【認知症の対処法】家族ができる正しい対応とは?症状別にコミュニケーションのコツを解説

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【認知症の対処法】家族ができる正しい対応とは?症状別にコミュニケーションのコツを解説

ご家族が認知症と診断されたとき、どのように接すれば良いのか、戸惑いや不安を感じるのは当然のことです。これまでのご利用者とは違う言動に、つい感情的になってしまったり、どうすれば気持ちが伝わるのか分からなくなったりすることもあるでしょう。この記事では、認知症の方と接する上での基本的な心得から、症状別の具体的な対応方法、そして介護するご家族自身の心の負担を軽くする方法まで、幅広く解説していきます。結論として、認知症の方への対応で最も大切なのは、ご利用者の言動を頭ごなしに否定せず、その背景にある不安や混乱した気持ちに寄り添うことです。正しい知識を持つことで、ご家族の関わり方が変わり、ご利用者も穏やかな時間を取り戻すことができます。この記事が、あなたと大切なご家族との、より良いコミュニケーションの一助となれば幸いです。

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認知症の方への対応で大切な基本の心得

認知症の方と接する際には、まず基本となる心構えを理解しておくことが、穏やかな関係を築くための第一歩となります。ご利用者の不安を和らげ、尊厳を守るための4つの基本姿勢をご紹介します。

驚かせない・急がせない・自尊心を傷つけない「3つのない」

認知症ケアの第一人者である三好春樹氏が提唱した「3つのない」は、認知症の方と接する際の基本原則として広く知られています。

驚かせない
認知症の方は、予期せぬ出来事や大きな音に驚きやすく、不安を感じやすい状態にあります。後ろから突然声をかけたり、急に体に触れたりするのは避けましょう。相手の視野に入ってから、穏やかな表情と声で話しかけることを心がけてください。
急がせない
認知症になると、物事を理解したり、行動に移したりするのに時間がかかるようになります。動作がゆっくりでも、「早く早く」と急かしたり、先回りして手伝いすぎたりせず、ご利用者のペースを尊重してじっくりと待つ姿勢が大切です。
自尊心を傷つけない
できないことが増えても、ご利用者のプライドや自尊心は保たれています。子ども扱いしたり、失敗を厳しく指摘したりする言動は、ご利用者を深く傷つけ、かえって混乱や反発を招きます。一人の大人として敬意を持って接することが重要です。

本人の世界観を否定せず受け入れる姿勢

認知症の方は、私たちとは違う現実を生きていることがあります。例えば、亡くなったはずの親が「帰ってくる」と言ったり、事実と違うことを主張したりすることがあります。このような時、事実を正そうと「違うでしょ」「そんなはずない」と否定するのは逆効果です。

ご利用者にとってはそれが「真実」であり、否定されると混乱し、不安や怒りを感じてしまいます。「そうなんだね」「お母さんが恋しいのね」と、まずはご利用者の言葉や感情をそのまま受け止め、共感する姿勢を示しましょう。安心感が生まれ、落ち着きを取り戻しやすくなります。

ポジティブな声かけを意識したコミュニケーション

認知症の方とのコミュニケーションでは、言葉の内容だけでなく、表情や声のトーンといった非言語的な要素が非常に重要です。穏やかな笑顔、優しい眼差し、落ち着いた声のトーンで接することを意識しましょう。

また、「~してはダメ」という否定的な言葉は避け、「~しませんか?」という提案や、「~してくれてありがとう」といった感謝の言葉など、ポジティブな表現を心がけることが大切です。「できること」に目を向け、褒めることでご利用者の自信に繋がり、意欲を引き出すことができます。

本人が安心できる環境を整える

認知症の方は環境の変化に敏感で、混乱しやすい傾向があります。できるだけ模様替えは避け、家具の配置などを一定に保つことで、安心して過ごせる空間を作ることができます。

また、室内は明るく保ち、危険なものは片付けて転倒などを防ぐ配慮も必要です。カレンダーや時計を分かりやすい場所に置いたり、トイレの場所を貼り紙で示したりするなど、ご利用者が見当をつけやすいように工夫することも、不安の軽減に繋がります。

