介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違い5選と料金について

ケア施設の入居を考えている方に向けて、介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違いについて解説します。
介護老人保健施設と特別養護老人ホームは、ケア施設としての違いが分かりにくいものです。同じ施設だと思っている方もいらっしゃるでしょう。しかし明らかな違いがあります。
そこで今回の記事では、介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違いについて5つの観点から解説します。参考にしていただければ、よりご自身に合う施設はどこなのかがお分かりいただけるはずです。
介護老人保健施設とは
まず「介護老人保健施設」とは、介護が必要な高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すための施設です。提供されるサービスは入浴や排泄、食事への介助や機能訓練。また利用者の方の健康を管理したり、治療・療養のために必要なサポートも受けられます。
65歳以上かつ要介護1以上の、病状が安定していて入院治療の必要がない、リハビリテーションを必要とする要介護者が入居できます。また特定疾病により要介護認定を受けていれば、40~64歳の高齢者でもサービスを利用することができます。提供されるサービスは次のとおりです。
【提供されるサービス】
- 食事の支援
- 入浴の支援
- 排泄の支援
- リハビリテーション
- 健康管理
- 相談支援
- レクリエーション
介護老人保健施設では介護や医療に関するケアが手厚くなっています。機能訓練やリハビリテーションも受けられるため、身体機能回復を目指す方にもおすすめです。ただし利用できる期間は、入居から3か月が基本となります。
配置される人員や医師、介護職員の人数も定められており、健康管理を行うために必要な医師が常駐していることも特徴です。また栄養士や機能訓練指導員、介護支援専門員もおり、介護・医療ケアが充実した施設だとも言えます。
特別養護老人ホームとは
「特別養護老人ホーム」も介護老人保健施設と同じように、介護が必要な方が利用できるケア施設です。入居の条件は65歳以上かつ要介護度3以上で、終身利用ができます。3か月を超えてもずっと入居し続けられるのが、介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違いとして大きなポイントです。また、40歳~64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方や、要介護1~2の方でも、在宅介護が困難な場合は特例で入居できることもあります。 主なサービスは自立のための支援です。主なサービスについて見ていきましょう。
【提供されるサービス】
- 食事の介助
- 入浴の介助
- 排泄の介助
- 日常生活の中での介護
- 機能訓練
- 健康管理
- 療養にとって必要なお世話
特別養護老人ホームでは、在宅復帰ではなく利用者の生活を支えることが一番の目的です。そのためリハビリテーションは介護老人保健施設よりも重視されません。あくまでも日常生活の支援をすることが重視されています。
介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違い
介護が受けられるケア施設であるため、介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違いは分かりにくいものです。どちらにするべきか迷っている方に向けて、違いを詳しくご紹介していきます。
介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違いについて、5つの観点から見ていきましょう。
違い①入居条件
まずは入居するための条件に関する違いからです。
| 年齢 | 要介護度 | 備考 | |
| 介護老人保健施設 | 65歳以上 | 1以上 | 入院治療の必要がなくリハビリテーションを必要とする方 |
| 特別養護老人ホーム | 65歳以上 | 3以上 | 40歳~64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方 |
特別養護老人ホームは、基本的に要介護度3以上の方しか入居できません。しかし介護老人保健施設は要介護度1から入居可能で、比較的介護の必要性が低い方でも入居できることが違いです。
違い②入居期間
介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違いとして、入居期間もあげられます。特別養護老人ホームは、終身利用が可能です。入居したら、そのままずっと施設内での生活を続けられます。
しかし介護老人保健施設は、入居できる期間が基本的に3か月が目安です。リハビリテーションをして自宅復帰することを目的としているためです。
入居期間の違いから、介護老人保健施設は自宅に戻るための訓練の場であり、特別養護老人ホームは終の住処であることが分かります。提供されるサービスは似ているように感じられるでしょうが、ケア施設としての目的が違うことがお分かりいただけるでしょう。
違い③入居費用
続いてご紹介するのは入居のための費用についてです。それほど大きくは変わりませんが、それぞれのケア施設は料金にも違いが現れます。
【介護老人保健施設の料金】
- 初期費用:0円
- 月額費用:8万~20万円
【特別養護老人ホーム】
