介護報酬の「単位」とは?1単位10円は間違い?自己負担額の計算方法をわかりやすく解説

介護保険サービスを利用した際の請求書を見て、「『単位』って何のこと?」「料金の計算方法がよくわからない」と感じたことはありませんか。介護サービスの料金は、一見すると複雑に思えるかもしれません。「1単位=10円」と聞いたことがある方も多いかもしれませんが、実はこれは正確な情報ではありません。お住まいの地域や利用するサービスによって、1単位あたりの金額は変動します。この記事では、介護保険サービスの料金の根幹である「介護報酬」と「単位」の仕組みから、ご自身の自己負担額がわかる具体的な計算方法まで、4つのステップでわかりやすく解説します。この記事を最後までお読みいただくことで、介護費用の仕組みが明確に理解でき、ご自身が利用するサービスの料金がどのように決まっているのかを納得できるようになります。今後のサービス利用や施設選びの参考に、ぜひお役立てください。
介護報酬とは?介護保険サービスの料金が決まる仕組み
介護保険サービスを利用する際にかかる費用を理解するためには、まず「介護報酬」という言葉を知る必要があります。これは、介護サービス事業者が提供したサービスの対価として、市町村(保険者)から支払われる費用のことです。ご利用者は、その介護報酬の一部を「自己負担額」として支払います。この介護報酬の基準は国によって定められており、その計算の基礎となるのが「単位」という考え方です。
介護サービスの費用は全国共通の「単位」で定められている
介護保険のサービスは、訪問介護やデイサービス、施設入居など多岐にわたります。これらのサービス一つひとつに対して、国は「このサービスを提供したら〇〇単位」というように、全国共通の単位数を設定しています。
なぜ、円ではなく「単位」で決められているのでしょうか。それは、地域によって人件費などのコストに差があるためです。もし全国一律で「訪問介護1時間=〇〇円」と決めてしまうと、人件費の高い都市部の事業者と、そうでない地域の事業者との間に不公平が生じてしまいます。
そこで、サービスの価値そのものは全国共通の「単位」で示し、その単位に地域ごとの単価を掛けて最終的な料金を算出する、という公平な仕組みが採用されています。
介護報酬の計算式:自己負担額の算出方法
介護サービスを利用した際の自己負担額は、以下の計算式で算出されます。
自己負担額 =(①サービスごとの単位数 + ②加算・減算)× ③地域単価 × ④自己負担割合
この計算式に出てくる4つの要素が、料金を決める上での重要なポイントです。
- ①サービスごとの単位数
- 利用した介護サービスの種類や内容によって決められた基本的な単位。
- ②加算・減算
- 事業所の体制やサービス内容に応じて、基本単位にプラス・マイナスされる調整分の単位。
- ③地域単価
- 人件費などの地域差を調整するために設定された、1単位あたりの値段。
- ④自己負担割合
- ご利用者の所得に応じて決まる、費用の負担割合(原則1割~3割)。
次の章では、この計算式に沿って、ご自身の自己負担額を算出する具体的な手順を4つのステップで詳しく見ていきましょう。
介護報酬の自己負担額がわかる計算方法を4ステップで解説
それでは、実際に介護サービスの自己負担額を計算する手順を、4つのステップに分けて具体的に見ていきましょう。お手元に「介護保険被保険者証」や「介護保険負担割合証」、事業所から提供される「サービス利用票」や「請求書」などをご用意いただくと、より理解が深まります。
ステップ1:利用する介護サービスの「単位数」を調べる
まず、ご自身が利用した、あるいは利用を検討しているサービスの「基本単位数」を確認します。この単位数は、サービスの種類や内容、時間によって国が細かく定めています。
居宅サービスと施設サービスの単位数
在宅で利用する「居宅(きょたく)サービス」と、施設に入居して利用する「施設サービス」では、単位数の設定方法が異なります。
| サービス種別 | 単位数の設定例 |
|---|---|
| 居宅サービス(例:訪問介護) | ・身体介護(20分未満):167単位 ・生活援助(20分以上45分未満):183単位 |
| 施設サービス(例:特別養護老人ホーム) | ・要介護3(多床室):1日あたり831単位 |
これらの単位数は、ケアマネジャーが作成するケアプランや、サービス事業者から毎月受け取るサービス利用票・請求書などに記載されています。また、厚生労働省のウェブサイトや「WAM NET(ワムネット)」でも公表されています。
要介護度によって単位数は異なる
同じ施設サービスを利用する場合でも、要介護度によって単位数は変わってきます。一般的に、介護の必要性が高い(要介護度が高い)方ほど、サービス提供にかかる手間や時間が増えるため、単位数も高く設定されています。
例えば、特別養護老人ホーム(従来型個室)の1日あたりの基本単位数は以下のようになっています。(※一例です)
- 要介護1:575単位
- 要介護2:648単位
- 要介護3:724単位
- 要介護4:796単位
- 要介護5:866単位
ステップ2:専門的なサービスなどによる「加算・減算」を確認する
