老人ホームの途中解約はできる?入居後の解約手続きや注意点

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老人ホームの途中解約はできる?入居後の解約手続きや注意点

親御さんの状態変化により「今の施設では対応が難しい」とお悩みではないですか?転居を考えたとき、真っ先に気になるのが「途中解約できるのか」「支払った入居金は戻ってくるのか」というお金の問題です。

本記事では、老人ホームの途中解約の手続きと、契約期間ごとに異なる返金の仕組みを解説します。入居直後の「クーリングオフ」や「90日ルール」から、一般的な解約時の計算方法、退去時の注意点までを網羅しました。

この記事を読めば、複雑な契約内容がすっきり理解でき、損をせずに安心して次の施設へ転居する準備ができるでしょう。

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老人ホームの途中解約はできる?

親御さんの心身の状態が変わり、今の施設では支えきれないと感じている場合、転居を検討するのは自然なことです。ここでは解約の可否と、損をしないための注意点を解説します。

結論:老人ホーム途中解約は原則可能

老人ホームの契約は、基本的にあなたが希望するタイミングで解約の手続きを進められます。

ご本人の心身の状態が変わったり、より良い環境を求めたりすることは、生活していく中で当然起こりうる変化です。法的なクーリングオフ制度が適用される場合もあり、特別養護老人ホームなどの公的な施設であっても、所定の手続きを踏めば問題なく退去できます。

親御さんの今の状態に合った施設を選び直すために、まずは解約が可能であることを理解しておきましょう。

無駄な出費を防ぐために「解約予告期間」の確認

損を避けるために、契約書の「解約予告期間」を確認しておきましょう。

多くの施設では「退去の30日前までに申し出る」といったルールが決められており、この期間を守らないと、退去した後もその期間分の費用を支払う義務が生じてしまいます。

また、重要事項説明書にある入居一時金の返金ルールも確認しておきましょう。もし不明点があれば担当者に質問し、その回答を書面に残しておくと後のトラブルを防げます。

契約時期で変わる3つの解約パターン

戻ってくるお金の額や適用されるルールは、契約してからの経過期間で以下の3パターンに分かれます。

  • 契約書面受領から8日以内の解約
  • 入居した日から90日以内の解約
  • 入居して90日を超えたあとの解約

契約書を受け取って8日以内であれば、法的なクーリングオフ制度により、支払い済みの費用は全額返還されます。

また、入居して90日以内なら「短期解約特例」が適用されます。これは「有料老人ホームのクーリングオフ」と呼ばれることも多く、家賃などの実費を除いた入居一時金の大部分が返還される制度です。

以下で、それぞれのパターンを詳しく解説します。

参考:e-Gov『老人福祉法施行規則

【パターン1】入居前・契約直後の解約

もし、転居先の契約を済ませた直後に「やっぱりこの施設は合わないかもしれない」と感じた場合は「クーリングオフ」という制度が使える可能性があります。契約から日が浅い段階であれば、無条件で白紙に戻せる権利があるため、まずは契約日を確認してみましょう。

参考:公益社団法人 全国消費生活相談員協会『クーリングオフ

クーリングオフの適用期間と対象施設

契約書面を受け取ってから8日以内であれば、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などは、理由を問わず解約できます。

これは、消費者がじっくり考える時間を確保するために法律で守られた権利です。ただし、すべての施設で使えるわけではなく、特定商取引法の定める「特定継続的役務提供」に該当する施設に限られます。介護保険が適用される公的な施設などは対象外です。

ご自身で施設に出向いて契約した場合は対象外になる場合もあるため、契約書を確認するか、消費生活センターなどに相談してみましょう。

内容証明郵便による通知手続きの方法

クーリングオフの意思表示は、電話などの口頭ではなく、必ず記録に残る書面で通知しましょう。

口頭で伝えると、確実に解約の意思を伝えた証拠にはなりません。ハガキなどの書面に契約日や施設名、解約する旨を書き、郵便局の窓口で「内容証明郵便」として出せば、郵便局がその内容と日付を証明してくれます。

クレジットカードで支払った場合は、カード会社にも同様の書面を送る必要があります。効力は郵便局の消印日で発生するため、期間ギリギリの場合は窓口で日付を確認しながら手続きを進めましょう。

参考:郵便局『内容証明

損害賠償なしで全額返還される仕組み

クーリングオフ期間内に適正な手続きを行えば、施設側から損害賠償や違約金を請求されることは一切ありません。もし支払い済みの費用がある場合は、全額返還されます。

クーリングオフ制度は、契約を白紙に戻すことが目的です。消費者が一方的に不利益を被ることがないよう法律で守られています。

施設側から「事務手数料がかかる」「迷惑料が必要だ」と請求を受けたとしても、それらに応じる必要はありません。

金銭的なペナルティを負うことなく契約を解除できるため、期間内であれば迷わずこの権利を行使しましょう。

【パターン2】入居後90日以内の途中解約

入居してすぐに「親の病状が悪化してここでは暮らせない」と判断した場合、支払ったお金が大きく戻ってくる制度があります。これは「短期解約特例」と呼ばれ、ご家族の金銭的な損失を最小限に抑えるためのルールです。

