特別養護老人ホームにはどんな人が入居している?入居条件などの詳細

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特別養護老人ホームにはどんな人が入居している?入居条件などの詳細

「特別養護老人ホームにはどんな人が入居しているの?」
「入居条件やかかる費用などを詳しく教えてほしい」
などと考えていませんか。詳細が分からず困っている方は多いでしょう。特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上の方が入居している施設です。入居者に対して介護、機能訓練などが提供されています。ここでは、特別養護老人ホームの概要と入居条件、費用などに加え、同施設に入居している方の特徴などを解説しています。

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特別養護老人ホームとは

特別養護老人ホームは、65歳以上で身体上または精神上著しい障害により常時の介護を必要とし、居宅でこれを受けることが困難な方を入居させて養護する施設です。老人福祉法第20条の5で次のように規定されています。

特別養護老人ホームは、第十一条第一項第二号の措置に係る者又は介護保険法の規定による地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護福祉施設サービスに係る施設介護サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を入居させ、養護することを目的とする施設とする。

(引用:e-Gov法令検索「昭和三十八年法律第百三十三号 老人福祉法」) 

特別養護老人ホームは、介護老人福祉施設と呼ばれることもあります。介護老人福祉施設は、介護保険法第8条の27で規定されている介護保険施設です。具体的には、以下のように定義されています。

この法律において「介護老人福祉施設」とは、老人福祉法第二十条の五に規定する特別養護老人ホーム(入居定員が三十人以上であるものに限る。以下この項において同じ。)であって、当該特別養護老人ホームに入居する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設をいい、「介護福祉施設サービス」とは、介護老人福祉施設に入居する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話をいう。

(引用:e-Gov法令検索「平成九年法律第百二十三号 介護保険法」) 

根拠法は異なりますが、両施設は同じ施設を指します。入居の対象となる方や施設内で提供されているサービスも同じです。おもな違いは利用方法といえるでしょう。介護老人福祉施設は介護保険法に基づく契約、特別養護老人ホームはやむを得ない事由で介護保険を利用できないときに措置で利用します。

ここでいうやむを得ない事由は、認知症などで要介護認定の申請や介護保険サービスの契約が難しいケース、高齢者虐待を受けているケースなどです。やむを得ない事由がない場合は、介護保険法が優先されます。したがって、一般的に「特別養護老人ホーム」という場合、介護保険法上の「介護老人福祉施設」を指すことが少なくありません。

関連記事:特別養護老人ホームと有料老人ホームの違い・施設の特徴と入居の流れ

特別養護老人ホームの種類

特別養護老人ホームは、特徴により大きく以下の3種類に分類されます。それぞれの特徴は次のとおりです。

広域型特別養護老人ホーム

入居希望者の居住地を問わず申し込めるタイプです。たとえば、施設の所在地とは異なる市町村に住んでいる方でも申し込みを行えます。幅広い地域から申し込みを行えるため「広域型」と呼ばれていると理解すればよいでしょう。1施設あたりの入居定員は30名以上です。規模が大きい点も広域型の特徴といえます。施設内で提供される主なサービスは、食事、排泄、入浴などの介護、その他の日常生活の世話、機能訓練などです。医師、介護職員、看護職員、生活相談員、機能訓練指導員、介護支援専門員、栄養士など人員配置が定められています。3種類ある特別養護老人ホームのなかでもっとも一般的なタイプです。

地域サポート型特別養護老人ホーム

地域で暮らす高齢者を支援するため一部の自治体が認定しているタイプです。在宅で生活する高齢者を対象に、安否確認サービスや巡回サービス、生活援助サービスなど(以上、地域サポート)を提供します。生活援助員などを配置して24時間365日体制でサービスを提供している点がポイントです。対象者は、要介護認定を受けている方に限定されません。要支援認定や要介護認定を受けていて在宅生活に不安を抱えている方はもちろん、要支援認定や要介護認定を受けていない方も原則として利用できます。地域サポートを通じて、在宅で暮らす高齢者の自分らしい自立した生活をサポートしています。利用にあたっては、サービスを提供している施設との契約が必要です。サービス提供地域は、施設ごとに決まっています。

