制限食の種類を一覧で解説|高血圧・糖尿病などの病気と食事制限

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制限食の種類を一覧で解説|高血圧・糖尿病などの病気と食事制限

高血圧や糖尿病、腎臓病(じんぞうびょう)などの持病があると、医師から食事に関する指導を受けることがあります。それが「制限食」と呼ばれる、病気の治療を目的とした食事療法です。特定の栄養素の摂取量を制限したり、調整したりすることで、病状の悪化を防ぎ、健やかな毎日を送ることを目指します。

しかし、一言で制限食といっても、対象となる病気によって制限する内容が異なり、専門的な知識が必要です。「塩分を減らしてくださいと言われたけれど、具体的にどうすれば?」「家族の食事と別に作るのは大変…」といったお悩みも少なくありません。

この記事では、高血圧、糖尿病、腎臓病など、代表的な病気別に制限食の種類と内容を分かりやすく一覧で解説します。また、ご家庭での調理が難しい理由や、その負担を軽減するための方法もご紹介します。この記事を通じて制限食への正しい理解を深め、治療と前向きに向き合うためのヒントを見つけていただければ幸いです。

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制限食とは?持病の悪化を防ぐための食事療法

制限食とは、特定の病気の治療や進行抑制を目的として、医師の指示に基づき、特定の栄養素(塩分、カロリー、たんぱく質、脂質など)の摂取量を制限、または調整する食事のことです。治療食とも呼ばれ、薬物療法や運動療法と並ぶ、治療の重要な柱の一つです。

目的は、病気の原因となる栄養素の過剰摂取を抑え、臓器への負担を軽減し、病状をコントロールすることにあります。例えば、高血圧の方なら塩分を、糖尿病の方ならエネルギー(カロリー)や糖質を調整するといった形で行われます。

医師や管理栄養士の指導のもとで行うのが原則

制限食で最も重要なことは、絶対に自己判断で始めないということです。病状や年齢、体格、合併症の有無などによって、適切な栄養素の量は一人ひとり全く異なります。

間違った方法で食事制限を行うと、必要な栄養素まで不足してしまい、かえって体調を悪化させたり、新たな病気を引き起こしたりする危険性があります。

制限食は、必ず医師の診断と指示に基づいて開始し、管理栄養士から具体的な食材の選び方や調理方法など、専門的な栄養指導を受けることが大前提です。定期的に血液検査などを行い、効果を確認しながら内容を調整していく必要があります。

介護食(嚥下調整食)との違い

「制限食」と、高齢者向けの食事としてよく聞かれる「介護食」は、目的が異なります。

食事の種類 目的 具体的な内容
制限食(治療食) 病気の治療・管理 塩分、カロリー、たんぱく質など、栄養素の「量」を調整する。
介護食(嚥下調整食) 安全な飲み込み(嚥下)のサポート きざみ食、ミキサー食、ソフト食など、食べ物の「硬さ」や「形状」を調整する。

このように、制限食は「何を」「どれだけ」食べるかという栄養成分の管理に焦点を当てているのに対し、介護食は「どのように」食べるかという物理的な食べやすさに焦点を当てています。

もちろん、腎臓病を患い、かつ嚥下機能が低下している方には、「たんぱく質を制限したソフト食」のように、両方の配慮が同時に必要となるケースもあります。

【病気・目的別】制限食の主な種類と食事制限の内容

制限食は、対象となる病気によって制限・調整する栄養素が異なります。ここでは代表的なものを一覧でご紹介します。

対象となる主な病気 制限食の種類 主な制限・調整の内容
高血圧、心臓病、腎臓病、肝臓病など 塩分制限食 ナトリウム(食塩)の摂取量を1日6g未満などに制限する。
糖尿病、肥満など カロリー制限食・糖質制限食 1日の総エネルギー(カロリー)や、血糖値を上げやすい糖質の量を調整する。
腎臓病(慢性腎不全など) たんぱく質・カリウム・塩分制限食 腎臓への負担を減らすため、たんぱく質、カリウム、塩分、時には水分の摂取量も制限する。
脂質異常症、心臓病、膵炎、肝臓病など 脂質制限食 総脂質量、特に飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量を制限する。

