円といった上限額が設定されています。対象となる方には、通常、市区町村から申請書が送られてきますので、忘れずに手続きを行いましょう。

医療費も高額な場合に適用される「高額医療・高額介護合算制度」

1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)に支払った医療保険と介護保険の自己負担額を合算し、その合計額が所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、超えた分が支給される制度です。

日頃から医療機関にかかることが多く、医療費も介護費用も高額になっているというご家庭にとっては、大きな助けとなる制度です。こちらも所得区分によって年間の自己負担限度額が設定されており、対象者にはお知らせが届くのが一般的です。

自治体が独自に実施する助成・減免制度

国が定める制度のほかに、市区町村が独自に介護保険料の減免や、福祉サービスの利用料助成などを行っている場合があります。例えば、おむつ代の助成や、住宅改修費の補助などが挙げられます。

どのような制度があるかは自治体によって大きく異なるため、お住まいの市区町村の高齢福祉課や介護保険担当窓口、または地域包括支援センターなどに問い合わせてみましょう。思わぬ支援が受けられるかもしれません。

費用を抑えるための老人ホームの選び方

老人ホームと一言でいっても、その種類や料金体系はさまざまです。資金計画に合わせて施設を選ぶことで、無理なく支払いを続けていくことが可能になります。費用を抑えるための施設選びのポイントを3つご紹介します。

比較的費用が安い公的施設(特養など)を検討する

老人ホームは、運営主体によって「公的施設」と「民間施設」に大別されます。

種類 主な施設 特徴
公的施設 特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院など 地方公共団体や社会福祉法人が運営。費用が比較的安価に設定されている。入居一時金が不要な場合が多い。
民間施設 介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など 民間企業が運営。施設数が多く、サービス内容や設備が多種多様。費用は施設によって大きく異なる。

特に特別養護老人ホーム(特養)は、所得に応じた負担軽減制度が充実しており、民間施設に比べて費用を大幅に抑えることができます。ただし、その分人気が高く、入居待ちの期間が長くなる傾向があるため、早めに情報収集や申し込みを始めることが重要です。

民間施設でも多床室(相部屋)を選ぶ

民間施設は費用が高いというイメージがありますが、部屋のタイプを選ぶことで費用を調整することが可能です。多くの施設では、一人用の「個室」と、複数人で一部屋を共有する「多床室(相部屋)」が用意されています。

一般的に、多床室は個室に比べて居住費が安く設定されています。プライバシーの確保という点では個室に劣りますが、「一人でいると寂しい」「他の人と交流したい」という方にとっては、むしろ多床室の方が合っている場合もあります。ご本人の性格や希望と、予算を照らし合わせながら検討してみましょう。

入居一時金のない「月払いプラン」のある施設を探す

有料老人ホームの中には、入居時に支払う「入居一時金」が数百万円から数千万円と高額になる施設もあります。まとまった資金を用意するのが難しい場合は、入居一時金が0円の「月払いプラン」を設けている施設を探すのがおすすめです。

このプランは、初期費用を抑えられるという大きなメリットがありますが、その分、月額利用料が入居一時金を支払うプランよりも割高に設定されているのが一般的です。長期的に見てどちらが総額として安くなるのか、施設の担当者によく確認し、シミュレーションした上で選択することが大切です。

ご家族間の金銭トラブルを未然に防ぐためのポイント

親の介護や老人ホームの費用に関する問題は、時としてご家族や兄弟姉妹の間で深刻なトラブルに発展することがあります。「お金の話はしにくい」と感じるかもしれませんが、問題を先送りにせず、事前の準備とコミュニケーションを丁寧に行うことが、円満な解決への鍵となります。

ご本人が元気なうちから資産や介護について話し合う

最も重要なのは、ご本人が心身ともに元気で、ご自身の意思をはっきりと伝えられるうちに、将来のことについて話し合っておくことです。

  1. どのような場所で、どのように老後を過ごしたいか
  2. 介護が必要になったらどうしてほしいか
  3. 資産や貯蓄はどれくらいあるのか
  4. 誰に財産管理を任せたいか

こうした点をオープンに話し合い、ご本人の希望を尊重しながら、ご家族としての方向性を共有しておくことが、いざという時の判断をスムーズにします。

誰が金銭管理のキーパーソンになるかを決めておく

兄弟姉妹がいる場合、誰が中心となってご本人の財産管理を行うのか(キーパーソン)を明確に決めておきましょう。複数の人がバラバラに関わると、情報が錯綜したり、責任の所在が曖昧になったりして、トラブルの原因となります。

キーパーソンになった人は、他の兄弟姉妹に対して、収支の状況を定期的に報告し、情報を共有する場を設けるなど、透明性の高い管理を心がけることが信頼関係を保つ上で重要です。

話し合った内容は書面に残す

話し合った内容や、ご家族間で合意した事項(費用の分担方法など)は、簡単なものでも構わないので書面に残しておくことをお勧めします。口約束だけでは、後になって「言った」「言わない」という水掛け論になりがちです。

日付と参加者の署名を入れた覚書などを作成しておくことで、合意内容が明確になり、後々のトラブルを防ぐための証拠となります。これはご家族の関係を守るための、いわば「お守り」のようなものです。

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今回は、老人ホームの費用負担に関する原則から、費用が足りない場合の対処法、公的な補助制度、トラブル防止策まで幅広く解説しました。

費用の問題は非常にデリケートであり、ご家庭の状況によって最適な解決策は異なります。公的な制度も複雑で、ご自身ですべてを調べるのは大変な作業かもしれません。

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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