地域密着型特別養護老人ホーム

原則として、施設の所在地と同じ市町村に居住している方が申し込めるタイプです。1施設あたりの定員数は29名以下となっています。広域型に比べると、地域に密着した小規模な施設といえるでしょう。家庭的な雰囲気のもと、地域や家庭とのつながりを重視した運営が行われています。ちなみに、同施設で提供される地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護は地域密着型サービスのひとつに分類されます。地域密着型サービスは、認知症高齢者や中度~重度の要介護高齢者が、なじみの地域でできる限り生活を継続できるように指定事業者が提供するサービスです。地域密着型特別養護老人ホームは、単独型とサテライト型にわかれます。それぞれの特徴は次のとおりです。

単独型

本体施設をもたず、当該施設のみで運営をしているタイプです。広域型とサービスなどに違いはありませんが、入居者が少ないため職員とあるいは他の入居者となじみの関係を作りやすい傾向があります。ユニット型を採用している施設が多い点も特徴です。ユニット型は、全室個室で居間などの共有スペースを併設しているタイプといえるでしょう。ユニット型では、10人程度のグループごとに家庭的な雰囲気のもと提供されるユニットケアを受けます。ユニットケアの目的は「これまでどおりの生活を送ること」です。ユニットケアでは、入浴などをグループで行うことになります。

サテライト型

本体となる介護老人福祉施設、介護老人保健施設、病院、診療所などがあるタイプです。本体施設とは別の場所で運営されます。具体的には、自動車などでおおむね20分以内の距離で運営されます。両施設が密接な連携を確保する点がポイントです。適切に運営がなされている場合は、人員基準と施設基準が緩和されます。具体的には、管理者が本体施設と兼務できる、医師や栄養士などを置かなくてよい、医務室を必要としない(医薬品や医療機器などを備えておく)などの緩和が認められます。

特別養護老人ホームへの入居条件

特別養護老人ホームの対象者は要介護3以上の方です。在宅での生活が難しい中度~重度の要介護者を重点的に支援するため、2015年から要介護3以上の方が対象になりました。ここでいう要介護3は以下の方たちです。

【対象者】

  • 要介護3以上の認定を受けた65歳以上の方
  • 特定疾病が原因で要介護3以上の認定を受けた40歳以上65歳未満の方

厚生労働省は、特定疾病を次のように定義しています。

加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病である。

(引用元:厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」

具体的には、以下の16疾病が特定疾病と定められています。

【特定疾病】

  • がん
  • 脳血管疾患
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症
  • 骨折を伴う骨粗しょう症
  • 初老期における認知症
  • 関節リウマチ
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキソン病
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 早老症
  • 脊髄小脳変性症
  • 後縦靭帯骨化症
  • 多系統萎縮症
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
  • 脊柱管狭窄症

以上の疾病により要介護3以上と認められた場合は、40歳以上65歳未満の方も特別養護老人ホームへ入居できる可能性があります。

要介護1~2の方の場合

以上のとおり、入居の対象となるのは原則として要介護3以上の方です。ただし、やむを得ない事由で特別養護老人ホーム以外での生活が難しいと認められる場合は、要介護1または要介護2の方であっても、市町村による適切な関与のもと入検討委員会を経て特例入居を認められます。特例入居の対象者は次のとおりです。

  1. 認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られること、
  2. 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること、
  3. 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること、
  4. 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること
(引用:厚生労働省「○指定介護老人福祉施設等の入居に関する指針について」) 