以下で、それぞれの制限食について詳しく見ていきましょう。

高血圧の方向け|塩分制限食

目的
血圧のコントロール。食塩の主成分であるナトリウムは、体内で水分を保持する性質があり、過剰に摂取すると血液量が増加し、血圧が上昇する原因となります。
制限内容
日本高血圧学会のガイドラインでは、高血圧治療のために1日の食塩摂取量6g未満が推奨されています。これは、日本人の平均摂取量(成人男性11.0g、成人女性9.3g/令和元年)より大幅に少ない量であり、意識的な減塩が必要です。
食事のポイント
  • 麺類の汁は飲まない
  • 漬物や加工食品(ハム、練り物など)を控える
  • 醤油やソースは「かける」より「つける」
  • だしや香辛料、香味野菜、酢や柑橘類の酸味を上手に使い、薄味でも美味しく食べられる工夫をする

糖尿病の方向け|糖質制限食・カロリー制限食

目的
血糖値のコントロール。食事によって上昇する血糖値を適切な範囲に保ち、合併症を予防します。
制限内容
主に「カロリー制限食」が基本となります。個人の年齢や活動量に合わせた適正なエネルギー量を算出し、その範囲内で栄養バランスの取れた食事を摂ります。近年では糖質の摂取量を管理する「糖質制限食」も注目されますが、極端な制限は低血糖などを招く可能性があるため、必ず医師の指導のもとで行う必要があります。
食事のポイント
  • 1日3食、規則正しく食べる
  • 主食、主菜、副菜をそろえ、バランス良く食べる
  • 野菜やきのこ、海藻など、食物繊維の多い食品から先に食べる(血糖値の急上昇を抑える)
  • 間食や甘い飲み物を控える

腎臓病の方向け|たんぱく質制限食・カリウム制限食・塩分制限食

目的
腎臓への負担を軽減し、腎機能の低下を遅らせること。腎臓病の食事療法は複数の栄養素を同時に管理する必要があり、非常に専門的です。
制限内容
  • たんぱく質制限:たんぱく質が体内で利用された後の老廃物は腎臓から排出されるため、摂取を制限して腎臓の負担を減らします。
  • 塩分制限:むくみや高血圧を改善・予防します。
  • カリウム制限:腎機能が低下するとカリウムをうまく排出できなくなり、血液中のカリウム濃度が高くなる「高カリウム血症」を起こす危険があります。不整脈などの原因となるため、摂取を制限します。
食事のポイント
  • たんぱく質の制限によりエネルギー不足にならないよう、治療用の特殊食品(低たんぱく米など)を活用し、油などでエネルギーを補う
  • カリウムは水に溶けやすいため、野菜やいも類は細かく切ってから「水にさらす」「茹でこぼす」といった下処理を行う
  • 果物やジュース、ドライフルーツはカリウムが多いため控える

脂質異常症・心臓病などの方向け|脂質制限食

目的
血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を減らし、動脈硬化の進行を防ぐこと。動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞の大きな原因となります。
制限内容
1日の総脂質摂取量を適切にコントロールするとともに、脂質の「質」を改善することが重要です。特に、肉の脂身やバター、生クリームなどに多く含まれる「飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)」や、コレステロールの摂取を控える必要があります。
食事のポイント
  • 肉は脂身の少ない部位(ヒレ、ささみなど)を選ぶ
  • 青魚(サバ、イワシなど)に含まれる不飽和脂肪酸(EPA、DHA)を積極的に摂る
  • 調理油は植物性のもの(オリーブオイルなど)を選ぶ
  • 揚げ物や炒め物を控え、「蒸す」「茹でる」といった調理法を心掛ける
  • 食物繊維を多く摂り、コレステロールの排出を促す

家庭での制限食調理が難しい理由

専門家から指導を受けても、実際に家庭で毎日制限食を調理し続けるのは、想像以上に大変なことです。

正確な栄養計算と調理の手間

制限食では、使用する食材の重さを正確に量り、食品成分表などを用いて栄養素の量を計算する必要があります。特に腎臓病食のように、たんぱく質、塩分、カリウム、エネルギーと複数の項目を同時に管理するのは、専門知識がなければ非常に困難です。