短期解約特例の適用期間と退去理由

入居した日から90日以内であれば、どのような理由であってもこの特例を使って解約できます。

この制度は、新しい環境に馴染めなかったり、急な病状の変化で退去せざるを得なくなったりした高齢者を経済的に守るための制度です。「親御さんの心身の状態が変わった」といった理由でも正当な対象になります。

また、施設側の対応への不満や入居者同士のトラブル、ご逝去といった理由でも問題ありません。「こちらの都合で申し訳ない」と遠慮する必要はなく、90日以内という期間さえ満たしていれば誰でも利用できます。

短期解約特例と契約書の優先関係

「90日ルール」は、事業者に義務付けられた非常に強い効力をもつルールであり、契約書の記載よりも優先されます。

施設によっては、独自の契約書を作成している場合もありますが、法律で定められた利用者の保護規定を下回る条件は認められません。もし契約書に「いかなる場合も入居一時金は返還しない」と書かれていても、90日以内の退去であれば無効となります。

万が一、施設側が契約書を盾に返金を拒否したとしても、あきらめる必要はありません。行政の窓口などに相談すれば解決できるケースがほとんどですので、このルールが契約書よりも強いことを覚えておいてください。

初期償却分を含む全額返還のルール

特例が適用されると、通常なら戻ってこない「初期償却」の費用も含め、入居一時金の大部分が返還されます。

本来、初期償却とは契約と同時に施設側の収益になるお金ですが、90日以内であればこの償却がなかったものとして扱われます。ただし、全額がそのまま戻るわけではなく、実際に生活した日数分の費用(実費)は差し引かれるため注意が必要です。

返還額から差し引かれる実費には、主に以下のものがあります。

  • 居住日数に応じた家賃の日割り分
  • 食べた食事代などの食費
  • 介護サービス費の自己負担分
  • おむつ代などその他のサービス費

この特例により、高額な初期費用が無駄になることを防げるため、費用の心配をせず次の施設を探す資金に充てられます。

【パターン3】90日経過後の途中解約

入居して3か月以上が経過している場合、クーリングオフや特例は使えませんが、契約書の手続きに沿って解約できます。

長く住んだ後の退去では、初期費用の返金ルールが「償却」という計算に変わるほか、退去のタイミングが費用に大きく影響します。ここでは、無駄な出費を抑えるための手続きを解説します。

途中解約の意思表示と予告期間の確認

スムーズに退去するためには、まず契約書にある「解約予告期間」を確認してください。

解約予告期間とは「退去したい日の何日前までに伝えなければならないか」というルールのことで、施設ごとに30日前や90日前などと決められています。親御さんの状態が変わって急いで転居したい場合でも、この期間を無視して手続きを進めることはできません。

契約書には必ず「契約の解除に関する条項」があり、そこに具体的な日数が書かれています。トラブルを避けるためにも、担当者に口頭で伝える前に、まずはご自身で契約書を確認し、いつまでに申し出る必要があるのかを把握しておきましょう。

予告期間を守らなかった場合の費用

もし、決められた予告期間を守らずに急に退去することになった場合、住んでいない期間の費用まで請求される可能性があります。施設側は、次の入居者を募集したり部屋を整備したりするための準備が必要です。

そのため、急な申し出によって空室期間が生じた場合、その損失分を補填する意味合いで、予告期間分の利用料を支払う義務が生じます。

たとえば「30日前予告」の施設の場合、退去の1週間前に申し出たとしても、退去後約3週間分の家賃などを払わなければなりません。余計な出費を防ぐためにも、転居先の入居日と今の施設の契約終了日をうまく調整しておきましょう。

退去月の利用料の日割り精算

月の途中で退去する場合でも、多くの施設では利用料が日割り計算されるため、丸々1か月分を支払う必要はありません。

サービスを受けていない期間の費用まで負担するのは、利用者にとって不公平になってしまいます。家賃や管理費などは居住日数分だけを支払い、実際に利用した介護サービス費やおむつ代などの実費も、使った分だけが請求されます。

退去時には、これらの計算に間違いがないかを確認し、未払い分をきれいに清算することで、気持ちよく次のステップへ進めるでしょう。

90日経過後の入居一時金の返金ルール

90日を過ぎてからの解約では、戻ってくるお金の計算方法が少し複雑になります。「初期償却」と「償却期間」という2つのルールによって金額が決まるため、手元の契約書を見ながら確認していきましょう。

