【図解】認知症スケール(長谷川式 HDS-R)とは?質問項目・点数の目安・注意点をわかりやすく解説
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ご家族の言動に「もしかして認知症の始まりだろうか?」と不安を感じたとき、認知機能の状態を客観的に評価する一つの手がかりとなるのが「認知症スケール」です。特に日本では、聖マリアンナ医科大学の長谷川和夫先生が作成した「改訂長谷川式認知症スケール(HDS-R)」が、医療や介護の現場で広く活用されています。この記事を読めば、長谷川式認知症スケール(HDS-R)の具体的な質問項目や点数の目安、検査を受ける際の注意点がわかります。結論として、認知症スケールは認知症を確定診断するものではありませんが、認知機能の低下を早期に発見し、適切な医療や介護につなげるための重要な「きっかけ」となります。ご家族だけで抱え込まず、専門家へ相談するための一歩として、この記事で正しい知識を身につけましょう。
認知症スケールとは?認知機能の状態を把握するための検査
認知症の早期発見と適切な対応につなげる役割
認知症スケールは、質問や簡単な作業を通して、記憶力や判断力、見当識(けんとうしき:現在の年月や時間、場所などを正しく認識する能力)といった認知機能の状態を評価するための簡易的な検査です。認知症スクリーニング検査とも呼ばれ、認知症の疑いがある場合に、より詳しい検査や診断に進むべきかを判断するために用いられます。認知症は、早期に発見し、原因となる病気に応じた治療やリハビリテーション、環境調整を行うことで、症状の進行を緩やかにしたり、ご本人が穏やかに生活できる期間を長くしたりすることが期待できます。認知症スケールは、見過ごされがちな認知機能の低下を客観的な点数で示し、専門医への受診を促すことで、早期発見・早期対応へとつなげる重要な役割を担っています。
認知症スケールでわかること・わからないこと
記憶力や見当識などの認知機能を点数化
認知症スケールによって、現在の認知機能がどの程度保たれているのか、あるいは低下しているのかを客観的な点数で把握することができます。これにより、医療従事者や介護者がご本人の状態を共有し、適切なサポート方針を立てるための参考にすることができます。
スケールの結果だけで認知症の診断は確定しない
最も重要な点は、認知症スケールの点数だけで認知症の診断はできないということです。認知症の診断は、スケール検査の結果に加え、医師による問診、神経心理学検査、脳の画像検査(CTやMRIなど)、血液検査といった様々な検査結果を総合的に評価して、専門医によって行われます。点数が低くても必ずしも認知症とは限らず、逆に点数が高くても認知症が隠れている可能性もあります。
日本で広く使われる「改訂長谷川式認知症スケール(HDS-R)」
数ある認知症スケールの中でも、日本では「改訂長谷川式認知症スケール(HDS-R)」が広く普及しています。これは、質問への応答にかかる時間が比較的短く、特別な道具も不要なため、診察室や在宅など様々な場面で実施しやすいという特徴があります。
HDS-Rの9つの質問項目と配点
HDS-Rは、合計30点満点で、9つの質問項目から構成されています。各質問がどのような能力を評価しているのかを下の表にまとめました。
| 質問項目 | 評価する主な認知機能 | 質問内容の例 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 1. 年齢 | 見当識 | 「お歳はおいくつですか?」 | 2点 |
| 2. 日時の見当識 | 見当識 | 「今日は何年何月何日ですか?」「何曜日ですか?」 | 4点 |
| 3. 場所の見当識 | 見当識 | 「私たちが今いるここはどこですか?」 | 2点 |
| 4. 言葉の記銘(きめい) | 記憶力(覚える力) | 「桜・猫・電車」など、関連性のない3つの言葉を覚えてもらう。 | 3点 |
| 5. 計算 | 注意力、計算能力 | 「100から7を順番に引いてください」 | 2点 |
| 6. 数字の逆唱 | 注意力、短期記憶 | 「私が言う数字を逆から言ってください(例:6-8-2 → 2-8-6)」 | 2点 |
| 7. 言葉の遅延再生 | 記憶力(思い出す力) | 質問4で覚えてもらった3つの言葉を、再度質問する。 | 6点 |
| 8. 物品の想起 | 記憶力、言語能力 | 時計や鉛筆など5つの品物を見せて覚えてもらい、隠した後に何があったか答えてもらう。 | 5点 |
| 9. 言葉の流暢性 | 前頭葉機能、言語能力 | 「知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください」 | 4点 |
※質問項目8は、2004年の改訂で追加されました。
点数から見る認知症の疑いの目安
カットオフ値「20点以下」が意味すること
一般的に、30点満点中20点以下の場合に「認知症の疑いが強い」と判断されます。この「20点」という基準値をカットオフ値と呼びます。ただし、これはあくまでスクリーニング(ふるい分け)のための目安であり、この点数をもって認知症と診断されるわけではありません。
21点以上でも認知症の可能性が否定されるわけではない
合計点数が21点以上であっても、認知症の可能性が完全に否定されるわけではありません。特に、教育年数が長い方や、もともと知的な能力が高い方は、認知機能が低下し始めていても高い点数を取ることがあります。このような状態は軽度認知障害(MCI)と呼ばれることもあり、注意深い経過観察が必要です。
検査を受ける際の環境や心構えのポイント
HDS-Rはご本人の能力を評価する検査のため、受ける方が安心して実力を発揮できるような配慮が不可欠です。
- 静かで集中できる環境を整える
- テレビの音や周囲の話し声などが入らない、静かで落ち着いた部屋で実施することが望ましいです。ご本人が質問に集中できるよう配慮します。
- プライドを傷つけない言葉を選ぶ
- 「テスト」や「検査」という言葉は、ご本人にプレッシャーを与えたり、プライドを傷つけたりする可能性があります。「少し物忘れのことでお伺いしますね」といった、穏やかな言葉を選ぶことが大切です。
- 時間制限は設けない
- 答えに詰まっても、急かしたり責めたりせず、ご本人のペースで考えられるようにゆったりと待ちましょう。安心できる雰囲気作りが、正確な評価につながります。
改訂長谷川式(HDS-R)以外の主な認知症スケール
HDS-R以外にも、目的や評価したい機能に応じて、様々な認知症スケールが用いられています。
世界基準の認知症検査「MMSE(ミニメンタルステート検査)」
世界で最も広く使われている認知症スクリーニング検査です。HDS-Rと同様に30点満点ですが、質問項目に「図形を書き写す」といった作業が含まれており、言語能力や学歴の影響を受けやすいとされるHDS-Rの弱点を補うことができます。
視空間認知機能を評価する「CDT(時計描画検査)」
「時計の文字盤を描き、指定された時刻(例:10時10分)の針を描き入れる」という簡単な検査です。記憶力だけでなく、視覚的な認識や構成能力、計画性といった、脳の様々な機能の状態を評価することができます。
前頭側頭型認知症の評価に使われる「FAB」
アルツハイマー型認知症とは異なり、初期には記憶障害が目立たない前頭側頭型認知症の評価に有用な検査です。計画性や抑制機能、社会的な行動などをつかさどる前頭葉の機能を評価する項目で構成されています。
認知症スケールはどこで受けられる?費用はかかる?