- 初期費用:0円
- 月額費用:5万~15万円
入居一時金はいずれもかかりません。しかし月額費用は介護老人保健施設のほうが高い傾向があります。もちろん施設によって食費の金額も変わるため、施設によっては特別養護老人ホームのほうが高くなることもあるでしょう。
しかし入居のための費用はできるだけ抑えたいもの。ご紹介したような傾向があることを知ってから施設を選んでください。
関連記事:老人ホームの入居にかかる費用は?相場と安く抑えるポイント
違い④サービス
似てはいるものの、サービス内容についても違いがあります。特別養護老人ホームでは日常生活の介助に加え、健康管理や緊急対応、機能訓練、レクリエーションなどサービスです。
それに対して介護老人保健施設では、日常生活の介助とリハビリテーション、医療・看護ケア、食事の提供、身体介護がメイン。特別養護老人ホームよりもリハビリテーションや医療・看護ケアに力を入れています。レクリエーションなどの楽しみの面では、特別養護老人ホームのほうが充実しているでしょう。
サービス面での違いはケア施設利用中の生活や、今後の生活への望みに大きく関わることです。ご自身がどのようなサービスを受けたいのかを慎重に考えてから選ぶことが大切となります。
違い⑤待期期間
最後は待機期間の違いについて見ていきましょう。待機期間は介護老人保健施設のほうが短い傾向にあります。
なぜなら前の項目で解説したように、介護老人保健施設では入居期間が基本的に3か月が目安とされているためです。特別養護老人ホームは終身利用ができるため、なかなか利用者の変動がありません。
目安として介護老人保健施設では3か月から半年ほど、特別養護老人ホームでは数ヶ月から数年と言われています。そのため今すぐに利用したいのであれば、介護老人保健施設のほうが良いかもしれません。
介護老人保健施設と特別養護老人ホームの設備の比較
介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違いについて、次は設備の面から比較していきます。
| 介護老人保健施設 | 特別養護老人ホーム |
|
浴室 食堂 トイレ 診察室 リハビリ室 |
浴室 食堂 トイレ 居室 |
浴室や食堂、トイレなど、日常生活に必要な設備が整っていることはどちらとも変わりません。しかし介護老人保健施設の場合は、診察室やリハビリ室など、介護・医療関連の設備があります。特別養護老人ホームにはないことがほとんどです。
もちろん施設によって違いはありますが、介護・医療ケア関連の設備なら介護老人保健施設のほうが充実しているでしょう。
介護老人保健施設が向いている方
介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違いについてご紹介してきましたが、介護老人保健施設が向いているのは次のような方です。
【向いている方】
- すぐにケア施設に入居したい方
- リハビリテーションをがんばって自宅復帰したい方
- 要介護1~2の方
- 医療ケアを受けたい方
トータルで考えると、医療やリハビリが整っている施設で過ごし、自宅復帰をしたいと考えている方に向いています。要介護1~2の方でも入居できるため、比較的要介護度が低い方にもおすすめです。
また身体状況に関わらず、すぐにケア施設に入居したい場合にも介護老人保健施設が適しているでしょう。特別養護老人ホームであれば、数年先まで入居できない可能性もあります。
以上のような条件に当てはまるなら、介護老人保健施設を選ばれてはいかがでしょうか。
特別養護老人ホームが向いている方
続いては特別養護老人ホームが向いている方の条件です。
【向いている方】
- リハビリテーションよりも介護を重視する方
- 終身利用を考えている方
- 今すぐ入居できなくても構わない方
- 医療ケアがなくても問題ない方
- 利用料金を抑えたい方
自宅復帰を目指しておらず、日常生活の介護や介助を受けたいと考えているなら、特別養護老人ホームのほうが向いています。ただし待機期間が長くなる可能性が高いため、今すぐ入居しなくても問題ない方に限ります。
その他、医療ケアがなくても問題がない方、利用料金を抑えたい方にもおすすめです。
介護老人保健施設と特別養護老人ホームの待期期間の現状
介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違いとして待機期間をあげましたが、現状では待機者は以前より少なくなっています。なぜなら2015年の介護保険制度改革により、特別養護老人ホームの入居条件がより厳しくなったためです。
また介護老人保健施設でも2018年の介護保険法改正によってさらに待機時間が短くなりました。しかしいずれも数ヶ月の待機期間が強いられる可能性があることに変わりはありません。
介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違いを踏まえて
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違いがご理解いただけたと思います。
2つの施設は提供されるサービスが似ていますが、明らかな違いがあります。それぞれの違いを踏まえた上で、どちらを選ぶか判断することが大切です。
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このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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