以上要件に該当する場合は、要介護1~要介護2の方であっても入居できる可能性があります。

特別養護老人ホームの入居までの流れ

問合せから入居までの基本的な流れは以下のとおりです。

【入居の流れ】

  1. 資料請求などをして入居したい施設を見つける
  2. 1の施設へ問い合わせをする
  3. 1の施設を見学して入居申込書を受け取る
  4. 入居申込書と必要書類を施設へ提出する
  5. 入居検討委員会を開催する
  6. 施設から入居の連絡を受ける
  7. 重要事項に関する説明や契約に関する説明を受ける
  8. 施設と利用契約を締結して入居する

入居時に必要になる書類は、お住まいの地域や申し込む施設で異なります。詳しくは、施設などで確認が必要です。介護保険証のコピーに加え、認定調査票のコピーなどを必要とするケースが多いでしょう。

入居にあたり一定の待機期間が発生することが一般的です。入居順位は、申し込み順で決まるわけではありません。本人の状況や介護の困難性、住宅の状況などを点数化して、点数化できない特別な事情を踏まえたうえで、入居検討委員会を開催し優先順位を決定します。入居の順番が近づくと、本人や家族を対象とする聞き取り調査が行われます。施設で対応できない医療のニーズがある場合や集団生活が難しい場合などは、入居を保留にすることがあるため注意が必要です。問題がなければ入居可状態になります。順番が来たら、利用契約を締結して入居します。

特別養護老人ホームに入居にかかる費用

入居にあたり以下の費用などがかかります。

【費用の内訳】

  • 施設サービス費
  • 食費
  • 居住費
  • 日常生活でかかるその他の費用(理美容代など)

施設サービス費は、施設で保険給付の対象となるサービスを受けたときにかかる費用です。サービス費用の設定は、居室の種類や職員の配置などで異なります。自己負担割合は原則として1割ですが、一定以上の所得がある方は2割~3割負担になります。1割負担の場合の施設サービス費は次のとおりです。

要介護度 従来型個室 従来型多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室
要介護1 573円 573円 652円 652円
要介護2 641円 641円 720円 720円
要介護3 712円 712円 793円 793円
要介護4 780円 780円 862円 862円
要介護5 847円 847円 929円 929円

(参考:厚生労働省「○厚生労働省告示第七十三号」

食費や居住費は、施設サービス費に含まれません。これらも自己負担する必要があります。食費や居住費に関しては、所得と資産などに応じた補足給付(利用者負担の軽減)が設けられています。

入居にあたりかかる費用は、要介護度や居室の種類などで異なります。多床室型(従来型)の目安は4.4万円~12万円程度、ユニット型の目安は6.8万円~15万円程度です。ユニット型の自己負担額は高くなる傾向があります。原則として個室を確保して、入居者の状況に合わせたサービスを提供するためです。

関連記事:特別養護老人ホームの費用相場は?入居できない場合の3つの対処法

特別養護老人ホームに入居して受けられるサービス

特別養護老人ホームでは、さまざまなサービスを受けられます。主なサービスは次のとおりです。

日常生活上の介護

入居者に応じた食事、排泄、入浴などの介護を受けられます。原則として自立を促し日常生活動作の維持や向上を図る点がポイントです。ただし、離床が難しい場合は、ベッドの上で排泄介助などを受けられます。尿意や便意が乏しい方には、タイミングを見計らいトイレを促すなどの対応も行われています。

入浴に関しては、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準の13条の2で、1週間に2回以上の入浴または清拭が義務づけられています。歩いて入浴する一般浴に加え、リフトに乗って入浴するリフト浴、ストレッチャーを使って入浴する機械浴などがあるため、基本的には要介護度が高くなっても入浴できます。

(参照:e-GOV法令検索「平成十一年厚生省令第三十九号 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」) 

食事

食事は栄養士が立案した献立をもとに提供されます。入居者の好みや健康状態などに配慮している点と離床をできるだけ促す点がポイントです。また、嚥下能力などを加味してとろみをつけるなどの対応も行っています。

