【医療行為別】老人ホームで受けられるケア一覧|インスリン・透析・胃ろうなど施設ごとの対応を徹底比較

「インスリン注射が必要だけど、老人ホームで対応してもらえるの?」「胃ろうや痰吸引などのケアは、どんな施設なら受け入れてくれるの?」病状が安定していても、日常的な医療行為が必要な方にとって、老人ホーム探しは切実な問題です。どの施設で、どこまでのケアが受けられるのか、情報が複雑で分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
結論として、老人ホームで受けられる医療行為は、施設の看護・介護体制によって大きく異なります。しかし、制度の整備も進み、インスリン注射のような日常的なケアから、痰吸引や経管栄養といった専門的なケアまで、対応可能な施設は年々増えています。
この記事では、「医療行為」の基本的な定義から、介護職員や看護師が行える具体的なケア内容、そして施設の種類ごとの対応力の違いまで、一覧表も交えて分かりやすく解説します。ご自身やご家族に必要な医療行為を明確にし、最適な施設を見つけるための確かな知識を得ることができます。
そもそも「医療行為」とは?介護施設でできること・できないこと
老人ホームでのケアを理解するために、まずは「医療行為」の定義と、誰がその行為を行えるのかを知っておきましょう。
法律で定められた医療行為の定義
法律(医師法第17条)などに基づき、医療行為は「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ、人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為」と解釈されています。つまり、専門的な知識や技術がなければ安全に行えない行為を指し、原則として医師にしか認められていません。
ただし、医師の指示のもとであれば看護師も一部の医療行為(診療の補助)を行うことができ、さらに特定のケアについては、所定の研修を受けた介護職員も実施が可能です。
医師・看護師・介護職員の役割の違い
老人ホームでは、それぞれの専門職が連携して入居者様の生活を支えています。医療行為に関する役割分担は以下の通りです。
| 医師 | 診察、診断、薬の処方、治療方針の決定など、すべての医療行為を行うことができます。老人ホームでは、配置医師や協力医療機関の医師がこの役割を担います。 |
|---|---|
| 看護師 | 医師の指示に基づき、点滴や注射、採血、褥瘡の処置といった「診療の補助」としての医療行為を行います。入居者様の日々の健康管理を担う重要な存在です。 |
| 介護職員 | 食事や入浴、排泄の介助といった日常生活のサポートが主な役割です。原則として医療行為はできませんが、例外として「喀痰吸引等研修」を修了すれば、一部の「医療的ケア」を行うことができます。 |
【一覧で解説】介護職員・看護師が行える医療的ケア
「医療行為」の中でも、老人ホームで日常的に行われるものを「医療的ケア」と呼ぶことがあります。ここでは、介護職員が行えるものと、看護師の対応が必要なものに分けて具体的に解説します。
研修を受けた介護職員でも対応可能な医療的ケア
2012年4月の「社会福祉士及び介護福祉士法」改正により、利用者のニーズに応えるため、都道府県知事の登録を受けた研修機関で「喀痰吸引等研修」を修了した介護職員は、医師の指示や看護師との連携のもとで、以下の行為が実施できるようになりました。
- 喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)
- ご自身で痰を出すことが難しい方に対して、専用の器具を使って痰を吸引し、窒息や肺炎を防ぐケアです。
- 経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻)
- 口から食事を摂ることが難しい方に対して、お腹に開けた穴(胃ろう・腸ろう)や鼻から通したチューブを通して、直接胃や腸に栄養を送るケアです。
看護師だからこそできる医療行為
以下の医療行為は、研修を受けた介護職員でも行うことはできず、医師の指示を受けた看護師による対応が必要です。
- インスリン注射
- 糖尿病の方が血糖値をコントロールするために行う注射です。ご自身で注射ができない方の介助や、血糖値の測定も看護師が行います。
- 褥瘡(じょくそう)の処置
- 寝たきりの方などにできやすい褥瘡(床ずれ)に対し、消毒や軟膏の塗布、ガーゼ交換などを行う処置です。悪化させないための予防ケアも重要です。
- 点滴の管理
- 脱水予防や栄養補給のために行う点滴の針の管理や、薬剤の交換などを行います。
- 在宅酸素療法
- 呼吸器疾患などで血液中の酸素が不足する方に対し、酸素濃縮器などを使って酸素を供給する際の機器管理や健康状態のチェックを行います。
- ストーマ(人工肛門・人工膀胱)の管理
- 手術によってお腹に作られた排泄口(ストーマ)の装具(パウチ)の交換や、皮膚のケアを行います。※パウチに溜まった排泄物を捨てる行為は、介護職員でも可能です。
- バルーンカテーテルの管理
- 尿道を介して膀胱に留置されたチューブ(カテーテル)の管理や、尿のチェック、定期的な交換の介助などを行います。
【施設の種類で比較】医療行為への対応体制の違い
必要な医療行為に対応できるかどうかは、施設の種類によって大きく異なります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
介護付き有料老人ホーム:看護師常駐で手厚いケアが可能
看護師の配置が義務付けられており、特に「24時間看護師常駐」の施設では、夜間の痰吸引や急変時対応など、幅広い医療ニーズに応えることが可能です。医療依存度の高い方にとっては、最も安心感のある選択肢の一つと言えます。
