認知症予防にコグニサイズ!効果ややり方、簡単な脳トレ運動の種類を解説

認知症予防への関心が高まる中、注目を集めているのが「コグニサイズ」です。コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発した、運動と認知課題(脳トレ)を組み合わせた新しい認知症予防法です。単なる運動でも、単なる脳トレでもないこのプログラムは、脳と体を同時に使うことで認知機能と身体機能の両方にアプローチし、認知症のリスク低減を目指します。このコラムでは、コグニサイズの効果や具体的なやり方、自宅で手軽にできる簡単な種類について、わかりやすく解説します。
コグニサイズとは?国立長寿医療研究センターが開発した認知症予防法
コグニサイズとは、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターが開発した、認知症を予防するためのプログラムです。この言葉は、「認知」を意味する「Cognition(コグニション)」と、「運動」を意味する 「Exercise(エクササイズ)」を組み合わせて名付けられました。体を動かす運動と、脳を働かせる脳トレを同時に行うことが最大の特徴です。日本の高齢化は急速に進んでおり、認知症患者数も増加の一途をたどっています。そんな中、薬だけに頼らない予防法の一つとして、コグニサイズへの期待が高まっています。
コグニサイズは、認知症予防に特化したプログラムとして、科学的な根拠に基づき開発されました。認知症の原因となる生活習慣病の予防にも役立つと考えられています。高齢者の認知機能や身体機能の維持・向上に役立つことが期待されており、全国の介護予防教室や高齢者向けの運動プログラムなどで広く取り入れられています。
運動と認知課題(脳トレ)を同時に行うプログラム
コグニサイズの最大のポイントは、「運動と認知課題を同時に行う」という点にあります。たとえば、手足を動かしながらしりとりをしたり、計算をしながら足踏みをしたりします。このように、二つの異なる課題を同時にこなすことで、脳はより多くの情報を処理する必要が生じます。これにより、脳の複数の領域が同時に活性化され、認知機能の維持・向上につながると考えられています。
コグニサイズは、ウォーキングや体操などの運動に、計算、しりとり、間違い探しといった脳トレ要素を組み合わせることで、日常生活に取り入れやすい形で実践できます。特別な道具を必要とせず、誰でも手軽に始められるのも大きな魅力です。
コグニサイズと従来の脳トレや運動との違い
従来の脳トレは、主にパズルやクイズ、計算問題など、座って行うものが中心でした。一方、コグニサイズは、体を動かしながら脳を働かせることが基本です。また、単にウォーキングなどの運動を行うだけでは、認知機能への直接的なアプローチは限定的です。コグニサイズは、運動と認知課題を同時に行うことで、それぞれを単独で行うよりも高い相乗効果が期待できます。
この違いは、脳の活性化において特に重要です。運動だけでは主に身体機能が向上し、従来の脳トレだけでは主に認知機能が刺激されます。しかし、コグニサイズでは、脳の異なる部位を同時に使うことで、脳全体の連携が強化され、認知症予防に効果があるとされています。
なぜ脳と体を同時に動かすことが認知症予防につながるのか
脳と体を同時に動かすことは、デュアルタスク(二重課題)と呼ばれ、認知症予防に非常に有効だと考えられています。脳は、新しい課題に取り組んだり、複数のことを同時にこなしたりするときに、最も活性化します。コグニサイズは、運動と認知課題という二つの異なるタスクを同時に行うため、脳は効率的に情報処理を行う必要があります。これにより、脳の「司令塔」として機能する前頭葉や、記憶を司る海馬といった重要な領域が刺激され、脳の機能維持・向上に役立ちます。
また、運動は脳の血流を改善し、神経細胞の新生を促すことがわかっています。運動によって脳の神経細胞を育てるとされるBDNF(脳由来神経栄養因子)という物質が増えることも研究でわかっています。脳の栄養を増やしながら、同時に脳トレで神経回路を刺激するという、非常に効率的なアプローチなのです。この運動による効果と、脳トレによる効果を同時に得ることで、単独で行うよりも高い相乗効果を生み出します。
コグニサイズに期待できる主な効果
コグニサイズは、単に認知症を予防するだけでなく、様々な効果が期待できます。
認知機能の維持・向上
コグニサイズを行うことで、脳の神経ネットワークが活性化し、認知機能の維持や向上が期待できます。
記憶力や注意力など脳の働きを活性化
コグニサイズは、運動をしながら計算をしたり、しりとりをしたりするため、ワーキングメモリ(一時的な情報を保持・処理する能力)や注意力を鍛えることができます。これにより、記憶力や判断力といった脳の働きが活性化され、日常生活での「あれ、なんだっけ?」といった物忘れの予防にもつながります。新しいことを覚える能力や、同時に複数のことをこなす能力が高まることも期待できます。
身体機能の改善と体力向上
コグニサイズは、歩く、足踏みをする、体をひねるなど、様々な運動要素を含んでいます。これにより、身体機能の改善が期待できます。
転倒予防や生活習慣病対策にも
コグニサイズは、バランス感覚や筋力の維持・向上にも役立ちます。特に、足腰の筋力やバランス能力が高まることで、高齢者に多い転倒を予防する効果が期待できます。また、有酸素運動を兼ねることで、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防にもつながります。
気分の改善やコミュニケーションの促進