機能訓練

入居者はリハビリテーションなどの機能訓練も受けられます。主な目的は、自立を支援することです。具体的な取り組みは施設で異なりますが、日常生活に焦点をあてた生活リハビリなどが行われています。あるいは、簡単なゲームなど、楽しみながら取り組めるリハビリを行うケースも少なくありません。

医療的ケア

医師の指示に基づき看護師などが一定の医療的ケアを行っています。具体的には、酸素吸入、客痰吸引、胃ろうの管理、褥瘡の処置などがあげられます。また、看取りに対応している施設もあります。ただし、すべての施設がこれらのサービスを提供できるわけではありません。医療的ケアや看取りを希望する場合は個別の確認が必要です。

特別養護老人ホームの施設基準

特別養護老人ホーム(介護保険法上の指定介護老人福祉施設)は設備に関する基準と人員に関する基準が定められています。主な内容は次のとおりです。

【設備に関する基準】

設備 内容
居室
  • 定員は原則として1人
  • 1人あたりの床面積は10.65㎡以上
  • ブザーまたはこれに代わる設備を設ける
浴室
  • 要介護者の入浴に適したもの

洗面設備

  • 居室のある各階に設ける
  • 要介護者の使用に適したもの
便所
  • 居室のある各階に設ける
  • 居室に隣接して設ける
  • 要介護者の使用に適したもの
  • ブザーまたはこれに代わる設備を設ける

医務室

  • 医療法に規定する診療所とする

【人員配置基準】

人員 内容
医師 入居者に療養上の指導や健康管理を行うため必要な数
生活相談員 入居者の数が100またはその端数を増すごとに1以上
介護職員、看護師 入居者の数が3またはその端数を増すごとに1以上
栄養士、管理栄養士 1以上
機能訓練指導員 1以上
介護支援専門員 1以上(入居者の数が100またはその端数を増すごとに1を標準とする)

 (参考:厚生労働省「○指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」) 

以上の基準に従い運営されているため、一定のサービス品質を期待できます。

特別養護老人ホームの居室タイプ

居室タイプは、以下の種類にわかれます。

【居室タイプ】

  • 従来型個室
  • ユニット型個室
  • 多床室
  • ユニット型個室的多床室

それぞれの概要は以下のとおりです。

従来型個室

このあとで説明するユニット型個室が登場する前から利用されていた個室です。ユニット型個室の登場を受けて「従来型」と呼ばれるようになりました。主な特徴は、居間などの共有スペースを併設していないことです。したがって、居室と共有スペースにはやや距離があります。

ユニット型個室

2002年に制度化された個室です。リビングなどの共有スペースを中心に個室が配置されています。一定のプライバシーを確保しながら、共有スペースを生活の拠点として活用できる点が特徴です。この特徴を生かして、同じ共有スペースを有するグループで家庭的な環境のもと生活を送れます。具体的には、共有スペースで職員や他の入居者と交流するなどが考えられます。また、プライバシーを確保できるため、家族なども訪問しやすくなります。

多床室

1つの居室を2人~4人で使用する部屋です。従来型多床室と呼ぶこともあります。このことからわかるとおり、居間などの共有スペースは併設していません。また、基本的にカーテンなどで空間を仕切りますが、プライバシーは確保しにくい傾向があります。

ユニット型個室的多床室

多床室だった居室を、天井と隙間がある壁(パーテーションなど)で仕切り、個室のようにした部屋です。この特徴から「個室的多床室」と呼ばれています。ユニット型個室と同じく、居間などの共有スペースを併設しています。したがって、ここを拠点に家庭的な雰囲気のもと生活を送れます。ただし、天井と壁の間に隙間があるため、話し声が漏れる、臭いが漏れるなどのデメリットがあります。個室としての要件を満たしていないため、現在は新設が認められていません。