住宅型有料老人ホーム/サ高住:外部サービス利用で個別に対応
施設内に看護師が常駐していない場合が多く、医療ケアが必要な場合は、外部の訪問看護ステーションと個別に契約して対応します。必要なサービスをご自身で選べる自由度がありますが、24時間体制のケアが必要な場合は対応が難しいこともあります。
特別養護老人ホーム(特養):看取りまで含めた医療ケアも
原則要介護3以上の方が入居対象です。看護師の配置は義務ですが、24時間常駐ではない施設も多く、日中のケアが中心となります。そのため、高度な医療行為への対応は施設ごとに差が大きいのが現状です。一方で、配置医師や協力医療機関と連携し、看取り(ターミナルケア)まで対応する施設は増えています。
介護老人保健施設(老健):在宅復帰を目指すリハビリと医療ケア
医師が常勤し、医療体制が充実しているのが特徴です。病院から退院した直後など、医療的管理とリハビリが中心となる期間に利用されます。ただし、あくまで在宅復帰が目的のため、長期的な入居はできません。
グループホーム:医療対応は施設によるため確認が必要
認知症ケアを専門とする施設であり、医療体制は手厚くないのが一般的です。日常的な服薬管理などは行いますが、看護師がいない施設も多く、医療行為が必要になると退去となるケースもあります。入居を検討する際は、医療ケアへの対応方針を個別に詳しく確認する必要があります。
特に確認が必要な医療行為と施設選びのポイント
数ある医療行為の中でも、特に施設探しで慎重な確認が必要となる3つのケースについて、選び方のポイントを解説します。
人工透析が必要な場合:通院の送迎体制が鍵
人工透析は施設内では行えないため、週に2~3回、透析クリニックへの定期的な通院が必須です。施設選びでは、この通院を誰が、どのようにサポートしてくれるかが最大のポイントになります。施設が送迎サービスを提供しているか、ご家族が送迎する必要があるのかなどを必ず確認しましょう。
胃ろう・経管栄養の場合:対応可能な職員体制か
研修を受けた介護職員でも対応可能ですが、1日に複数回のケアが必要なため、十分な人数の対応可能な職員がいるかが重要です。特に夜間のケアが必要な場合は、看護師が24時間常駐している施設や、夜勤帯に研修済みの介護職員が配置されている施設を選ぶ必要があります。
がん末期(ターミナルケア)の場合:看取りの方針と緩和ケア
がんの末期などで、人生の最期を施設で迎えたいと希望する場合、施設の「看取り」に対する方針を確認することが重要です。痛みを和らげる緩和ケア(疼痛コントロール)への対応、協力医療機関との連携、ご家族が過ごすための環境、そして何より、ご本人の尊厳を大切にするケアを提供してくれるかを見極める必要があります。
医療体制を重視するなら要チェック!5つの確認事項
医療ケアが必要な方の施設選びでは、パンフレットの情報だけでなく、以下の5つのポイントを具体的に確認することが、入居後のミスマッチを防ぐために不可欠です。
ポイント1:看護師の人数と24時間常駐の有無
「看護師常駐」という言葉だけでなく、常駐している時間帯(24時間か日中のみか)と、入居者様に対する看護師の人数を確認しましょう。夜間にケアが必要な場合は、24時間常駐が絶対条件です。
ポイント2:協力医療機関との連携内容と距離
施設の協力医療機関が、ご自身の持病の診療科目に合っているかを確認します。また、施設からの距離や、緊急時にどのくらいの時間で医師が駆けつけてくれるのかなど、具体的な連携体制を聞いておきましょう。
ポイント3:緊急時の対応フローと過去の事例
夜間や休日に容体が急変した場合、誰が最初に発見し、どこに連絡し、どのように対応するのか、具体的な緊急時対応の流れを確認します。可能であれば、過去に同様のケースでどのように対応したかを聞くと、施設の実際的な対応力が分かります。
ポイント4:過去の医療ケア受け入れ実績
ご自身が必要としている医療行為と、同じケアが必要な方を過去に受け入れた実績があるかは、非常に重要な判断材料です。実績があれば、ケアに関するノウハウが蓄積されており、スタッフも対応に慣れているため、安心して任せることができます。
ポイント5:入居中に入院した場合の対応
体調悪化により一時的に入院が必要になった場合、施設の居室はどうなるのか(確保されるのか)、その間の施設利用料は発生するのか、といった点を確認しておくことも大切です。
まとめ:必要な医療行為を明確にして施設を探すことが重要
老人ホームで受けられる医療行為は多岐にわたりますが、その対応力は施設によって様々です。後悔しない施設選びの鍵は、まずご自身やご家族にとって「どのような医療行為が、どのくらいの頻度で必要なのか」を正確に把握し、リストアップすること。そして、そのリストを元に、施設の医療体制や受け入れ実績を一つひとつ確認し、過不足なく対応してくれる場所を見つけることです。
このマッチング作業は、ご自身だけで行うには情報量も多く、大変な労力がかかります。
医療ケアのニーズに合う施設探しは「笑がおで介護紹介センター」へ
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関西エリアの介護施設情報と医療体制に精通した専門の相談員が、お一人おひとりのご状況を丁寧にお伺いし、必要な医療ケアに対応可能な施設探しを無料でサポートいたします。安心できる「暮らしの場」を、私たちと一緒に見つけましょう。

このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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