次に、基本単位数に上乗せ(加算)されたり、逆に差し引かれたり(減算)する単位がないかを確認します。これは、事業所のサービス提供体制や、専門的なケアの実施状況などを評価するための仕組みです。
サービスの質や体制による上乗せ(加算)
加算は、より質の高いサービスを提供している事業所を評価するための仕組みです。ご利用者にとっては、手厚いケアを受けられるというメリットがありますが、その分費用負担は増加します。
<加算の具体例>
- 介護職員処遇改善加算
- 介護職員の給与アップや職場環境の改善に取り組んでいる事業所に加算されます。
- 夜間看護体制加算
- 夜間に看護職員を配置し、医療的なケアに対応できる体制を整えている施設に加算されます。
- 個別機能訓練加算
- 理学療法士などの専門職を配置し、ご利用者一人ひとりの心身の状態に合わせた機能訓練を実施している場合に加算されます。
どのような加算項目があるかは、事業所の重要事項説明書や請求書で確認できます。
人員不足などで基本単位が減る(減算)
減算は、国が定める運営基準を満たせていない場合に、ペナルティとして基本単位から一定数が差し引かれる仕組みです。
<減算の具体例>
- 人員基準欠如減算
- 定められた数の職員(看護師、介護士など)を配置できていない場合に適用されます。
- 定員超過利用減算
- 施設の入居定員を超えてご利用者を受け入れている場合に適用されます。
ご利用者にとっては、減算がある事業所は運営体制に何らかの問題がある可能性を示唆するものと言えます。
ステップ3:お住まいの地域の「1単位の単価」を確認する
ステップ1と2で合計した単位数に、1単位あたりの単価を掛け合わせます。この単価は、全国一律の10円ではありません。物価や人件費が高い都市部と地方との格差を調整するため、地域ごとに単価が設定されています。この単価は「地域区分」によって決まり、基本の10円に、地域ごとに定められた上乗せ率(0%~20%)を掛けた金額となります。ご自身がお住まいの地域の単価がいくらなのかは、次の章で詳しく解説します。
ステップ4:「自己負担割合(1割〜3割)」を掛けて金額を算出する
最後に、算出した合計金額に、ご自身の自己負担割合を掛け合わせます。この割合は、前年の所得に応じて決まり、市町村から交付される「介護保険負担割合証」に記載されています。
| 負担割合 | 対象となる方(目安) |
|---|---|
| 1割 | 下記の2割・3割負担の条件に当てはまらない方。生活保護受給者、市区町村民税非課税の方など。 |
| 2割 | 本人の合計所得金額が160万円以上で、かつ年金収入とその他の所得の合計額が単身で280万円以上、2人以上世帯で346万円以上の方。 |
| 3割 | 本人の合計所得金額が220万円以上で、かつ年金収入とその他の所得の合計額が単身で340万円以上、2人以上世帯で463万円以上の方。 |
※上記は65歳以上の方(第1号被保険者)の判定基準の目安です。正確な区分は「介護保険負担割合証」をご確認ください。
以上の4ステップを経て、最終的な自己負担額が確定します。
<計算例>
要介護3の方が、1単位=10.90円の地域にある特別養護老人ホーム(1日831単位)に入居し、夜間看護体制加算(1日10単位)を取得。自己負担割合が1割の場合。
- 単位数の合計:831単位 + 10単位 = 841単位
- 1ヶ月(30日)の総単位数:841単位 × 30日 = 25,230単位
- 費用(10割)の算出:25,230単位 × 10.90円 = 275,007円
- 自己負担額(1割)の算出:275,007円 × 0.1 = 27,501円(月額)
※この他に、食費や居住費などの実費負担が別途必要になります。
1単位の値段が変わる「地域区分」と地域単価
自己負担額の計算で重要な役割を果たす「1単位の単価」。ここでは、その単価を決める「地域区分」の仕組みについて、さらに詳しく見ていきましょう。
地域区分とは人件費などの地域差を調整する仕組み
介護サービスの費用の約7割は、介護職員の給与などの人件費が占めていると言われています。ご存知の通り、人件費や家賃などの物価は、東京や大阪などの大都市圏と地方とでは大きな差があります。
もし1単位の単価が全国一律10円だと、人件費の高い都市部の事業所は経営が成り立ちにくくなり、サービスの提供が困難になる恐れがあります。そこで、介護保険制度では、こうした地域による費用の差を公平に調整するために「地域区分」という制度を設けています。
この制度により、事業者は地域の実情に合った安定的な運営が可能となり、ご利用者はどの地域に住んでいても一定水準の介護サービスを受けられるようになっています。
全国8つの地域区分と1単位あたりの単価一覧
地域区分は、市町村単位で「1級地」から「7級地」、そして「その他」までの8段階に分けられています。数字が小さいほど都市部であり、1単位あたりの単価は高くなります。以下に、地域区分ごとの単価と、該当する主な市区町村の例をまとめました。
| 地域区分 | 上乗せ率 | 1単位あたりの単価 | 主な該当市区町村(令和6年度時点) |
|---|---|---|---|
| 1級地 | 20% | 12.00円 | 東京都特別区(23区) |