特別養護老人ホームを利用するメリット

特別養護老人ホームには、さまざまなメリットがあります。主なメリットは次のとおりです。

メリット①費用が安い

比較されることが多い有料老人ホームより費用は安い傾向があります。とくに差がでやすい費用としてあげられるのが入居一時金です。たとえば、介護付き有料老人ホームでは平均で350万円程度の入居一時金がかかります。施設によっては、数千万円かかることもあります。これに対して、特別養護老人ホームは入居一時金を必要としません。まとまった資金を用意できない方でも入居できる可能性があります。 施設サービス費、食費、居住費(証明書がある場合はおむつ代も)の2分の1が、医療費控除の対象になる点も見逃せません。医療費控除は、1年間に支払った医療費が所定の額を超えると、超過分が課税対象の所得から控除される制度です。具体的には、支払った医療費が10万円(総所得金額などが200万円未満の場合は総所得金額などの5%)を超えると対象になります。

関連記事:老人ホームの入居にかかる費用は?相場と安く抑えるポイント

メリット②24時間体制の介護を実施している

夜間も介護職員が常駐しているため24時間体制の介護を受けられます。夜間は職員の数が少なくなりますが、体位変換や排せつ介助に加え、各居室を見回る巡視などのサービスを受けられるでしょう。ただし、夜間における看護師の常駐は義務づけられていません。しかし、急変があった場合などは、介護職員が医師や看護師に連絡して指示を仰いでくれます。

メリット③長期入居が可能

特別養護老人ホームは、いわゆる「終の棲家」と位置付けられています。入居期間などを制限されることなく、落ち着いた生活を送れる点は魅力です。これに対し老人保健施設(介護老人保健施設)は、在宅復帰を目的とする施設であるため、3カ月程度しか入居できません。ちなみに、厚生労働省が発表している資料によると、介護老人福祉施設の平均在所期間は約3.5年です。 (参考:厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」) 

特別養護老人ホームを利用するデメリット

特別養護老人ホームには、デメリットもあります。注意したい点は以下のとおりです。

デメリット①入居するための条件がある

在宅での生活が難しい要介護者などを重点的に支援するため、特別養護老人ホームには一定の入居条件が設けられています。原則として、65歳以上で要介護3以上の方と、40~64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方でないと入居できません。要介護1、2でも入居できることはありますが、単身世帯で家族からの支援を受けられず地域の生活支援も不十分などの条件を満たす必要があります。施設に魅力を感じて希望しても入居できないケースがある点には注意が必要です。

デメリット②医療面のケアが不十分な場合がある

施設のなかには、医療体制が整っていないところがあります。医師の常勤を義務づけられていない、夜間における看護師の常駐を義務づけられていないなどの事情があるためです。このような施設の場合、入居後に医療ニーズが高くなると退去を求められる恐れがあります。入居前に、医療体制について確認しておくことが大切です。ケースによっては、医師や看護師が常駐している介護医療院などのほうが向いていることもあるでしょう。

デメリット③入居までに時間がかかる場合がある

申し込みから入居まで時間がかかるケースがある点にも注意が必要です。費用が安い、長期にわたり入居できるなどのメリットがあるため、入居待機者が発生している施設が少なくありません。厚生労働省の発表によると、入居申込を行ったものの2022年4月1日時点で当該施設に入居できていない方の状況は次のとおりです。

要介護3以上の方

要介護度 2022年度 2019年度
要介護3以上 25万3000人 29万2000人
要介護1、2 22,000人 34,000人

出典:厚生労働省「特別養護老人ホームの入居申込者の状況(令和4年度)」 

入居希望者や施設の状況などによっては長期間の待機が発生します。ただし、介護付き有料老人ホームなどの施設が増えたことで入居待機者は減少傾向です。とはいえ、状況が大きく改善したわけではありません。できるだけ早く入居したい場合は注意が必要です。

特別養護老人ホームでの一日の流れ

一日の流れを把握すると、施設での生活をイメージしやすくなります。基本的な流れは次のとおりです。

時間 スケジュール
7時00分 起床
8時00分 朝食
9時00分 体操など
10時00分 入浴(週2回以上)
12時00分 昼食
13時30分 レクリエーション
15時00分 おやつ
18時00分 夕食
21時00分 就寝

それぞれの取り組みで必要な支援を受けられます。たとえば、朝食時は食事介助、入浴時は入浴介助などが受けられます。体操とレクレーションの主な目的は、日常生活動作、認知機能の維持、リフレッシュなどです。予定が入っていない時間は自由に過ごせます。

特別養護老人ホームに入居しているのはどんな人?