返還額を決める「初期償却」と「償却期間」

解約時に手元にいくら戻るかは、契約時に定められた「初期償却」と「償却期間」の条件によって決まります。

入居一時金は、いわば「将来の家賃の前払い」という性質をもつお金であり、入居と同時に一部が施設側の取り分として引かれ(初期償却)、残りの金額が毎月の家賃として少しずつ消化されていく(償却期間)仕組みです。初期償却分は施設の改修費などに充てられるため、原則として返還されません。

一般的には、以下のような設定が多く見られます。

  • 初期償却:入居金の15~30%程度
  • 償却期間:5年(60か月)~7年程度

入居一時金から初期償却分を引き、そこから「住んでいた期間分の家賃」を引いた残りが返還されることになります。ご自身の契約が何年の償却期間になっているかを確認してみましょう。

初期償却割合と未償却分の返還

償却期間が終わる前に退去する場合、まだ家賃として消化されていない「未償却分」のお金はすべて返還されます。

初期償却を引いた残りの金額は、月割りで均等に減っていく計算です。長く住めば住むほど返還額は減り、償却期間を過ぎると返還金はゼロになりますが、それまでは経過した月数に応じた残金が必ず戻ってきます。

「入居金1,000万円、初期償却15%、償却期間5年(60か月)」で、2年(24か月)住んで退去した場合の計算式は以下のとおりです。

  1. 初期償却:1,000万×15%=150万円
  2. 償却対象:1,000万-150万=850万円
  3. 月の償却:850万÷60か月=約14.1万円
  4. 利用分:約14.1万×24か月=約340万円
  5. 返還金:850万-340万=510万円

このように、償却期間内であればまとまったお金が戻る可能性があります。正確な金額を知るには、重要事項説明書の「返還金の算定方法」の項目をチェックするか、施設側に試算を依頼してみましょう。

関連記事:老人ホームの契約解除とクーリングオフ制度を解説|入居一時金の返金とトラブル相談先

老人ホームを途中解約するときの注意点

解約の手続きは、ただ退去届を出せば終わりというわけではありません。部屋の修繕費用の負担範囲や、万が一のトラブルに備えた相談先の確保など、見落としがちなポイントがいくつかあります。

退去時に慌てないよう、最後に確認すべき重要事項を押さえておきましょう。

契約前に確認すべき重要事項

トラブルを未然に防ぐために「重要事項説明書」と「入居契約書」の内容を見直してください。

これらの書類には、お金に関する取り決めや、事業者が倒産した際に入居一時金が守られるかどうかが記載されています。特に「保全措置」が講じられていない場合、万が一の事態で返金が受けられないリスクがあるため、必ずチェックしておきましょう。

確認すべき具体的な項目は、以下のとおりです。

  • 初期償却の割合と償却期間の年数
  • 倒産時に備えた入居一時金の保全措置
  • 施設側から解約させられる条件

もし内容に不明点があれば、あいまいにせず担当者に質問し、その回答を書面に残してもらうとよいでしょう。

利用者の過失による原状回復義務の範囲

退去する際、部屋の汚れや傷を直すための費用請求について、どこまでがご自身の負担になるのかを正しく理解しておきましょう。

借主が負担するのは、わざと壊した場合や不注意で汚した場合に限られ、普段の生活で自然に生じた劣化については、利用者が負担する必要はありません。認知症による不可抗力な汚れなどがどう扱われるかも、契約書によって異なるため注意しましょう。

退去時のトラブルを防ぐポイントは、以下のとおりです。

  • 契約書で「原状回復」の範囲を見る
  • 経年劣化は負担対象外であることを確認する
  • 入居時や退去時の部屋の写真を撮る

不当に高額な修繕費を請求されないよう、入居時に撮影した写真などの証拠を残しておくと、交渉が必要になったときに役立ちます。

退去後の生活をスムーズに移行する準備

解約を円滑に進めるためには、お金の精算と次の居場所の確保を計画的に進める必要があります。

退去日と新しい施設の入居日がずれてしまうと、二重に家賃を支払う期間ができたり、親御さんの行き場がなくなったりする恐れがあります。また、返金に関する交渉がこじれた場合に備えて、公的な相談窓口を知っておくと心強いでしょう。

困ったときは、以下の窓口へ相談できます。

不安なときは一人で抱え込まず、専門家の力を借りてください。準備を整えることで、親御さんにとっても負担の少ない転居が実現します。

まとめ

老人ホームの途中解約は、契約期間やタイミングに応じたルールを正しく理解すれば、金銭的な損失を最小限に抑えられます。

まずは手元の契約書を開き、解約予告期間や入居一時金の返還条件を確かめることから始めてみましょう。適切な手順を踏めば、親御さんの状態に合ったより良い環境への転居は十分に可能です。

もし契約内容の確認に不安があったり、次の施設選びで迷ったりしたときは、お気軽に『笑がおで介護紹介センター』へご相談ください。

私たち相談員が、複雑な手続きや返金に関する疑問を解消し、親御さんが安心して暮らせる新しい住まい探しを二人三脚でサポートします。

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監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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