| 2級地 | 16% | 11.60円 | 大阪府大阪市、神奈川県横浜市・川崎市 |
| 3級地 | 15% | 11.50円 | 埼玉県さいたま市、千葉県千葉市、愛知県名古屋市、兵庫県神戸市など |
| 4級地 | 12% | 11.20円 | 千葉県船橋市、京都府京都市、福岡県福岡市など |
| 5級地 | 10% | 11.00円 | 茨城県つくば市、兵庫県芦屋市・西宮市、奈良県奈良市など |
| 6級地 | 6% | 10.60円 | 宮城県仙台市、広島県広島市、滋賀県大津市・草津市など |
| 7級地 | 3% | 10.30円 | 北海道札幌市、和歌山県和歌山市など |
| その他 | 0% | 10.00円 | 上記以外の市町村 |
※地域区分はサービス種別によって適用される率が異なる場合や、定期的な見直しが行われます。最新の情報は各自治体のウェブサイトなどでご確認ください。
中山間地域等に住む方のための特別地域加算
都市部の事業所を評価する仕組みがある一方で、人口が少なくサービスの提供が非効率になりがちな地域への配慮もあります。それが「特別地域加算」です。これは、離島や山間部といった、いわゆる中山間地域などに立地する事業所がサービスを提供した場合に、基本単位数に15%が上乗せされる制度です。これにより、採算が取りにくい地域の事業所の運営を支え、どこに住んでいても介護サービスを受けられる体制を維持しています。
知っておきたい主な加算の種類
介護サービスの請求書には、様々な「加算」項目が記載されています。ここでは、ご利用者やご家族が目にすることの多い代表的な加算について、その内容を解説します。
介護職員の給与に反映される「介護職員処遇改善加算」
これは、介護職員の賃金改善やキャリアアップの仕組みを整備している事業所を評価するための加算です。現在、多くの事業所がこの加算を算定しており、介護業界全体の人材確保とサービスの質向上を目的としています。この加算を算定している事業所は、職員を大切にし、質の高いサービスを提供しようと努めている一つの目安と考えることができます。
看取りに対応するための「看取り介護加asan」
医師により回復の見込みがないと診断された方に対して、ご本人やご家族の意向を尊重し、穏やかな最期を迎えられるよう支援する体制を評価する加算です。身体的・精神的な苦痛を和らげるケアや、ご家族への精神的なサポートなどを実施した場合に算定されます。終末期(しゅうまつき)ケアに力を入れている施設の指標となります。
認知症の方をケアするための「認知症専門ケア加算」
認知症ケアに関する専門的な研修を修了した職員を配置し、認知症の方の状態に応じた適切なケアを提供している事業所を評価する加算です。認知症の方の行動・心理症状(BPSD)の緩和や、生活の質の向上を目指す取り組みに対して算定されます。認知症の方の施設選びにおいて、一つの重要な判断材料となるでしょう。
2024年度(令和6年度)介護報酬改定のポイント
介護報酬は、社会情勢の変化や介護現場の課題に対応するため、原則3年に一度見直し(改定)が行われます。直近では2024年(令和6年)4月に改定が実施されました。ここでは、その主なポイントをご紹介します。
全体の改定率はプラス1.59%
今回の改定では、介護報酬全体で+1.59%の引き上げとなりました。これは、物価高騰や介護職員の賃金引き上げの必要性などを踏まえたものです。この内、0.98%は介護職員の処遇改善分(賃上げ)に充てられ、残りの0.61%がその他のサービス改定に充てられます。
介護職員の賃上げへの対応
深刻な人材不足が続く介護業界において、職員の確保・定着は喫緊の課題です。今回の改定では、これまで複数あった「処遇改善加算」を一本化し、より柔軟で効果的な賃上げにつながるような見直しが行われました。また、2024年6月からは、介護職員一人あたり月額平均6,000円の賃上げに相当する新たな加算も創設されています。
制度の持続可能性の確保
団塊の世代が75歳以上となる2025年、さらには高齢者人口がピークを迎える2040年を見据え、介護保険制度を将来にわたって維持していくための見直しも行われました。具体的には、介護ロボットやICTの活用による生産性の向上を評価する加算や、医療と介護の連携強化、多様なニーズに対応するための新しい複合型サービス(訪問介護と通所介護の組み合わせなど)の創設などが盛り込まれています。
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ここまで、介護報酬の単位の仕組みから自己負担額の計算方法、最新の改定情報まで解説してきました。サービスの種類や加算項目、お住まいの地域によって費用が変動するため、ご自身で正確な金額を算出するのは非常に複雑で難しいと感じられたかもしれません。
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監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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