かかりつけ医や専門の医療機関(物忘れ外来など)に相談
ご家族の認知機能に不安を感じたら、まずは日頃からかかっている内科などの「かかりつけ医」に相談するのが第一歩です。そこから、認知症の専門的な診断・治療を行う「物忘れ外来」や「精神科」「神経内科」などを紹介してもらうことができます。
認知症スケールは医療保険が適用される検査
医師が必要と判断して医療機関で認知症スケール検査を受ける場合、費用は公的医療保険の適用対象となります。自己負担割合にもよりますが、比較的少ない負担で検査を受けることが可能です。
地域包括支援センターでも相談可能
医療機関への受診をためらう場合や、どこに相談すればよいか分からない場合は、「地域包括支援センター」に相談してみましょう。地域包括支援センターは、高齢者の健康や福祉、介護に関する総合相談窓口で、専門職が無料で相談に応じてくれます。
家族が自宅で試せる認知症の簡易チェックリスト
あくまでも受診を促す「気づき」のきっかけとして
インターネットなどで公開されている簡易チェックリストを試すことも一つの方法ですが、これは医学的な検査ではありません。その結果でご家族が「認知症だ」と判断することは絶対に避けてください。あくまでも、ご本人の変化に「気づき」、専門家への相談や医療機関の受診を検討する「きっかけ」として活用するものです。
本人のプライドを傷つけないための5つの配慮
ご家族がチェックリストを試す際は、ご本人の気持ちへの最大限の配慮が必要です。
- 質問攻めにしない
- 間違いを指摘したり、責めたりしない
- 「テスト」や「検査」という言葉を使わない
- 自然な会話の中で、さりげなく確認する
- 不安をあおるような言動は避ける
チェックリストで気になる点があれば専門家へ相談を
チェックリストで複数の項目に当てはまるなど、少しでも気になる点があれば、一人で抱え込まずに、かかりつけ医や地域包括支援センターなどの専門家に相談しましょう。早期の相談が、ご本人とご家族の未来を支えることにつながります。
認知症と診断された後の流れと介護サービスの利用
医師による画像検査などを踏まえた総合的な診断
専門医によって認知症と診断される際は、認知症スケールの結果に加え、CTやMRIといった脳の画像検査、血液検査などを行い、認知症の原因となっている病気(アルツハイマー型、脳血管性など)を特定し、総合的に診断を確定させます。
原因疾患に応じた治療方針の決定
診断が確定すると、原因疾患に応じた治療が開始されます。薬物療法によって症状の進行を緩やかにしたり、BPSD(行動・心理症状)を緩和したりすることを目指します。また、リハビリテーションやデイケアの利用といった非薬物療法も並行して行われます。
介護保険を申請し介護サービスの利用を検討
認知症と診断されたら、市区町村の窓口で「要介護認定」の申請を行います。認定を受けることで、自己負担1~3割でデイサービスや訪問介護、ショートステイといった介護保険サービスを利用できるようになります。これらのサービスは、ご本人の生活を支えるだけでなく、ご家族の介護負担を軽減するためにも非常に重要です。
認知症の検査や今後の介護でお悩みなら「笑がおで介護紹介センター」へ
認知症の検査を受けるべきか迷っている、あるいは診断を受けて今後の介護に不安を感じているなど、認知症に関するお悩みは尽きないものです。そんなときは、ぜひ私たち「笑がおで介護紹介センター」にご相談ください。
専門の相談員が無料でご相談に対応
介護の専門知識を持つ経験豊富な相談員が、皆様のお話を親身にお伺いします。施設探しに関するご相談はもちろん、認知症に関する日頃のお悩みや不安についても、無料でご相談いただけます。
ご本人の心身の状態に合わせた施設探しをサポート
認知症の症状や進行度は、お一人おひとり異なります。「笑がおで介護紹介センター」では、認知症ケアに力を入れている施設や、医療体制が充実している施設など、ご本人の心身の状態やご家族のご希望に合わせた老人ホーム・介護施設探しを全力でサポートいたします。
介護に関するあらゆるお悩みに寄り添います
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このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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