【症状別】認知症の正しい対応方法とコミュニケーションのコツ

認知症の症状は多岐にわたります。ここでは、代表的な症状ごとによくある場面を取り上げ、具体的な対応のコツをご紹介します。

記憶障害への対応方法

同じ話を繰り返す・何度も同じことを聞く

ありがちなNG対応
「さっきも言ったでしょ!」「何度も聞かないで」とイライラして指摘する。
望ましい対応のコツ
ご利用者にとっては毎回が初めての質問です。初めて聞くかのように、根気強く、簡潔に答えてあげましょう。話の内容が不安から来ている場合は、「大丈夫だよ」と安心させてあげることが大切です。話に付き合うのが辛いときは、「ちょっとお茶にしましょうか」と話題を変えたり、気分転換を促したりするのも有効です。

食事をしたことを忘れる

ありがちなNG対応
「もう食べたでしょ!」と突き放したり、食べ終わった食器を見せて説得しようとしたりする。
望ましい対応のコツ
「お腹が空いた」という訴えの裏には、何か満たされない気持ちや不安が隠れていることもあります。「否定せず、まずは気持ちを受け止める」ことが基本です。お茶やお菓子、果物など、軽めのものを「一緒に食べましょうか」と勧めたり、食べ終わった食器をすぐに片付けず、少し時間を置いてから「ごちそうさまでした」と声をかけたりする工夫も効果的です。

物を置いた場所を忘れる・物を盗られたと思い込む(物盗られ妄想)

ありがちなNG対応
「誰も盗らないよ」「自分でしまったんでしょ」と犯人扱いを否定したり、本人を疑ったりする。
望ましい対応のコツ
「物がなくなった」というご利用者の訴えは、不安の表れです。まずは「大変、それは心配だね」と気持ちに寄り添い、「一緒に探しましょう」と協力的な姿勢を見せることが大切です。犯人探しをするのではなく、あくまで「物を探す」ことに集中します。見つかったら、「ここにあって良かったね」と一緒に喜び、ご利用者の自尊心を傷つけないように配慮しましょう。

見当識障害への対応方法

時間や季節がわからなくなる

ありがちなNG対応
「今は夏でしょ、どうしてわからないの?」と本人の間違いを問い詰める。
望ましい対応のコツ
目につきやすい場所に大きな文字のカレンダーや時計を置き、視覚的に時間や日付がわかるように工夫しましょう。「今日は〇日ですね。良いお天気だからお散歩に行きませんか?」など、会話の中に自然に時間や季節の情報を取り入れると、ご利用者も状況を理解しやすくなります。

場所がわからなくなり家に帰ると言い出す(帰宅願望)

ありがちなNG対応
「ここがあなたの家でしょ!」と現実を無理に分からせようとする。
望ましい対応のコツ
「家に帰りたい」という言葉は、安心したい、自分の居場所を確認したいという気持ちの表れです。「お家に帰りたいのですね」と気持ちを受け止めた上で、「暗くなると危ないから、明日明るくなってからにしましょうか」「お茶を一杯飲んでから出発しましょう」などと提案し、関心を別のことに向けてみましょう。ご利用者が安心できるような、昔の思い出話などをするのも効果的です。

人の顔がわからなくなる

ありがちなNG対応
「私が誰だか分からないの?」と悲しんだり、相手を試すような質問をしたりする。
望ましい対応のコツ
分からなくても当然、という態度で、会うたびに「こんにちは、娘の〇〇です」と自分から名乗るようにしましょう。相手に思い出させようとプレッシャーを与えるのは禁物です。写真に名前を書いて貼っておくなど、視覚的な手がかりを用意するのも良い方法です。

実行機能障害への対応方法

料理や買い物の段取りができない

ありがちなNG対応
「どうしてこんな簡単なこともできないの?」と能力の低下を責めたり、すべてを取り上げてしまったりする。
望ましい対応のコツ
一つの作業を「野菜を切る」「お皿を並べる」など、単純な工程に分解し、一つひとつお願いするようにします。ご利用者が得意だった作業の一部を手伝ってもらうなど、役割を持ってもらうことが大切です。「さすがだね」「助かるよ」といった声かけで、自信や達成感に繋げましょう。

着替えがうまくできない

ありがちなNG対応
時間がないからと、本人の意思に関わらず無理やり着替えさせてしまう。
望ましい対応のコツ
着る順番に服を並べておいたり、「まず右腕を通しましょう」など、次の動作を具体的に伝えたりすることで、スムーズに着替えができる場合があります。ボタンが難しい場合はマジックテープ式の服、前後が分かりやすいデザインの服を選ぶなどの工夫も有効です。