コグニサイズは、一人でもできますが、複数人で行うことでより効果が高まるとされています。家族や友人、デイサービスの利用者同士など、みんなで一緒に楽しむことで、コミュニケーションが生まれ、気分転換にもつながります。これにより、抑うつ状態の改善や、社会的なつながりの維持にも貢献します。コグニサイズは、レクリエーション要素が強いため、笑い声が絶えない雰囲気の中で、自然と会話が弾み、社会的な孤立を防ぐ効果も期待できます。
【種類別】自宅でできる簡単なコグニサイズのやり方
ここからは、自宅で手軽にできるコグニサイズの具体的なやり方をご紹介します。
始める前に知っておきたい基本のポイントと注意点
コグニサイズを行う際は、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
少し難しいと感じるレベルで無理なく行う
コグニサイズは、「少し難しいけれど、なんとかできる」というレベルで行うのが最も効果的です。あまりに簡単すぎると脳への刺激が少なく、難しすぎるとストレスになってしまいます。ご自身のレベルに合わせて、課題の難易度を調整することが大切です。最初は簡単なものから始めて、慣れてきたら徐々に難易度を上げていきましょう。
間違えても気にせず楽しむことが継続のコツ
コグニサイズは、脳を活性化させることが目的です。たとえ途中で間違えても、気にせず笑顔で楽しむことが重要です。完璧にこなそうとすると、かえってストレスになってしまいます。間違えることは、脳が新しい情報処理に挑戦している証拠です。楽しむ気持ちが、継続する一番のコツです。
安全に配慮し、体調に合わせて行う
運動を行う上で、安全への配慮は不可欠です。運動前後に軽いストレッチを行う、体調が優れない日は無理をしない、運動中はこまめに水分補給をするといった、基本的な安全対策も忘れないようにしましょう。特に転倒には注意し、必要であれば椅子や壁につかまりながら行ってください。
コグニウォークのやり方
コグニウォークは、歩行運動に認知課題を組み合わせた基本的なコグニサイズです。例えば、安定した場所で安全に注意しながら歩き、100から7を順番に引いていく計算(100、93、86…)を声に出して行ったり、しりとりをしたりします。また、指でグー、チョキ、パーをランダムに出しながら歩くのも良いでしょう。
コグニステップのやり方
コグニステップは、その場で足踏み運動に認知課題を組み合わせたコグニサイズで、天候に左右されず室内で手軽に行えます。リズミカルに足踏みをしながら、「2、4、6、8…」と2の倍数を数えたり、誰かに出してもらった数字の回数だけ手をたたいたりします。また、「主食は何にしようかな」などと今日の献立を考えながら足踏みをするのも、立派なコグニサイズです。
コグニラダーのやり方
コグニラダーは、床に置いたはしご状のアイテム(ラダー)を使って行う、少し運動強度が高いコグニサイズです。ラダーのマス目を様々なステップで踏みながら、簡単な計算を声に出して答えたり、1から順番に数字を数えたりします。
複数人で行うグループコグニサイズ
グループコグニサイズは、複数人でコミュニケーションを取りながら楽しく行うコグニサイズです。例えば、円になってボールをパスしながらしりとりをしたり、リーダーの動きを真似してリズムに合わせて手足を動かしたりします。
専用機器を使ったコグニバイク
コグニバイクは、ペダルをこぐ運動に、映像を見ながらの認知課題を組み合わせた専用機器です。自転車をこぎながら、画面に表示される計算問題や間違い探しなどに取り組むため、安全に運動と脳トレを同時に行えるのが特徴です。
コグニサイズはどこでできる?
コグニサイズは、さまざまな場所で体験することができます。
自治体が主催する介護予防教室やイベント
多くの自治体では、高齢者向けの介護予防教室やイベントを定期的に開催しています。これらの教室では、専門の指導員がコグニサイズのやり方を丁寧に教えてくれます。ご自身の住んでいる地域の自治体ウェブサイトや広報誌で情報を確認してみましょう。
デイサービスなどの介護施設
一部のデイサービスや介護施設でも、レクリエーションの一環としてコグニサイズを取り入れているところが増えています。これらの施設では、他のご利用者と一緒に楽しく取り組むことができ、仲間との交流も生まれます。
自宅で動画を見ながら実践する
国立長寿医療研究センターのウェブサイトや、YouTubeなどの動画サイトでは、コグニサイズのやり方を解説する動画が公開されています。これらを活用すれば、自宅にいながら、ご自身のペースでコグニサイズを実践することができます。
認知症予防や施設探しのお悩みは「笑がおで介護紹介センター」へご相談を
コグニサイズは、認知症予防に非常に有効な取り組みの一つです。しかし、認知症予防の方法はコグニサイズだけではありません。食生活や社会参加など、様々な視点から予防に取り組むことが大切です。また、ご本人やご家族にとって最適な環境を見つけることも、心身の健康を維持する上で非常に重要です。
ご本人やご家族に合った介護予防や生活をご提案
「笑がおで介護紹介センター」では、ご本人やご家族のご希望や状況に合わせて、介護予防に関する情報提供や、ご自宅での生活をより豊かにするためのご提案を行っています。認知症予防について、専門的な知識を持った相談員が、丁寧にお話を伺います。
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このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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