厚生労働省が発表している資料によると、2019年10月審査分における特別養護老人ホームの要介護度別入居者の割合は以下のとおりです。

要介護度 割合
要介護1 1.4%
要介護2 4.2%
要介護3 24.3%
要介護4 37.8%
要介護5 32.3%

(参考:厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」) 

サービス受給者数は61.96万人、平均要介護度は3.95です。ちなみに、厚生労働省は要介護3~要介護5を次のように説明しています。

要介護度 説明
要介護3 要介護2の状態と比較して、日常生活動作及び手段的日常生活動作の両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必となる状態
要介護4 要介護3の状態に加え、さらに動作能力が低下し、介護なしには日常生活を営むことが困難となる状態
要介護5 要介護4の状態よりさらに動作能力が低下しており、介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能な状態

(出典:厚生労働省「(参考(3) 介護保険制度における要介護認定の仕組み)」) 

入居者は、日常生活を営むため介護を必要としている方が中心といえるでしょう。

早く入居するためのコツ

前述のとおり、現在も25万人程度の入居待機者が発生しています。ここからは、早く入居するコツを紹介します。

複数の施設に申し込む

基本の対策は、複数の施設に申し込むことです。施設ごとに審査するため、早期に入居できる可能性を高められます。原則として、申込数に制限はないため、複数の施設に申し込んでも不利益を受けることはありません(具体的なルールはお住まいの地域で異なります)。ただし、入居が決まった場合などは、申し込みの取り下げなどを速やかに行う必要があります。多くの入居待機者が発生しているため意識したいポイントです。

人気の低い居室タイプに絞る

人気の低い居室タイプを選ぶことも検討したい対策です。居室は、従来型個室、多床室、ユニット型個室、ユニット型個室的多床室にわかれます。このうちユニット型個室とユニット型個室的多床室は、一般的に人気が低いと考えられています。従来型個室と多床室に比べて月額利用料が割高になるためです。予算にゆとりがある方は、これらの居室タイプを選ぶとよいかもしれません。

併設された福祉サービスを利用する

申し込みをした施設が提供しているショートステイやデイサービスなどを利用することも有効と考えられています。施設が入居希望者の状態を把握できるためです。入居判定会議で有利に働く可能性が指摘されています。もちろん、これだけで入居が決まるわけではありませんが、ショートステイやデイサービスなどを利用する場合は検討したい対策です。

探す地域の範囲を広げる

入居申込者数、入居待機者数は地域で大きく異なります。これらが少ない地域で申し込むと、入居できる可能性を高められます。入居を希望している地域で空きを見つけられない場合は、対象範囲を広げるとよいでしょう。広域型特別養護老人ホームであれば、お住まいの地域に関係なく申し込めます。

特別養護老人ホームは要介護度3以上の方などが入居する施設

ここでは、特別養護老人ホームについて解説しました。簡単に説明すると、要介護3以上の方を入居させて生活全般の介護を提供する施設といえるでしょう。厚生労働省の発表によると平均介護度は3.95です。入居者は、介護なしで日常生活を営むことが困難な方が中心と考えられます。入居希望者が多いため、多くの施設で待機者が発生しています。お急ぎの方やよい施設を見つけられない方は、介護付き有料老人ホームなどを候補に加えるとよいかもしれません。介護付き有料老人ホームなどは老人ホーム検索サイトで探せます。

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このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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