BPSD(行動・心理症状)への対応方法

徘徊(はいかい)

ありがちなNG対応
「どこへ行くの!」と大声で制止したり、部屋に閉じ込めたりする。
望ましい対応のコツ
徘徊には、トイレを探している、仕事に行こうとしているなど、ご利用者なりの理由や目的があります。まずは「どうしましたか?」と理由を尋ね、気持ちを受け止めましょう。無理に止めず、満足するまで一緒に歩いてあげることで落ち着く場合もあります。安全確保のため、GPS機能付きの靴やキーホルダーを持たせたり、ご近所や地域の交番に事情を話しておくことも大切です。

幻覚・幻視・幻聴

ありがちなNG対応
「そんなものはいないよ」「気のせいでしょ」と本人が見たり聞いたりしているものを完全に否定する。
望ましい対応のコツ
ご利用者にとっては、それは現実に見えたり聞こえたりしています。「天井に蛇がいる」と言うなら、「それは怖いですね」とまずは恐怖心に共感し、「私が追い払うから大丈夫ですよ」と安心させてあげましょう。部屋の照明を明るくしたり、幻視の原因になりそうな物(壁のシミやハンガーにかけた服など)を取り除いたりする環境調整も有効です。

暴言・暴力・興奮

ありがちなNG対応
感情的に言い返したり、力で押さえつけようとしたりする。
望ましい対応のコツ
まずは介護者自身の安全を確保し、少し距離を置いて冷静になるのを待ちます。興奮の裏には、痛み、不快感、不安、プライドを傷つけられたなど、必ず原因があります。落ち着いてから「何か嫌なことがありましたか?」と原因を探り、それを取り除くように努めましょう。あまりに頻繁な場合は、専門医に相談することも重要です。

介護拒否・入浴拒否

ありがちなNG対応
「わがままを言わないで」「汚いから入りなさい」と無理強いする。
望ましい対応のコツ
拒否するのにも理由があります。お風呂が寒い、裸になるのが恥ずかしい、何をされるか分からなくて怖いなど、原因を探ることが大切です。「お風呂場を暖めておきましたよ」「背中だけ流しましょうか」など、安心できる言葉をかけたり、デイサービスなど他の人に頼むことで受け入れる場合もあります。無理強いせず、時間を変えて誘ってみるのも一つの方法です。

不安・抑うつ・無気力

ありがちなNG対応
「しっかりして!」「頑張って!」と無理に励ます。
望ましい対応のコツ
不安な気持ちに寄り添い、ゆっくりと話を聞いてあげることが大切です。スキンシップ(手を握る、背中をさする)も安心感に繋がります。簡単な役割(洗濯物をたたむ、お皿を拭くなど)をお願いして、「ありがとう、助かったわ」と感謝を伝えることで、ご利用者の存在価値を認め、意欲を引き出すきっかけになることがあります。

認知症介護で家族が抱える悩みと心理的負担を軽くする方法

認知症の介護は長期にわたることが多く、介護するご家族の心身の負担は計り知れません。ご自身の健康を守ることも、良い介護を続けるためには不可欠です。

介護者がたどる心理的プロセスを知る

介護者は「戸惑い・否定」→「混乱・怒り・拒絶」→「あきらめ」→「受容」といった心理的な段階をたどることが多いと言われています。今自分がどの段階にいて、なぜこのような感情になるのかを客観的に理解するだけでも、少し心が楽になることがあります。

完璧を目指さない「頑張りすぎない介護」のすすめ

「自分がしっかりしなければ」「すべて完璧にこなさなければ」と思い詰めてしまうと、介護者は心身ともに疲弊してしまいます。介護は100点満点を目指す必要はありません。「今日はこれだけできれば十分」と考え、少し手を抜くくらいの気持ちで、長期的に関わっていくことが大切です。

一人で抱え込まずに悩みを共有する

介護の悩みや愚痴は、一人で抱え込まずに誰かに話すことが非常に重要です。配偶者や兄弟姉妹、友人など、信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが整理され、ストレスが軽減されます。後述する家族会などで、同じ立場の介護者と話すことも大きな支えになります。

介護保険サービスを活用して休息をとる(レスパイトケア)

レスパイト(respite)とは「一時的中断」「休息」という意味です。介護者が一時的に介護から解放され、休息をとれるように支援するサービスを「レスパイトケア」と呼びます。デイサービスやショートステイなどを利用して、介護者が自分のための時間を作り、心身をリフレッシュすることは、介護を長く続けるために不可欠です。