また、カリウムを減らすために野菜を長時間水にさらしたり、茹でこぼしたりといった、通常は必要のない下ごしらえも加わるため、調理に多くの時間と手間がかかります。

食材や調味料が制限され味が単調になりがち

塩分や脂質が制限されると、どうしても料理の味が薄く、物足りなく感じがちです。使える調味料や食材、調理法が限られるため、メニューがマンネリ化し、毎日の食事が楽しめなくなってしまうことも少なくありません。

食事の楽しみが失われると、食べる意欲そのものが低下し、低栄養につながる恐れもあります。継続するためには、だしを効かせたり、香辛料を使ったりと、薄味でも美味しく食べられる工夫が求められます。

ご家族と別の食事を用意する負担

ご利用者だけが制限食を必要とする場合、他のご家族とは別のメニューを用意しなければなりません。品数が増えるだけでなく、調理器具や鍋を分けなければならないこともあり、調理や後片付けの負担が倍増します。この負担は、調理を担当するご家族にとって、身体的にも精神的にも大きなストレスとなる可能性があります。

負担軽減には宅配サービスや介護施設の活用も

家庭での調理が難しいと感じた場合、無理をせず外部のサービスを活用することも大切です。

管理栄養士が監修する制限食の宅配サービス

現在、多くの企業が、管理栄養士監修のもとで栄養計算された制限食の宅配サービスを提供しています。

サービスの特徴
塩分制限食、カロリー調整食、たんぱく質調整食など、病状に合わせた様々なコースが用意されています。冷凍弁当の形で届けられることが多く、電子レンジで温めるだけですぐに食べられる手軽さが魅力です。
メリット
面倒な栄養計算や調理の手間から解放され、ご家族の負担を大幅に軽減できます。味付けも工夫されており、美味しく続けられると好評です。

介護施設での専門的な栄養管理と食事提供

毎日の食事管理に継続的な不安がある場合は、介護施設への入居も有効な選択肢となります。多くの介護施設や老人ホームでは、管理栄養士や栄養士が常駐しており、医師の指示(食事箋:しょくじせん)に基づいて、入居者一人ひとりの病状に合わせた制限食を提供してくれます。

栄養バランスが管理された温かい食事が毎日提供されるため、ご利用者もご家族も、食事に関する心配から解放されます。きめ細やかな健康管理のもとで、安心して生活を送ることができるのは、施設ならではの大きなメリットです。

制限食に関するよくある質問

ここでは、制限食について多くの方が抱く疑問にお答えします。

自己判断で食事制限を始めても良いですか

回答:絶対にやめてください。

健康診断などで数値を指摘されたからといって、インターネットの情報だけを頼りに自己流の食事制限を始めるのは非常に危険です。必要なエネルギーや栄養素まで不足し、筋肉量が落ちたり、免疫力が低下したりと、かえって健康を損なうことになりかねません。必ず医療機関を受診し、医師の正しい診断と指示のもとで食事療法を開始してください。

制限食でも美味しく食べる工夫はありますか

回答:はい、様々な工夫があります。

味が単調になりがちな制限食ですが、少しの工夫で美味しさをアップさせることができます。

減塩の工夫

  • 昆布やかつお節、しいたけなどで取った「だし」のうま味を最大限に活用する。
  • こしょう、カレー粉、唐辛子などの香辛料で風味にアクセントをつける。
  • しょうが、みょうが、しそ、ネギなどの香味野菜で香りをプラスする。
  • 酢やレモン汁などの酸味を利用して、味を引き締める。

その他の工夫

  • 表面に焼き色をつけるなどして、香ばしさを出す。
  • 食材の彩りを豊かにし、盛り付けを工夫して、視覚的にも楽しめるようにする。

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毎日の食事は、健康の基本であると同時に、日々の楽しみでもあります。しかし、厳しい食事制限が続くと、ご利用者にとってもご家族にとっても大きなストレスになりがちです。

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もしこのようにお考えであれば、食事サポート体制の整った老人ホームや介護施設を探してみてはいかがでしょうか。専門のスタッフが、日々の健康状態をチェックしながら、その方に最適な食事を提供してくれます。

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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