認知症の悩みはどこに相談できる?専門家や相談窓口を活用しよう

介護の悩みは、専門家や公的な窓口に相談することで、具体的な解決策が見つかることがあります。

かかりつけ医や認知症専門医
ご利用者の症状や治療方針についての相談ができます。BPSD(行動・心理症状)が強い場合などは、薬の調整などについても相談に乗ってもらえます。
地域包括支援センター
高齢者の保健・福祉・医療に関する総合相談窓口です。介護保険サービスの利用方法や、地域の介護資源についてなど、あらゆる相談に対応してくれます。
若年性認知症コールセンター
65歳未満で発症する若年性認知症について、本人や家族、関係者からの相談を専門に受け付けています。
認知症カフェや家族会
認知症のご利用者やそのご家族、地域住民、専門職などが集う交流の場です。同じ悩みを持つ仲間と情報交換をしたり、悩みを分かち合ったりすることができます。

認知症の方を支える介護サービスの種類と特徴

介護保険を利用することで、様々なサービスを1~3割の自己負担で利用できます。ご利用者の状態やご家族の状況に合わせて、サービスを組み合わせることが可能です。

在宅で利用できる介護サービス

デイサービス(通所介護)

日帰りで施設に通い、食事や入浴、レクリエーション、機能訓練などのサービスを受けられます。ご利用者の社会的な孤立感を解消し、ご家族の介護負担を軽減する効果があります。

ショートステイ(短期入所生活介護)

介護施設に短期間宿泊し、食事や入浴などの介護サービスを受けられます。冠婚葬祭や旅行、介護者の休息(レスパイトケア)のために利用されます。

訪問介護(ホームヘルプ)

ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事や入浴、排泄などの「身体介護」や、掃除、洗濯、買い物などの「生活援助」を行います。

認知症ケアに強みのある入居施設

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

認知症の方が5~9人の少人数で、専門スタッフの支援を受けながら共同生活を送る施設です。家庭的な雰囲気の中で、役割を持ちながら自立した生活を目指します。

介護付き有料老人ホーム

24時間体制で介護スタッフが常駐し、手厚い介護サービスを受けられる民間の施設です。認知症の症状が進行した方でも安心して生活できる体制が整っている施設が多いです。

特別養護老人ホーム(特養)

社会福祉法人などが運営する公的な施設で、原則として要介護3以上の方が入居できます。費用が比較的安価なため、入居待機者が多い傾向にあります。

認知症と診断されたら家族が考えるべきこと

認知症の診断は、ご利用者にとってもご家族にとっても、今後の生活を考える大きな節目となります。早期に話し合っておくべき重要な点がいくつかあります。

自動車の運転免許の取り扱いと事故防止

認知症と診断された場合、安全な運転が困難になるため、運転免許の自主返納や取り消しの手続きについて検討する必要があります。ご利用者が運転を続けることに固執する場合もありますが、重大な事故を防ぐために、ご家族や医師と連携し、粘り強く話し合うことが重要です。

財産管理と成年後見制度の活用

判断能力が低下すると、預貯金の管理が難しくなったり、悪質な詐欺の被害に遭ったりするリスクが高まります。ご利用者の意思が確認できるうちに、預貯金の管理方法や財産について話し合っておくことが望ましいです。判断能力が不十分になった場合には、家庭裁判所が選んだ後見人が本人に代わって財産を管理する「成年後見制度」の利用も選択肢となります。

今後の治療やリハビリの方針

認知症は進行性の病気ですが、早期からの治療やリハビリテーションによって、進行を緩やかにすることが可能です。どのような医療やケアを受けたいか、どこでどのように暮らしたいかなど、ご利用者の希望を尊重しながら、今後の生活についてご家族で話し合う機会を持つことが大切です。

認知症ケアができる老人ホーム探しは「笑がおで介護紹介センター」へ

認知症の症状や進行度は人それぞれであり、ご利用者に合ったケアを提供してくれる老人ホームを見つけることは、ご家族にとって大きな課題です。

「笑がおで介護紹介センター」では、関西エリア(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、三重)の施設情報に精通した専門の相談員が、認知症ケアの実績が豊富な施設や、ご利用者の状態に合わせた受け入れ体制の整った施設を無料でご紹介します。施設選びでお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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